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第42話「空虚なバカ騒ぎ」

「秀長、見てちょうよ! 七百本の桜だて。日本中の花を集めて、わしの人生の最後をド派手に飾ってやるんだわ! おみゃあさんも、どっかで見とるかね?」

死の影を感じ始めた万作は、数千人の供を連れ、空前絶後の花見を強行した。一杯の酒と一枝の桜で笑い合っていた村の祭りとは違う。何から何まで黄金に輝くこの宴は、万作が自分自身に言い聞かせる天下人の証だった。

「ほれ、淀の方も北の政所もみんな笑わにゃあかんがね! わしがこんなに楽しそうにしとるんだで。……でもよ、秀長。おみゃあさんが隣におらんと酒がちっとも美味しくにゃあんだわな」

豪華な着物に身を包み派手に振る舞う万作だったがその足取りは危うい。どれほど贅を尽くしても喉を通り過ぎる酒は砂のように味気なかった。家臣たちは、衰えた主君の姿に時代の終焉を予感して静まり返っている。

「……秀長、わしはもう十分遊んだわ。あとは秀頼がこの桜を毎年見られたら、それでええんだわな」

散り急ぐ桜吹雪の中、万作は力なく微笑んだ。その背中は、どんな名馬よりも重い運命を背負い続け今にも崩れ落ちそうだった。

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