35 白いローブの子供たちに突き飛ばされているの見かける
2か月後
本を手に散歩に出かけ、たまには街外れで読書をした。
その帰り道、プラチナが白いローブの子供たちに突き飛ばされているの見かける
性格の悪そうな子供だ
この!魔王め!
また別の子供が石を投げながら言った
お前なんか魔王だ!
4、5人のグループだ。
プラチナはオドオドと泣きそうになっている。
俺には関係ない。
それから数時間後、プラチナが傷だらけで帰ってきた。
ピュエロスがケガをしたプラチナの治療をしていたり
ピュエロスが手紙を受け取り寺院に呼び出されたり
そういう場面を何度も目にする
そういえばピュエロスは俺のプラチナに対する暴言をすべてフォローしているようだ。
ま、すべてどうでもいいことだ。
頬杖を着きながら本に視線をもどす。
そんな日々を続けていくうちにプラチナは菓子を作り始めた
ピュエロスがエプロンと手袋片手に言った
プラチナ上手に焼けたね!
うん!
ピュエロスは言った
マスターどう?上手に焼けたでしょ?
菓子の貼り付いた鉄板をこちらに見せつけてくる
ピュエロスはプラチナに聞こえないよう小さな声でこっそりと言った
あの子これでお友達と仲直りするそうですよ。
そう言ってピュエロスがニッコリと笑う
ああ、いいんじゃないか。
適当にほめておいた
あるときプラチナは剣の振り方を学びたいとピュエロスにせがんだ。
友達に教えてやりたいのだそうだ
俺もピュエロスに付き添い町外れの岩場まで来る。
ピュエロスに剣術をつけてもらっているようだが。
どんくさいやつだ。
剣の才能などありはしない。
それからもプラチナは自主的な勉強を重ね、魔力をコントロールし、聖術も加減できるよう努力していた。
なんでも寺院のいじめっ子とうまく付き合えるように訓練しているそうだ。
夜が来て、寝る準備をしているとピュエロスは言った
あの子、大丈夫かしらまたケガしてた。
ああ、
マスター、万が一、私に何かあったらあの子を頼みますよ?
ああ
もう!頼みましたからね!聞いてるんですか!
ああ、わかったよ
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それからまた5月か過ぎた頃
悪夢で目が覚めると朝だった。
マスター、では行ってきますね?
ガチャ
扉が開かれちょうどピュエロスが冒険者の仕事に出掛けた。
朝食を済ませ、本屋に向かう
店主が言った
お前にはもう本を売らないからな!
外道魔法で脅しつけた末に金を投げつけ本を奪い取り帰路につく。
これは強盗に含まれるのだろうか?
もし衛兵が来ても返り討ちにすればいいか。
その道中、街中が騒がしい。
誰かが叫んだ
大変だ!緑の弓矢が・・・!
何のことはない。さる冒険者グループが依頼に失敗し死体になって街まで運ばれてきた
この世界ではたまに見るありふれた景色だ。
本を手に帰宅しひたすら読みふけった。
いつものように日々が流れると思っていたらその日、ピュエロスが帰ってこなかった。
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ギルドの応接室にてギルドマスターは言った
大変申し和上げにくいのですが奥様はデュシス王国に囚われました。
デュシスだと!
思わず声を荒げて叫ぶ
水の入ったコップが机から転がって行った
おっ、落ち着いてください!こちらでもいま対策を
ふざけるな!敵国だぞ!
我々としましても現状手の出しようが!
任せていられるか!
お、お待ちください!
俺は勢いよくギルドを出るとサイフォスのアジトに向かった
昔の本屋は焼き払われ、新設したこの本屋がアジトへとつながっている。
店主の横を素通りし隠し部屋の入口から入る
奥へと進むと門番には知らない顔の戦士がいた
身分証の確認を
素通りしようとすると手で胸を軽く押された
おい、なんだ!ここは部外者の来るところじゃ!
新人か?マルベリーを出せ!
そこで止まれ!そう言って剣を抜いて来たので容赦なく手で叩き折る
いまの俺をイラつかせるなよぉ!
戦士は死神にでも睨まれたかのように尻餅をついてふにゃふにゃとヘタリこんでしまう
アジトに入った
大勢の戦士たちが訓練をしている。
通路でおしゃべりをしていた戦士がこちらを見て唖然とする
左側にいた戦士は小声でつぶやく
戻ったのか?
右側の戦士は俺を見て息を呑んだ
すごい。英雄ゼロスだ。
目の前に知らない顔の二人の戦士が現れる。
ゼロス様!あなたはもうここの人間ではないはずです!
マルベリーに用事だ。
だ、ダメです!いくらあなたでも!
なに?
苛立ち、にらみつけると
顔を真っ青にして剣に手をかける
ふん、ここはもともと俺の財力で再建した場所のはずだがなぁ?わからないか?あぁ、そうそう暴力に訴えてもダメだ。抜けば俺も抵抗しないとな。2週間もベッド生活は嫌だろう?
そう言って脅しをかけると後ずさる。
もはや魔王と戦い勝利した話は半ば伝説と化している。そんな俺を怒らせたくないのは誰もが同じだ。だが、周囲の目がすべて俺を見ていた。
いつでも戦えるとでも言いたげだ
当然か、死をも恐れぬよう俺とマルベリーで考えた教育をもとに仕込まれているのだから。
あの戦いを生き残った者もいるが多くは新人戦士ばかり、知識としては知っていても実力差がわからず単に使命感から俺と戦おうとしている。
愚かな。
力を見せつけて不遜な自信をへし折ってやろうとすると
おい!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!
俺を知る顔なじみの戦士が新人たちをかきわけて目の前に現れる。
すいません!すいません!戦士長ゼロス!こちらです!おい、道を開けろ!ほら、どけ!どけ!どけえ!お前らも戦士長の強さがわからない立場じゃないだろ!なんで止めないんだよ!
しかし!
しかしも何もないんだよ!馬鹿が!
どうやら話のわかるやつが現れた。
人垣が左右に引くように俺はまっすぐ道を歩いていく
そしてひときわ豪華な扉の前に来た。
扉を開くとマルベリーが剣を振るっていた
はあ!はあ!
マルベリー。
声をかけるとこちらを振り向く。
ゼロス!
ピュエロスがさらわれた。力を借りたい。
俺は事情を説明するとすぐにマルベリーと共にデュシスに向かった
サイフォス在任時、異世界の勢力に侵略され乗っ取られた国がある。
それがデュシス王国だ。
この世界を侵略に来た敵でありながら、この世界の冒険者と交流がある。矛盾に満ちた国。
愚かな冒険者たちに巻き込まれピュエロスは逮捕されてしまったのだろう。




