25~3 職業魔法の世界シックスウィーザード2
天使を倒してから俺たちは急いで旅支度をしてより医療施設の整っている大きな街、西の果てバルバルに到着した。
ガーネットを一刻も早く医者に見せなければならなかった。
なんだあれは・・・。
ピュエロスがとらえられているといわれたバルバル城はすでに砕け散って滅びていた
ルースが言った
マスター!先に行きます!
ピュエロスを助けに来た事情を知っているからかルース達は俺の気持ちを察して俺ひとりを残し病院に向かった。
唖然としながらひとり城跡地に向かう
老兵が一人座っていた。
あの、ここにいた捕虜は
ん?お前さん知り合いでもいたのか?
そうだ。
数日前、謎の化け物たちの襲撃を受けてね。
兵士たちは俺を残して全滅さ
捕虜、と言ってもここに来たのはティーモスに誘拐された無実のものばかり、切り捨てるほうが都合がよかったのかもしれんな。
そんな・・・それならいままでの旅はいったい・・・。
徒労感に襲われる。
ピュエロスが死んだ・・・嘘だろ・・・。
俺は呆然としたままその場に座り込んだ。
数時間後、老兵がいなくなるとひとりトボトボと病院に向かう。
地面を見ながら歩き続け顔をあげる。するといつの間にか病院のそばまで来ていた。
病室に入ると
マスター!
エルマーが声をかけてくる
ベッドの上、ガーネットは顔を包帯でぐるぐる巻きにして寝ていた。
それから数日後
一応の治療が済み包帯を取るも、傷が癒えたと言うにはあまりに酷いありさまだった。
その顔はコウモリの毒の傷だけでなく無事だった方の顔も焼けただれていた
俺は見ていられなくなって目を背けようとしてそれはいけない気がして背けることをやめた。
エルマーも似たような心境だったのだろう。席を外している。
ダンテ達も美しかったガーネットの惨状を目にして悔しそうな顔をしていた
ルースが呼びかける
ガーネット・・・。
ルース。
ガーネットは震えながら自分の顔をそっと触ると
ああ、ああ・・・ああああああ!
悲鳴にも似た声を漏らす
ルースはガーネットを落ち着かせるように言った
ガーネット、大丈夫。
私の顔・・・どうなったの・・・。
大丈夫だから
ルースは悔しさと悲しさに打ち震え必死にガーネットをなだめすかす
ルース・・・私を・・・抱きしめて・・・。
ガーネット!愛してる!約束する!必ず幸せにしてやる!
ルースはガーネットを力強く抱きしめ決意するのだった。
しかし、信じられないことにそれからすぐルースは現れなくなった
ガーネットを愛すると誓った言葉はルースの精一杯の強がりだったのだ。
それどころかエルマーもルースほどではないにしろ来なくなった。
ガーネットだけではない。
俺自身信じられない気持ちになる。
ただでさえピュエロスが死んで精神的に追い詰められているときに、ほとんど同じ時期にルースの過去を見せられルースが命をかけて誰かのために戦う姿を見て同情した。
その同情した気持ちの分だけ激しく失望してしまっていた。
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ルースが来なくなって俺は代わりにガーネットのそばにいることにした。
ピュエロスのことで悲しんでいるわけにはいかない。
悲しい気持ちを押し殺して、目の前の弟子を支えなければならなかった。
ダンテは言った
ゼロス殿、何か手伝えることがあれば言ってくれ。俺たちは宿にいる。
ああ、すまないな。
ダンテ達が果物を持ってきてくれた。そして見舞いから帰っていく。
夜、病院で寝ていると
きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
悲鳴があがる
ガーネットの叫び声だ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!ルース!ルース!
どうした!ガーネット!
俺は大慌てで部屋に飛び込む
怖い・・・怖いの・・・。コウモリが怖いのおおおおお!ルース!ルース!
コウモリ?
コウモリはどこにもいない。それどころか気配すら感じない。
ただ窓から見える月明りと枯れ枝がコウモリに影に見えなくもない。その程度のものだ。
ともかく俺はルースの代わりに半狂乱になったガーネットを力任せに抱きしめて言った
大丈夫!大丈夫だ!静かに・・・心を静めて・・・深呼吸するんだ・・・。
うう・・・うう・・・マスター・・・助けてええ・・・。
肩を上下させるガーネットをなだめすかし眠りにつくまで待つ。
俺は窓の外の月を見て思った。
・・・マスターアカーテス・・・俺は一体・・・どうすればいいんだ・・・。
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朝、俺はルースの泊っている宿屋の前に来た。
ルース!
相当強い剣幕で宿屋に怒鳴り込む。
ちょ、ちょっと!お客さん!何なんだい!
一言、言ってやらなければ気が済まない。
何事かと止めようとする店主を無視しドスドスと二階の階段を登っていく。
二階の部屋の扉を片っ端から蹴り破り
1、2、3枚目の扉を蹴破ったとき
ベッドの上で女と全裸でからみ合うルースを見つけた。
その瞬間俺は我を失った。
ちょっとこおおおおおおおおおい!
きゃああああああああああああああ!
絶叫する女と
わ、わ、や、やめてください!マスター!
抵抗するルースの髪をわしづかみにして外に引きずり出す。
死ぬほど殴り飛ばした。
この!馬鹿があああ!
ぶえええええええええええ!
おい!止めろ!
ダンテ達が宿から出て来ると俺の手足を羽交い絞めにする
離せええええええええええ!
力任せにダンテ達を投げ飛ばすと3人の巨体がいともたやすく宙を舞った
ルースの胸倉をつかみあげ立ち上がらせる
お前はガーネットを見捨てて!女と!遊びやがってえええ!
何度も殴りつけた
ごほ!ばえ!ぐえ!ごおお!ぐあ!ねえ!えあ!ふえ!あえ!ぎい!
お前のせいでガーネットがケガをしたようなものだ!この!クズめえええ!
ルースは全身あざだらけで鼻から大量の血を流した。
首をしならせ顔を前後に揺らすと何とか言葉を発する
マ、マスター!ぶえ!やめ、やめてください!ごえ!やめてください!あぶえ!お願いですから・・・やめてください!ぎえ!・・・やめろって!んだよおお!
ドン!
ルースに突き飛ばされそうになったので逆に突き飛ばす。
まさか反撃してくるとは思わなかったのであっけにとられて面くらった。
いつの間にか周囲には大勢の人々が集まり俺たちのやり取りを見ていた
周囲の人々が奇異の視線を送る中
尻もちをつくルースを見下ろした。
何考えてる!ガーネットはお前を待ってるんだぞ!
ああああああああああ!もう!うる!うるせええなあああ!あいつとはもう終わったんだよ!いくらマスターだからって男と女の色恋にまで口出すんじゃねえよ!
な、なんだとおおおおおおおおおおお!
恐怖に身構えるルースは怯えながら言った
そうやって暴力に訴えかける!あんたそれでもマスターかよ!
こざかしいことを!言うな!
・・・ガーネットのこと好きだったはずなのに・・・世界一幸せにしてやるって思ってたのに・・・あの顔を見るの苦痛で・・・人と話している気がしなくて・・・あんな化け物みたいな・・・。
だからガーネットを避けたのか!
そうだよ!文句あるかよ!そういう苦労あんたならわかるってのかよ!耐えられるわけねえよ!経験してないやつに何がわかる!知ったような口叩いてんじゃねえ!ふざけんなあああああああああ!
息を荒げるルース
ルースの絶望は理解はできる。だがガーネットはもっと苦しんでいるんだ。
憔悴したルースに対して言いようもない怒りが沸き上がる
なぜならルースの言い分はガーネットの見た目が損なわれているから愛せなくなった。そう言っているからだ。
言いたいことはわかる。人間見た目は大事、そういうことだ。だがどうにもそれを受け入れられる素養を俺は持ち合わせていないようだ。
お前・・・。
俺は冷静なのか?この気持ちは哀れみか、憎しみか、あるいは愛情なのか、それともすべてか、何かを言いかけて口を閉じる。
最低だな?
お前に人の心はないのか?
クズめ!
死ねよ!
なんでもいいが言葉を呑み込むとはこういうことを言うのだろう。
安い人間的倫理観を持ち出してきつく罵ったところで何になるのか。
これ以上ルースを責め、追い詰めてもより絶望させるだけだ。
二人のためを思うならルースが立ち直ってガーネットのもとに戻ってくれるわずかな可能性にかけるしかない。
またそれを待つこともマスターの務めではないのか・・・。
・・・無様な。
ありあまる激情を捨て台詞に込め自分を律すると、俺はその場を後にした。
ほら、ルース大丈夫か。
ダンテが倒れたルースに手を貸して立たせてやっていた。
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夜、エルマーはルースの部屋の前で2時間近く立ち往生し、そわそわとしていた。
昼間の騒ぎとルースの落ち込んだ姿を見てやきもきしていからだ。
ダンテ達からも元気付けてやってほしいと言われているが。言われるまでもない。
元気づけるために最近では何度も弁当を差し入れて二人で食べることも多くなっている。
きっかけは些細な事でも昼食をこまめに作りルースを支えていた
エルマーは気が付かない間にルースに対して盲目的な愛情を捧げるようになっていた。
それは美しい慈愛の心から来るものだった。
よし、今日こそは・・・。
胸に秘めた思いを決意に変え、いざ扉をノックする
コンコン
ルースいる?ルース?
返事はない。けれど密かな恋心を抱く愛しの彼、その彼が扉に入って行くところを目にはしていた。
入るよ?
一言断りを入れ部屋に入るとベッドの上でルースはひとり泣いていた。
ボロボロになったルースはまるで自分なくしては生きていけない寂しがりの少年のように見えた。
あの愛に植えた少年を自分の愛でくるんであげたい。
乾いた枯れ枝のような彼の心に水を注ぎ、うるおし、かいがいしく世話をして、可愛がってあげたい。
エルマーはたまらなくなった。
ああ、ルース。可哀そうなルース、ガーネットのためを思ってあなたはこんなにも心を砕いているのに。
え、エルマー・・・?
エルマーはルースの隣に座ると優しく髪を撫でた。
胸元のボタンをほどき胸の谷間を解放していく。高級香水のいい香りが漂い出す。
私でよければあなたの欲望を受け止めてあげる。全部吐き出していいんだよ?すっきりしよ?
そう言ってルースの頭を両手で優しく包み込むと胸に鼻を押し付け
ねえ、しよ。
誘惑する
エルマー!
きゃ!
ルースはエルマーをベッドに押し倒すと服を引き裂く
あ、ちょと!ルース!落ち着いて!くすぐったい!あはは!
うああああああああああああああああああああん!うあああああああああああああああああああああああん!
ルースは泣き叫びながらすべてを吐き出した。エルマーの優しく包み込むような愛情は金で体を買った女よりもはるかにルースの心に食い込んだ。
ガーネットへの想い、悲しみ、絶望、罪悪感、強がっていても添い遂げると決め愛した女をあっさりと見捨ててしまう自分の打算的かつ不甲斐なさも、醜い気持ちをすべてエルマーの体に叩き込んだ。
男と女が生まれたままの姿になると肉が生まれるものだ。
人はそれを子供と呼び希望のように称えたがる。
ことが終わり布団の中でエルマーはルースの頭を優しくなでながら言った
泣き虫さん、でもいい子ね。いい子、大丈夫・・・安心して・・・全部受け止めてあげるから・・・私がルースを守ってあげる。
そうして夜がふけた。
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ルースがガーネットのもとに来なくなって数週間が立った。
俺はルースに代わりガーネットの世話をする。
これ以上、このことについてルースを問い詰める気はない。あいつも苦しいのだろう。
ガーネットいい天気だ。ほら、外の日差しがこんなにも降り注いでる。
今日は青い鳥が飛んでいる。3羽か・・・仲がよさそうだ。
いつものようにガーネットの部屋を掃除し終え、昼飯を作りに部屋を出ようとするとガーネットが言った
マスター・・・。ルースはどうして来ないんですか?
もっとも聞かれたくないことを聞かれた
彼女も信じたくはあるが、こう月日が経つと確信めいたものを抱かずに負えないのだろう。
ルースはガーネットを見捨てた。それを判断するには十分な時間と期間だ。
たとえ俺自身ルースが戻って来る可能性を信じたくても、ガーネットがどう思うかはまた別の話だ。
だが、とてもじゃないがガーネットに向かってあいつはお前を見捨てたから来ないんだ。などとは言えなかった。
体調が悪いんだ。あいつ、お前のこと気に病んでて・・・最近、風邪が酷いんだよ。
そう・・・ですか・・・でも・・・それ嘘ですよね?
そ!そんなことは・・・ない・・・。
ありますよね?
執拗な追求。ガーネットそれ以上踏み込んで来るな。知ったところでお前が絶望するだけだ。
そんな師の気持ちなど知らずあるいは知ったうえでガーネットは淡々と言った
・・・。
どうして黙るんですか?
