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第31話「終わらない小田原評定」
「秀長、あいつら何やっとるんだね! 北条氏政もその息子も、もう何日も合議中って言っとるだけで茶ばっかり飲んで一向に出てこにゃあがや。わし、お尻が痛ぁてしょうがにゃあわ!」
小牧長久手を凌ぐ大軍で小田原城を囲みながら、万作は地団駄を踏んでいた。北条家は滅亡の危機だというのに重臣たちが集まっては延々と相談中だ。
「兄上、あれが名門の足枷なんです。自分たちが間違っていたと認めるのが怖いだけ。放っておいて果実が熟して落ちるのを待つのです」
秀長は双眼鏡で城をじっと眺めていた。包囲網は完璧、あとは相手の心が折れるのを待つだけだ。
「熟して落ちるって……待つのも仕事かね。そういえば、奥州の伊達政宗とかいう若造も、なかなか挨拶に来おせんし、どいつもこいつもわしを待たせて楽しんどるんかね!」
「できないから、彼らは負けるんです。あなたはただ、ここで贅沢に遊んでいればいい。それが最大の攻撃なんですから」
万作は、秀長に言われるがまま盛大な宴会を始めた。
「……秀長。わしは、会議よりお祭りの方がよっぽど楽しいわ」




