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アルスダリアの祈り  作者: 瑝覇
???編

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第34話 内緒話

ジークとヘスティアはまだ別室で話をしていた。

時計は1時(13時)を指していた。



ヘスティア

「契約相手は誰ですか?」


ジーク

「………。」



ジークの表情が強張った。

言いたくても言えないような顔だ。

 


ヘスティア

「関与することは喋れませんか。喋れなくて結構です。反応くらいはできるでしょう。契約相手は神官という人ですか?」


ジーク

「っ…」


ヘスティア

「現代国王ですか?」


ジーク

「……。」


ヘスティア

「それ以外ですか?」


ジーク

「……。」


ヘスティア

「なるほど。随分と国民の信頼は厚そうでしたが。まぁそのせいで貴方のそれ(契約)を知ってくれる機会がなかったのでしょうけど」


ジーク

「貴女は…フォルヴァール(魔法の国)の方ですか?」


ヘスティア

「それ割と言われます。違いますよ。一度は行ってみたいとは思っていますが。少々、魔法や魔術について詳しいだけです」


ジーク

「そうですか…」


ヘスティア

「結構バレやすい契約の仕方だと思いますが…その神官とやらは自分が信頼されている前提で動いているように思えます。国民からすると疑いにくい相手みたいですね」


ジーク

「……。」


ヘスティア

「ハルジオンは知らないのですよね?」


ジーク

「はい」


ヘスティア

「夕刻までは付き合えますけど、どうしますか?」


ジーク

「良いのですか?ディン殿は…」


ヘスティア

「あの子はルークの言うことなら聞きますので、どうにでもなるでしょう」


ジーク

「ありがたいのですが…なぜそこまで協力を?」


ヘスティア

「…なんとなく。ただの興味本位です。それに、わたくしたち、入国した以上、気軽に出れるわけでもなさそうですし」


ジーク

「本当に感謝します…10年…いやもっとか…」


ヘスティア

「………。」


ジーク

「あぁ…やっと…やっと…っ…!」


ヘスティア

「……よく、そこまで自我を保ってましたね。……それだけ、支えになるものでも?」


ジーク

「……はい…っ…!…約束が…あります」


ヘスティア

「……ハルジオンの説得はそちらでやってくださいね。ルークはまぁ…いろいろ察していると思うので大丈夫だとは思いますが」


ジーク

「ありがとうございます。ヘスティア殿」


ヘスティア

「……1つだけ。聞いていいですか?」


ジーク

「はい」


ヘスティア

「その約束をした相手は。生きていますか?」


ジーク

「……いいえ」


ヘスティア

「……そうですか」



 ✴︎



ディン

「このお菓子もっとないの?」


ハルジオン

「さっきので最後ですよ…遠慮のない人ですねディンさん」


ディン

「ボクたちお客様だよ?引き止めたいならもう少しお菓子出してよ」


ハルジオン

「い…いいですよディンさんは帰っても…」


ディン

「ルーくんと姉さん置いていくわけないでしょ」



ディンとハルジオンが言い合いをしているとルークがハルジオンに声をかけた。

 


ルーク

「……ねぇハルジオン、これ…絵かな?」


ハルジオン

「?あぁそれですか?写真っていうらしいですよ!ブレンシア(嵐の国)の…えっと…カメラ?だっけ。空間を切り取って紙に写す機械があって…すごいですよね」


ルーク

「こっちに立ってるのはジーク?」


ハルジオン

「はい!そのお隣にいるのが、先代国王様で。お隣が王妃様。抱っこされてるのがプロジオン様ですよ」



白黒の写真には、中央に子供を抱いている女性。その隣に男性。そしてその隣に鎧をつけた人が写っていた。背後にはお城が建っている。

 