・・・ガーネット。
いいんです。本当のことですから。
私、顔が焼けたときもうダメだって思いました。女としての私は終わったんだって、でもルースがいてくれた。それでもいいって言ってくれた。だから・・・生きていられた・・・。
私の心が好きなんだって言ってくれた。でも彼・・・顔半分は大丈夫でも顔全部はダメだったみたいですね・・・。
うう・・・うう・・・。
シクシクと泣き出してしまうガーネット、焼けた涙腺から涙が出ることはなく。泣くことすらできないのに肩を上下させ悲しんでいた。
俺は・・・彼女を抱きしめて支えてやらなければというあまりに軽率な同情心を抱き、師弟以上の愛情を持てない。恋愛感情を持てないガーネットに同情心から間に合わせの愛を与えたからどうなると言うのか。
そして何よりオッぺリアのことを思うと彼女よりもオッぺリアを選んた。
ガーネットはそれから部屋のカギを閉め引きこもり、マスターである俺の出入りすら許さなくなった。
鍵付きの部屋からは夜な夜な彼女のすすり泣く声が聞こえてきて俺は耐えられなくなった。
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ルースもエルマーもガーネットも誰も来なくなった朝の修行を一人で続ける。
いまや俺のステータスも極まった。
ステータス
Lv594
HP1265
MP1265
力1265
防御1265
すばやさ1265
賢さ1265
スキル
呪怨喚起悪魔憑依魔術Lv99
黒魔法Lv99
影魔法Lv99
陰魔法Lv99
外道魔法Lv99
鬼畜魔法Lv99
熟練度9999999
装備
・スキアー・スパティ・ラヴディ「賢さ+255、二刀流「攻撃する回数×2倍攻撃できる」、悪魔憑依×3」
・サイバネティクス・ケイリス「賢さ+255、陰魔法を発生させ、通常の魔法発生器の100倍の性能を誇りる恐るべき機械手袋」
・魔力臓器「賢さ+255、外道魔法を発生させ、魔力臓器を5つ移植したことで1つの魔力を発動させれば同時に5つの魔力を上乗せさせられる五重魔力を発現させる恐るべき魔力臓器」
・暗黒の鎧・スコティノース・パノプリア「賢さ+255、聖堂側の勢力に伝わる世界の一端の一つとされる職業魔法の聖典パリンプセストの書に隠された第7の職業魔法、鬼畜魔法を発動させる恐るべき職業だ」
・スピードリング「瞬間二撃」
・スターリング「2回攻撃」
・星くずリング「4回攻撃」
・先代勇者のピアス地「会心率+100%」
・先代勇者のピアス天「1秒毎に1%魔力回復」
・スピード・ベルト「3回攻撃」
・マジカル・クラウン「ステータス異常無効」
・ライフ・オブ・マジック・オブ・パワー・オブ・ガード・オブ・クイック・オブ・ワイズ・キーホルダー「力、防御、賢さ、素早さを2倍にする」
特技
・超上級技術、乱れうち「4連撃」
・ダブルマジック「二連魔術」
・連続魔法「4回魔法撃」
・分身撃「同時二撃」瞬間的に手を4つに増やし攻撃回数を倍化させる」
・強化戦士手術被験者「2回行動」
・黄金オーラ「技が金色に光る。伝説の力を思わせる華麗な輝きで敵の戦意をそぎ、力、防御、賢さ、素早さを敵ステータス×-2倍「ステータス半分」にする」
その他
・ドラゴン・キラー・キラー「力+180、ドラゴン殺しの剣を斬り裂いたドラゴン殺しの剣」
・ドリーム・キャッチャー「一度だけ特大魔法を放てる不思議な魔法陣型アクセサリー中身はカラ」
熟練度999999から9999999に上昇し魔法の威力2倍化した。
長旅で手にした秘宝ライフ・オブ・マジック・オブ・パワー・オブ・ガード・オブ・クイック・オブ・ワイズ・キーホルダーを腰に下げ、全ステータスが2倍化した。
そのとき、遠くの空に大きな聖法陣が浮かび上がるのが見えた。
何だあれは!
デュシス王国の方角だ。
マスター!
エルマーに手を引かれルースが走って来る。
俺はルースと目が合うと
ルースは気まずそうに目をそらした。
無理もないか。
エルマーが言った
ダンテさんたちは先にデュシスに向かったみたいです。
わかった。ガーネットは置いていく。俺たちも行くぞ!
俺たちはそれ以上言葉を交わさずデュシス王国を目指して移動を開始した。
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デュシスに到着すると街を覆いつくさんばかりの巨大な聖法陣が空に描かれていた。
黄金に輝く聖法陣は神聖な光に見えるが、その周囲を邪悪な天使たちがただよっていた
不気味だ。
行くぞ!王城目指して駆けだす
すでに街中は大勢の人間が怪物たちに襲われていた。
ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
怪物たちが咆哮するも
はあ!
すれ違いに切り捨て人を救助していく
広場まで来るとバリケードが高く積み上げられていた
道がふさがれている
そして目の前に現れた異形の魔物たち。ベロの中にベロがある。歯がない。真っ赤な目、セミに似たバッタに似た魚、なのに尾ひれのある下半身、そんな体を持ちながら走るよりも速く平然と移動している。
ほかにもさまざまな異形たちが押し寄せる。
既存の魔物ではない。デス・ムント・デスの眷属たち!
ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
奇怪な鳴き声をあげ、押し寄せるデス・ムント・デスの眷属たちを見て気が付く
水の都カラボキで見た檻の中にいた異形の魔物たちと同じ個体だ。
あれはこのために用意されたもの?ではこの魔物たちは天使たちが用意したのか!
わあああああああああああああああ!
戦っているのは大勢のティーモスの信徒たち
それにゴブリン
カバの魔物
オーガにオークにリザードマン、羽根ヘビィーボウガンとガトリングボア、パッ見ただけで100種近くの魔物たちだ。
どれも通常の土地に群生する魔物たちだった。
3つの勢力が衝突している。
デス・ムント・デスの眷属を倒しに来た魔物たちは人間と協力しようとしたが
邪悪な魔物どもめええええええええええ!
もともと洗脳を受け錯乱しているティーモスの信徒たちはまともに取り合おうとはせず
魔物たちも邪魔をするなら人間も敵だとなり
3つの勢力で争っていた
人間の勢力がバリケードを背に戦い、眷属の大群の進行を防ごうと躍起になっている
しかし、眷属たちがものすごい数で押し寄せると周囲を覆うバリケードにしなだれかかった。
まるで一個の生物のように重量が壁に加算されていく
誰かが叫んだ
バリケードが崩れるぞおおおおおおおおおおお!
ドガ!ガラガラガラガラガラガラガラガラ!
バリケードの山に大穴が空くとそこから眷属たちが雪崩込む
きゃああああああああああああああああああああああああ!
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
そこには非難しきれなかった民衆がひしめき合っていた。
恐怖のあまり絶叫する民衆たち。
はあ!
突如、空から雄たけびをあげフルメイルの屈強な戦士が舞い降りた。
自身の何倍もの体躯を持つ眷属の一体を真っ二つに両断して見せ。
青いからあげに似た臓物が路面にぶちまけられる。
ダンテだ!
王国騎士長たちが空から勢いよく着地すると豪快に剣を振るい眷属たちをなぎ倒していく
でや!
ダンテの背後に着地したギエーリ、彼も顔まで鉄仮面をかぶったフルメイルだ。
左上から殴り上げるように斬り裂き、眷属の頭が木っ端微塵に吹き飛ぶ
やえええー!
さらにギエーリの隣に着地したアリが勢いよく飛び上がると目の前の眷属に馬乗りになり、抵抗する眷属の両眼玉目掛け右から剣を突き刺す。
ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
絶叫する眷属
ズドーン!
巨体が横わたるとアリはくるくると回転して着地して見せた。
民衆たちが叫んだ
王国騎士長たちだ!助かる。俺たち助かるんだ!やったああああああああああ!
大歓声が巻き起こる。
英雄たちがいれば俺たちは助かるんだ!と誰も希望に浮足立った
だがダンテ達は上空を見上げつぶやいた
おのれ・・・天使め!
背から後光を指し天使たちが空に姿を現す。
見ようによっては救いの光のような姿に誰もが騙されてしまう。
それも教義の上に天使たちの存在があるのだからティーモスを信仰する洗脳下にあってはなおさらだ。
誰もが天使を見上げその奇跡の存在に膝ざまづいた。
天使は高らかに宣言する
聞け!人間たち!お前たちの国王にこの奇跡の聖法陣を授けた!
誰かが狂ったように言った。
両目を大きく見開き相当興奮している。とても正気の顔ではない。
おお!やはりあの聖法は天使様たちの御業だったか!
そう言って頭の腕大きく拍手を始める。パチパチパチパチパチ!
すばらしい!すばらしすぎる!いやーすばらしい!パチパチパチパチパチ!
最高だわ!パチパチパチパチパチ!
これで救われるわ!パチパチパチパチパチ!
誰も彼もが感動の涙を流す。
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天使はさらに宣言する
だが、いまだ術は未完成!お前たちの清い心をあの術に預けてほしい!さすれば奇跡がこの極難を退けようぞ!
「「わあああああああああああああああああああああああああああああ!」」
大歓声が巻き起こる。
天使たちはすぐに姿を消してしまった。
ダンテ!
俺たちはダンテたちに合流する
ゼロス殿!
どうなっている!
わかりませんが、いまは一刻も早く、国王様のもとへ向かいましょう!それにあの陣は何かがおかしい!
わかった!
俺たちは王城を目指して駆けだした。
行く手には無数のデス・ムント・デスの眷属たちが待ち受け、襲い掛かって来る
ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!眷属が鳴き声をあげる
はあ!
目の前の鋭利な尻尾を転がり避け走り抜けると次の眷属が目の前に飛来してきた。
ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
はあ!
双剣杖で真っ二つに両断して走り抜けジャンプ、背後から迫る別の個体を捕らえる
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させ。
暗黒の鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法・ドラゴ・イノプネヴマ!
突如空中に現れたのは巨大な漆黒鎧、手に巨大な酒瓶を腕握りしめそれを一気に振り下ろした。
ガシャーン!
大量のガラスと共に眷属の脳みそが飛び散っていく
こいつら!俺たちを王城に近づけない気か!
また眷属の大群が押し寄せて来る
ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
ダンテが言った
ゼロス殿!ここは我らにお任せください!あなたは国王様を!
わかった!死ぬなよ!
ダンテが言った
我ら王国三大騎士長!
ギエーリが言った
死ぬときは母国のために!
アリが言った
ここは倒さん!
頼もしい仲間たちに任せ俺たちは先を急ぐ。
城の中に入るとすでに激しい戦闘が繰り広げられていた。
白の使徒たちだ。
巨大な建物の中で天使たちと戦闘を繰り広げている。
白の使徒が放った7つの氷のつぶてが光の波動で爆散していく。
侵入者だ!
大勢の兵士たちが現れたティーモスの信徒たちだろう。
説得して聞き入れてくれる相手ではない。
はあ!
俺は双剣杖を振るい
やあ!やあ!やあ!
ルースもスパナを振るい信徒たちを撲殺していく
えい!
エルマーが愛で殴った
信徒たちをあらかた掃除し終わると
背後に気配を感じ取る
ルース!後ろだ!
目を真っ赤に光らせて血にまみれた天使が滑空して来る
うわあああああああああ!
ルース!
すかさず天使を両断
天使の死体が無残に飛び散った
大丈夫か!
マスター。
ルースと目が合う、ルースは気まずそうに俺から顔をそらした
俺はひとまず深呼吸すると、
いまはお互いのわだかまりを忘れ共に戦おう!
そう呼びかけた。
・・・わかりました!
ルースはためらいながらも承諾してくれる
俺たちは改めて戦いに挑む。
先に進むと調理場にたどり着いた
普段なら一流のコックが王族のために技を振るう場所は砕け散り、血が飛び散り、壊れた器具で満たされていた。
ドン!ドン!ドン!
冷蔵庫の中に何かが何度もぶつかる音が響く
勢いよく開けると氷漬けの天使が転がり出てくる
マイナス何百度の冷蔵庫なのかは知らないがすでに手足が砕け散るほどに氷つき死にかけている。
普段は魔力を増幅する装置を使い冷蔵庫の冷凍温度を管理しているのだが。
天使は手足と羽根が砕け散り死にそうだ
俺は頭を踏みつぶそうと頭に足を置き
か、可哀そうだからやめておくことにした。
ここから・・・まっすぐ行けば国王のもとへたどり着けるだろう。
ありがとう!
俺たちは天使を無視して先を急いだ。
螺旋階段のある広間に差し掛かると
やあああああああああああああ!
白の使徒たちが天使と戦闘していた
きらびやかなシャンデリアの上に白い服を着た人間が血だらけで寝転がり絶命している
壁はところどころが砕け、木片も岩も装飾品や誰かの私物、さまざまなものが散乱していた
天使は螺旋階段を右回りに飛び、何度も白の使徒たちと武器を交差する
げええええええ!
天使の爪が胸を突き立くと力が抜け人間がマネキンのようにぐるぐる回転しながら転落していった。
グシャ!
よくもジェームスを!
白の使徒が聖法を行使する
白い光が天使目掛けて直進していった
天使は顔に直撃をくらうも平然と突っ込んで来る
なに!
驚愕する使徒たち
おおわしのような両手足が螺旋階段にしがみつくと無理に突っ込んだせいか右の羽根がひしゃげ折れた
空の優位を失う天使と
聖法が効かない!
自分たちの力が及ばない存在に絶望する白の使徒たち
うおおおおおおおおおおおおぐえ!
使徒たちは抵抗むなしく次々、天使の爪に引き裂かれてしまう
うぎゃああああああああああああああああああああああああ!
うえええええええええええええええええええええええ!
使徒たちが全員を血を噴きながら倒れていく
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
獣性を丸出しにして天使が吠える。
聖なる存在とたたえられたとてあれが本性か!
俺は螺旋階段の両端を手でつかむと
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
バキバキバキ!
階段をまるごと取り外して遠心力を加え
階段もろとも天使を壁に叩きつけた
潰れる天使、解体前の鶏のような姿へとなり果てる
いくぞ!
ルースとエルマーのえりくびをつかみ、螺旋階段のあった場所をジャンプして先を急ぐ
走った先にある手狭な部屋では3人の白の使徒たちが一匹の天使を滅多刺しにしていた
この!
化け物め!
いい加減!
くたばりやがれ!
使徒たちは返り血をあびながらそんなこと気にもとめず天使を破壊している
キブウウウウウうウウウウウウウウウウウウウ!
奇声をあげ天使が強い光を放つ
次の瞬間すべてが吹き飛んだ
ドカアアアアアアアアアアアアアアアン!
「「わあああああああああああああああああああああああああ!」」
戦場は泥沼化していた。
敵勢力と敵勢力が共倒れしていく。
先を行くほどに戦闘の跡が残っていた。
死体、死体、死体だ。
ある天使はバラバラに引き裂かれ、ある天使は壁にめり込み、ある天使はどうやったのか天上からつるされていた
とても人の力の所業ではない。
背中から羽根を引き裂かれ、まるで天使の二枚下ろしだ。
こんなこと、できる人間は限られている。同じ人外の力を持つレシーヌしかいない。
先に急ぐと外に出た。
城壁の上、長い通路になっている。
ここから見下ろせる場所では魔物と人の苛烈な戦いが繰り広げられ、すぐそこで爆炎が立ち上るのが見えた。
レシーヌが立っていた。
周囲には使徒たちの死体と天使たちの死体が転がっている
レシーヌ!
