第19話 『アメリカ』
中国とロシアの電撃武装制圧作戦『フェーズ. 1』を完了した。
次に『ニューフリーメーソンZ会』のお膝元、アメリカ作戦についても簡単に触れておきたい。
歴史を遡るとアメリカは、(旧)フリーメーソンメンバーが1620年、メーフラワー号で結んだ盟約を基礎に建国された国である。
そしてモンロー主義以降南北アメリカ大陸は、アメリカ合衆国の裏庭であるとの考えを元に、覇権主義を国是に歴史を重ねてきた。
その謂わば大アメリカ主義とでもいう世界観を徐々に広げ、第一次・第二次世界大戦をキッカケに本格的に世界の覇者としての意識を持つ様になった。
とりわけ第二次世界大戦に於いてはヨーロッパ、太平洋の両戦線で国力を大きく伸ばし、ただでさえ独りよがりの傲慢さを振り翳してきたが、世界に先駆けて核兵器を持つに至り、その増長した欲望は頂点に達した。
広島・長崎に原爆を投下して以降、彼らは神をも恐れぬ強大な力を手にしたと自負する様になる。
そして無条件降伏で捻じ伏せた日本人を戦後レジウム体制で洗脳、その成功例に自信をつけ次々に逆らう国に武力侵攻を繰り返してきた。
特に自国の裏庭と勝手に認識している中南米には容赦無かった。
キューバ革命時の赤化阻止に失敗後は、殆どの南米諸国をクーデターにより軍事独裁政権を樹立させ、強制的に親米路線を歩ませた。
中南米のクーデター
1952年軍事クーデターで親米フルヘンシオ・バティスタ大統領独裁政権樹立。
1959年キューバ革命。フィデル・カストロがフルヘンシオ・バティスタ独裁政権を倒す。
1970年チリに自由選挙で社会主義政権サルバドール・アジェンデ大統領誕生。
1973年9月11日チリ軍事クーデター勃発。サルバドール・アジェンデ大統領政権を倒し、米軍事政権アウグスト・ピノチェト大統領誕生。
1981年7月オマル・トリホス パナマ国家警備隊司令官事故により死去。次いでマヌエル・ノリエガ パナマ国防軍最高司令官着任。
1983年ニカラグアにダニエル・オルティガ左翼政権誕生。ノリエガがニカラグア親米反政府ゲリラ『コントラ』支援。
1989年12月20日パナマ侵攻【作戦名Just Cause(正当な大義)】ノリエガ将軍を麻薬取引の容疑で拘束。
2013年ニコラス・マドゥーロ大統領就任。
2026年1月3日ベネズエラ急襲作戦【作戦名Absolutte Resolve(断固たる決意)】マドゥーロ大統領を麻薬密輸の容疑で逮捕。
これらの政変には常にアメリカCIAの影が付き纏うが、結果的にはどの案件も失敗に終わっている。
更に中南米から全世界に目を移すと・・・古い話では、
1853年ペリーの黒船来航。次いで1854年日米和親条約締結。
1858年1月日米修好通商条約(不平等条約)締結。
1911年オレンジ計画(日本撲滅計画)考案。1924年陸海軍合同会議にて採用。
1941年11月26日ハルノート提示(アメリカのハル国務長官が日本側に提示した対日交渉文書)ルーズベルトの対日最後通牒。
1945年東京含む日本全国への市民無差別空襲、広島・長崎原爆投下。
1950年6月20日朝鮮戦争勃発。
1955年11月1日ベトナム戦争にアメリカ軍参戦。
1953年8月イラン モハンマド・モサッデク首相が失脚。(CIA工作により)パーレビ国王権力回復。
1978年1月イラン革命勃発。パーレビ国王アメリカに亡命。
2001年9月11日イスラム過激派テロ組織アルカイダによるアメリカ同時多発テロ事件発生。
2011年5月パキスタン国境付近に潜伏していたアルカイダの指導者ビン・ラーディン、アメリカ軍の急襲により殺害。
