25~2 職業魔法の世界シックスウィーザード1
王謁見の間の扉を開くと巨大な化け物が姿を現す。
魔王だ!ルース!ガーネット!エルマー!みんな武器を構えろ!
弟子たちに指示を飛ばす
「「はい!マスター!」」
はああああああああ!
死力を尽くした戦いは続いた。何度も魔法を撃ち、双剣杖で斬り裂き、
はあ!
一閃、双剣杖を魔王の顔面に振り下ろし切り裂く。
貴様らああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
魔王の体から邪悪な力があふれ出すと触手が襲い掛かる
伏せろ!
素早くしゃがむと
うわああああああああああ!
頭上から弟子の叫び声が響く
ルース!
きゃあああああああああああ!
ガーネット!
弟子たちが触手にからめとられていく。
目の前にまとわりつくように触手の束が迫った。
離せ!化け物め!
触手を切り裂く
ひああああああああああああああ!
エルマー!
弟子たちが触手につかまり黒い闇に呑み込まれていく。
闇が世界すべてへと広がってすべてが闇に呑み込まれた
・
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・
・
・
・
アジトに戻ると見知った顔の仲間たちが何人も燃えている
う、うう・・・。
わずかだが倒れている者の中に生存者を見つけた。
大丈夫か!
肩を貸し火のないところまで運ぶ
誰かいないか!
辺りを探すとマルベリーさんが立っていた。
マルベリーさん!無事だったんですね!グレムさんはどうしたんですか!
・・・グレムは・・・最後まで勇敢だった。
そうですか・・・。
マルベリーさん、僕はどっちも守れなかった・・・。
マルベリーさんは言った
グレムの選んだことだ。
火事が沈下したのは次の日の朝だった。
数週間後、戦士たちを集める。
100人いるかいないか。最初に見た数よりずっと減っていた。
たったこれだけ。そんな感想を抱く人数だ。
僕は小高い壇上に上がると深呼吸してから宣言した。
多くの仲間たちが・・・命を落とした。
耐えがたき地獄を生き残り、血で血を洗い流す壮絶な戦いだった。
周囲を見渡せば誰もが歯を食いしばり目に涙をためていた。
だが・・・俺たちは生きている!
多くの仲間たちの犠牲の上に生き延びている!
その意味を!いま一度、諸君等の胸に問い正してみてほしい!散っていった仲間たちの無念を糧に!戦友の亡骸を置いて俺たちは!前に進み続けなければならない!
皆の胸中に言葉が染み渡るのを待ち俺は言った。
俺はここに新生サイフォス再建を!宣言する!
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
大歓声が巻き起こった。
・
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・
・
・
・
数ヶ月後、暗雲立ち込める空をかき分け突き進む、飛空艇、甲板の上で俺は敵地を見下ろしていた。
バッ、と敬礼される。
英雄ゼロスと作戦を共にできて光栄であります!
新しく入った新人戦士だった
ピュエロスが彼を杖でさえぎり
待て!お前ここで何をしている!
し、失礼しました!ピュエロス隊長!
俺はピュエロスの杖を下げさせると言った
俺は英雄だなんて柄じゃないが。それより君こそ頑張りたまえ。
そう言って肩をたたく
はっ!
うれしそうに返事をして若い戦士はトタトタ!と行ってしまう。
マスター、少し甘すぎでは
いいさ。俺もいつまでいられるかわからないし。嫌な上司として覚えられるよりいいじゃないか。
俺はサイフォスの首領になった。
デス・ムント・デスを倒す使命から目を反らし、背を向け、投げだした。
この世界の平和を守るため戦うことにしたのだ。
大義はある。
しかし、平和を維持すれば乱すものが現れる。
俺たちはあれから新たな敵と戦っていた。
職業魔法の世界の侵略者たちだ。
ピュエロスが言った
マスター、時間です。
ああ、わかっている
もう一度、敵の城塞を見下ろして言った
いくぞ!ピュエロス!
はっ!
空に向けて走り出し、飛び降りると、一気に滑空していく。
顔中をいくつもの風が切る。
精神を集中し、双剣杖を振るう
黒魔法・メラース・パンメガス・プネウマ!
双剣杖の先から黒いビームが発射されると堅牢な城塞の壁を一撃で吹き飛ばし、内部の廊下が露見する。緑のビームをほとばしらせ機械手袋サイバネティクス・ケイリスを起動させる。
陰魔法・ウンブラ・トイコス!
目の前に瞬時に陰の障壁が展開、すべり台のような足場として活用
障壁の上をしゅるしゅると滑り降りていく。
いくつもの砲撃がすぐ目の前で弾け、爆炎をあげた
加速するつもりで腰を低くしゃがみ込む、そのとき、上空のドラゴンから一人の戦士が飛び降りて来る
障壁の上に着地した男は両手で剣を構えた。
ここは通さんぞ!
鑑定して理解する。竜殺しの戦士だ。おそらく敵のエースか何かだろう。かなりの手練れだ。手にはドラゴン・キラーを持っている。
おもしろい!受けて立とう!
俺も以前手に入れたドラゴン・キラーを手に持つと
はあ!
思いっきり振りぬいた
敵のドラゴン・キラーとドラゴン・キラーがぶつかり合う。どちらの世界のドラゴン・キラーがより強いかももちろんだが。そこに俺の技量を上乗せさせ見事両断してみせる。
なにいい!
驚愕する男の声を背にしゅるしゅるとすべり降り、城の廊下に着地した。
障壁が消失すると
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
さきほどの戦士の悲鳴が響き渡る。
ドシャン!などとこの高度で落下音が聞こえて来るわけがないが。そんな音が聞こえた気がした。
手のドラゴン・キラーを眺める。すると刀身がぐにゃりと歪み形状変化を引き起こし、ドラゴン・キラー・キラーへと進化した。
・ドラゴン・キラー・キラー「力+180、ドラゴン殺しの剣を斬り裂いたドラゴン殺しの剣」
ふむ、なかなかどうして素晴らしい武器じゃないか。
ドラゴン・キラー・キラーをしまうと。
俺の左右にワイヤーショットが撃ち込まれ、おサルの集団のような動きで部下たちが一斉に乗り込んでいく
手はず通りだ。お前たちは城の安全を確保しろ!
「「はっ!」」
全員が一斉に返事をした
ピュエロスが叫ぶ
マスター!
振り返ると目の前に敵の魔法が迫っていた。瞬間的にここは黒魔法で迎撃してと算段をしていると
凍結魔法・パーゴス・コルタール!
突如現れた戦士が凄まじい速さで加速、氷の剣を振るい敵の魔法を両断する。
マルベリーだ。
マルベリーはあきれ気味に言った
困ったものだ。首領自らが戦地におもむくなどいい加減、自分の立場を自覚してくれ。
すまない。マルベリーだがお前も持ち場を離れているようだが?
ふっ、
冗談だろと、不敵に笑って一笑に伏された。取り合う気はないようだ。
しかたがない。いくぞ!
長い廊下を暗闇に向かって駆け抜ける
いたぞ!侵入者だ!
敵兵士たちが長い廊下の先から姿を現す
ゾロゾロとお出ましのようだ。
はあ!
目の前の敵を切り裂く
ふん!
マルベリーが左右の兵士たちを切り裂いた。
華麗にジャンプすると天上を蹴り、目の前の敵を一気に切り裂く
はあー!
ピュエロスがタリズマンを構える
黒魔術・パンメガス・スコタディ・スフェラ!
ピュエロスの上級闇魔術がさく裂すると兵士たちを闇が飲み込んだ
いたぞ!こっちだ!
さらに兵士たちが押し寄せて来るのが見えた。
どうする?まとめて吹き飛ばすか。
そう考えていると
マルベリーが敵兵を切り裂き、剣を構えながら言った
キリがないな。
マスター!ここは私が!
そう言ったピュエロスと入れ替わるようにマルベリーが敵に向けて走り出す
俺が行こう!お前たちは先に行け!
そう言って次々と敵を切り裂いていく
わかった!たのだぞ!
マルベリーさん!お気をつけて!
俺とピュエロスはさらに奥に走っていく
・
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・
・
・
・
開けた場所に出ると城塞の中に寺院があった。
大理石で作られた石造りの建物だ。
手入れの行き届いた緑のしばふに溢れ、水車がコロコロと回っている。
中に入ると女神の石像が置かれていた。
なんだこの施設は、いったいどうなっている!ピュエロス警戒しろ!
はい!マスター!でもあれは!
ピュエロスが指さした方には女神官と男がいた。
何やら会話している
女神官は言った
これは我らが主神パリョ・テオス様にございます。ご利用ですね?では、こちらの杯にお布施を、お布施は恵まれない子供たちのために使われます。
どうやら両手で抱えられそうな杯にコインを入れろとのことだ。
お気持ちでよろしいですよ?