ルーク

「へぇ…すごい…」



ルークは写真に興味が湧いたのかいろんな角度から見ている。



ハルジオン

「ジーク様は国王様と王妃様付きの聖騎士だったんですよ!」


ディン

「へぇ。国王と王妃は行方不明になったのに、まだ聖騎士してるんだ?」


ハルジオン

「っ…そんな言い方…」


ディン

「普通なら処罰されるか、もしくは辞めそうだなって思っただけ」


ハルジオン

「そんなこと…」


ディン

「だって側近だったんでしょ?側近だけピンピンしてるの変な話じゃない?」


ハルジオン

「……ジーク様も…お悔やみになられて、お顔を焼いたって…言ってました…」


ルーク

「それで隠してるんだ」


ハルジオン

「……僕も、ジーク様のお顔ちゃんと見たことないです…けど…。でも、ジーク様は頑張り屋さんなんです!」


ディン

「行方不明ってもう何年も前でしょ?ぼかしてるだけで死んでるわけだ。なのに処罰もなんもなし?」


ルーク

「ディン言い過ぎだよ」


ハルジオン

「じ…自分の親をそんなふうに言われたら嫌じゃないんですか!」


ディン

「さぁ。ボク親の記憶ないし」


ハルジオン

「え…」


ディン

「別にジークを馬鹿にしてるわけじゃないよ。率直な疑問」


ハルジオン

「親御さんは今、何してるんですか…?」


ディン

「死んでるよ。多分だけど。さっきも言ったけど、ボク記憶ないからさ。あんまり悲しいとかは思ってないよ」


ハルジオン

「……すみません…嫌なこと言いました…」


ディン

「いいよ別に。なんとも思ってないし」


ハルジオン

「……でも…ジーク様は…きっと誰よりも辛かったに決まってます…」


ディン

「そう。じゃあ、すごい執着だね」


ハルジオン

「執着…?」


ルーク

「すごくこの場所が好きなんだよきっと」


ハルジオン

「………。」



ハルジオンが写真を見つめる。

すると、ヘスティアとジークが部屋から出てきた。



ルーク

「!ヘス!ジーク!お話終わった?」


ヘスティア

「はい。少しジークと一緒に行動しようかと」


ディン

「ありえない!姉さんどうしちゃったの。珍しいじゃん」


ヘスティア

「ロアがソフィア側にいますから。少し探検に」


ディン

「えぇ…」


ヘスティア

「すごい嫌そうですね」


ディン

「帰りてぇ…」


ヘスティア

「ディンだけ帰ればいいじゃないですか。わたくしはルークと仲良くお城を探検するので」


ルーク

「探検!」


ディン

「ルーくん!わくわくしないの!それに内側から簡単に帰れないでしょ多分。それにルーくんと離れ離れなんて無理だよ!姉さんならわかるでしょ!」


ヘスティア

「ロアが確実に守るので。わたくしは大丈夫です。心配事ないんで」


ディン

「無敵状態なわけか…そりゃノリノリになるわな…」



ヘスティアとハルジオンがニヤニヤしながらディンを見た。



ディン

「こっち見んな…特にハーレーくん」


ハルジオン

「ハルジオンですけどっ」


ジーク

「ハルジオン」


ハルジオン

「っ!はい…!」


ジーク

「少し留守にするから、留守番を頼む」


ハルジオン

「……あの、ジーク様。ヘスティアさんと何を…?」


ジーク

「…ハルジオンは知らなくていい。心配しなくていい。大丈夫だ。すぐに戻るから」


ハルジオン

「……隠し事は嫌です…!」


ジーク

「え?」


ハルジオン

「僕もジーク様の力になりたいんです!今までこんな…お客様が来ても別室に行くなんてしなかったじゃないですか!」


ジーク

「そ…それはそうだが…」


ハルジオン

「どうしても…だめですか…?危ない事ですか?だたお城の探検に行くとは思えません…」


ジーク

「………。」



少し気まずい沈黙が続いたその時だった。


バァン!



プロジオン

「師匠!このあたり…に…。え?」



全員プロジオンの方向を見た。

 


ルーク

「あ!プロジオン!!」


ジーク

「プロジオン」


ハルジオン

「プロジオン様!?」


プロジオン

「あれ…?皆さん昨日の…?あ…!金髪の…昨日は大変失礼致しました…」



プロジオンがディンに頭を下げた。



ハルジオン

「何かしたんですか?」


プロジオン

「え?あぁ…俺が金髪だから母上と見間違えてしまって…その挙げ句女性と勘違いして怒らせてしまって…」


ハルジオン

「また間違えたんですか…」


プロジオン

「あはは…面目ない…」


ディン

「なに?常習犯なの?」


ハルジオン

「僕も女の子に間違われたことあるので…」


プロジオン

「本当にすみません…。ですが、なぜ師匠たちと皆さんがこんなところに…?」


ルーク

「君のこと待ってたんだ!」


プロジオン

「?私ですか?」


ルーク

「これ!」



ルークがそっとペンダントを差し出した。



プロジオン

「っ!!これ…!どこに…!?」


ルーク

「君が走って行った後に落としてて…大事なものだと思って直接渡したかったんだ」


プロジオン

「あぁっ…!ありがとうございます…!本当にありがとうございます…!ずっと探してて…あぁよかった…」


ジーク

「………。」


プロジオン

「本当に感謝します。なんて優しい人なんだ…」


ルーク

「?受け取らないの?」



ルークがペンダントを差し出しているのに全然受け取らないプロジオン。

 