1979年7月16日にイラク サッダーム(サダム)・フセイン大統領就任。
2003年3月、大量破壊兵器情報によりアメリカ侵攻、イラク戦争勃発。サッダーム(サダム)死亡。バース党政権体制崩壊。
近代でもこれだけの主要武装工作・紛争・戦争があった。
この前には1846年アメリカメキシコ戦争、1898年のアメリカスペイン戦争などもある。
人類史に於いてアメリカの殺戮数は第一位の中国・毛沢東の1億人、第二位のソ連・スターリンの3500万人、第三位のナチスドイツ・ヒトラーの2500万人には遠く及ばないがそこそこコンスタントにやらかしているのだ。
つまり武力による膨張政策の強引さは、ロシアや中国に決して劣っていなかった。
これで理解しただろう。私たち日本人にとってアメリカは民主主義の盟主としての認識だったが、人類共通の敵としての要素は十分に持っている。ホントは正直に、まともに付き合える相手では全くなかった。冷静に見つめ直すと納得できるはず。
その歴史的伝統を踏襲したトランポリン政権は、あまりに拙速・強引・高圧的にやり過ぎた。
盟友であるはずのEUに関税・安保で一律に屈辱的圧力をかけ、同盟に亀裂を生じさせ、隣国カナダは一番絆が強い筈なのに「51番目の州になるか?』と侮辱し、人心を離反させた。
更に日本を始めとした他の同盟国にも恫喝し右往左往させたのは記憶に新しい。
無駄にわざわざ多くの敵を作る稚拙な大統領。
もうその時点で既に世界のリーダーの座から自ら転落し、自滅していた。
しかも国内に於いても分断が甚だしく、国家と民意を問う民主選挙に暴力的争いを誘発させ、多くの汚点を残してしまった。
この状況を見て、フリーメーソンメンバーが黙っている訳がなかった。
フリーメーソンのオールドメンバーは責任を取らされ、若手に世代交代した。
後を継いだ若手メンバーは、中露台頭の危機感とAIの脅威的進歩を警戒し、行く末を占った。
その結果が『人類滅亡』であり、早急な対策の答えが『ニューフリーメーソンZ会』の設立であった。
もちろん欠陥大統領『トランポリン』解任が至上課題であるのはもちろんであるが、世界には他の不安材料が存在する。
それが今後の中露の扱いであり、それらを同時に解決するのが今回の目的であった。
全くの危険な賭けであったが、危うく核戦争に発展させるところだった。だが、寸でのところで日本が開発した新防御兵器のおかげで、人類滅亡の大惨事を防ぐことができた。
ニューフリーメーソンZ会が作戦の本丸に据えていたアメリカ工作は、成功裡に幕を閉じる。
この作戦はその実行まで徹底してこだわった事がある。
それはCIAもFBIも作戦行動から排除したという事。
何故除外したのか?それは彼らを作戦に加えると、失敗する確率が高いから。歴史的にみてもその成功率の低さは明白。要するにやり方が雑で下品過ぎたのだ。
それに加え今回のアメリカ作戦は、武力の行使や拉致・脅迫等の非合法工作はその手段に一切取り入れないと決めれれていた。
故にCIAもFBIも徹底的に不干渉の立場をとらせた。あくまでエージェントによる合法的・民主的なロビー活動と裏交渉、及び組織的な世論誘導キャンペーンを張り、トランポリン支持を封じ込めるように働きかけたのだった。
特にSNSやその他のネットは、拡散力とその影響の深度に於いてテレビ・ラジオ・新聞等より絶大な影響と効果を齎した。
それというのもトランポリン大統領はSNSで頻繁に自分をキリストに模した画像や動画を投稿していたから。
敬虔なクリスチャンはこの行為に激しい嫌悪と憎悪を持っていた。この状況を利用しない手はない。キリスト教の信者の離反を招くためのキャンペーンは予想以上に功を奏した。