信心深い神官だと思った。
もはやパリョ・テオスなど死んでいるというのに
いまはそれどころではない。なぜここにこんなものがあるのかわからないが。何にせよ。こいつらは敵だ。
男が杯にコインを寄付したのと同時、
はあ!
俺は飛び出すと男を蹴り飛ばし、女神官の胸倉をつかみあげた
くはっ!
苦しむ女神官
手短に説明しろ!ここは何だ?
しょ、職業・・・聖法を授ける・・・神聖な陣にございます・・・!
何?聖法?意味がわらかないが。
蹴り飛ばした男の方をいちべつする
頭から血を流して気絶しているようだが、ピュエロスが万が一男が立ち上がって襲い掛かってこないよう警戒してくれていた。
新たな魔法がここで手に入る。それも敵の世界の魔法だ。ちょうどいい。
俺にそれを寄こせ!逆らえば!
そう言って双剣杖を女神官の鼻先に突きつける
わ、わかりました!
女神官に言われるまま奥に向かう。
四方に聖なる噴水が置かれ、聖水あふれる魔法陣の模様を満たしていた。
女神官は言った
そちらの陣の中へ
なりたい職業を選んでください
そう言われ陣の中央に立とうとすると
バチィ!
雷がほとばしり陣から弾き出された。
こ、これはいったい!
真っ青な顔をして驚く女神官はいきなり走り出す
逃げる気か、ピュエロス!
はっ!
俺の命令でピュエロスが女神官を捕まえるとひざを使い地面に頭を押し付ける
いや!離しなさい!
暴れるな!
ぐはっ!だ、ダメ!お前のようなものに職業を与えるわけにはいかない!無職でいなさい!
暴れるんじゃない!
そう言ってピュエロスが女神官を羽交い絞めにする
無職だと?それはなぜだ?
そう俺が問いかければ女神官は言った
お前は魔を持つ者おおお!魔を持つ者が聖なる陣に入るなど!それすなわち聖法に対する冒とく!魔法の目覚めを意味する!
私はパリョ・テオスを信仰する神官としてそのようなことは断じてできかねます!
聖法とは何だ?
聖法は魔法と対となる力!我々こそが聖法を用い邪悪な魔法を駆逐する聖なる存在なのです!
お前たちの信仰の話などどうでもいいが、どうやらこの陣に入ることで俺は新たな力を得るようだな?
だ、ダメええええええええええええええええええええええ!
俺は陣に向き直り手を伸ばす、陣から聖なる力が溢れ出し全身を包み込んだ。
バチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィ!
ピュエロスが叫ぶ
マスター!
・・・・・・はっ・・・はははははははっ!女神官は笑いながら言った
ははははははっ!聖なる陣がお前のような悪しきものを受け入れるとでも思ったかああああ!地獄で焼かれるがいいいいいい!
貴様!マスターにそれ以上の無礼は許さんぞ!
ピュエロスが激怒すると女神官の首をつかむ
女神官を見れば狂気の沙汰だ。狂ったような笑顔をしている。
狂信的な善意。昔からエイレースケイアとはこういった人間ばかりだ。白服からして近代主義者、以前プリズマに仕えていたピエールカルダン司教のようなミリアの分派の司教が関係しているのだろう。
ふむ、俺を拒むか。いいだろう。押し通るだけだ!
バチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィ!
抵抗する聖なる力が聖なる雷となって俺の体を焼き尽くす。
バチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィバチィ!
マスター!
狼狽するピュエロスと
ははははっ!そのまま焼けてしまえ!
女神官がざまあみろと言いたげに叫ぶ
ぬううううううううううううううううううううん!
バチィ!
ひときわ大きな音を立てると聖なる力を打ち破り無理矢理陣の中に侵入することに成功した。
ば、馬鹿な・・・。
絶望する女神官
ふふん、マスターを前に常識など通用しないと知りなさい。
意地悪くピュエロスが笑っている
ふん、おもしろいおもしろいよおもしろい。見たまえ、聖なる力など茶番だ。
俺もそうあざけった
陣の中央に立つと本が目の前に現れる。
歴史的に価値のありそうな相当古い古文書のようだ。聖典・・・か?
やめなさい!汚らわしい!世界の一端の一つとされるパリンプセストの書にお前のような邪悪な存在が触れるなど!
黙れ!
ピュエロスが女神官の頭を地面に強く押し付ける
手足をバタつかせる女神官を無視して古文書をめくっていく
パラパラパラパラパラ!
剣、杖、いのり、斧、マシンガン、ヌンチャク、ハリセン、
それぞれ戦士、魔法使い、僧侶、マフィア、中国拳法、漫才師の絵が本の中で光輝いて並んでいる。バラエティー豊かな一覧だ。世界観も何もない。お好きにどうぞということだ。
どれ漫才師にでもなるか・・・おや?
そのとき俺は気が付いた。
その中でもページとページがピッタリ貼り付いて開かないページがあった
これは!
どう見ても袋閉じだった。
ぐぬぬ!堅いな!
女神官が叫ぶ
ちょっと!おもちゃじゃないのよ!やめなさいいいいいいいいいいいいいいいい!国宝があああああああああああああああああああ!
黙れ!
ぶえ!
ピュエロスが口に泥を突っ込み黙らせる
しかし、この古文書、俺の力をもってしても開けられないほど・・・ふんぬ!
ビリビリビリィ!
袋閉じを開けた。
ふう、手こずらせやがって
ページには暗黒騎士と書かれていた
本のページが取り外し可能なカードのようだ。
おい、この暗黒騎士とは何だ?
女神官が叫ぶ
馬鹿な!7番目の職業なんて聞いたこともない!
未知の力のようだ。
やめなさい!何が起こるかわからないのよ!
よし、ならこれにしよう!新たな世界の力、もらい受けるぞ!
本が俺に言っている。本の記述を言葉にして詠唱せよと。俺はその声にしたがいカードを掲げて叫んだ
チェンジ!
本が光輝くと俺の体を漆黒の鎧が包み込む。
頭に兜が構築され両目が真っ赤に光り輝いた。
これが・・・暗黒騎士の力!
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリア!
またひとつ闇の力を手に入れた
ステータス
Lv495
HP1010
MP1010
力1010
防御1010
すばやさ1010
賢さ1010
スキル
呪怨喚起悪魔憑依魔術Lv99
黒魔法Lv99
影魔法Lv99
陰魔法Lv99
外道魔法Lv99
鬼畜魔法Lv1
熟練度999999
ジョブ
暗黒騎士
装備
・スキアー・スパティ・ラヴディ「賢さ+255、二刀流「攻撃する回数×2倍攻撃できる」、悪魔憑依×3」
・サイバネティクス・ケイリス「賢さ+255、陰魔法を発生させ、通常の魔法発生器の100倍の性能を誇りる恐るべき機械手袋」
・魔力臓器「賢さ+255、外道魔法を発生させ、魔力臓器を5つ移植したことで1つの魔力を発動させれば同時に5つの魔力を上乗せさせられる五重魔力を発現させる恐るべき魔力臓器」
・暗黒の鎧・スコティノース・パノプリア「賢さ+255、聖堂側の勢力に伝わる世界の一端の一つとされる職業魔法の聖典パリンプセストの書に隠された第7の職業魔法、鬼畜魔法を発動させる恐るべき職業だ」
・スピードリング「瞬間二撃」
・スターリング「2回攻撃」
・星くずリング「4回攻撃」
・先代勇者のピアス地「会心率+100%」
・先代勇者のピアス天「1秒毎に1%魔力回復」
・スピード・ベルト「3回攻撃」
・マジカル・クラウン「ステータス異常無効」
・パワー・オブ・シールド・オブ・マジック・オブ・クイック・オブ・カース・オブ・エンジェル・オブ・ロイヤル・アミュレット・リング「力、防御、賢さ、素早さを2倍にする」
特技
・超上級技術、乱れうち「4連撃」
・ダブルマジック「二連魔術」
・連続魔法「4回魔法撃」
・分身撃「同時二撃」瞬間的に手を4つに増やし攻撃回数を倍化させる」
・強化戦士手術被験者「2回行動」
その他
・ドラゴン・キラー・キラー「力+180、ドラゴン殺しの剣を斬り裂いたドラゴン殺しの剣」
・ドリーム・キャッチャー「一度だけ特大魔法を放てる不思議な魔法陣型アクセサリー中身はカラ」
・
・
・
・
・
・
ダンザが言った
マスターどうして助けてくれなかったんだ
腕が伸びてきて俺の腕をつかむ
ウィンが言った
マスターあなたのせいで!