呼びかけるとレシーヌはゆっくりとこちらを振り向いた
ゼロス。
次の瞬間、レシーヌが襲い掛かってきた
剣と双剣杖が交差すると激しい火花が散る
何をする!
お前たちが王国騎士長と結託していたことはわかっている!
違う!そうじゃない!王国騎士たちは国王と敵対している!
何が違うものかああああああああ!
ルースが叫ぶ
マスター!
ルース!エルマーを連れて先に行け!
はい!
自分たちでは足手まといだと思ったのかルース達は先へ向かった
レシーヌは言った
前にも言ったはずだ。900と数十年生きただけの餓鬼が首を突っ込むなと!
俺も言い返す
譲れないものがあるのがお前だけだとでも思っているのか!
双剣杖と剣がぶつかり合う。
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
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装備的技術的恩恵をすべて使い全力で双剣杖を振るうもそのすべてに対応されていく。
俺の攻撃を受けきっている!
とてつもない剣術だ。マルベリーの比ではない。
剣を交わ合わせて見て理解する。
やはり、この力すでに魔王に覚醒している!
驚愕する俺を前にレシーヌは剣を一層強く振るう
ぐお!
ガギャ!
強烈な金属音が響き吹き飛ばされる。
レシーヌは言った
貴様の相手をしている暇はない。大魔法詠唱が終わればこの国の民の命は潰える!すべてはやつの!
レシーヌの姿が掻き消えると声だけが響いた
現国王の策略だ!
ダメだ!速すぎてとらえきれない!
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法ドラゴ・トイコス!
目の前に両腕を組んだ2720枚の漆黒の鎧が現れた。
鬼畜の障壁だ!
ものすごい金属音を立ててものすごい速さで鎧が斬り砕かれていく。
ガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャ
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ガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャガギャ!
もうこの世の終わりなんじゃないかと思えるほどの斬撃だった。
タイミングを合わせ最後の一撃を双剣杖で弾き飛ばすと
ぐあ!
レシーヌが頭から地面に激突、バランスを崩し転落しそうになる
レシーヌ!
慌てて飛び込み、間一髪でレシーヌの手をつかんだ。
なぜレシーヌの手をつかんだのか自分でもわからなかった。
極単純な反射的なものだったのだが、それとも何かを期待しているのか。
離せ!
レシーヌは手から力を抜くが俺は逆に手をつかんだ
それでもレシーヌは自らの手に剣先を向けると
やめろ!
俺が止めるのも聞かず自らの手を切り落とした。
重量のなくなった手を握りしめながら、俺はレシーヌを見ていた。
落ちていくさなかレシーヌも俺の目をずっと見ていた。
落ちて行ったレシーヌは4、5回ほど壁に叩きつけられ魔物と人が密集して争うの波の中へと落ちて行った。
・・・。
しばらくそうして人と魔物の争いを見ていたが。レシーヌが起き上がる気配はない。
不死者であるレシーヌがこれで死ぬことはないだろうが・・・。
俺は意識を切り替えるとルース達を追いかけた。
・
・
・
・
・
・
ルースとエルマーが王謁見の間の扉の前までたどり着くとダンテ達がいた。
ダンテ!
ルース!待っていたぞおおおおおおおお!
突然ダンテたちが剣を振り下ろす
わ!
ビックリして目を閉じる
恐る恐る目を開けると
ダンテの剣を受け止めたのは帝国騎士長だった
帝国騎士は言った
卑劣な王国騎士たちめ!お前たちの好きにはさせんぞ!
はあ!
帝国騎士が剣を弾き飛ばし距離を取るとにらみ合う形になった
ルースは叫んだ
ダンテ・・・さん・・・どうして!
ダンテは当然と言いたげな顔をして言った
何を勘違いしている。我ら王国三大騎士は王国の牙、すなわち国王様の牙!お前たちをここまで連れて来るよう国王様の命を受けたにすぎん!
国王が俺たちを?なぜ!
知らんな。我らは命を受けそれを実行するのみよ!
それじゃあいままでの旅は・・・。
ままごとだ!少し世話を焼いてやればなつきやがって単純なものだな~!ギャハハハハハハハハ!
ダンテの発言を聞きギエーリもアリも下卑た笑い声をあげる。
ルース達は信じられない思いだった。ダンテたちを善意ある人間だと思っていたからだ
お、俺、信じてたのに!
知るかよ!バーカ!軽く動けなくするだけだ。おとなしく斬られやがれ!
帝国騎士がルースに言った
ルースと言ったな。共にやつらを討ち取るぞ!
あ、で、でも・・・。
戸惑うルースに帝国騎士は言った
あの下郎を野放しにする気か?迷っている暇はないぞ!
そう言って帝国騎士がルースを手で横にどけるとダンテの剣が迫る。
ふん!はあ!たあ!
ダンテの重く流麗な三連撃を剣で撃ち落としていく。そして一度、互いに距離を取った。
ルースは悲しい気持ちをすべて怒りに変えて叫んだ
ちくしょうおおおおおおおおおおおおお!やってやるよ!
ダンテの裏切りに激怒したルースはスパナを手にダンテに殴りかかる
おらあああああああああ!
スパナと剣、装備の性能も戦士としての実力も格上の敵、それでも今日まで鍛え上げて来た修行の力を遺憾なく発揮して見せる。
火花がいくつも散った。
うおおおおおおお!
気合がたらんぞ!
うわあ!
ルースのスパナをあっさりと弾き飛ばしながらダンテは言った
お前の技はすべて俺が振りかけて導いたもの通用しないのが道理だ。
クソ!クソ!クソおお!
お前を導くあれほど強大な師をないがしろにし、権威ある俺という存在にかしづいた段階でお前の成長は止まったんだよ!
クソ!クソ!クソおおおお!
それにしてもガーネットとお前の関係が成立したのには驚きだった。まさか昔、俺が失敗した方法でお前が成功するとはな?あんな安直な方法で男に落とされる女ずいぶんくだらない女だな?
ふ・・・ふざけんな!そんなこと今は関係ないだろ!
それだけじゃないガーネットの治療をするときお前に薬草を渡したよな?あれな?より傷を酷くする猛毒の毒草だ。
えっ!
あんな薬を飲ませなければあの女の美貌は治る見込みがあったんだぜ!
な!・・・なに!
ありがたがりやがって傑作だったぜ!ギャハハハハハハハ!
こんのやろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ルースの振るうスパナがさらに鋭く振るわれる
はははははは!ルース!いいぞ!もっと憎め!それでこそ張り合いがある!
ま、いくら憎んだところで女の顔は戻らない。薄情なお前に見捨てられたせいであいつは傷つき死んじまうかもな!
ダンテええええええええええええええええええええええええええ!
八つ当たりかよおお!
私を忘れるなよ!
そこに合わせるように帝国騎士が剣を振るう
帝国三大騎士長フランツの剣技その身に刻め!
火花が散り続けた。
二人がかりの攻撃をさばききってみせる。ダンテの化け物染みた実力が発揮される
ダンテは後ろにステップを取り、一度距離を取る。
ダンテ達王国騎士たちが身構え
それに対抗するように帝国騎士たちも剣を構えた
ルースはとても信用などできない相手と肩を並べる。技を教えてくれた第二の師匠、そんな信じていたダンテたちに裏切られ、悔しさから立ち向かう。
それは図らずもこの世界を守ろうとすることど同じ意味だった
帝国騎士フランツは言った
ルース!
ああ!
エルマーもルースのそばで武器を取り出す。
ルースとエルマーは互いに一瞬視線を交わすと
いくぞ!
全員で戦いに挑む
5対3、一見優位に見えるがルースとエルマーでは合わせて1にも満たない戦力差だ。
まだまだ修行を不足の二人では実力が足りない。それでも着実に成長しているのだ!
はあ!
ルースのスパナが振り下ろされるが
ふん!
ダンテのフルメイルの鎧から繰り出す右フックがスパナを捕らえ、弾き飛ばす。スパナはくるくるとすっ飛んでいく。そこにすかさずギエーリの蹴りがルースの足に叩き込まれた
わああああああああああああああああああああああああ!
常人よりもはるかに強力な身体能力を持つ王国騎士長たちの蹴りだ。
その一撃でルースは何メートルも吹っ飛ばされてしまう。
よくもルースを!
エルマーが愛を振るう
はああーー!
エルマーの愛がダンテの剣がぶつかり合う。
ダンテえええ!
ダンテとフランツの剣がぶつかり大量の火花がいくつも散り続けた。
互いに強力な戦士同士、互いの感情が高ぶり魔力が武器からあふれ出す。刀身はすでに火を放ち発熱していた。
フランツの剣がダンテのいた場所を両断すると壁が砕け散り、焦げ付いた跡がつく
2,3粒の溶岩のような火花が地面に散った。
ダンテは言った
フランツ!いいことを教えてやろう!帝国を滅ぼした日、お前の妻子を殺したのは俺だ!
はあ!?
最高のショーだったぜ!兵士たちの前で切り刻んでな。あなた~!あなた~!って、あの女最後のときまでギャーギャーギャーギャー泣き叫んでやがったぜ!ギャハハハハハハハハ!
貴様ああああああーー!
激高したフランツが剣速度を上げ、振りかぶるとより一層の火花が散った。
ルースは思った
こんな鬼畜生を信じていた自分たちのなんと愚かなことか。
ちくしょーーー!
勢いに任せて突っ込むと何度もスパナを振り下ろす。
ガン!ガン!ガン!
すべて剣で防がれていく。自分の技量ではダンテの技量を前に無力だと悟る。
クソ!
二人を怒らせたのもすべてダンテの策略通りだった。
ダンテは言った
フランツ!怒りで我を忘れたか!攻撃が単純なんだよ!
・
・
・
・
・
・
王国騎士長ギエーリの剣が振り下ろされ
帝国騎士長ヨハンは剣を真横にかかげてそれを受け止める
互いに剣をかち合い。
うおおおおおおおおおおおお!
ギエーリは剣を手放し
ヨハンの両肩をつかみ壁に叩きつける
するとヨハンは剣を捨て、ギエーリの両肩をつかみ壁に叩きつけた
思いっきり殴り合う。
鼻血が出ようと剣術でなかろうと関係ない。闘争こそが戦士の本分だ。
大出血しながらと激しくぶつかり合う
ギエーリが言った
しねええええええええええええええええええ!
ヨハンが言った
おまえこそおおしねえええええええええええ!
王国騎士長アリの剣が帝国騎士長ヴォルフの剣と激しくぶつかり合う
どちらも常人の20倍の力を持つ凄腕の剣士だ
・
・
・
・
・
・
ヴォルフは言った
いつかこんな日が来ると思っていた。アリ!お前たち王国騎士との因縁も今日で終わらせる!
あひゃー!そんなことで勝てるのかなー!おしゃべりしている間にそろそろ毒が効いて来たんじゃないか?
うう、こ、これは・・・。
突如ヴォルフの体が動かなくなる。
アリが毒を盛ったのだ。
アリは言った
この毒は空気触れると猛毒に変化する特殊な毒。
これから殺し合いをしようというのに楽しそうに笑い声をあげるアリ、その表情にはかつての紳士的な面影は微塵もない。
はああ!
ヴォルフの剣がアリの剣と組み合う。
まるでドラムをたたくようにアリの連撃が振り下ろされる
凶悪な音が剣から響き渡った
互角の戦いが繰り広げられていく
・
・
・
・
・
・
ギエーリたちは満身創痍に疲弊していた
はあ・・・はあ・・・。
互いに息を荒げ何度も殴り合う。
うおりゃああああああああ!
ぐええ!
こんのおおおおおおおおおお!
ぼあ!
殴っては殴られ殴っては殴られを繰り返す
殴り合いでの末、互いに剣を拾い直すのは同時だった
帝国騎士長ヨハンの剣を受けてみろ!
王国騎士長ギエーリ!受けて立とう!
勝負を決めるときが来た!
ヨハンが叫ぶ
氷結魔法・パーゴス・クルスタロ!
突如、ギエーリの頭上から人を貫通してしまいそうなほど大きく無数のつららが降って来た。
常人よりもはるかに強力な凍結魔法Lv40の恐るべき力だ。
きゃあああああああああああああああああ!
エルマーは悲鳴をあげ、
ギエーリも負けず剣を振るい魔法を発動させる。
鬼氷魔法・ドラーゴス・クルスタロ!
氷の柱が空中に出現しつららの雨を迎撃していく。
威力は互角、二つの氷魔法が互いの使い手を貫き合い。勝負は決した。
・
・
・
・
・
・
王国騎士長アリが空高く飛び上がると上段から剣を振りおろし魔法を発動させた
鬼風魔法・ドラーラス・ナーファハ!
凄まじい緑の風が吹き荒れる
帝国騎士長ヴォルフが剣を振るい魔法を振るい緑の風を巻き起こし迎え撃つ
悪寒魔法・アエーラス・ナーファハ!
二つの吹き荒れる緑の風が激突するとアリの剣がヴォルフを斬り裂く。
うあああああああああああ!
ヴォルフの体から大量の血液が宙に舞った
これで私の勝利も・・・ゴハ!
突然アリが血を吹き出す。
こ、これは・・・毒!
まさか、貴様も毒を散布していたのか・・・。
アリは倒れるとガクガクと震え出した。
ぜ、全身が寒い・・・これが死神の・・・肌の感触・・・。
絶命。
戦いは終わった。
残す戦いはダンテたちだけだ
消えろおおおおおおおおおお!
ダンテが口の端からよだれをたらし目を血走らせ
フランツの胴を斬り裂いた
勝った!
ダンテは歓喜の声をあげた瞬間だった
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ルースのスパナがダンテの頭をぶったたく。
絶命の一撃、ダンテはいまにも死にそうになりながら額から大流血を始める。
目はさ迷い始め。なんとかルースを見た。殺すためだけに
そこだああああああああああああああ!
