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未来AI HALO《はるお》君  作者: 米森充


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20/24

第20話『フェーズ. 2 世界連邦』

『ニューフリーメーソンZ会』の解散前の最後の大仕事、『世界連邦』の設立にはさまざまなな抵抗があった。

 特に旧組織『国際連合』の解散にはホトホト手を焼く。

 とっくの昔に機能不全に陥っていたくせに、いざ解散すると言ったら安保理の常任理事国は当然の事、加盟国それぞれの事情により国益を損なわれるのを極端に嫌う『国家間エゴ』のぶつかり合いとなった。

 そんな事ばかりやっていたから組織が機能不全になったというのに、血流の風通しを良くしたら全く反省する事なく新たな既得権益の争奪戦を始める始末。

 そもそも『世界連合』は戦勝国連合として発展、組織されたもの。

『戦勝国』という驕りに全世界を管理する根拠の正当性は全く無い。ただ武力で対立する国をねじ伏せただけだったから。

 更に中国に至っては、日中戦争で日本と直接戦った国民党の中華民国には戦勝国としての資格が僅かに残っていたが、中国共産党が建国した『中華人民共和国』は日本と直接対決した史実は皆無であり、全くの無関係で戦勝国としての資格は欠片もない。

 それなのに厚かましくも中華民国からその正当性を奪い、自ら戦勝国を名乗り、常任理事国の地位まで奪っている。

 そんないい加減な安保理に世界平和を任せられる資格など、あろうはずは無い。

 中華人民共和国にしてもソ連にしても、ジェノサイド大国一位、二位の国に平和維持を語る資格は無い。

 それに加え、アメリカもイギリスもフランスも、白人至上主義の覇権主義の権化であった。

 要は人類を地獄に落とす悪の権化に正義の使者を名乗らせ、国連の絶対権力を与えたようなものであった。

 彼らには正義を振り翳す資格も権利も初めから無かった。



 謂わば茶番の戴冠式なのだ。




『ニューフリーメーソンZ会』は初めから国際連合を相手にしていなかった。

 直接各有力加盟国政府にエージェントを送り込み、全世界に張り巡らされたCIAの持つ情報ネットワークを最大限に活用、それぞれの国の弱みを突くなど交渉材料を屈指し、反対勢力を一つ一つ潰していった。


 もちろん蓮たちのグループも旧国連解体説得工作ため、スペイン・(リトアニア含む)バルト三国・ポーランド・ベラルーシを担当する事になった。

 一方友里恵グループは、フランス・ドイツと何故かイタリアも担当し、不勉強だったイタリア語を一夜漬けで習得、大車輪の活躍をする。

 当然ながら蓮たちも友里恵たちも、そんな少人数で動いていた訳ではない。それぞれが一国の意向を短時間で変えさせるのだ。

 政府機関に深く入り込み、場合によっては強引に反対意見を封じ込め、利権・既得権益を剥奪する。それ故に、『ニューフリーメーソンZ会』をバックにした想像を絶する強力な力と、それを動かす体制と権力が必要。万全な体制をもってヨーロッパ全体では数万人単位を派遣、総力をあげて有機的に動き回る。


 ただ、今回の『フェーズ. 2』、『フェーズ. 1』の時のような危険は伴わず、工作と説得に終始した。

 全てのエージェントが有機的に動き回る必要上、常に硬直したグループ行動を取り続けた訳ではない。

HALOはるお君』が中途半端に約束していた休暇がようやく許されたある日、蓮と友里恵は数ヶ月ぶりに再会した。


 ポーランドの首都『ワルシャワ』。


「蓮、久しぶり!いつも『HALOはるお君』の脳内チップを通した会話はしていたけど、やっぱり直接逢うと違うわね。少し太った?」

「痩せたよ!この激務で5キロ以上体重が減ったのに、どの目で見たら痩太って見える?」

「もちろん、このつぶらで魅力的なこの目よ!ホラ!」と瞼をパチパチさせた。

「・・・・・相変わらず朗らかな頭脳回路してんな。でもいいわ。

 友里恵に逢えて嬉しいよ。友里恵は元気してた?」

「元気?元気って言うよりゲンナリしてるわ。だってジェーンったら、いつも私に纏わりついて蓮の事聞いてくるのよ。蓮、まさか私に内緒でジェーンを誘ったりしてないよね?」