ノエルが血だらけになりながら言った
マスター!恨んでますからね!死ぬまで!恨んでますからね!
わぁ!
ベッドから跳ね起きて肩を上下させ息を吸う。
夢か・・・。
目の前にオッペリアがいた
オッペリア?死んだはずじゃ?
オッペリアは僕を見下ろしながら言った
自分のことくらい俺って名乗りなさいよ。あんたそんなんだからああいうやつらになめられるのよ。
目の前に絶大な力を持つ怪物たちが現れる
普通なら恐れるものだが、そこに恐怖はなく。ただ後悔だけあった。
僕は・・・僕は君を・・・守れなかった・・・。
オッぺリアが突然悲しそうな顔をする
その顔だけで十分だ。後悔などしたくない!
前を向くと強くあろうと振舞った
わかってる・・・僕はもう・・・君を守れなかった頃の俺じゃないんだぁぁぁぁぁ!
目が覚めるとベッドの上にいた。
あれから1年
サイフォスを辞めた
理由は簡単だ。デス・ムント・デスを討つ使命を投げ捨てるために戦う。
そんな自分をごまかすことに嫌気がさしてしまったのだ。
もう何もしたくなかった。
玄関の方から声がする。
ピュエロスだ。
それではマスター、私は行ってきますね。
ご飯置いてあるので後で食べてください。
いつものようにピュエロスが仕事に出掛けた。
自ら立ち上げたサイフォスを離れ、第一線からも退いた俺は完全に腐っていた。
精神的に無理をして戦っていた俺もついに限界を迎えたのだ。
ピュエロスも俺に付き合いサイフォスを辞め、いまじゃ冒険者たちの日雇いアシスト役だ。
布団を払いのけ立ち上がる
クソ・・・。
最悪な気分で朝食を探す。
台所からご飯をつかみ、我が家の食卓まで運ぶと
うぅ!
突然の冷気に壁を見た
開いた穴から詰め物が落ちている。
なにしろ中古の安い家だ。このくらいは当然のこと
ちっ!
悪態をつきつつ落ちた詰め物を再び穴に詰っ込む。
気を取り直して朝食を運んでいると。
あ、あ~。
それは目の前に現れた。
プラチナと名付けられたその物体は人並みの言葉を話す程度に成長したあの赤子だ
と言っても片眼は金色の瞳のまま、あのゴオオとしたうなり声をあげなくなっただけなのだが、人間に換算すると1歳児くらいだろうか。
足下にいたので
邪魔
軽く頭を足で押しのけると倒れる
鳴き声をあげた
うるさい!
もっと泣かれた。
うるさあああああああああああああい!
感情のままに叫び
勢いよく建物の外へ出る。
泣き止むのを待つよりもその場を離れたほうがいくらかましだ。
あんな物体に愛情など欠片もない
ピュエロスがどうしてもというので家に置いている。それだけだ。
その後ピュエロスの作ってくれた朝食を済ませ、本を読みふけった。
時を忘れて読み続けると気がついたら日が登る
もう昼か
台所をあさりながら思い出す。
ピュエロスとの約束だ。
プラチナにエサを与え、何とか食べさせ
スプーンで離乳食を運ぶ
何度もボロボロとこぼしていた
かまわずおしこみさっ、とふき取る
すべて食べさせ終わる前に食器を片す
掃除を済ませ。
その後、午後の分の自分の食事を食べ読書に戻る
本をしばらく読みふけり、読み終わってしまった。
立ち上がるとわずかに残った残金を手に本を買いに出掛けた。
サイフォス再建費用にすべてをつぎ込み、手持ちの財産を使いきった僕はこの家を除き、いまや文無しだ。
道行く人々とすれ違う。
あれ、
ほら!
出てこなければいいのに
ハハッ!
納税義務を果たせ!
30、40のおばさんたちが僕を蔑みの目で見ていた。
これが非公式とは言え世界を救った男に向ける目だろうか。
そのことを知らないものが大多数だろうことも理解しているが。
少ない近所の知人は俺がサイフォスだとうすうすわかっているだろうに
防具屋に武器屋に道具屋に食品屋にアクセサリー屋、商店街全員が目が合うたび嫌そうな顔をしている。
視界にも入れたくないのだろうことは言わずともわかる。
クズが!
早く死ねばいいのにピュエロスちゃんが可哀想よ
穀潰しよね。
あははははは!
全部聞こえている。聞かせているのだろう。
本屋の屋台に来た
次巻は・・・あった。あった。
それを手に店主に話しかける
一冊ください。
金を渡すと。
詳細ははぶくが軽く挑発を受けた。
いっそこの店主を殺してやろうか?
そう思ったが我慢するしかない。
気にしてもしかたがないことさ。
俺は本を手に店をあとにした
時間の影響で道には真っ白い服の子供が増えてくる
エイレースケイア近代主義を学ぶ寺院帰りをしている信徒たちだ。
学校と似たようなもので、この子らは学生。
ちょっとあれ見てよ。ニートよ!
うわぁ~
キッモ!
ゴミクズニートが!
女学生たちがヒソヒソ話をし
ある男子は仲間たちと僕の目の前に来ると
ははっ、キモォ!
と馬鹿にして去っていく
男子のそのあまりに傍若無人なふるまいにたまたま通りかかった男が嫌悪感を示していた
言っておくが人間いつ転ぶかなど誰にもわからないのだ。この笑っている人間たちの中の何人が明日ニートになるかホームレスになるかわからないだろうに目の前のわかりやすい標的を痛めつけ楽しむ。
人間とはどこまでも浅はかでできそこないの動物どもだ。
いやいや、相手は子供だ。善悪の判断もできないのだろう。そう自分に言い聞かせ落ち着かせる。
まるでエイリアンになった気分だ。
そのどれもが人に向けていい感情ではなかった。
街中の人間が全員敵だ。
誰も信用などできない。
彼らは働かなければいけないと頭ごなしに勝手な理屈を押し付けてくる
その価値観を押し付け自分を正義と尊び酔いしれ僕をクズ扱いしてくるのだ。
正しいことを正しいからと大義をかかげて一定水準を満たせないものに強要する。
正しさを盲目的に崇拝するカルト集団、狂信的な善意だ。狂っている!
地獄のような空間をトボトボと歩いていると目の前にそいつが現れる。
マルベリーだった。
久しぶりだな。
・・・あ、ああ・・・。
ついてこい。
何のようだ?と思いながらもマルベリーのあとをついていくと暗がりへと連れてこられた
どこまで行く!
・・・ここでいいか。
そう言って立ち止まったマルベリーの拳が俺を打つと俺は後ろに倒れた。
避けることは可能だったが、受けてみる。そして聞いた。
いったい何のつもりだ。
英雄だったお前がいつまで無様をさらすつもりだ!それでも一度はサイフォスを率いた男か!
ああ、ついに戦友であるこの男からも見限られたか、
そう思うと自分でもすべてをあきらめたようなそんな顔をしていたと思う。
マルベリーは虚しい顔をして言った
いまのお前を見てグレムやオフィーリアが報われるのか・・・。
・・・そんなこと・・・わかっている。けどどうしようもないんだ・・・。
・・・邪魔をしたな。去る者に貸せる力はない。
そう言ってマルベリーは去って行った。
勝手なことを・・・言うな・・・。
俺はボロボロと涙を流して、自宅のボロ屋に戻り、椅子に座って窓を見る。
気がつくと外が暗い。眠っていたようだ。
ああ、もう夕暮れ時か。
俺は・・・もうダメだ・・・。
突然、玄関の扉が開く
ガチャ
ピュエロスだった。
ただいま~、すぐにご飯にしますね~。
俺も手短に返事を返す。
ああ、お帰り。
プラチナが返事をした
あ~!
ママもプラチナに会いたかったよ~。
ピュエロスはいそいそと小走りに家に入るとプラチナを抱き抱えて愛おしそうに抱き締める。
そして台所で料理を作り始めた。
・
・
・
・
・
・
4年がすぎた。
ピュエロスは言った
プラチナ、今日から寺院だからね。頑張ろうね!
はい!ママ!
プラチナはそれなりに言語を覚え、エイレースケイアの白い法衣を着ていた。
黄金の瞳を隠すため目に白いアイパッチを当てている
化け物風情がずいぶん文明的にふるまえるようになったものだ
本家の聖術の師から魔術にくら替えした母親から聖術の学校を進められるとは飛んだ皮肉である。
母親と言っても血のつながりこそないが本人たちがそれでいいのだから差しさわりあるまい。
生まれてまもなくから冷たくあしらうように接しているとプラチナは寄って来ないのが普通になった。
だが時おり俺のほうを見ていることがある。父が恋しいとでも言うのか?ははっ、笑わせるな。誰がお前なんかと親子になるか!
