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第50話「エピローグ、豊臣兄弟」

「秀長、やっと着いたわ。やっぱりここが一番落ち着くなぁ。天下人なんてのは、肩が凝っていかんわ」

夕暮れに染まる琵琶湖のほとり。黄金の鎧も、重苦しい冠も脱ぎ捨てた万作は、継ぎ接ぎだらけの着物に草履という懐かしい農民の姿に戻っていた。隣には、同じく若き日の姿をした秀長が、穏やかな表情で腰を下ろしている。

「兄上、本当にお疲れ様でした。 日本中を振り回して、とんでもない大芝居でしたね。でも、最後はみんな笑顔で幕を引けましたよ。私たちは、ただの万作と小一郎に戻ったんです」

「そうだな。ホントの秀吉様も信長様も、あっちで酒でも飲んどりぁす。わしゃあ明日から、またおみゃあさんと一緒に畑でも耕すかね」

遠くから村の祭りの太鼓の音が聞こえてくる。万作は大きく伸びをして、茜色の空を見上げた。

「秀長。わしらの名前、後世の人はなんて呼ぶかね」

「さあ……案外、ただの仲の悪い豊臣兄弟として笑われているかもしれませんよ」

二人は顔を見合わせ、声を上げて笑った。その笑い声は心地よい風に乗って、かつて二人が夢見た平和な夕焼け空へと溶けていった。

(完)

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