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第32話「万作、一夜城をDIY」

「秀長、これ凄いがや! 木の枠に紙を貼っただけなのに遠目から見たら本物の城にしか見えんがね。昔やった村の小屋作りを思い出すわ!」

小田原を見下ろす山の上。万作は、完成したばかりの一夜城の出来栄えに目を輝かせていた。木を伐採せず隠しておき、一夜にして周囲の木を切り倒して城を出現させる。農民時代、限られた道具で工夫して生きてきた万作にとって、この手の仕掛けは大得意だ。

「兄上、これですよ。なにも本物を作る必要はない。相手に本物が現れたと信じ込ませれば、戦わずして勝てるんです。このハリボテの城こそ、あなたの知恵の結晶です」

秀長は、白く輝く紙製の壁を見上げ満足げに頷いた。武力ではなく視覚的な恐怖で敵を戦意喪失させる。それは、影武者という虚像で天下を治める二人の手法そのものだった。

「北条の衆、今頃腰を抜かしとるだろうな。……秀長、これ風が吹いたら飛んでまわんかね?」

「飛ばないように裏でしっかり補強させています。さあ、堂々と天守に立って小田原を見下ろしてください」

万作は、紙の城の上で威風堂々と扇子を広げた。

「おーい! 北条氏政、氏直殿やー! わしの城は一晩で建つんだわ! おみゃあさんらも、早く降参してこっちへ来やぁ!」

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