あるときプラチナは家の中でコツコツ聖術の勉強をしていた。
庭に出て実際に光を手の平に出してみる
ずいぶん弱々しい聖術を出すものだ。くだらない。
聖術の訓練は暗くなるまで続いた。
縁側で本を読み。
疲れた。
ひとりごとをつぶやき、一度本を置くと横を見た。
いまだプラチナは聖術を振るっている。
おい!
と声をかけると
プラチナはビックリした風にこっちを見た
やってみろ。
気まぐれにそう話しかけるとプラチナは聖術を撃ってみせた
プラチナが護符を振るうとしょぼい光が飛んで行く
もしこんな攻撃が飛んできても踏みつぶす握りつぶす跳ね返す無視して敵に突き進む、どうとでもなるようなあまりにしょぼい光だ。
それが的まで飛んでいくと小さく弾けた
クズだな。
感想を述べると、プラチナはしゅんとうつむいていた。
夜、ピュエロスは寝巻き姿で髪をとかしながら言った
マスター、あの子寺院でいじめられているそうです。
どうでもよかったが会話の種として相づちをうつ
そうか。
そうなんです!あの子、生まれつき魔力が強いせいか周りの子から怖がられてるみたいで、
それが原因で避けられたのか?
そう!だからちょっとでも仲良くなれるように聖術の威力を調整できるよう練習していて
そうか。
もう、ちゃんと聞いてるんですか!
そうだな。聞いてるよ。
ピュエロスの、くだらない世間話ではクラスでいじめられているそうだ。改めて言おう、くだらない。
何ヵ月かたったある日、ピュエロスは言った
それじゃあ、今日は遅くなるので、晩御飯頼みましたよ。
ああ、
プラチナを連れていってくださいね。
嫌だと思ったが、ピュエロスの頼みだ。聞いてやらなければなるまい。
例のごとく庭でプラチナがひとり聖術を練習している
おい!
と声をかけるとこっちを振り向く。
全身汗でビッショリだっだ。
出かける前にまずは風呂か。
はあ~・・・。
心底深いため息を吐いて風呂を済ませ、俺は愚かにもそれと一緒に商店街に買い出しに出掛けた。
クソみたいな商店街に到着すると全員俺を見て不快そうな顔をする。
そのあとで誰も彼もがプラチナを見るたび満面の笑顔になった。
金やるから好きなもの買ってこい。
そう言ってプラチナに硬貨を持たせると走っていって店並みをうろつき始める。
その間に俺は何を買うかを考えながら食品を見る。
接客は最悪だが味はいい店だ。コロッケパンでも買っておけば外れはないだろう。
そう時間はかからずプラチナが戻ってくると、手に小さな箱を持っていた。お菓子だ。
俺は一気に逆上した。
食い物持ってこいって言っただろうがあああああああああああああああああああああああ!
ドン!
プラチナを蹴り飛ばすと小さい体がぶっ飛んで商品棚を倒した。
ガッシャーーーーン!ガラガラドガジャーンカンカーーン!
道に大量の商品が散乱していく
うえあああああああああああああああああああああああああ!
泣き叫ぶプラチナ
防具屋の親父はあわててプラチナに駆け寄ると俺を見て言った
おい!何てことしやがる!あんたの子供だろ!
あんたの子供だと?笑わせるな!俺はこいつを子供だと思ったことなど一度もない!こいつは憎むべき!忌むべき象徴でしかない!地獄に!堕ちろおおおお!
これでもかと指さして口の端から唾を吐き散らしながらあらん限りの憎しみを込めて罵った
吐き捨ててからその場を去る
ごめええんなさああああああああい!ごめんなさあああああい!ごめんなさああああああああああいい!ごめんなさああああああああああああああい!
大泣きしながら追いかけて来るがあれは人ではない。
人の皮をかぶった化け物だ。
ピュエロスさえいなければ、いますぐにぶち殺してやることもできる。
プラチナは目を泣きはらしながら俺のあとをついてくる。
ヒグ、ヒグ・・・。
いまだ泣き止んでいないようだ。
泣いてんじゃねえよ。愚図が!
そう言ってプラチナの後頭部をひっぱたく
しばらく歩くと武器屋の前に来た。
武器屋の親父は笑顔で言った
おいおいどうした嬢ちゃん。
泣いているのを同情しているようだ。
武器屋の親父はプラチナに棒付き飴を渡したあとで
嬢ちゃん、これ嬢ちゃんのママに頼まれてたスペアの杖だ。
親父は杖を渡そうとしてから、やはり体格から見て大人の俺に渡そうとした。
だが、プラチナは杖をあえて受け取ると重そうに抱えた
親父は俺を一瞬ギロリと見る
こんな小さな子に持たせるんじゃない!とでも言いたいのだろう。やっすい正義感だ。じじょ~も知らないくせにいい!知ったことか!そんなに可愛きゃくれてやるよ!そう思いながら俺は平然としていた。
いつもなら突っかかってきてもおかしくなさそうだが。余計なことにプラチナの前で俺ともめたくなかったようだ。
持てるか?重いぞ?
そう心配そうに言ってからプラチナの背中に杖をロープで固定していた
3、40代の2、3人のおばさんたちがいた
お、おばさん!こんにち・・・は・・・。ヒグ
泣いているの?
悪い子なの。プラチナ、悪い子なの・・・。
どうしたの?怒られちゃったの?
そうだ!プラチナちゃん!あいさつできて偉いわね~。と笑顔で笑ってから気まずそうに俺から顔をそむけた
つい最近、威勢よく俺を蔑んだ人物たちとは思えない。
あれか?子供の前だから本性は隠しているのか?
道具屋のハゲ頭
プラチナちゃん、今日は薬草多目にしとくね。おもちゃもおまけしとくからね!
果物屋の白服
プラチナちゃん、おまけだ。そう言ってお菓子を渡す。
アクセサリー屋の女
プラチナちゃん、これ持っていきな、小さなブローチを渡す
道行く人々は皆同じくプラチナに対する愛想笑いばかり。
どうやらこいつは商店街でかなり慕われているようだ。
本屋
一冊ほしい本を買ったら、もう一冊渡された
ほら、新刊だ。
・・・はあ?
まったく意味がわからなかった。
金はいらない。礼ならあの子に言いな。まあなんだ。お前さんも子持ちなら、そろそろしっかりしなよ。
そう言って店主はニッコリと笑うと俺の肩に手を置いた。
何のことはない善意からの行動だったのかもしれないが。
それが思いのほか俺の神経を逆なでする。
おい・・・いい加減にしろよ!どいつもこいつもよぉ!・・・お、お、お、俺があああああああああ!この物体の親だと!?ふっざけるなよ!てめえええええええええ!
激情のままに店主の胸ぐらをつかみあげる
いまにも首をへし折りたくなる
お、おぃ!なんだよ?
押し付けがましく!無遠慮で!人の心の中に土足でヅケヅケと入り込もうとする!その身勝手で下劣な善意を俺に押し付けやがって!余計なお世話なんだよおおおおおおおおおお!
バン!と店主を突き飛ばすと本を店主の胸に投げつけ、きびすを返しツカツカと歩き出す。
ここいら一帯を焦土にしない程度には俺にも分別があった。
お、おい!
呼び止める声など知ったことか。
・
・
・
・
・
・
2か月後
本を手に散歩に出かけ、たまには街外れで読書をした。
その帰り道、プラチナが白いローブの子供たちに突き飛ばされているの見かける
性格の悪そうな子供だ
この!魔王め!
また別の子供が石を投げながら言った
お前なんか魔王だ!
4、5人のグループだ。
プラチナはオドオドと泣きそうになっている。
俺には関係ない。
それから数時間後、プラチナが傷だらけで帰ってきた。
ピュエロスがケガをしたプラチナの治療をしていたり
ピュエロスが手紙を受け取り寺院に呼び出されたり
そういう場面を何度も目にする
そういえばピュエロスは俺のプラチナに対する暴言をすべてフォローしているようだ。
ま、すべてどうでもいいことだ。
頬杖を着きながら本に視線をもどす。
そんな日々を続けていくうちにプラチナは菓子を作り始めた
ピュエロスがエプロンと手袋片手に言った
プラチナ上手に焼けたね!
うん!
ピュエロスは言った
マスターどう?上手に焼けたでしょ?