フランツが叫ぶ
ダンテに斬られ体から血を吹き出しながらも体に回転を加えていく。
命を捧げ死を覚悟した一撃だった。
フランツの魔力が剣に宿り燃え上がり振りかぶった。
炎上魔法・ピー・コルタール!
燃え上がる炎の剣、最後の命の輝き!
しかしそこは腐っても王国三大騎士長、反応してみせる。
対するダンテの魔力が剣に宿り燃え上がった。
それを振りかぶり襲いかかる。
死ねええええええええええええ!鬼火魔法・ドラーコス・コルタール!
燃え上がる炎の剣がフランツのピー・コルタールと激突する
二つの炎が激突するとヴォ!と二つの大きな炎がきらめいた。
体を炎の剣に切れ裂かれダンテとフランツはその場に突っ伏したのだ。
・
・
・
・
・
・
レシーヌとの戦いを終え、通路を走り続けるとルース達が呆然とそこに立っていた
頬にすすをつけて火災現場から逃げ延びた避難者のような風貌だ
二人とも無事だったか。
すぐ横を見れば凄まじい戦いの跡、6人の死体があった
これは・・・。
ダンテさんが裏切ったんだ。
ダンテが?
殺されそうになったところに帝国騎士たちが駆けつけてくれて皆、死んじまった。
そうか。二人ともこの場に残って少し休め。そう指示を出そうとしたら
エルマーはルースを元気付けた
行こう。ルース。
ああ!
どうやら心配はないようだ
両開きの大きな扉を押し開く。
こうして俺たちはついに王謁見の間へと踏み込んだ。
そこにいたのは国王モードレッド・ペンドラゴン・モルゴースだった。
馬鹿な!なぜモードレッド国王がここにいる!死んだはずだ!
モードレッドはサイフォスに在任時、俺たちサイフォスが仕えていた国王本人だった。
それがどういう経緯かこの国の国王をしている。
国王は俺を見て、楽し気に笑った。
ホホホホホホホホホホホホホホホホ!ゼロス、よくぞ余のもとまで戻った。
そして、ルース!エルマー!そなたたちもだ!期は熟した。ガーネットがいないのが、ちと残念じゃが。ルース、エルマー、熟成させた余の力返してもらおうか。
こいつは何を言っているんだ?
サイフォスであった俺になら意味はわかるが、ルースたちは初対面のはずだ。
わけがわからずルースたちのほうを見てみるも戸惑っている。心当たりがないようだ
国王はルース達を見ながら嬉しそうに言った
ホホホホホホホホホホホホホホホホ!まるまると肥え太り良い霜を振りおって、立派に肥えてくれたようじゃのう。
ドン!
突然、背後の扉が開くとダンテたち王国騎士長たちが駆け込んできた
毒に侵され、胸に穴を開け、体を焼き斬られてなお駆けつける。見上げた忠誠心だ。
ダンテが言った
国王様!お逃げください!
ギエーリが言った
ここは我らが!
アリが言った
露払いはお任せを!
国王に背を見せボロボロの体で剣を構える王国騎士長たち、いかに悪逆非道に手を染めようとも国王を守ろうとする王国の牙として誇りは本物であった
ホホホホホホホホホホホホホホ!
モードレッド国王は愉快そうに笑い声をあげると手から触手を伸ばしダンテ達の体を一突きにした
ぶっとい木の根に似た触手が王国騎士長たちの鎧を貫通、いくつも大穴を開ける。
ガブ!そそそそそ、そんなああ!!
変な音を上げて口から血反吐を吐くダンテたち
こ、国王様・・・なぜ・・・。
貴様たちなどもはや不要じゃ!
触手を引き抜くとドサ!大きな音を立ててダンテ達は動かなくなってしまう
俺は双剣杖を握りしめて怒る
貴様!自分の騎士たちを!
国王は邪悪に顔を歪ませながら言った
気にするでない。些末なことじゃ。ジール!
ここに
神官が姿を現す。
やれ!
御意!
神官が杖を構えて窓の外へと振るう
はああああああああああああああああああああああ!
聖なる力が空に浮かぶ巨大な陣へとリンクする。
陣は強い光を放ち。大量の丸い光が空高く舞っていく。
ルースが思わず言った
こ、これは!
・
・
・
・
・
・
アスピダの騎馬隊は王国内での戦闘を行っていた。
副団長のプッチョは目の前の剣士と剣をつばぜりあう
部下が言った
プッチョ副団長!敵が西から押し寄せています!このままではわれらも!
プッチョの目の前にいた剣士が突然、力が抜けた人形のように倒れると口から丸い光を吐き出して動かなくなった
これは!
空を見上げれば大勢の人間の体から丸い光が飛び出していった
・
・
・
・
・
・
国王は満足げに言った
ティーモス神への信仰心を通して王国中の信者たちの命が聖法陣ゾーイ・マザを完成させていくのじゃ!
神官は言った
さあ、国王様!いまこそ!進化の石を!
おお!そうであった!
国王はふところから不思議な石を取り出す。
すると石が発光を始めた。
その意気じゃ!魔王の力を再びわが身に!
国王が石の光に取り込まれると光の中から巨人型の化け物が現れた。
王者のマントを羽織り、王冠と剣を持った人型の肉だ。
異形の化け物が姿を現す。
これが・・・国王なのか!
化け物の魔力を感じとったときにすべてを思い出す。
俺は一度・・・この場所に来ている。
それが既視感の正体だったのだ。
そうだ・・・!国王の・・・魔王の力に呑み込まれ・・・俺たちは記憶を失い・・・時間を巻き戻っていたんだ!
すべてを思い出す。ルースたちを守れなかった自分にも、すべてを奪ったこの男にも怒りが沸きあがる
俺は双剣杖を構えると国王をにらみつけた。
国王モードレッド・ペンドラゴン・モルゴース!今度こそ貴様の思い通りにさせるものか!
ホホホホホホホホホホホホホホホホ!記憶を取り戻したか。聖法陣ゾーイ・マザ完成までまだ時間はある。よいぞ。あのときの続きをしよう。存分にあらがうといい。そしてゼロス、余に仕えた褒美に今度こそ地獄に送り込んでくれようぞ!
《魔国王魔王モードレッド・ペンドラゴン・モルゴースが現れた》
モードレッドは言った
城内を壊したくない。そこでおとなしく死のときを待つがよい。
モードレッドーー!
双剣杖を振りかぶりモードレッドの剣と双剣杖を交わす
聖剣エクスカリバーの力を味わうがいい!
エクスカリバーだと!
有名な宝剣だ。
モードレッドの黄金の剣がフェンシングのように剣を振るわれ8回の刺突が繰り出される。
剣先から絶大な魔力を秘めた黄金色のビームが飛んできた
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
これがエクスカリバーの力!
わあああああああああああああああああああああああ!
悲鳴をあげたのはルースだった
ルース!エルマー!そこを動くな!
すぐにルース達の目の前に移動すると
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
ビームに双剣杖を叩きつけてみて理解する。なんて重いパワーだ。重厚で絶大な魔力波、あなどれない!
双剣杖の連続切りで目の前に迫る1本のビームをなんとか弾き飛ばす。ビームは壁を吹き飛ばし空の彼方へと消えて行った。一つ弾き飛ばすのでやっとだった。
もしもすべて受けていたら受けきれず殺されていたことだろう。
弾いた以外のビームがすぐ横を通り過ぎると背後の壁が鉢の巣にされる。
攻撃が止むと振り返って言った
無事か!
はい!
離れていろ!
そう指示を出すと慌ててルースとエルマーは二階へと続く梯子を登っていく
ホホホホホホホホ!
笑うモードレッド、前後に軽快なステップを踏み
フェンシングのように剣を振るう
8本のビームが飛んできた
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
はあ!
転がり込むように射線上から避ける
くらえ!
両手の機械手袋サイバネティクス・ケイリスから青い稲妻がほとばしる。
それを地面目掛けて叩きつけた
陰魔法・ウンブラ・パジェス
数十メートルはありそうな大きな落とし穴が現れる。
モードレッドがつまづいてこけて、ガゴン!壁にめり込んだ
ぼげえ!
えい!えい!
ルースが酒を投げる
やあ!やあ!
エルマーがツボをなげるとヘビが出て来てモードレッドに噛みついた
ほげえ!
いいぞ!ルース!エルマー!
ひひひふひ!
モードレッドは不気味に笑っている
首にからまったヘビを投げ捨てるとモードレッドは前後にさらに軽快なステップをする
ホホホホホホホホホホホホ!
フェンシングのように剣を振るうと
16本のビームが飛んできた
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
はあ!
射線上から避け双剣杖を構える
くらえ!
双剣杖を振るう
外道魔法・トゥリスカ・ウリ!
モードレッドの10本、すべての爪が吹き飛んだ
ほげえ!
ドクドクと血が垂れ流れている
ルースが壁にかけられた燭台をつかむと投げつけた
ボワ!
ほげえ!
モードレッドが燃え上がり悲鳴をあげた
いいぞ!ルース!
モードレッドは火だるまになりながら前後にさらにさらに軽快なステップをする。燃え上がる炎がステップの風圧でかき消された
ホホホホホホホホホホホホ!
なんて速さだ!
フェンシングのように剣を振るうと
24本のビームが飛んできた
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
はあ!
射線上から避ける
くらえ!
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
暗黒の鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法・ドラゴ・ウダリャーチ!
巨大な漆黒の鎧が現れると
豪快な大ぶりでモードレッドの顔面を殴りつけた
ほげえ!
モードレッドは鼻血をまき散らしながら前後にさらにさらにさらに軽快なステップをする。
ホホホホホホホホホホホホ!
速い!いままでの比ではない!
ルースがタルを投げるも
バコン!
砕けるだけで避けられる
エルマーが鎧を投げるも
ガン!
投げ切れず鎧が地面に転がった
フェンシングのように剣を振るうと
32本のビームが飛んで来る
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
はあ!
射線上から避けて双剣杖を構えた
くらえ!
双剣杖を振るう
黒魔法・メラース・シュナイデン!
真っ黒い色が刃となってモードレッドの体を打ち付けて吹っ飛ばす
ほげえ!
全身血だらけになりながらモードレッドは前後に2000万回、軽快なステップをする
なんだこれは!
ホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ!
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
128本のビームが押し寄せる
はあ!
転がり込むように射線上から避け双剣杖を構えた
終わりだああああああああ!
双剣杖を振るう
黒魔法・メラース・ペロネー・ヴノ!
地面に黒の針山が現れる
双剣杖を振るう
影魔法・スキアー・ペロネー・ヴノ!
地面に影の針山が現れる
両手の機械手袋サイバネティクス・ケイリスが青い稲妻をほとばしらせる
陰魔法・ウンブラ・ペロネー・ヴノ!
地面に陰の針山が現れる
双剣杖を振るう
外道魔法・トゥリスカ・ペロネー・ヴノ!
地面に外道の針山が現れる
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法ドラゴ・トゥリスカ・ペロネー・ヴノ!
地面に鬼畜の針山が現れる。
全属性、無数のトラップ魔法がモードレッドをめった刺しにする
ほげええええええええええええええええええええええええええええええええかああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
苦しそうに胸を抑え、後ろにヨロヨロと歩きながらモードレッド国王は言った
こ、こんなことが・・・オコロンゾオオオオオオオオオオオオオオオオオオダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
ドサン!
モードレッド国王は最後に雄たけびをあげるとうつぶせに倒れそのまま動かなくなった。
マスター!
ルース達が走って降りて来た
ルース!エルマー!無事か?
エルマーが言った
無事です!それよりも早くゾーイ・マザを!
ああ!
周囲を見渡すもあのジールと呼ばれた神官はどこにもいない。
あちこちを探すと屋上へと向かう階段を見つけた。行ってみよう!
カンカンカンカンカンカン
階段を登ると屋根の上に出ると。
屋根の天辺に神官ジールがいた。
俺は双剣杖を構えた
そこまでだ!おとなしく聖法陣を止めてもらうぞ!
クククククククククククククククククククク!愚かな人間たちが無駄にあらがうか!
ボギボギボギ!
神官の体が変形すると衣服がはだけ落ち、天使へと姿を変えた
すると空から10人の天使たちが舞い降りて来る
天使ジールは言った
見ろこの地獄を!
王都一帯を見渡せばデス・ムント・デスの眷属と魔物の異種配合をした化け物たちと人と魔物が争っていた。
生物が密集してうごめく姿はある種のおぞましさをいだがかせる。
あちこちで爆発が巻き起こり、建物も燃え盛る戦場だった。
デス・ムント・デス!汚らわしきあの化け物の分身たちを変異させ贄になるよう調整して見せた!これだけの数をより集めれば凄まじき力となる。けがれていようと力はちからだ。
我らが創造主、クリフォギタグマ様をよみがえらせるための贄となるなら問題ない!
クリフォギタグマだと!
天使ジールは言った
すべての用意は整った。この邪悪な魔法陣と眷属共の豊潤な魔力を吸ったおびただしい数の肉!そして人と魔物、いまこそ神聖なる我らが神の宿願を果たすとき!
刹那の時間に思考する。
魔法陣?聖法陣ではなかったのか?それよりも人と魔物?もしかしてまとめて生贄にするつもりか!
天使たちが空の陣に向けて手をかざすと手の平から光のエネルギーが注がれていき、陣の持つ神聖を装った邪悪な力がますます増大していくのがわかった。
おおおお!すごいぞ!もっとだ!もっと注ぎ込め!
「「はああああああああああああああああああ!」」
天使たちが放つ光のエネルギーは太さを増し、陣を通して神に対してより一層の献身を捧げていく。
そのときだった!
余を利用していただと!きしゃまらああー!
死にかけてはいるが国王モードレッドが姿を現した
くらえええええええええええええええええ!
ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
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ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!
128本のビームが押し寄せると天使たちを一人残らず滅していく
「「ぐあああああああああああああああああああああ!」」
全身全霊で力を捧げ、弱体化した天使たちにその強大な攻撃を防ぐ余力もなくの断末魔の悲鳴が響き渡る
ホホ・・・これで・・・。
すべての力を出し切ったモードレッド国王は最後に小さく笑い声をあげ絶命した
天使たちが死に静寂が戻る
エルマーが言った
お、終わった・・・の?