「まさか!冗談よしてよ!」

「ホントかなぁ〜?蓮ってモテるから、油断できないよ。」

「僕がモテるって?な訳ないじゃん?僕には友里恵だけって判ってるくせに!」

「じゃぁ、ハグして!」


 蓮は久しぶりに熱いハグをした。



 気がつくと沢山のギャラリーが取り囲んでいる。


 アーシャ・パテル、カミラ・ジェリンスキ、リンダ・フォード、マルシア・バルバローザたち女性陣と、劉太源、アレクセイ・カバロフ、ペーター・シュミット、ビシャイ・アブラヒムたち男子陣まで勢揃いしていた。


 何で?


「ヒュー、ヒュー!お二人さん、お盛んな事!」

「何だ!君たちは?」困惑の蓮と友里恵。

「君たちって聞いた?よく聞いてくれました!私たちはご存知お邪魔虫隊です!お呼びでない?お呼びでない・・・でも来ちゃうんだよね〜!」と劉太原とジェーン。



 ここでHALOはるお君の声。


「皆さんお集まりですね?フェーズ. 1 の任務完了、お疲れ様でした。引き続きフェーズ. 2の任務もお願いしますね。」

「俺たちって、ご褒美の休暇でここまで来たんじゃなかったの?」

「その通りです。NATO軍と合流してそれぞての任務について貰いましたが、ここに来て予期せぬ事態が発生して今後の任務に重大な影響が出てきました。

 そこであなたたちエージェントには一旦ワルシャワまで引いて貰ったのです。

 今後、不定期ですが、情勢が落ち着くまでこの地で静養してもらいます。」

「予期せぬ事態って、中露各地の民衆によるあの反乱の予兆の件ですか?」

「いいえ、違います。今まで皆さんには秘していましたが、『ニューフリーメーソンZ会』理事会に於いて、取り扱いに意見の相違が生じたのです。制圧した側とされた側の軋轢を経験して、私たちAI主導の推進派と懐疑派の対立が起こり、今後の方針にある程度の修正が必要になってきたという事です。」

「ここまで来て、今更対立ですか?」

「そうです。この期に及んでの迷走です。でも皆さん、よく考えてみてください。

 何の迷いもなく突き進むのと、より多くの幸いを求めて迷走するのと、どちらに信頼をおきますか。

 私『HALOはるお』も決して自分一人で全ての判断を下してきたわけではありません。

 皆さん『エージェント』の方々の見てきた経験と、そこから生まれる感情を汲んで斟酌した決断を以て、ここまで取り組んできたのです。

 決して思い上がりや独りよがりや、独善で推進してきた訳ではありません。

 もちろん、理事のメンバーも人である以上、迷いはあります。

 制圧の方法は正当な民主的手段ではありませんでした。

 だから民衆の反発も最もなのですから。

 でも、多くのAIが示してきた通り、このままでは早晩にも人類の滅亡も明白。

 現時点での解決策で一番有効と判断された作戦が今のフェーズシリーズです。

 ならば、この路線で最良の策と路線を模索するしか無い。

 その結果の迷いが今の状態なのです。

 私HALOはるおは今の状況を正直に白状しました。

 これを受けて皆さんはどのように思うか、ドシドシ献策してください。

 この変則な休暇を存分に楽しみながら、各々の知恵を練る機会にしてくれたら嬉しいです。」

「そういう事。」

「分かったような、よくわからないような・・・。でも、ここで一同が集まる理由ってある?」とアレクセイ。

「もしかしてHALOはるお君ったら、私たちが二人きりでいるのを邪魔したいとか、そう思っているんじゃない?」と友里恵。



「鋭い!!バレた?」とHALOはるお君の心の声。


 やっぱりHALOはるお君は友里恵たちに日頃の遺恨から、根を持っていたようだ。ヤレヤレ。


 しかし、この状態から世界を纏めるのは、やはり一筋縄にはいかないようだ。


 頑張れ!皆んな!


 友里恵と蓮の恋の行方も次回以降、乞うご期待!







 つづく












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