菓子の貼り付いた鉄板をこちらに見せつけてくる
ピュエロスはプラチナに聞こえないよう小さな声でこっそりと言った
あの子これでお友達と仲直りするそうですよ。
そう言ってピュエロスがニッコリと笑う
ああ、いいんじゃないか。
適当にほめておいた
あるときプラチナは剣の振り方を学びたいとピュエロスにせがんだ。
友達に教えてやりたいのだそうだ
俺もピュエロスに付き添い町外れの岩場まで来る。
ピュエロスに剣術をつけてもらっているようだが。
どんくさいやつだ。
剣の才能などありはしない。
それからもプラチナは自主的な勉強を重ね、魔力をコントロールし、聖術も加減できるよう努力していた。
なんでも寺院のいじめっ子とうまく付き合えるように訓練しているそうだ。
夜が来て、寝る準備をしているとピュエロスは言った
あの子、大丈夫かしらまたケガしてた。
ああ、
マスター、万が一、私に何かあったらあの子を頼みますよ?
ああ
もう!頼みましたからね!聞いてるんですか!
ああ、わかったよ
・
・
・
・
・
・
それからまた5月か過ぎた頃
悪夢で目が覚めると朝だった。
マスター、では行ってきますね?
ガチャ
扉が開かれちょうどピュエロスが冒険者の仕事に出掛けた。
朝食を済ませ、本屋に向かう
店主が言った
お前にはもう本を売らないからな!
外道魔法で脅しつけた末に金を投げつけ本を奪い取り帰路につく。
これは強盗に含まれるのだろうか?
もし衛兵が来ても返り討ちにすればいいか。
その道中、街中が騒がしい。
誰かが叫んだ
大変だ!緑の弓矢が・・・!
何のことはない。さる冒険者グループが依頼に失敗し死体になって街まで運ばれてきた
この世界ではたまに見るありふれた景色だ。
本を手に帰宅しひたすら読みふけった。
いつものように日々が流れると思っていたらその日、ピュエロスが帰ってこなかった。
・
・
・
・
・
・
ギルドの応接室にてギルドマスターは言った
大変申し和上げにくいのですが奥様はデュシス王国に囚われました。
デュシスだと!
思わず声を荒げて叫ぶ
水の入ったコップが机から転がって行った
おっ、落ち着いてください!こちらでもいま対策を
ふざけるな!敵国だぞ!
我々としましても現状手の出しようが!
任せていられるか!
お、お待ちください!
俺は勢いよくギルドを出るとサイフォスのアジトに向かった
昔の本屋は焼き払われ、新設したこの本屋がアジトへとつながっている。
店主の横を素通りし隠し部屋の入口から入る
奥へと進むと門番には知らない顔の戦士がいた
身分証の確認を
素通りしようとすると手で胸を軽く押された
おい、なんだ!ここは部外者の来るところじゃ!
新人か?マルベリーを出せ!
そこで止まれ!そう言って剣を抜いて来たので容赦なく手で叩き折る
いまの俺をイラつかせるなよぉ!
戦士は死神にでも睨まれたかのように尻餅をついてふにゃふにゃとヘタリこんでしまう
アジトに入った
大勢の戦士たちが訓練をしている。
通路でおしゃべりをしていた戦士がこちらを見て唖然とする
左側にいた戦士は小声でつぶやく
戻ったのか?
右側の戦士は俺を見て息を呑んだ
すごい。英雄ゼロスだ。
目の前に知らない顔の二人の戦士が現れる。
ゼロス様!あなたはもうここの人間ではないはずです!
マルベリーに用事だ。
だ、ダメです!いくらあなたでも!
なに?
苛立ちにらみつけると
顔を真っ青にして剣に手をかける
ふん、ここはもともと俺の財力で再建した場所のはずだがなぁ?わからないか?あぁ、そうそう暴力に訴えてもダメだ。抜けば俺も抵抗しないとな。2週間もベッド生活は嫌だろう?
そう言って脅しをかけると後ずさる。
周囲の目がすべて俺を見ていた。
いつでも戦えるとでも言いたげだ
当然か、死をも恐れぬよう俺とマルベリーで考えた教育をもとに仕込まれているのだから。
あの戦いを生き残った者もいるが多くは新人戦士ばかり、実力差がわからず単に使命感から俺と戦おうとしている。
愚かな。
力を見せつけて不遜な自信をへし折ってやろうとすると
おい!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!
俺を知る顔なじみの戦士が新人たちをかきわけて目の前に現れる。
すいません!すいません!戦士長ゼロス!こちらです!おい、道を開けろ!ほら、どけ!どけ!どけえ!お前らも戦士長の強さがわからない立場じゃないだろ!なんで止めないんだよ!
しかし!
しかしも何もないんだよ!馬鹿が!
人垣が左右に引くように俺はまっすぐ道を歩いていく
そしてひときわ豪華な扉の前に来た。
扉を開くとマルベリーが剣を振るっていた
はあ!はあ!
マルベリー。
声をかけるとこちらを振り向く。
ゼロス!
ピュエロスがさらわれた。力を借りたい。
俺は事情を説明するとすぐにマルベリーと共にデュシスに向かった
サイフォス在任時、異世界の勢力に侵略され乗っ取られた国がある。
それがデュシス王国だ。
この世界を侵略に来た敵でありながら、この世界の冒険者と交流がある。矛盾に満ちた国。
愚かな冒険者たちに巻き込まれピュエロスは逮捕されてしまったのだろう。
・
・
・
・
・
・
・
3日後
飛空艇に乗り直進すると、山を越えついにここまで来た。
サイフォスの最前線、デュシス王国。
待っていろ。ピュエロス。
俺とマルベリーの前に戦士の一人がかけて来る。
マルベリー様!まもなくデュシス制空権内です!
ドラゴンバスターを出せ!竜騎士が来るぞ!
マルベリーが指示を出すと大型バスター砲が甲板に並べられていく。
ギゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
竜騎士たちが攻めて来る。
放て!
ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!ドヒュー!
ドラゴンの息吹を模した雷の魔法が砲身から飛び出し竜騎士たちを討ち落としていく。
大量の電撃が空中に拡散した。
ピュエロスは城の牢屋にいるはずだ。
マルベリーが言った
俺は騒ぎを起こして敵を引き付けるその間にことを済ませろ。
ああ!
ゼロス。
何だ?
・・・戻って来い。
マルベリーは本気で俺の復帰を願っているのだろう
気が向いたらな。
ふっ!
そう笑うとマルベリーは飛空艇か飛び降りていく。
マルベリーが着地すると
侵入者だ!
ゾロゾロと現れた兵士たちがマルベリーと戦闘を開始する
俺も飛空艇から飛び降りると
ギゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
目の前に迫る竜騎士を
はあ!
双剣杖で殴り飛ばし
竜を奪い取る。胴体にまたがり手綱をつかんだ。
ギゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
主以外の操縦士を受け入れる気がないのかわずかに抵抗を見せるが竜以上の怪力で無理矢理体をコントロールする
そうだ。そのまま突っ込め。
バサッ!バサッ!バサッ!
竜はそのまま城目掛けて突撃していった。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
バラバラに砕け散った城壁に転がり込む。
潜入を開始だ
衛兵が歩いてきた
兵士
Lv6
HP12
MP12
力12
防御12
すばやさ12
賢さ12
ジョブ
兵士
装備
・鉄の兜「防御+5」
・鉄の鎧「防御+5」
・鉄の盾「防御+5」
・鉄の剣「力+5」
成人男性の3倍の強さをしている。装備の質も一級品、屈強な兵士たちだ。城内にはおそらく100人以上はいる。
兵士は竜を見てなんだこれは!と慌てている。
身をひそめて無駄な戦闘は避けよう。
そのまま廊下を突っ切り、階段を下り牢屋にたどり着くと小声で話しかけていく
ピュエロス!どこだ!
返事はない。
一つずつ牢屋を探してみるもそこはもぬけの殻だった。
よし!すべての犯罪者を脱走させよう!
俺は片っ端から牢屋のカギを開けていく
ん?
出ろ!脱獄の時間だ
おお!本当か!
やった!
ありがとよ!
おっおっおっ!
囚人たちから感謝される
遠くのほうでぽう、と光っていたランタンがこちらに走ってくる
脱走だあああ!
だっそ・・・!
俺は双剣杖を看守の目の前に突きつけた
黙れ、動くな!
聞きたいことは一つだ。つい最近ピュエロスと名乗る女の冒険者が逮捕されなかったか?
あ、あの女ならティーモスに連れ去られた
それは二重の意味で俺を驚愕させた。
ピュエロスがいない?それにティーモスだと!馬鹿な!聖母であるロザリスは死んだはずだ!
死んだ?何を馬鹿なことを聖母様はご存命だ。大司教ルミナは聖母をたたえるよう言っている。聖母が死んだなどといったい誰のことを言っている!