まだだ!
俺はそう言って空に浮かぶ巨大な魔法陣ゾーイ・マザを見た。
術者は死んだはずなのになぜ消えないんだ!
そのときだった。
目の前に横たわるジールが立ち上がると傷が回復していく
天使ジールは言った
同じ天使だからと試してみれば、最後まで愚かな連中であった。蘇るわけもない神を蘇らせようと躍起になりよりによって穢れた魔王に殺されるとは。
ルースが叫ぶ
仲間じゃないのか!
仲間?私こそ最高位大天使ジール、創造主クリフォギタグマ様より最もご寵愛を受けた唯一無二の偉大な存在。それ以外の天使など天使ではない。
それにしても国王に力を得るように仕向けた甲斐があった。おかげで魔法陣ゾーイ・マザは完成した。もっともあの男も自ら進化を望んでいたがな。
そうだ。喜べ人間たち!お前たちは運よくこの場に居合わせた!その眼で見て、誉れを噛みしめる権利を与えよう!
はあ!
ジールが手の平を天高くかかげると、大勢の魔物も人間も魂を抜かれ倒れた。
魂たちは魔法陣ゾーイ・マザ目がけて吸い込まれて行く。
こ、これは!いったい!
空中に存在した魔法陣ゾーイ・マザはハリケーンのようにうずを描いてジールの手の中に吸い込まれていく。
するとジールは両手足のつま先をピンと伸ばして全身をブルブル震え始めた。
おお!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!これがすべての天使たちの力!これが神を蘇らせるために編まれた新たな魔法陣の力!
生まれる!生まれるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!新たな神が生まれるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
天使の腹部が妊娠すると、次の瞬間陰部から天使が生まれた
脱皮のように出産したのだ。
ブラブラと垂れ下がった薄い半透明の皮がジールの下半身からぶら下がる。
11枚の羽根を持つ巨大な虹色の天使が誕生した。
胸部に怪しげな球体が輝いている
私はこの新たな神の力で二つの世界に君臨するのだああああああああああああああああああああああああああ!
ルースはスパナ構えて言った
そんなことさせるものか!
エルマーは愛を構えて言った
ルース!一緒に頑張ろう!
俺は言った
最後の戦いだ!いいな!ルース!エルマー!
ジールは言った
いいだろう。手始めにお前たちをこの世界から消してやる。逆らうものには死を!従うものには繁栄を!ラブアンドピイイイイイイイイイイス!
《融合最高位大天使神ゴッド・ジールが現れた》
ジールが叫ぶ
はあああああああああああああああ!
突如、空中に魔法陣が現れた
ルースとエルマーが全力で走り出すと
ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
天から10本の虹の柱が降り注ぎ、空中に現れ陣を貫き、さきほどまで立っていた場所を木っ端みじんに吹き飛ばす。
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
双剣杖でジールの顔面を斬りつける
くはあああああああああああああああああああああああああああああ!
ジールが悲鳴をあげ両手で顔をおおい空を仰ぎ見たあとこちらをにらみつける
むうううん!はあ!
巨大な手が右に振るわれる
ドカアアアアアアアアアアアア!
念力で屋根の一部が吹き飛び民衆が下敷きになった!
ルースがジールの手に飛び乗ると
うおおおおおおおおおおおおりゃああああああああああああああああ!
スパナに手をかざし、根本から頭まで闇で満たす、魔力付与だ!
ガン!ガン!ガン!
ジールの指先をスパナが何度も打つ。
えええい!
エルマーが愛を投げると目に見えない気持ちが凶器となってジールの表皮を小さく切り裂いた
ジールが悲鳴を上げる
くはああああああああああピロピロ!
ジールが叫んだ
くらええええええええええええええピロあピロ!
左に手を振るうと
ドカアアアアアアアアアアアア!
念力でルースとエルマーが吹き飛んで来る
危ない!
両手の機械手袋から青い稲妻をほとばらしらせる
陰魔法・ウンブラ・アンテローポイ!
邪悪な陰の化け物たちが転落していくルースとエルマーをキャッチした。
くはあああああああああああああああああああああああああああああ!
絶叫するルースとエルマー
絶対に二人を食べるなよ!そう陰の化け物どもに命令し屋根へと下ろさせる
ルース!
エルマーが叫び駆け寄った。
見ればルースの腕は折れているではないか。
う、腕が・・・!
それでも生きているだけマシだろう。
ジールが叫ぶ
くはあああああああああああああああああああああああああああピロあピロ!
ジールの周りにさまざまな羽根の色をした10体の天使の分身たちが姿を現し、円を描くように回り出した。
まるで回転寿司だ
天使の分身たちはそれぞれの体からそれぞれの羽根の色と同じ属性の攻撃を繰り出す。
赤い羽根は赤い炎を青い羽根は青い氷、緑は風、黄色は雷、紫は毒、ピンクは淫をさまざまだ
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
攻撃を双剣杖で弾き飛ばしながら空中で回転、
目の前にいた赤、青、緑、黄色、紫、ピンク、その他の色の羽根目掛けて
そこだ!
双剣杖を振るう
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
分身たちの全身をくまなく両断、消え去り消滅させていく。
斬り裂いた天使たちのダメージが本体であるジールに移行したのか突然、ジールが悲鳴をあげる
くはあああああああああああああああああああああああああああああああああああああピロあピロあピロ!
見れば、ジールの胸の球体から色が失われていた
魔力が弱まっている!ひょっとしたら!
はあ!
試しに双剣杖を球体目掛けて振るってみる
くはあああああああああああああああああああああああああああああピロああああああああピロあピロあピロ!
悲鳴をあげるジール
そこが弱点か!
ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!
ジールが虹色の唾を吐いて来た。
はあ!
避けるも執拗に唾は飛んできた。
ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!
く、焦っているのか!手数が増えて隙がない!
突然、電撃の砲撃がジールの後頭部にぶつかり大爆発を巻き起こす
くはああピロピロああああああピロああああああああああピロピロあああああああああああピロああああああああピロあピロあピロ!
両目を飛び出し悲鳴をあげるジール
砲弾の方を見ると飛空艇が飛んでいた
マルベリーか!
飛空艇の甲板の上で戦士たちが踏ん張っている姿が見えた
押せえええええ!
「「おおおおおおおおおお!」」
重量470kgの鉄の砲台を戦士たちが人力で押し出し大天使目掛けて並列させていく。
甲板の上を颯爽と歩きながらマルベリーは言った
面舵いっぱい!ドラゴンバスターをすべて出せ!弾幕を切らせるな!すべて撃ち尽くせ!
船体が右旋回しながら砲身がすべてジールへと向けられる
ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!
ドラゴンの息吹を模した雷の魔法が砲身から飛び出していくとジールの後頭部で大爆発した
ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!
くはああピロピロああああああピロああああピロあああピロピロあああピロピロああああああピロピロあああああピロああああああああピロあピロあピロ!
両目を飛び出し悲鳴をあげるジール
天罰ううううううううううううううううピロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
ジールが鼻からベージュ色の光線を吹き出すと
ドカーン!
飛空艇がの外部を爆散させる
ヒュウウウウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
風を切る音を立てて飛空艇が墜落していく
俺は叫んだ
マルベリーー!
くそぉおおおおおおおおおおおおお!
双子剣杖を振るう
外道魔法・トゥリスカ・アナトミア!
外道の刃が腕を斬り、リンゴのように皮をむくとジールが絶叫した
くはああピロピロああああああピロああああピロああピロあピロピロあああピロピロああああピロピロああピロピロあああああピロあああああピロピロあああピロあピロあピロ!
決める!
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
鎧が黒いオーラで満たされる。
恐怖を抱く象徴にして越えるべき尊き象徴よ!その剛力をいまこそ振るわん!
鬼畜魔法・ドラゴ・スコトノ!
殺意に満ち溢れた漆黒の鎧が目の前に喚起されると真っ赤なオーラをあふれ出す。鎧が砕け散ると、頭に立派な鹿の角を持ち、巨大で筋肉の鎧を着こんだような体、羽根がなく、手に割れた酒瓶を持った。
新たな魔王、鬼畜の大悪魔が姿を現す。
ドラゴ・スコトノが雄たけびをあげた
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
殺せ!ドラゴ・スコトノォォーー!
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
ドラゴ・スコトノが割れた酒瓶を振りかぶると一気にジールの胸部に突き刺した
ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ!
ひときわ大きな悲鳴をあげるジール、ただその叫び方は両目と涙と鼻水が飛び出し舌を限界以上に突き出した。ひときわおぞましい叫び声だった
うわあ!
ルースが思わず驚きの声をあげる
見ればジールの胸部から色とりどりの10体の天使たちが苦しそうに顔を突き出していた
エルマーが聞いてくる
マスター!あれはいったい!
やつは神を蘇らせるほどの力とすべての天使の力を手に入れた。大きすぎる力が定着する前に激しい戦いを行ったせいで力が暴走しているんだ!
ジールの体から四方八方に天使の力も魔法陣の力も抜け出て行く。空中にさ迷う天使たちの力と魔法陣が再び現れた
ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロオオオオオオオオオオン!
最後の悲鳴をあげてジールは城へとおおいかぶさるように倒れた。
ズドーン!
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
ドラゴ・スコトノが勝利の雄たけびをあげた
ジールの巨体の口からゲロのような物が噴き出すと薄茶色の液体が足元まで流れて来た。3つの滝を作り、城周辺の城下街まで満たしていった
バシャー!
水の漏れる音が響く
ジールの口の中から元の天使の姿へと弱体化したジールが姿を現す。
巨体からは魔法陣ゾーイ・マザの力も天使たちの力もすべて抜け出し空中をさ迷っていた。さながら神の抜け殻だ。
ジールは言った
ば、馬鹿な・・・。私が・・負けただと・・・。
すでにジールの羽根は崩れ溶け落ちている。
それでもジールは立ち上がった。
折れた足で体を支え、俺たちをにらみつける
ふざけるなあああ!人間どもめええ!この最高位大天使が!貴様らごとき下等生物に!後れを取るなどあってはならないのだああああ!
ルースがスパナを構えて執拗に罵った
ここまでだぜ!このゲロカス変態野郎!
そうよ!そうよ!
とエルマー
俺は二人の前に手をかざし
よせ、あいつはもう終わりだ。いくら強がろうと、いずれ死に絶える。放っておいてやれ。
マスター・・・。
俺が言ったことでルースとエルマーがしぶしぶ口をつむぐ
するとジールは言った
敵の、それも人間に情けをかけられるとは!天使の名折れだ!
ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ!
王都中が揺れている!
ルースがスパナを構えて言った
お前まだ何かする気か!
ち、違う!
ピロロロロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
神の抜け殻が両手を広げて空を仰ぎ見た。
ジールは言った
私はここにいるはずだ。なぜ動ける!
神の抜け殻の足元に突如、200mほどの巨大な穴が開き、その中が念力で産み出されたと思われる真っ赤な血で満たされていく
膨大な魔力が神の抜け殻からあふれ出ていた。
ジールは涙を流して言った
もしや、この力は・・・おおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!
神の抜け殻の顔が謎の怪物へと変貌していく
ジールはむせび泣いた。
おおおおおおおおおおおぉぉーー!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!諦めていた・・・・・・歓喜ィー!歓喜するぅぅー!クリフォギタグマ様ーーー!
生きておられたのですねぇーーーーーーーーーーーーーーーー!
ブシャー!
ジールの口から大量のトマトケチャップが溢れ出す。
わわわわわわわわわわわ、わーい!わーい!トマトソースだ!わーい!わーい!
頭をビクビク震わせながら満面の笑顔を浮かべるジール
正気を失っている!
ジールが城の屋根の上をスキップしながらぴょんぴょん跳ね回る。
わーい!わわわわわわわわわわわわーーい!わーい!
すると次の瞬間、ジールが爆発して真っ赤なトマトソースになった。
ゆらゆらと魂だけが浮遊していく。
時を同じくして空から大量の赤い雨が降り注ぎ始めた。
ルースは言った
え、エルマー!
エルマーもそれにこたえた
ルース!
ルースとエルマーはあまりの異常事態に完全に参ってしまっていた。
強大な敵との連戦、疲弊した精神で、このあまりに異常な状況、まだまだ未熟な二人ではこの辺りが限界だったのだろう。
クリフォギタグマと化した神の抜け殻はトマトソースの海に背中から倒れ込んだ。
ザブーン!
真っ赤な水柱が立ち上り、屋根の端から見下ろせば、ゆっくりズブズブと沈んでいく。
足が沈み、手が沈み、腹が沈み、胸が沈み、体が沈み、頬骨が沈み、顔が沈み、鼻先が沈んだ。
すべてが沈むと静寂が訪れる
真っ赤な深紅の水面に、ぷくぅ。と、音を立てて醜い女の顔が浮き上がった。
ザバァァー!
女の顔が立ちあがり、滝のようなトマトソースが流れ落ちていく。
手には巨大な鉄塊剣が握られていた
俺は言った
・・・ケーゴメ・カイダロス・・・復活したのか!!
そう、クリフォギタグマの体内ではるかに強大になったケーゴメ・カイダロスが復活したのだ
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
奇声をあげる
ロザリス・・・今止めてやる!
ドラゴ・スコトノ!
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
鬼畜の魔王が全速力で突進する
戦いが始まった
ケーゴメ・カイダロスの鉄塊の剣を左にしゃがんで避け、再度の斬撃を右にしゃがんで避け
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
痛烈な右フックを叩き込む
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
さらに割れた酒瓶を逆手に持ち頭に叩きつけた
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
口から強酸液があふれ出すと顔面に降りかかる
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
痛みに耐えるドラゴ・スコトノ
がら空きになったところに
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
何度も鉄塊の剣が振り下ろされ大量の火花が散り、たまらず両腕を高くあげた。筋肉の分厚い壁が剣撃を腕で受け続ける。
ドラゴ・スコトノ!後ろに飛べ!
