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第34話「わしのホントの息子かね?」
「秀長、見てちょうだいよ! わしによう似て鼻のあたりがシュッとしとらんかね? ……いや、わしは偽物なんだで、わしに似とったらおかしいがや?誰の子だね、この子は??」
淀殿が産んだ待望の世継ぎ、鶴松。万作は赤子を抱き上げ、喜びと混乱でパニックになっていた。
本物の秀吉が死んで二十年近く。自分が父親であるはずなのに万作には自分のような偽物から、本物の主君が生まれるという事実が信じられない。
「兄上、大きな声を出さないでください。 あなたが父親だと言い張る事でこの子は天下の主になるんです。血の繋がりなんて、今の私たちには些細なことです。この子が私たちの豊臣という嘘を真実に変えてくれるんですよ」
秀長は、万作の震える肩を支え断固とした口調で言った。秀長にとっても、この子は豊臣家を永続させるための最後の1ピースだった。
「嘘を真実に……。そうか、わしがこの子を本気で愛せば、わしは本物の父親になれるんだわな。よしよし鶴松、おみゃあさんはわしが命懸けで守ってやるでよ!」
万作は赤子を強く抱きしめた。その温もりを感じた瞬間、影武者としての不安が父親としての狂おしいほどの情愛に飲み込まれていった。