サイフォス在任時、職業魔法の世界からの侵略者たちの正体は向こうの世界の侵略国家なのかと思っていた。
けど違う。異世界からの侵略者とはティーモスだったのか?
この国の人間の宗派は!
は?
言ってみろ!
ティーモスだ。決まってるだろ!
エイレースケイアはどうした!
あんな邪教もう通用しない。皆が見ている目の前で邪神パリョ・テオスを倒したからだ。
なに?
あれはいま思い出しても神々しい光景だった。
王都を覆う闇の魔王パリョ・テオスを偉大なるティーモスの神クリフォギタグマ様が聖なる力で倒す姿、壮大の一言だ。人のあずかり知らない未知の存在。
なにを言っている?
何を?あれだけの騒ぎ反逆者たちを除き、王都の皆が知ってることだ。お前こそ知らないのか?
そうあざ笑うように言われる
看守の目を見るもとても正気ではない。
クリフォギタグマだと?死んだはずだ・・・。
しかし、正気をなくしているとは言え、この男の言葉に嘘はない。俺の異世界の魔力が違和感を知らせてくれる。
それで俺は確信するこの男は幻覚を見せられているのだ。
おそらくこのデュシス王国の民のほぼすべてがティーモスの聖母の・・・神聖な神を名乗る邪神の・・・魔王の幻想を、幻の聖戦を見せられている。
すべての民の改宗を完了している・・・。
ロザリス・・・生きているのか・・・。
そんなことはありえないはずだ。
首を跳ねたのだ。そんなことありえるはずが・・・・・・。
はっ!と気が付く。
不死の実を食べた・・・そうだ!魔王化する以前にロザリスは不死の実を食べていた!なら首を跳ねられた程度で死ぬはずがない!
いま思い返せば当時は1000年ぶりに目が覚めて間もない頃だ。
不死であることは言葉では聞いていたはずなのにあのときはショックなことが多すぎて気が動転していてそのことを完全に忘れていた。
そうだ。魔王化する以前に彼女は不死者なのだ。それがすべてを滅ぼし殺したプリズマとの決定的な違いだ。ただ首を跳ねただけで死ぬはずがない。
それは・・・ロザリスの、あの狂った聖母の復活を意味していた。
長考、長い時間考えを整理していると
ドカーン!
突然横の壁が爆発した
砕けた壁から知らない戦士が転がり出てくる
そのあとを追って全身フルメイルの大男が現れた。
その姿がぶれて見える
な、なんだ・・・めまいが・・・。
目の前のフルメイルの男をどこかで見たような既視感がある。
目まいを気力で振り払い目の前を見た
ふん!
大男は床に倒れた戦士と剣を組み合う
ぬらっしゃあ!
全体重を乗せ戦士を押しつぶすように斬った。
右肩に剣先が浅く食い込み
ぐはあああああああああああああああああああああああ!
たまらず戦士が絶叫の声をあげる
賊が。俺を前に逃げ出さなかった勇気は称えよう。だが、仲間を逃がして一人で戦いを挑んだのは無謀だったなああああああああ!
ついに大男の剣が戦士を切り伏せると戦士は力なくその場に伏した
大男はゆっくりと俺のほうを見る。
お?ふふふ、そうか。お前も賊か?
看守が言った
ギエーリ騎士長!申し訳ありません!不覚を取りました!
わかった。お前はそいつと一緒に俺に斬られろ
え・・・!い、いまなんと・・・。
栄えある王国騎士、その部下が敵の捕虜に堕ちるなどあってはらない!それだけで断首刑に相当する失態!それはいけないことだ。わかるよな~。
そんな!冗談ですよね!
二言はない。潔く命を散らすのだな。
冤罪だ!ギエーリ騎士長!私は、裏切るつもりなどありません!
そんなことはなどうでもいいんだよおおおお!
ぐぎゃああああああああああああああああああああああああ!
剣が振り下ろされると
看守の頭がつぶれたトマトになった
グロい臓物がコロコロ転がっている
間一髪避けると俺は大男を見すえた
おらああああああ!
うなり声をあげてさらに剣を振るって来る
振りかぶられた剣をあっさり双剣杖で受け止め
双剣杖を傾けることで軌道をそらしギエーリの剣が地面を打ち伏せた
なにぃ!
驚くギエーリ
すごい怪力だ。俺でなければ間違いなく殺されている
ふんぬ!
ギエーリの剣に双剣杖をぶつけ、俺は転がるように出口のほうに移動する
肉叩きにしてやる!
やつが剣を大きく腰だめに振りかぶる。それは刀ではない剣で居合をするような構え方だった
ぐぬううう!
万力の力が刀身に宿る
うらあはあああああああああああああああーーー!
しゃがむと同時、頭上を通過した剣がレンガ作りの壁を両断し、大きな切り傷が生成された。凄まじい怪力だ。
振りぬいた剣のあとに大きな隙ができる
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
鎧が黒いオーラで満たされた。
鬼畜魔法・ドラゴ・プぺ!
廊下の向こうから巨大な何かがやってくる。
暗がりから巨大な漆黒の鎧の指が現れた。
人差し指と中指を使ってギエーリ目掛けて走って来る
ぐおわ!
ギエーリを引き殺し去っていった。死んではいないが。
逃げよう。
まっすぐ城内を走り抜ける。
背後から剣を引きずる音がゆっくりと響いてくる。
もう立ち上がったか、タフな男だ。
決して速度で追いつこうとはせず余裕を持って狩りを楽しむかのような追跡だ。
走り続けると、目の前に扉が見えた。
勢いよく扉を開くと衛兵たちがゴロゴロと転がっている
ヤハーーーーーーーーーーーーーーーー!
奇声をあげるのはまたもや全身フルメイルの戦士
そいつと3人の冒険者たちが戦闘していた。
冒険者の少年が言った
騎士長アリだ!
騎士長は冒険者3人の攻撃を一身にあびながらすべて剣でいなしていく。まるでもてあそんでいるように見えるのは見間違いではない。遊んでいるのだ。
双剣杖を投げつけるとブーメランとなった双剣杖がアリを弾き飛ばし手元に戻ってくる
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
暗黒の鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法・ドラゴ・パトゥサ!!
巨大な漆黒の鎧の足がアリを遮るように空から踏み降ろされる
ぐお!なんだ!これは!
剣で足を斬りつけながら驚きの声をあげるアリ
冒険者たちに向けて言った
立て!走れ!
呼びかけに答えて俺のあとをついてくる冒険者たち
城内の別塔へと続く渡り廊下に差し掛かった。屋根付きの廊下で下は池だ。サメとワニがうじゃうじゃ泳いでいる。
ヤハーーーー!
騎士長アリが追ってくるのが見えた
クウウウウウウウウウウウウウウウラッハアアアアアアアーー!
奇声をあげながら天上すれすれをジャンプして降ってくる。
すぐ横の剣が地面を砕き
ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ!
別塔へとつながる渡り廊下が粉々に吹き飛び足元がなくなっていく。
さすが騎士長と関心していると
きゃあああああああああああああああああ!
冒険者の女が悲鳴をあげた
飛ぶぞ!と、言って俺は三人の衣服の端をつかむと崩れ去る橋を足場に向こう岸に着地、
た、助かった~と安堵する冒険者
うわあああああああああ!
一方騎士長アリはひとり、橋ごと崩れ落ち土砂煙が巻き上がった
女の冒険者が言った
ありがとうございます!
気にするな。それより・・・!
わかってる!こっちに仲間たちが助けに来る手はずになってるんだ!
俺にそう言って扉を開いたときだった
部屋にまたも全身フルメイルの大男が立っている。
騎士長だ!
大男は剣を背に担ぐと
はっはっー!
愉快そうに笑っているのが鎧越しからも伝わってきた。
うおおおおおおおおお!
冒険者の少年が騎士長目掛け突っ込んでいく
騎士長がすごい速さで剣を振り下ろす
冒険者の少年は「死ぬ!」なんてことを考えてそうに眼を見開くものだから。
俺はすかさず少年の前に飛び出すと双剣杖をクロスさせあっさり剣を受け止める。
すごい手ごたえだが、しょせんは生身の人間レベルでの話だ。大したことはない。
騎士長の大柄な体を剣を弾き飛ばし地面に転がす。
騎士長はすかさず立ち上がると、素早く、バックステップ、一度距離を取る。
ぬう、只者ではないな!
冒険者たちと俺、全員で横一列に並び、剣を構えた。
冒険者の少年は顔いっぱいに油汗をかきながら言った
し、死ぬかと思った・・・あいつ、人間の域を・・・超えてる!