ドラゴ・スコトノは両腕で防ぎながらジャンプすると大地がきしみ、街の何件かが吹き飛んだ
建築物を尻で踏み砕きながら後ろにゴロンと転がり込み何とか手で踏ん張り前を向く
上半身を左右に揺らしてケーゴメ・カイダロスが突進してくる
ドラゴ・スコトノも全速力で突撃すると手の割れた酒瓶をがケーゴメ・カイダロスの腹にねじり込む。
大量の火花を巻き上げた
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ケーゴメ・カイダロスも鉄塊剣でドラゴ・スコトノの腹部に突き刺す
大量の火花が巻き上がる
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
右の拳を大きく振りかぶると割れた酒瓶を思いっきり殴りつけた。
ズズ!
わずかに瓶がケーゴメ・カイダロスの体内へと突き刺さる
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
絶叫するケーゴメ・カイダロス
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
さらに何度も右の拳を大きく振りかぶると割れた酒瓶を思いっきり殴りつけた。
ズズ!ズズ!ズズ!
少しずつ瓶がケーゴメ・カイダロスの体内へと突き刺さる
きえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
絶叫するケーゴメ・カイダロス、対するドラゴ・スコトノの拳は酒瓶の破片で血みどろだ
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
さらに殴りつけたところで拳が血ですべりそのまま拳が空を殴る。
バランスを崩したドラゴ・スコトノは右肩から地面に転倒した。
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ケーゴメ・カイダロスの足が4つに分かれるとドラゴ・スコトノの頭を抑えつけ、地面に拘束
背中からチューブが伸びて来ると高熱をおびるチューブ、触れるだけで殺人級の兵器と化し、オレンジ色に発光、鞭のように何度もドラゴ・スコトノを打ち付けた
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
痛そうに悲鳴をあげるドラゴ・スコトノ
ドラゴ・スコトノ!頑張れええええええ!
ドラゴ・スコトノのベロがしゅるしゅると伸びるとスパンスパン!
ケーゴメ・カイダロスの足の指を両断する。
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
たまらずケーゴメ・カイダロスが二歩後退すると立ち上がった。
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
威嚇の声をあげてドラゴ・スコトノを威圧する
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
それに負けじとドラゴ・スコトノも威嚇の咆哮を上げる
いまだ!決める!
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
はあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
鎧が黒いオーラで満たされる。
ドラゴ・スコトノの割れた酒瓶が手元に現れると普通の酒瓶へと再生していく。そして完全な酒瓶が生成されると青く発光する
力がすべてだ!打ち砕け!ヴィア・レーキュトス!
全力で振りぬかれた酒瓶がケーゴメ・カイダロスの顔面をとらえると粉々に割れて、膨大な魔力を帯びたガラス片がケーゴメ・カイダロスの体中に突き刺さった。
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
地面に頭から倒れ込みあまりの痛みに絶叫するケーゴメ・カイダロス
魔王の魔力を帯びたガラスは体内で拡散、連続して激痛を作り出す。
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
大絶叫してケーゴメ・カイダロスは動かなくなった。
勝ったのだ!
ルースとエルマーが叫んだ!やった!勝った!
互いにあまりの嬉しさに声をあげる
突然、死んだと思っていたケーゴメ・カイダロスの頭が右に大きく振りかぶり
かはーーーーーー!
正面を向くと口から何かを吐き出した
ドラゴ・スコトノ!避けろ!
そう指示を飛ばすもわずかに間に合わず、それがドラゴ・スコトノの腕を串刺す。
蚊虫のストローに似た器官だ
ドラゴ・スコトノ!
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
ドラゴ・スコトノの腕からドクドクと謎の液を抜かれていく
吸血されている!
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
ドラゴ・スコトノがストローを引き抜こうとするもストローは血管の中を移動し、全身へとめぐってしまう
そのまま糸を結んだ団子にでもなっているのかいくら引っ張っても引き抜けなくなってしまう
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
苦しそうにうなると、あまりの激痛に膝を折るドラゴ・スコトノ、ドラゴ・スコトノの怪力をもってすれば引きちぎることは簡単だ。
ただ引きちぎったあとストローを除去することはできないだろう。血管の中に注射針を残してしまう恐怖
しっかりしろ!ドラゴ・スコトノ!
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ケーゴメ・カイダロスは全身から血液をしたたらせて立ち上がると頭を左右にゆすりながらジュージューとうまそうに血液を吸っている。
ほころんだ笑顔が不気味に歪んでいた
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
頑張れ!死ぬな!
そう声をかけるも次第に膨らんだ肩はしなびていき、足の筋肉量も落ち、肩から背中にかけての筋肉もしぼみはじめる。干物のようになってドラゴ・スコトノが地面に倒れた
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
勝利の雄たけびをあげるケーゴメ・カイダロス。
負けた・・・。
ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!
養分を吸われ枯れ果てる前に突如、ドラゴ・スコトノの右腕が独りでに体から分離、跳ね飛んだ。
くるくると宙を舞った腕は、ケーゴメ・カイダロスの首をつかみ締め上げる
ぐぎゅう!とここまで首が絞めあがる音が響いた
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
うめき声をあげるケーゴメ・カイダロス。
腕を引き離そうと手当たり次第に周囲の建物を砕き暴れまわり、それに巻き込まれ魂を抜かれた民衆の亡骸が大勢消し飛んだ。ヨロヨロと数歩歩くとズドーン!苦しそうに地面に寝転がる。
ドラゴ・スコトノが最後の力を振り絞ってくれている!
いまのうちだ!何かやつを倒す方法を考えなければ、
空の大魔法陣ゾーイ・マザはいまだ消えずに存在していた。
ふと、腰から下げたドリーム・キャッチャーを見る。
ドリーム・キャッチャーは魔王すら打ち倒す大魔法を封じていた。神器級の手作りアクセサリーだ。邪神とは言え神であるケーゴメ・カイダロスをよみがえらせるほどの力、魔法陣ゾーイ・マザ、あの膨大な魔力を
ドリーム・キャッチャーに再封印することができれば!
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ケーゴメ・カイダロスが奇声をあげ地面を転がりまわった。
幼子がじだんだを踏むような動きで大勢の人間の抜け殻が下敷きにされていく
俺は急いで最も高い屋根を登るとドリーム・キャッチャーを掲げた
膨大な魔力がドリーム・キャッチャーに吸い込まれるように吸収されていく。それだけではない空中に漂っていたジールたち天使の力まで呑み込んでいく。
ドリーム・キャッチャーが邪悪な白銀の輝きを発すると杖と融合、最強の杖が誕生する。
ドリーム・ゾーイ・スキアー・スパティ・ラヴディ!
俺は杖をケーゴメ・カイダロス目がけて構えた
終わらせよう!ロザリス!
ドリーム・ゾーイ・スキアー・スパティ・ラヴディを振るう
魔を持って邪神を封じる。邪悪な封印陣!シャイニー・ゼリオン!
白銀の魔法陣ゾーイ・マザが空中に浮かび上がるとケーゴメ・カイダロスの頭上に現れる。
ドラゴ・スコトノの腕を振りほどき立ち上がったケーゴメ・カイダロスの周囲に11本の光の柱が次々と降り注ぎ、魔法陣ゾーイ・マザが筒状に変形していく。
キェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
絶叫するケーゴメ・カイダロス
徐々に舞い降りる魔法陣ゾーイ・マザに体を押しつぶされていく。魔法陣から出ようと柱の一つを手で押し開こうとするも凄まじい魔力波の抵抗を受け抜け出ることができず、完全に陣の中へと封じ込められた。
そうしてゾーイ・マザすらも消えていく。虚空に消えたのだ。
こうして王国は救われた。
王は死に民衆の英雄たる王国三大騎士たちも命を落とし、魔法陣ゾーイ・マザに命を吸われ皮肉なことに
心身深い信者たちは全員死に、不信心者の少数派だけが生き残った。
「「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」」
大歓声が巻き起こる
大型の魔物を模した人形の乗り物その背に乗ってルースとエルマーがパレードの中心を練り歩く
英雄ルース!英雄エルマー!
この国を救ったヒーローたちだ
エルマーは言った
ルース!すごい!みんな私たちを祝ってるわよ!
道行く建物の窓にはびっちりと人が詰まっていた。
一つの窓に8人が押したり引いたりしている
窓辺から見るとよく見えるからか二階に人が集まっているのかもしれない
おお!すげえ!これ全部俺たちのために集まってるのか!
男がタルの中から出たり入ったりしている
けど、マスター、どうしたのかしら?
そういうエルマーが周囲を見回してもマスターゼロスの姿はなかった。
おい!エルマー!城が見えたぞ!
気を取り直して城へと進んでいく。
パレードが終わり、乗り物から降りると
王都城前まで来ると正門にレッドカーペットが引かれ神官たちが肩を並べて立っていた
皆、ルース達アスピダの英雄たちを待っていたのだ
後ろのほうに現れた関係者らしき男から丁寧に歩みを進められルース達はレッドカーペットの上を歩き左右の人々に小さく手を振りながら階段を登っていく。
これより!英雄ルース様と!英雄エルマー様!への祭儀を始める!
進行の男が言った
エルマー様どうか前へ
はい。
エルマーが年老いた神官の前まで来ると
神官は言った
英雄エルマー様には侯爵の位とエッフェナー領の広大な領地を!
嬉しそうに笑うエルマー
拍手喝采が巻き起こる
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進行の男が言った
次に、ルース様どうか前へ
ああ!ルースは嬉しそうに神官の前まで来た。
前職のジール神官が失踪したことで急遽出世した中堅神官がルースの前に立つと片膝をつき、国王の証である宝剣エクスカリパーを渡す。国王が消えた場所に残されていた宝剣だ
新たな国王、英雄王ルース様に!拍手を!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ルースは振り返ると民衆の方に向けてが剣をかかげ雄たけびあげた。
拍手喝采が巻き起こる
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王都のそばの森にピュエロスの墓石を用意した。
職人技で作らせた墓だ。
よく研がれた岩にピュエロスの名前が刻まれている。
そろそろルース達が英雄としての功績をたたえられ国王即位の儀を行っている頃だろう。
ピュエロスの遺体は見つからなかった。
俺は彼女の墓前に華をそえる。
遺体はないほどの惨状。それでもせめてとむらってやりたかった。
墓を後にすると。風が吹いた。
妙な気配がして振り返るとピュエロスが俺を見ていた。
それはまばたきをすると次の瞬間に消えてしまったが見間違いだったのだろうか。
見守っている。そう言いたいのか・・・。
・・・また来るさ。
俺は何もいないはずの墓前にそう告げてデュシス王国へと戻った
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戦いから数日、すでに王都は立て直しを始めている。
破壊された城もそこまで崩壊していなかったためか外観の修繕は済んだ。
王都の会議室を開くと大勢が集まっている。
10万人の命を奪った魔法陣ゾーイ・マザの大災害でデュシスの民は大勢死んだ。
生き残った人々の推薦もあり国王ルースを中心にアスピダの団と新たな副団長から晴れて出世、騎士長プッチョを中心に正式な王国の騎士団としてアスピダ騎士団が組織された。
いまは幹部を集めた臨時政府による会議が開くほどだ。
さきほどからルース達が今後の行く末を話し合っているのだが。
どうやらエルマーは不在のようだ。
任された広大なエッフェナー領の統治に駆り出され忙しいのかもしれない。
そうそう、そろそろガーネットを迎えに行ってやらなければ。
明日にでも王都を出て向かうとしよう。
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俺はガーネットが引きこもった病院に到着する。
バルバルの街を出る前に前払いでガーネットの滞在費いっぱいまで療養ということにして住まわせておいた
引きこもった部屋の前に来るとコンコンとノックする
ガーネット、俺だ。久しぶりだな。ようやく王国での騒ぎがおさまって迎えに来れた。
唐突だが一緒にデュシスに来ないか?
ルースとエルマーはデュシスを救った英雄として新国王と貴族になったんだ。
そこでならどんな待遇でも思うがままのはずだ。
外が嫌だと思うなら家を用意させよう。
ずっと引きこもっていられるぞ。
俺もお前を守ってやれる
お前にとっても悪い話じゃないはずだ。どうだ?
・・・。
無言か、わかった。考えておいてくれ、また来るよ・・・。
そうしてそれから俺は引きこもっていたガーネットを何とか説得して数か月かけてデュシスまで連れて来た。
ガーネット。お昼もうすぐだから、あそこに丘が見えるだろ。あそこで休憩にしよう。お腹空いたろ?今日はタレと肉があるからな。うまいぞ~。魔物の肉は丁寧に肉をさばくのがコツなんだ。
そう語りかけるも荷馬車の方からは俺に背を向けて寝込んでいるガーネットだけが見えた。
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法ドラゴ・ネストレ!
最上位回復魔法をかけ酔いを軽減させてやる
夜
無事、デュシスに到着するとあたりはすっかり暗くなっていた。
何やら騒がしい。
ここからでも花火が打ちあがるのが見えた。
関所を通過し、国内へと入る。
国家再建までまだまだ時間がかかるからか、ルースが労働者たちへのねぎらいに祭りでも始めたのだろうか。
ガーネット、ルースに会うか?
そう聞くもガーネットはただ首を左右に振るだけでこちらを見てはくれない。
もともとここに無理やり連れてきてしまったのは俺だ。
嫌ならルースに会う必要もない。
ただお前が心配だったからここに連れて来ただけだしな。
そうだ。ルースに会う必要はないが。この国で一番おいしいものを食べよう。
備蓄されている料理の材料を捕りに王城に向かう
王城目掛けて進んでいくと2人の衛兵が立っていた。
誰だ!
衛兵の一人が槍を構えるとそれを見たもうひとりが怒った
待て!ゼロス様だ!
ええ!ゼロス!?ルース国王様の師と言われるあの?
し、失礼しました!国王様たちがお待ちです。どうぞ中へ!
王城内へとコックたちのいる食堂へと入る。
アスピダの戦士たちがコックをしていた。
おお、ゼロス様!
悪いがすこし食料を分けてもらえるか?
もちろんです。それよりもよくお戻りになられましたね。
今日は妃様を決める日ですからそれはもう我々も大忙しで!
妃様を決める?ルースのか?
ええ!
