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第29話「聚楽第パーティータイム」

「秀長、もう勘弁してちょうよ! 毎日毎日、踊れや歌えの大騒ぎで、わしの喉はガラガラだがや。ここはお城じゃなくて、ただの巨大な宴会場じゃにゃあかね!」

完成したばかりの聚楽第。万作は、金箔が貼られた廊下の隅で豪華な衣装を脱ぎ捨てたい衝動に駆られていた。後陽成天皇をお迎えするための、数日間にわたる大接待。農民時代、村の祭りで泥酔して騒いでいたのとは訳が違う。

「兄上、これこそが豊臣の見せつける力です。誰もがこの華やかさに圧倒され、逆らう気力を失う。武器を使わずに酒と料理で天下をねじ伏せるんです。さあ次は利休様との茶会ですよ、しっかり背筋を伸ばして」

秀長は、疲れの見え始めた万作の背中を優しく、しかし有無を言わさぬ力で叩いた。秀長にとって聚楽第は、万作という神輿を最も美しく飾るための巨大な舞台装置だった。

「お茶って……わし、もうお腹がタプタプだわ! それに、あの静まり返った空気、わしにはお通夜にしか思えんがね!」

「それが侘び寂びです。あなたは黙って一服の茶を愛でる聖人を演じてください」

万作は、無理やり微笑みを作り再び煌びやかな広間へと向かった。

「……秀長。わし、本当は狭い長屋でおみゃあさんと二人で雑炊でも食っとる時が一番幸せだわ」

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