そう言って目の前の騎士長に畏怖を覚える。
その騎士長を難なくいなした俺のほうに恐怖してもおかしくないのだが。鬼気迫る状況に冷静な視野を持ち合わせていないのも無理はない。
タイミング悪く左右の通路からさきほど逃げた別の騎士長たちが歩いてくる。
二人は中央の一人と合流すると三すくみでこちらに剣を構えた
左の大男が言った
我が名は王国三大騎士が一人、ギエーリ!
右の大男が言った
我が名は王国三大騎士が一人、アリ!
中央の大男が言った
我が名は王国三大騎士が一人、ダンテ!
賊めが、我ら王国三大騎士を前に退路などないものと知れ!
冒険者の少年がつぶやく
なんてステータスだ・・・常人の20倍の強さだと。化け物か!
《王国三大騎士長ダンテが現れた》
《王国三大騎士長ギエーリが現れた》
《王国三大騎士長アリが現れた》
王国三大騎士長ダンテ
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
鬼火魔法Lv40
剣術Lv9
ジョブ
聖騎士長
装備
ルビーソード「力+50」
王国騎士長メイル「防御+20」
王国三大騎士長ギエーリ
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
鬼氷魔法Lv40
剣術Lv9
ジョブ
聖騎士長
装備
サファイアソード「力+50」
王国騎士長メイル「防御+20」
王国三大騎士長アリ
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
鬼風法Lv40
剣術Lv9
ジョブ
聖騎士長
装備
エメラルドソード「力+50」
王国騎士長メイル「防御+20」
強いな・・・強いんだよな・・・?
観念するんだな?
すごむダンテ騎士長
そのときだった。
ドカーン!
背後の壁が砕け散ると真っ白い羽根がくるくると宙を舞い付け根から血をまき散らす
冒険者が叫ぶ
なんだ!
はああああああああああああああああああああああああ!
うなり声をあげていたのはかつての弟子にして女騎士のレシーヌだった!
レシーヌ!なぜこんな場所に!
レシーヌは空中を舞い、目にも止まらない速さで剣を振るう。
彼女の騎士前とした白い衣服が舞うように目の前を踊った
レシーヌの周囲には真っ白い天使たちが付きまとい。命を奪おうと爪を振るってはレシーヌの剣と激しく衝突し火花を散らしていた。
ぐえやーー!
のばー!
ひよー!
ぐいー!
ほえー!
奇声をあげ天使たちが爪を振るい
はあああああああああああああああああああああああああああああ!
レシーヌは剣速をさらに加速させ天使たちを圧倒していく、一瞬の隙を突き、天使たち4人が切り捨てられると両羽根を壁に叩きつけるほどの勢いで部屋の端まで吹き飛ばされた。
天使たちが、ガフッ!と血を吹き出して絶命していく。
ひとり難を逃れた天使が言った
レシーヌ、いまいましい白の使徒が!天の御使いである我らに歯向かう気か!
レシーヌは言った
大天使ジール。貴様たちは天使などではない!この異邦の化け物が!
ダンテが叫んだ
新手か!天使様に何をする!
その声を合図に3人の王国三大騎士たちが一斉に襲い掛かる
ダンテの剣がレシーヌ目掛け横なぎに振るわれ、空気を切り裂く
よせ!そう言いながらレシーヌはそれを華麗にジャンプして避ける
なにぃ!
まさか避けられるとは思っておらず驚愕するダンテ
着地するとすかさずギエーリの剣が地面を砕き、石つぶてを振りまく。
レシーヌはそれらをすべて剣で撃ち落としながら目の前に迫る天使とも戦闘を繰り返す。
ぐぬ!
ギエーリもダンテと同じくあっけにとられている
その速度足るや、やはり人間の域を超えている。
いつの間にか背後に回り込んだアリ渾身の一撃を足を180度開脚して床をすべるように回避、操り人形のようなありえないほどの足運びでくるくると回転しながら立ち上がる。
ものすごい身体能力だ。
アリが戸惑いのあまり目を大きく見開いて顔を小刻みに振るわせている。
目の前の動きが自身が知る剣技の動きから予想外すぎて理解が追い付かないのだ。
まさに未知の剣術と言っていいだろう。
そう魔王の域の力だ。それとも前世の分の経験と合わせた人外の剣術だろうか。
レシーヌは飛び跳ねて、一度距離を取る。
天使が背後の壁を叩き壊すと奥に夜空が見えた。
天使は言った
いずれこの世界を邪悪なものたちが汚染し始める。すべてのは供物となり。そして終末を迎えることでこの世界は浄化され我らに救済される。
何を言っている!
天使の宣言を前に全員が緊張に強張る
天使は不気味な笑顔を浮かべながら空へと落ちて行った
その直後、レシーヌの両隣に通路から走ってきた知らない戦士たちが着地する。
彼らはレシーヌと同じく白を基調とした服を着ていた。
推測が正しければレシーヌはいまも帝国お抱えの戦士、そう教団ウーラノスの白の使徒たちだ。
白の使徒のひとりが言った
レシーヌ!無事か!
ああ、それより!
レシーヌは俺のほうを見た
レシーヌとの別れの言葉を思い出す。
・・・マスター、あなたには言葉で言い表せないほどの尊敬と感謝を。
そう言っていた。言っていたけれど、それは・・・間違いなく・・・違う・・・。
心の底では俺を軽蔑している。そのはずだ・・・。
聞けばわかる。
会話してみればその振舞いから本心を悟ることもできるはずだ。
・・・気が付けば、俺の足は震えていた。
拒絶されるのが怖い。でも確認もしたい。覚悟を決めるんだ!
そう自分を奮い立たせて
れ、レシーヌ・・・。
やっと、か細い声を漏らす。
俺の声を聞いた瞬間、レシーヌは叫んだ。
何をしている!
二つの鋭い眼光が俺を射抜く。
900と数十年寝ていただけの16の餓鬼が!とっととこの場から去れ!
周りの人間たちからすれば突然何を言っているのかと言った反応だったが俺にだけはわかった。
真っ向からの拒絶。
16じゃない!俺はあれからまた何年も経験を積んで・・・16じゃないんだ?ないんだ?そんなどうでもいい感覚と、わなわなと感情が高ぶりすぎて考えのまとまらない悔しさがわきあがる
またひとつ、一抹の望みは絶たれ、不確かなトラウマは確信へと変わった瞬間だった。
もはやマスターや弟子などという生易しい関係ではないのだ。軽蔑すべき対象、本音、抑えつけていた怒りを抑えることをやめた本心からの拒絶だった。
急に気持ちが悪くなってきた。
俺は罪を犯した罪人なのか・・・?
それどころか俺は自らの師であるアカーテスすら否定した。
それは言うなれば罪人以下ではないのか?
弟子たちを救えず・・・地獄に置き去りにした・・・憎まれて当然の存在・・・。永遠に許されない罪。
・
・
・
・
・
・
はっ!
気が付くとワイヤーの下を降下していく。
胸の部分にフックがかかり、上空をすべり降りているのだ。
滑り降りた先で冒険者たちにワイヤーを外してもらう。
彼らは大規模な騎馬隊の一団だった。
急ぐぞ!お前たち!はああ!
冒険者の少年の一声で一団は近くの森に逃げ込んだ。
森の奥、泉で一息つくことになった
俺は言った
マルベリーは!もう一人いたはずだ!
冒険者の少年は答えた
マルベリー?ああ、あの人なら俺たちを逃がすために戦ってくれたよ。そのあとはわからない。
そうか・・・。ゼロスだ。さきほどは助かった。改めて礼を言おう。
冒険者は言った
俺はルース!このアスピダの団長をしているものだ。あそこにいるおっさんが副団長のプッチョ。
そうだ。これは毎回の儀式なんだ。ようこそアスピダへ!
俺はルース少年から手を出され握手をし互いの生還を喜び合った
こちらこそ、よろしく。
会話に入るようにルースの仲間たちが顔を見せる
エルマーです。
不細工な女の子だ
ガーネットです。
美人の女の子だ
なんとなく見たことのある子たちだ。
ルースに聞いてみる。
以前俺とどこかで会ったことはあるか?
はい?ないけど?
ルースはあっけらかんと答える
気のせいか、すまない。勘違いだ。君たちは何故、城に?
年長者のガーネットが答える
私たちは邪教ティーモスと戦うために旅をしてます。そのために城に入る必要がありました
そういうことか。
これから君たちはどうするんだ?
まずは近くの町で態勢を立て直してからティーモスを追います。彼らの組織はデュシスだけにとどまらず各所に及んでいますから。それにもうデュシスに囚われた仲間は・・・。
仲間・・・。ふと思い出すのは騎士長ダンテと戦っていた名も知らない戦士だ。
衛兵たちとは別の服装をしていたから外部から侵入してきたであろうことまではわかっていたが。
それはもしかしてあの戦士のことか?と聞けば
なぜそれを!
