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第33話「空虚な天下統一」

「秀長、終わってまったわ、ついに日本中がわしの言うことを聞くようになったがね。……でもよ、なんか拍子抜けしてまったな」

小田原が落ち、奥州の仕置も済んだ。万作は、名実ともに天下の頂に立ったがその表情は晴れやかではなかった。かつて村の境界線で隣村と石を投げ合っていた頃の方がよほど戦っている実感があった。戦が終わった後の広すぎる天下は、万作にはあまりに空虚だった。

「兄上、おめでとうございます。これであなたが望んだ誰も飢えず、誰も戦わなくていい世の中が始まります。これこそ、天下惣無事です 。虚しく感じるのは、あなたがやり遂げた証拠なんです。これからは、壊すのではなく守り作り上げる戦が始まるんです」

秀長は、静かに祝杯を掲げた。しかし、その顔には深い疲労の色が滲んでいる。天下という巨大な器を支えるため、秀長は自らの命を削り続けていた。

「守るって……わし、守るより攻めとる方が楽だわ。秀長、明日からわし何をすればええんかね? 畑を耕しに行ってもええのかね」

「滅多なことを言わないで下さい。あなたは日輪として、ただ輝いていればいいんです」

万作は、黄金の杯に映る自分の顔を覗き込んだ。

「……秀長。わし、本当は天下人なんてガラじゃにゃあんだけどね」

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