プロジオン

「あ…えっと…お手数ですが、そこに置いていただいても…?」


ルーク

「え?うん…」



ルークが近くのテーブルに置くとようやく手に取った。



プロジオン

「金具が……それで落ちてしまったんですね…」


ハルジオン

「よかったですね!プロジオン様!」


プロジオン

「うん…!」


ルーク

「大事なものなんだね」


プロジオン

「両親からの頂き物です」


ディン

「(形見ねぇ…ボクと母親を間違えて声をかけてきたけど…まだ生きてると思ってるってこと…?そんな年齢でもないだろうに…)」


ヘスティア

「……ルークはどうしますか?行く口実がなくなってしまいましたが」


ルーク

「?一緒に行くよ。力になれると思うんだ」


ジーク

「(力になれる…?話を聞いていたのか…?)」


ディン

「ルーくん。落とし物届けたんだよ?」


ルーク

「うん。でも困ってるんじゃないかな?ディンも言ってたけど、簡単にここから出られないかもだし」


プロジオン

「?なんのお話でしょうか?」


ハルジオン

「……プ…プロジオン様!聞いてください!ジーク様が隠し事するんです!何も教えてくれないんです…!」


プロジオン

「え?」


ジーク

「ハルジオン…!」



ジークが慌ててハルジオンを止めようとするが…



ハルジオン

「皆さんと内緒話してるんです…!」


プロジオン

「師匠が…?珍しいですねそんなことするなんて」


ディン

「顔隠してる時点で隠し事の塊みたいなもんじゃん」


ルーク

「ディン」



ルークがディンの脇を突いた。



ヘスティア

「大したことではありませんよ。少し城の構造を見せていただこうかと」


ジーク

「…そう。案内するだけだ」


ハルジオン

「嘘です!ずっと話してたじゃないですか!」


ジーク

「いつもは聞き分けがいいのにどうしたんだ…」


ハルジオン

「は…反抗期です!」


ジーク

「っ…!反抗期…!」


ヘスティア

「なんで嬉しそうなんですか…」


ジーク

「と…とにかくお留守番していなさい」


ハルジオン

「……い…いやです!僕もいきます!何もなかったらちゃんと帰りますから!」


ディン

「大人しく留守番してなよ。子供なんだから」


ハルジオン

「ディンさんだって子供じゃないですか。ちょっとませてますけど」


ディン

「は?ボク大人だけど」


ハルジオン

「どこがですか!」


ディン

「18だけど??」


ハルジオン

「うわ!嘘です!絶対嘘です!!プロジオン様と同い年に見えないです!」


ディン

「プロジオンが老けてるんだよ!」


プロジオン

「え?俺…?」


ハルジオン

「プロジオン様は普通です!」



なぜかディンとハルジオンの口喧嘩が勃発。

しばらく言い合いが続きそうだ。

ルーク、ヘスティア、ジーク、プロジオンは少し呆れながら口喧嘩を聞いていた。



プロジオン

「師匠。ハルジオンにもお友達ができたんですね」


ジーク

「あぁ…よかったな…」


ヘスティア

「どこをどう見たらそう解釈できるんですかね。理解に苦しみます」


ルーク

「ぼくも仲良いと思うけどな」


ディン・ハルジオン

「仲良くない!」


ルーク

「ほら。息ぴったり」


ジーク

「2人ともわかったから落ち着きなさい」


ハルジオン

「ついて行っていいんですか!?」


ジーク

「………。」


プロジオン

「……師匠。少し話しませんか?」


ジーク

「?話?」


プロジオン

「内緒話みたいになってしまいますが。できるだけ2人が納得できる方法を探したいのです」


ハルジオン

「プロジオン様ぁ…!」


ジーク

「………わかった」



プロジオンとジークが別室へ移動した。



ルーク

「ハルジオンの気持ち伝わってると思うよ」


ハルジオン

「……だと…いいんですけど…」


ディン

「絶対足手纏いだと思うけど」



ディンがヘスティアに耳打ちした。



ヘスティア

「ジークがなんと言うかですね。わたくしからは何も言いません」


ディン

「え?なんて?」


ヘスティア

「……なんでもないです」


ディン

「ごめん聞き取れなくて」


ヘスティア

「いいですよ。大した事じゃないので」



しばらくすると2人が出て来た。

どうやら覚悟が決まった顔だ。



ジーク

「ハルジオン…」



ジークがハルジオンに声をかけた。

ハルジオンも真剣な眼差しで返した。

ジークの答えはどうなったのだろうか。




『アルスダリアの祈り』第34話を最後まで読んでいただきましてありがとうございます。


ルークくん、プロジオン王子と会えて良かったですね!

ハルジオンくん反抗期が来たんですね…笑

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