俺はひとまずいい酒といい食品を用意してもらい。
その間にルース達のいると言われた会場へと向かった。
扉を開くと貴族となったアスピダの関係者と一層豪華な衣服を着こんだルースが会場に運び込んだと思われる玉座の上で女と話をしていた。
ルースのいる玉座目掛けて化粧やドレスや宝石類で着飾った女たちが長蛇の列を作っていた。
料理こそささやかなものが並べられているが。
何も財政難のこんな時期にやらなくてもと思った。
当のルースだが妃候補の女とそれは楽しそうに話をしている。
プッチョ!
俺はプッチョのもとへと向かうと
おお!ゼロス殿!お戻りになれましたか!
ルースは新しく妻をめとろうとしている。俺は長年支えて来た父代わりとしてうれしく思う限りで
そう言って腕で目を隠し感極まって泣き出してしまう
エルマーは?
さあ?エルマーならここ最近見ておりませんな。
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国王様!だーい好き!
目の前にいたお団子頭の令嬢がそう言って俺の胸に飛び込んでくる。
よく男をわかっている。甘え上手な女だ。
元々の貴族ではなく。アスピダの関係者として急遽誕生した貴族の令嬢だけあって純粋培養な貴族令嬢よりも男の扱いに心得があるのだろう。
はっはっはっ!うい娘よ~!
上機嫌で笑い声をあげた
ルーくん!ルーくん!
はははははは!最高だ!最高だぞ!
アスピダの団長をしていたころに実は気になっていた新人の女戦士だ。
トゲトゲしく近寄りがたかったが財も名声も手に入れたいまこんなものだ!
金がほしければもっと媚びて見せろ!思うがままよ!
優しくされてちょっといいかな~なんて思ったけどエルマーなんてブスブスブスあんなブスどこにでも転がっている!気の迷いだ。
俺はこの美女たちをつかむぞ!じゃあなエルマー!せいぜいエッフェナー領で幸せになりな!
そう決めるや否や俺は女と女を両手に抱き込んだ。
決めた!俺はこの見目麗しき二人を妃にめとる!祝言をあげるぞ!
そう宣言するや、慌てる側近たちがうろつき出す。
そのとき俺の目の前に美しい女が現れた。
誰よりも美しいその女は言った
ルース!ただいま!
あまりの美貌に見惚れてしまうほどの美だ。
誰だあの令嬢は?
見たこともないぞ。
周囲の人間も噂をはじめ会場がざわつき始める。
その女は一言で言い表すならよく磨いたガラスのような透き通る純真だった。
一種の美を突き詰めた人形のような美貌。
絶世の美女だ。
美女は言った
見てわからない?あなたのエルマーよ。
信じられない。何を言っているんだ?この女は
あなたのエルマーだってばあ~。
そう言ってエルマーは俺の両手から女たちを振りほどくと順に突き飛ばして客人の中へと投げ落とした。
きゃあ!
わ!
小高い玉座の台から転落していく令嬢たち、慌てて客人たちが令嬢を抱き支えた。
それで非難の目を向けるものがいても国王の権力を前に黙るしかあるまい。
そんなことはどうでもいい。
それよりも俺は目の前の美女を見た。
見違えた?それとも惚れ直した?
そう言ってエルマーは色っぽく笑った。
俺の首に腕を回すと胸が鼻先をこすりそうな距離まで寄って来る。
ほのかに甘い香りが鼻孔を満たす。
私ね。エッフェナー領の莫大な富を利用して世界中から優秀な魔法使いをかき集めたのよ。
あなただけのために全身を隅々まで魔法で作り替えて絶世の美を得たのよ?
誰よりも女らしい心と、誰よりも女らしい体と、誰よりもあなたに捧げる想い、を用意してあなたに会いに来たの。
それなのにどうしてこんなに妃候補を集めているの?
そ、それはだな・・・。
ま、まずい。ここでお前のようなブスを見捨てて美しい女を妃にしようとしていたなどと言えばエルマーは手に入らない。この女が俺から離れていってしまう。
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・
俺は唖然として二人の姿を見ていた。
見ていてわかる。
ルースは必死に言い訳を考えているのだ。
エルマー、俺は・・・最初からお前だけを見ていた。
ルースは相当頭をひねっているのか、顔を青くしながらしどろもどろに話し始めた。
・・・は・・・は・・・華は・・・華の中にいることで・・・より引き立つ・・・。そしてお前こそが・・・真の華なのだ・・・。
ルースの言葉は支離滅裂ではあったが。
エルマーはふふ、と小さく笑い。ルースの頭をゆっくりと撫でた
わかってるわ~。わかってるのルース、気の迷いなのよね。私があなたにふさわしいかを試した。それだけのことなのよね?そんな心配いらない。私はずっとあなたのものだったのに。
そうルースに語り聞かせるエルマーの目はどこか盲目的ですべてをルースに捧げる究極の献身だった。
ルースも夢中になっていた。
エルマー・・・。俺は・・・お前を・・・愛しているぞ・・・。
ハ、ハハ、ハハハハハハハ!誰ともなく笑いの声をあげると
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拍手があがった
おめでとおおおおルーース!
プッチョがより一層大きな声で祝福するとさらに拍手が巻き起こる
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拍手が止み、静寂が戻ってくると
許せない・・・。
誰かがつぶやいた。
背後に強大な魔力を感じ取り、勢いよく振り返るとガーネットが立っていた。
ガーネット!
彼女はぶつぶつと何か言葉をつぶやきながらルース達の目の前に歩いていく。
ルースは言った
ガーネット?
許せない・・・許せない・・・許せない!どうしてその女なのよおおおお!私のほうがそんな女よりも美しかったのに!ねえ、ルース!どうしてよおおおおおおおおおおおおおお!
ガーネットの体が異形の怪物へと変身していく。
バキバキバキバキ!
まるで枝が急速に成長をとげるような音を立ててガーネットの原型は崩壊していった
緑と紫色のガスの体、枝のような両腕、肉でできた8枚の裏返しのスカートが腰から持ち上がり開きかけた花のつぼみのようになる、横幅3cm縦幅4mほどの細長いウサギの化け物の頭を持つ怪物が現れた。
きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
いやああああああああああああああああああああああああああああ!
会場中から悲鳴が上がり、引き潮が引くように客たちが部屋の隅へと避けていく。
変わり果てたガーネットがうなり声をあげた
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
そのとき俺は気が付く。
これは・・・魔王の力か!
まさか、モードレッド国王との戦いで魔王の力に呑まれた影響か!
城中の衛兵たちが駆け込んでくると槍を構えてガーネットを取り囲んだ。
大勢の衛兵たちがわずかに安堵する会場の客たち
衛兵が叫ぶ
みんな!油断するなよ!
よせ!
俺はそう制止するが聞く耳を持つわけもなく立ち向かってしまう
はあ!
槍を振るった瞬間に鋭く伸びて来た腕が衛兵を貫く
マッーク!
おおおおお!があああああああああああああああああああ!
マックが血反吐を吐きながらブルブルと震えている
それを見た客たちは恐怖に絶叫した
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいあああああああああああああああああああ!
わあああああああああああああああああああああああああああああああ!
そんな・・・。
いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!
いくつもの悲鳴上があがり
胸骨を粉砕され悲鳴をあげると串刺しにされ持ち上げられてしまう
ジョカやれ!
ふん!
ジョカと呼ばれた戦士が槍を投げるもガスの体を通り抜けむなしく床に落ちた。
ジョカ目掛けて緑のガスが迫ると
ぶああああああああああああああああああらああああああああああしゃ!
ガスが発火、高温の炎が燃え上がり火だるまになったジョカがドロドロに解けていく
それを見た客たちがさらに悲鳴をあげる
いや!
きゃあ!
あああああああああ!
いやああああああああああああああああああああああああ!
ガシャーン!シャンシャンシャン!
高級ワインボトルの割れる音が響き。食器台がずり落ちる音が響いた
ガーネットの肉のスカートの中からビン!とベロが伸びると、衛兵の足に素早く巻きつき、軽々と持ち上げてスカートの中へと引きずり込もうとする
あ!あああああ!あああああああああああああああ!
ムック!
慌てて仲間がムックの手を引っ張り、後ろの仲間たちに向かって叫んだ
手を貸せ!
ムックを救い出そうと生き残りたちが全員でムックの手を力任せに引っ張る
わ、わ、わあああああああああああああああああああああああああああああああ!わああああああああああああああああああああ!
やめろおおおおお!
力ではかなわずそのままスカートの中へと引きずり込まれ血しぶきをまき散らしながらぶしゃぶしゃと食われてしまう。
デロデロのぬめぬめのテラテラのグシャグシャな血が客の女の顔に降りかかると
いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!
口の中まで真っ赤にして女は叫んだ
それがさらに恐怖を呼び客たちも悲鳴をあげる
ひいあ!
ひいあああああああああああああ!
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
ひゃあああああああああああああああああああああああ!
かえ!
わえわえわえ!
大勢の悲鳴と何かの声が響き
無残にも血が飛び散った
やめてええええええええええええ!
パパー!パパー!
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
にげろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
衛兵たちまであまりの恐ろしさに逃げ出してしまう
すると今度は逃げようとする観客たちまで襲われ出す
完全に暴走している。
いまの彼女はただ破壊衝動に突き動かされ、我を失っていた。
やああああああああああああああああああああああああああ!
ひゃあああああああああああああああげえええ!
ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
ぶっは!
ぎじい!
ガーネットの巨体が走り出すと踏みつけられた人々がめちゃくちゃに殺されていく
よせ!ガーネット!
俺は人込みをかき分け双剣杖を構える。
ガーネット突進を双剣杖で抑えた
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
!
くう・・・
突然、目まいがした
次の瞬間
ぐあ!
巨体で叩きつけられそのまま吹っ飛ばされてしまった。
凄まじい怪力だ。
体中がだるい・・・ま・・・待ってろ・・・ガーネット!必ず救ってやる!
俺はふらふらになりながら立ち上がると双剣杖を構え、詠唱を開始する。
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
本能的に脅威を察知しガーネットが魔力を練り上げる
お前を傷つけたくはない。黒魔術で威力を抑えて・・・しかし、それでは魔王である彼女を止めるには弱すぎる。それに会場にはまだ逃げ遅れた人たちが、どうすれば!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
迷っている間にもガーネットは魔法を練り上げ近づいてくる
やるしかないのか!
双剣杖を構え
精神を集中させる
はあああああああああああああああああああああああああ・・・ゴハッ!ゴハッ!
強烈な吐き気がして手で口をおさえると口から血が出ていた。
く、苦しい。
俺は思わず片膝を地面についた
ぐ!まだケーゴメ・カイダロスとの戦いの傷が癒えていないのか・・・。
顔をあげた瞬間目の前にガーネットのガスが迫る。ガスは泥色に変色して一気に燃え上がった
しまった!
うああああああああああ!
全力の魔法を叩き込まれ5000度の炎で燃やされると俺は気絶してしまった。
・
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・
・
ガーネットは邪魔者がいなくなると平静を取り戻し、ついにルースをとらえた。
ルース・・・許さない!ゆるさなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ガーネットがルース目掛けて頭から突っ込でいく。
次の瞬間、エルマーの体を真っ二つに引き裂いてルースのいた椅子を粉々に砕いた。
きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
わああああああああああああああああああああああああああ!
逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
間一髪逃げ延びたルース、悲鳴をあげ尻もちをつき、後ろ手によちよちと地面をはう。
目は真っすぐにガーネットを見上げたまま離せない。
ガーネットの頭から料理の真っ赤なパイがずり落ちた。
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースは悲鳴をあげた
ガーネットが腕を振りかぶり凶器が迫ろうとしたそのとき。
ガーネットの一撃を受け止めたのは突如、浮遊したエルマーの頭だった。
エルマーは切断された体のままガーネットの攻撃を弾き飛ばすと言った
ルースを傷つけるなんて許せない!
エルマーの周囲の魔力が増大し、上半身と下半身の間に神経のような肉の糸が無数に現れると少しずつ合体していく
そのあまりの恐ろしい光景にルースは息も絶え絶えに悲鳴をあげる
はぁ・・・ふぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!ああああああああああああああああああああああああああああああ!
あああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースは変体していくエルマーを見てさらに絶叫した
美しかった顔は変形していく。
腕と足の関節が3段階に増え、6本脚で立ちあがると岩石のような体に赤い目が5個頭部に現れ、エビに似たしっぽが20本生え。細長い甲殻類を思わせる化け物が姿を現す
エルマーの絶世の美貌の正体とは魔王の力で体を変質した結果でしかなかったのだ
胸元に現れたエルマーの人間の顔面だけが言葉を離した。
この力で私は美貌を手にした。あなたにはできないけどね!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ガーネットが激怒しエルマーに戦いを挑む
プシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
エルマーも咆哮するとついに激突した。
よくもおおお!エルマーのくせにえええいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ずっと嫌いだった!ガーネットなんて死ねばよかったのよおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーー!
プシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
客たちの阿鼻叫喚が響き渡る
きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ある者はドレスが避けようとも走り続け
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ある者は隣の子供を突き飛ばし
きゃああああああああああああああああああああああああああ!
ある者はただただ恐怖に叫び
うぼえーーーーーーーーーーー!
ある者はあまりの光景に嘔吐した
ああああああああああああ!あああああああああああ!
錯乱した者は目の前の光景を遠ざけようと意味もなく両手をさまよわせ顔を覆い
きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ある者は突き飛ばされた拍子に七面鳥とサラダの料理に転倒した
わああああ!
きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースの顔に血しぶきが降りかかる
こ、腰が抜けて、たてねえ・・・。
ルースは少しずつ地面を、はいずった
それがはからずも二人の魔王の戦いを回避する結果を生み出し
うう、死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・。
部屋から逃げだすことに成功したのだ
いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースが逃げ出したあとも部屋からは殺される客たちの地獄の悲鳴が響き渡っていた
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倉庫からしこたま持ってきた高級ブランデーの木箱を床に置くと
大量の高級ブランデーを壁に叩きつける!
ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!
さらに大量の高級ブランデーの詰まったタルのせんを、キュポ!開け、ジャバジャバジャバジャバとまんべんなく床にふりかけていく
部屋の中が酒の甘ったるいにおいで満ちた
よくブランデーがいきわたったのを見越して
震える手でカーテンを引き裂く。
ビリリリイ!