このアメリカ作戦は中露の場合と比べ、かなり扱いが違う。
それは社会体制の違い、民主主義の成熟度の違い、国民の民度の違い等、手段の選択が分かれたからであった。
武力に訴えるのは下の下。積極的に協力させるのは上の上。
それが全てだった。
ニューフリーメーソンZ会はこれまで秘密組織であったが、これを期に組織を発展、解散し、新たな国連組織の改組に全精力を傾注させた。
死に体だった国連及び国連安保理は全面解体・改組。
『国際連邦』に改名・改組し、より強力な国家集合の中央集権化した。
旧国連安保理で絶望的停滞を招いた元凶、既存の常任理事制度はもちろん廃止。
中露は国家を分割したためその存在感は実質消滅。アメリカは分割は免れたが、国力及び国家の発言力は大幅に低下した。
それまでITの核心技術を一手に握っていたアメリカは、ニューフリーメーソンZ会によって最先端の軍事技術と共に引き剥がされ、新国連の所管とされる事となる。
既にそれ以外の国家の基幹産業は見る影なく廃れ、一介の農業国に成り下がっていたアメリカには、かつての超大国の面影はなかった。
人類滅亡の予想を覆すために生まれた『AI. HALO 《はるお》君』は、そんな時節の中、起死回生の策として編み出されたシステムだった。
AIの世界は、アメリカのみならず、中露も血眼になって開発していた。
だがどの国が開発したAIも、所詮は機械の範疇を越えられない。
熾烈な競争の末、最終結論は核戦争による人類滅亡という結論に行き着かざるを得ないのだ。
それを回避する唯一の手段が、巨大ホストAIプラス改造人類の協業にあった。
AIだけでも人類だけでも乗り越えられない恒久平和への壁。
それを打破するのが人類と機械の叡智の結集であった。
中露の追い上げを阻止し、アメリカの一人勝ちを阻止し、人類の破滅を阻止する最終手段が『AI. HALO 《はるお》君』と無数のエージェント達のチームワークを結集した連携と活躍にかかっていたのだ。
ポーランドの首都ワルシャワに集結しているNATOの各国部隊に一旦合流した蓮たち一行と友里恵一行。
「久しぶり〜!」
「元気だった?」
「ギリギリ元気だった!」
「私は超〜ォ楽しかったよ!」
「アンタは異常よ」
「ちょ!人を変態みたいに言わないで!」
「蓮は少し見ない間に、少し痩せた?」
「痩せてね〜よ!そんなやわじゃね〜し!」
「その言葉遣い!なぁ〜んか感じが変わったみたい!」
「蓮はあの作戦に参加して大人になったのだよ!」と劉太原。
「そう、立派な男になったノォ〜!」とカバロフ。
「オイ!!僕を童貞みたいに言うな!」
「そうだぞ!もう童貞を脱したのだからな!」とペーターがおどけて言う。
「ねぇ、蓮!どう言う事よ!」と友里恵が怒りながら迫る。
「アワワワ・・・・誤解だ!濡れ衣だ!オィ!劉!何とか言え!お前のせいで誤解されたじゃないか!カバロフ!ペーター!皆んな酷いよ!裏切り者!」
「そんな泣き顔になって・・・可哀想に・・・ヨシヨシ・・・ナデナデ。。」
「ジェーン!ドサクサに紛れて私の蓮にチョッカイ出さないで!」「友里恵ったら蓮の事、疑いの目で見てたじゃない?だから私が慰めていただけよ。ねぇ、蓮、友里恵がダメになったら、私が面倒みてあげるからね。分かった?」
「その時は宜しくお願いします!」と蓮がジェーンに頭を下げる。
『ペシッ!!』ホッペを真っ赤に膨らませた友里恵の壮絶な鉄拳が飛ぶ。「もぅ!油断も隙もないんだから!」
蓮チームと友里恵チームはお互い初対面な筈なのに、何故か頭の中のチップのせいか?紹介し合わなくても旧知の中のようだった。
それにしても今回の蓮・・・何かの生贄?
可哀想。
つづく




