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第16話「成金趣味の大阪城」
「秀長!見てみやあ、この金瓦!眩しすぎて目がチカチカするがや。これゃあ、やりすぎじゃにゃあかね?」
万作は、建設中の大阪城を見上げて口をあんぐりと開けていた。農民時代、藁葺き屋根の隙間から雨漏りを防いでいた彼にとって城全体を金箔で塗り固めるという発想は、もはや狂気に近い。
「兄上いいですか、これは趣味ではなく政治なんです。人は圧倒的な富を見せつけられると戦う意欲を失う。金箔一枚で千人の兵を動かすより安く天下が治まるんですよ」
秀長は、流麗な仕草で設計図にさらなる黄金での装飾箇所をさらに書き足していく。
「理屈は分かったがね……でも、わしの寝室まで金ピカにする必要はあるかね? これじゃあ一晩中緊張してオシッコが近くなってまうわ!」
「それは天下人の高揚感というものです。慣れてください」
万作は、秀長に言われるがまま金の陣羽織を着せられ金の扇子を振る。
「わし、本当は土と干し草の匂いがする場所が一番落ち着くんだけどね」
「その言葉は、蔵の奥深くに埋めておいてください。今のあなたは、光り輝く太陽なんですから」
黄金の城が万作の素朴な心を少しずつ覆い隠していく。