こんな!こんなことありえない!ありえない!俺は生きる!生きるんだ!
カーテンの切れ端を暖炉に刺さったままの火かき棒に巻きつけるとブランデーをふりかけ火をつけた。
ぶわああああ!
燃え上がるたいまつを眺めてルースはニヤ、っと笑った。
その笑みは生きようとする生命の、醜悪なまでの生への渇望だったのかもしれない。
これで終わらせてやる。ガーネットもエルマーも!醜い化け物どもめえええええ!
走りながら金貨数枚かけて作られたであろうシルク100%、特注品の高級カーテンに次々と火をわけていく。
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ燃えろ燃えろ!燃えろ燃えろ燃えろ!ゴフッ、
のどがむせるほどに燃えろと叫び続け
それでもやめずに唱え続けた
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!燃えろ!
城中に火が渡った。頃合いだろう。
岩が多面積を閉める部分がいまいち燃えていなかったがそれもこの城中の炎で高温の釜戸と近い温度にできるはずだ。
城中が火に包まれた。
これならあのガーネットやエルマーでもひとたまりもないだろう。
ニヤニヤとした笑いが止まらない。あとは城から逃げればいいだけだ。
なに俺は国王だ。英雄ルースだ!民衆は俺についてきてくれる。城ならまた建てればいい。
いまは炎にまかれる前に逃げよう。
そう思い走り出す
ボオワアア!
うわあ!
炎に巻かれた。
クソ!
火は燃え広がりルースの周りを満たしていく
これじゃ逃げ場が・・・!
退路を断たれ立ち往生していると
ドス、ドス、ドス、足音が響いて来る
まさか・・・?
恐る恐る、暗闇の向こうに目を凝らすと炎の向こうから何かが近づいてくる
ルース~。
炎の中からエルマーの姿がくっきりと見えた。
さきほど見た腕と足の関節が3段階に増え、6本脚で立ちあがると岩石のような体に赤い目が5個頭部に現れ、エビに似たしっぽが20本生えた。細長い甲殻類を思わせる化け物が姿を現していた。
う、う、うわああああああああああああああああああああああああああああ!
半狂乱で走り出したルースは炎の中へと飛び込み、
ぐあああああ!
わずかに火だるまになるも地面を何度も転がり火を消した。
全身にやけどの痛みが走るも、それすら無視して一目散に走り出す
声は背中から迫って来ていた
ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、
ねえ、ルース・・・どうして?どうして城に火を放ったの?中には私もいたのに、ガーネットと一緒に私も殺そうとしたの?
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!うわあああああああああああああああああああああああああああああ!
私を見捨てないで~!
プシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
エルマーの醜い咆哮が俺を追い越した。
背中にいる!すぐそこまで追って来ている!
ドス、ドス、ドス
走り、何度も角を曲がるとドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、
どこおお~・・・。ルース!ルース!あなたにすべてを捧げたのにいいいい!
はあ・・・はあ・・・はあ・・・。
何とか追跡を巻き噴水広場まで来ると、半泣きになる
こ、ここまで来れば!
ルース!
突然、ガーネットの声が響くと
ドバアアン!
目の前の噴水にガーネットの巨体が降って来た。
ビュラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
うぇあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ルースは絶叫して走り出す
エルマーだけでなくガーネットも押し寄せルースを追いかけて来た
王宮の花の園は緑でできた迷路だ。
そこを必死に走り続ける。
ああああああああああああああああああああああああああ!えええええええええええええええええええええええええええええええん!あああああああああああああああああああああああああああああああ!
ぎゃあおおああああああああああああああああああああああああああああああああ!
死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。
あてどなく、闇の中をかきわけ光を目指す非力な少年のようにのどの渇きも忘れて一心不乱に走り続けた
それから。追跡はまる一晩まる続き、ルースはひたすら走り続け、やがて山へと逃げ込んだ。
それでもルースは走り続けた。
よくあるおとぎ話の絵本に書かれているような三日三晩走り続けたなどという言い回しを実際にやってみせた。
それから10年後、とある村では噂が流れる。
年老いた骨と皮だけの老人の化け物が山の中の小屋に潜んでいる。
いわゆる怪談話だ。
それがルースの末路であることをゼロスは10年後、ある街娘の噂話から聞くことになる。
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きしむ体で目を覚ますと病院にいた
いつの間にか気絶していたようでどうやら誰かに救護されたようだ。
全身が痛い。
目を覚まして、すぐ横に立っていた医者が言った
勢いよく起き上がろうとすると胸を抑えつけられた
落ち着いて!動かないで!まだ無理ですから!
あれから数週間がたっています。まだ安静にしていてください。生きているのが信じられないほどの大けがだ。
そう言われ起き上がるのをやめると医者は手を離した。
突然声がかかる
先生!急患です!
わかった!
医者は別の患者を見に部屋から出て行ってしまう
くっ・・・。
痛みに耐え、立ち上がると医者の言うことを無視して俺は歩き出し出口に向かった。
病院を出るとデュシス王国の病院だとわかった。
ここからでも燃え落ちて黒焦げになった城が見える。
すべては悪い夢だったんだ。
俺はそんなどうしようもない気持ちになった
俺たちは世界を救ったはずなのに・・・どうしてこんなことになった・・・。
城から離れた場所に火の手は回らなかった。
街には平穏を取り戻した人々が普段どおりに往来している。
大魔法陣ゾーイ・マザの影響で多くの人々が命を落とした。それでも万を超える人口だ。いずれ復活するだろう。
なんのけなしに歩いていると派手な服を着た女が歩いてくる。
一般的水準に照らし合わせても美人に分類される女だ。
ドレスと半透明の薄い布を肩に羽織っており、ヒールをはいた何とも艶やかな女だ。
格好からしておそらく娼婦だろう。
彼女は隣にいた男と腕を組み歩いていた
隣を過ぎ去ろうとして
ねえ~、いいでしょ~。
聞き覚えのある声がした。
この声は・・・!
振り返り顔を見る。
相当化粧を濃くして様変わりしているがわかる。
エルマーだった。
彼女と一瞬だけ目が合う。1秒にもみたない一瞬の視線の交差だった。
それからエルマーは、あとでね。と男に告げて分かれると
俺の前まで歩いて来て、首に腕を回してもたれかかりながらこっちを見た
ゼロスちゃん!お姉さんといいことしない?そう言って太ももを足にこすりつけて来た。
やめろ!
軽く突き放すと
エルマーは器用にバランスを取ったあとで
ふふふふふふふふふふふふふ!と不気味に笑い出し俺の横を歩いて行ってしまう
あははははははははははははははははははははははははははははははははははーーー!あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははーーー!
こちらを一切振り向かずに高笑いをあげながら行ってしまった。
俺は過ぎ去る彼女の背中を見ていた。
彼女は一切振り替えられなかった。
魔王となり果てた彼女は顔を変え、これからも男たちの精をもてあそび夜の女王として君臨するのだろう。
俺はまた・・・守れなかったのか・・・。
・
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・
・
マルベリーの生死が不明なままアナトリ・キオ王国の城下街に到着するとあちこちの建物が燃えていた
道にはデス・ムント・デスの眷属たちの死体がいくつも転がり屋根の上にしなだれかかっている。
どれも頭や体を切り落とされ活動を停止しているようだ。
王国の騎士やサイフォスが戦闘を繰り広げたのかもしれない。
人気がない道を進み続け。
街中の広場へと向かうと人だかりができていた。
なんだ?
ぐあ!
小さく悲鳴が聞こえた。
興味がわき人の輪の中へと入ると
うああ!
成長して少し大人びた見た目になっているが間違いない。なんと、プラチナが叫び声をあげていた
助けてええ!誰か!助けてええええ!
見知った防具屋の親父がプラチナの手を無理矢理引っ張っていく
来い!化け物め!ぶっ殺してやる!
すさまじい形相でプラチナをにらみつける防具屋の親父、その目は本気でプラチナを殺そうとしていた
いやだああああああああああああああああああ!
ドゴ!
防具屋の親父の痛烈な拳がプラチナの顔面を打ち付ける
あう!
地面に倒れ
ツー、と鼻から一筋の鼻血がつたっていた
何が・・・起きているんだ・・・。
俺はあぜんと騒ぎを傍観してしまう。
防具屋の親父が言った
もうようしゃしねえぞ!立てええ!
武器屋の親父が言った
おい!なんか光ったぞ!
それは日光が乱反射しただけのアクセサリーだったのだが。
道具屋のハゲ頭は言った
魔法を使う気か!本性を現したなあ!
道具屋のハゲ頭から思いっきりの一撃叩き込まれると足が踏みつぶされる
うああああああああああああああああああ!
プラチナは絶叫しはいずりながら逃げていく
痛い・・・!痛いいいいい!
果物屋の白服が言った
逃がすかよ!
胸倉をつかみあげ立たせると反対方向に突き飛ばされる
ドシャ!
ぬかるんだ泥の中へと落ち泥にまみれた
よくも・・・息子を!
おぞましい!
穢れだ!
やじ馬たちから口々に暴言が聞こえて来る
仲良しだった本屋の親父もアクセサリー屋の女も、街に住む見知った大人たち全員がプラチナを取り囲みにらみつけていた
まるで俺をさげすんでいたときと同じおぞましい怪物を見る目だ。
プラチナは泣き叫んだ
いやああああああああああああああ!いやあああああああああああああだあああああああああああああ!
プラチナは泣き叫びながらフラフラと立ち上がる
手足も顔も傷だらけだ
助けてえええええええええええええ!助けてええママあああああああああああああああああああ!
おばさんは重たそうになみなみとしたバケツを持ってくると憎しみを込めた目と顔でプラチナをにらみつける
お前にはこれがお似合いだよおお!
バサアアー!
大量の液体をぶっかけた
プラチナの体は全身真っ赤に染まった
豚の血だ。
プラチナは恐怖と異臭に怯えている。
防具屋の親父はプラチナの髪の毛をつかむとにらみつけながら言った
お前が化け物だってことはわかってんだよお!それだけじゃねえ!その証拠にこの生き残りの男が証言してる!
そう言っておどおどと顔も知らない男が現れた
こいつはデュシスから逃げて来た!
お前の親父が化け物を使ってデュシスで大勢殺したこともわかってんだ!この街の大惨事もすべてお前ら親子のしわざだろうが!
武器屋の親父が容赦なく拳を振るう
おらあ!
ドス、重い一撃が腹に叩き込まれる
うっ!
いやだああ!いやだああ!
今度はこっちだ!おらあ!
本屋の親父が右スイングがプラチナの顔面をぶん殴る
だふ!
おらああ!寝るんじゃねえ!
髪の毛をつかみあげ顔をあげささせると
果物屋の白服がさらになる右スイングが顔面をぶん殴る
がは!
アクセサリー屋の女が野次を飛ばす
やっちまえええ!
四方八方から拳がくりだされていく
おらあ!死ねやおらあ!
ご!ば!む!ぎ!だ!ど!ふ!あ!ぶ!げ!
ふざけやがって!この淫売が!
ぶえ!
俺たちを殺そうなんて!なめやがってええ!
ガハッ!
うう・・・うう・・・うううううう!
プラチナはダンゴ虫のようにまるまって痛みに耐える。
顔は血だらけになり口の中から大量の血が流れ出ていた。
歯は折れ、唇の端が切れ、鼻の穴からも出血し、頬と目の上にはいまにも膨れ上がりそうな青いたんこぶができていた。
ひどい出血だが血だらけの体では一目見て判別はできない。それほどまでの暴行だった
それはまるで自分が人々から受けた迫害と重なって見えて俺は耐えられなくなっていた。
・・・やめろ。
いつしか俺はそうつぶやいていた
おらぁ!
ぐぁ!
そいつは俺とは違うんだ。
このお!
げっ!
毎日寺院の子供たちからいじめられてそのたびにピュエロスが寺院に呼び出されて
死ねや!
あぐ!
寺院の仲間たちから嫌われないよう汗だくになるまで聖術の練習をして、
くらえ!
おえ!
仲直りするためにお菓子を作ったり、
おらぁ!
がっ!
仲間たちに教えるために剣術を学んだり
ごらぁ!
いぎ!
俺の情けない暴言もピュエロスがなんとかフォローしてくれて・・・ようやくここまで生きて来たんだ。
くのお!
くあ!
ダメな俺なんかとは・・・違うんだ・・・!
死ね!
あぁぁ!
俺たちの大事な・・・大事な・・・。
お前が化け物かどうか!全身の皮を剥いて中身を確認してやる!こっちに来いい!
防具屋の親父がプラチナの髪の毛を引っ張りひきずっていく
プラチナは必死に暴れた
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
痛いいいいいいいいいいいい!痛いいいいいいいいいいいいいいい!助けてぇ!助けてえええええええええええええええええええパパあああああああああああああああああああああああ!
やめえろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
気が付けば俺は防具屋の親父をぶん殴りプラチナの体を包むように抱きしめていた
お前!戻ったのか!
防具屋の親父は仲間たちに支えられなんとか起き上がるとわずかに後ずさる。だが顔を真っ赤にして俺を見下ろしていた
さては俺たちを殺す気だなあああ!
しねぇぇ!
振り下ろされる蹴りや木の棒
おらぁぁぁぁぁ!
うらぁぁぁぁぁ!
全身をいくつもの暴力が襲った
どれも本気で殺そうとする一撃だった
ただ、ただ、むなしかった。
人々を救い、人々に追い詰められ、地の底まで落ち、それでもなお人々を救って人々から疎まれる。
プラチナは俺の腕の隙間から獣性をむき出しにした男たちを見ていた。
後ろではやしたて蔑みと嘲笑をする女たちを見ていた。
残酷な好奇心から遠巻きに自分たちがいたぶられるの様を見て楽しそうにしている子供たちを見た。
俺は涙を流す我が子を強く抱きしめると語り掛けた。声が震え、泣きそうだった
プラチナ・・・これが人間だぁぁ!
世の中みんな・・・敵だ!
よく覚えとけ・・・よく・・・覚えとけえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!