看取ったよ。騎士長を相手に一歩も引かず戦って、勇敢な最期だった。
そうですか・・・。ありがとうございます。
みな落ち込んでいた。
気まずい空気だ。いっそ言わないほうがよかったかもしれない。それでだ。俺はどうするか。
ピュエロスを探さなければならない。そのためにはティーモスと戦いは避けられないだろう。
ティーモスと戦う彼らと行動を共にするのが近道か。
しかし・・・恐ろしく弱いパーティーだ・・・。
ルース
Lv3
HP6
MP6
力6
防御6
すばやさ6
賢さ6
ジョブ
無職
装備
木のナイフ「力+1」
エルマー
Lv3
HP6
MP6
力6
防御6
すばやさ6
賢さ6
ジョブ
無職
装備
木のナイフ「力+1」
ガーネット
Lv3
HP6
MP6
力6
防御6
すばやさ6
賢さ6
ジョブ
無職
装備
ろくでもない杖「賢さ+3」
3人は平均的な無職が少し鍛えた程度のレベルだ。
全員、異世界の住人のようで、その証拠に職業魔法を所有している。
一応確認する3人は外の世界から来たのか?
ルースが答えた。
俺の親父はティーモスを打倒するためアスピダを結成した。この世界を侵略する気なんてない!
それに・・・親父はティーモスに殺されたんだ。
みんなはティーモス信仰が救いを与えてくれるなんて言ってるけど俺たちは絶対に信じない!
あんなやつら絶対に許せないんだ!
なるほど、デュシス王国の民のようにすべてがティーモスの信徒ではないのだろう。
彼らはあちらの世界から直接こちらに来ているのかもしれない
となると敵はティーモス、そしてその奥にいるのは滅びたはずのクリフォギタグマかそれとも死んだと思っていたが生きているであろうロザリスかはわからない。
こいつらにそれは黙っておこう。余計な混乱を招くからな。
そして謎の天使たち。
ピュエロスをさらった報いを受けさせてやる。
・
・
・
・
・
・
アスピダのアジトに到着した。
多くのテントの中にアスピダの戦士たちがいる。かなり大規模な一団だ。
ゆっくりしていってくれ
ルースとプッチョがそう言ってくれる。
早朝、アスピダのみんなが寝静まっているころ、日課の修練を始める。
この数年でにぶった精神を鍛えなおす。
待っていろ。ピュエロス。必ず助ける。その一心で修行に打ち込む。双剣杖を振るい続け、頃合いを見て岩の上に座り、瞑想を始める。
ルースが寝ぼけまなこでトボトボと俺のほうに歩いてくる。
うう、ゼロス、何してんの?
ルースを無視して双剣杖を構え精神を集中、闇の玉が出現、手のひらを浮遊する。魔術の精度を高める修行だ。
俺の魔法を見て目を見開くルース。当然と言えば当然だ。彼らの持つ魔法は職業魔法、この世界の機械魔法とは違う。
そして俺のいま振るっている魔法は正確には魔法ではなく。魔術だ。
手のひらの魔術を握りつぶす。
気が散る。向こうへ行っていろ。
俺がそう言うと
物欲しそうに魔術を見るルース
なあ、教えてくれよ。
無視しておいた。
それから口説き落としが始まる。
とにかくしつこい。
食事のときも歩いているときもずっと教えてくれと頼みこまれた
振り返ればやつが手ぐすねして教えてくれよと付きまとう。
世話になっている手前、むげにもしにくい。
昼過ぎだったか。
いつものようにルースは言った
なあ、頼むよ。教えてくれよ。
あまりにもしつこいのでしぶしぶ教えてやることにした
わかった・・・でも明日の朝からだ。
本当に!
その代わり修行は厳しい一切容赦しない。それからお前は俺の弟子だ。団長も何も関係ない。俺のことは必ずマスターと呼べ
はい!マスター!
・
・
・
・
・
・
次の日から修行が始まった
ルース!集中しろ!
はい!マスター!
早朝の修行をしているとエルマーとガーネットが俺たちを見つけた。
何あれー!すごーい!
嫌な予感がする。
エルマーが言った
ねえ、マスター。
ガーネットが言った
マスター様ー。
し、しつこい・・・絶対!嫌だ!ルースだけで手いっぱいだ!
そこをなんとか~。
そしてエルマーとガーネットも俺の弟子になった。
不様だ。
それから数日後
修行をしていると草葉の影からサイフォスの戦士が現れた。
マルベリーからの伝令だ。
ピュエロスが見つかったのか!
はい!西のバルバルにあるバルバル城に留置されているものかと
その情報をもとに俺たち一団は移動を始める。
早朝の修行はここまでにする!しばらくしたら出発だ!
「「はい!ありがとうございました!」」
3人とも頭を下げる。
目的地は西の街バルバルにあるバルバル城だ。
待っていてくれ。ピュエロス!
俺たちアスピダの一行は中継地点として大きな街、ロンポスを目指す。
・
・
・
・
・
・
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
レシーヌ!
燃え盛る炎の向こうでレシーヌが悲鳴をあげる
レシーーーーーヌ!
はあ!
目が覚めると寝汗でいっぱいになっていた
夢か・・・。
俺がもっとあいつらを強く育てられていれば違ったかもしれない。
くっ・・・。
自分への怒りで俺は拳を握りしめた
エルマーとガーネットが弟子入りして1か月がすぎようとしていた
早朝の修行が始まる
3人が目の前にそろっていた
いままでは俺が甘かった。戦いになれば命を落とす!半端な術を教えるつもりはない!いいな!
数瞬あまりの豹変ぶりに驚くルース達だったが
「「はい!」」
返事をする
よし、そこに並べ!
3人が指示どおり一列に並ぶ
タリズマンを出せ!
3人が書き溜めておいた幾何学的な模様の護符を取り出すと目の前に構える
スフェラだ。昨日も見せたろ。やってみろ!
「「はい!」」
「「タリズマンよ!我が呼び掛けに応えよ!」」
「「スコタディ・スフェラ!!」」
小さな闇の弾が直進すると目の前に直進していった
俺はスフェラが消えた場所、3か所のえぐれた地面の土を右から順につまみあげ指ですりつぶしてみる。
その中の二つは土のキメ細さがあったが、一つだけキメが荒いものがあった。威力が他よりも出ていない証拠だ
ルース!
は、はい?
何だ?このスフェラは!お前だけ!できていないぞ!
見ろこの土を!キメが荒く威力が出ていない証拠だ!
ガーネット!教えてやれ!
はい!
ガーネットがルースに護符魔術を見てやる
あの人どうしちゃたんだよ。
ぶつぶつとつぶやくルース
これでいい。半端なやつは死ぬのだ。俺にできることをするしかない。
俺の特段に厳しい修行は常習化していった
・
・
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・
アスピダのアジトを出てから半年後、新たな街、ロンポス街に到着した
ルースが街娘に話しかける
姉ちゃん、俺とお茶しない?
いきなりナンパを始める弟子、放っておこう。
プッチョが騎馬を預けている姿が見えた。
先代のリーダーであるルースを影から支えている立派な吾人だ。
プッチョは俺の存在に気が付くと振り返り
おお、これはゼロス殿、
ここまでの旅感謝している。何か手伝えることはあるか?
でしたらルースに稽古をつけてやってください。
あいつはいずれアスピダを率いる、私たちもルースの父親である先代には大変お世話になりましたから。
そうか。ではそうしよう。
これからはさらにルースを厳しく鍛える決意をした。
・
・
・
・
・
・
ルースが帰って来ない。
あいついつまでナンパしているつもりなんだ。
路地が見えて来る。
そのとき奇妙な感覚になる。既視感があるのだ。
そうだ。あそこの路地を曲がると悲鳴が聞こえて来る。それで・・・俺はどうした・・・。
路地裏を曲がったとき
わあああああああああああああああああああ!
ルースの絶叫する声が聞こえて来る。
見れば天使の顎が無尽蔵に伸び、ルースの頭をすっぽりと丸のみにされていた
ルース!
慌てて
双剣杖を振るい天使の頭部を両断する。
口だけになった天使はそれでも声を出した
ば、馬鹿な・・・絶対防御を持つはずのこの私が!
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法・ドラゴ・ヘロストラトス!
空から巨大な漆黒の鎧の指が現れると
天使に巨大なオイルをふりかけ巨大なマッチを着火させた。
天使を焼き殺す一撃がさく裂する
ぐぼああああああああああああああああ!
断末魔の悲鳴をあげる天使
目の前で燃え盛る天使、両断された首からルースがはい出して来ると地面に落ちた
わ、わあああああああああああ!
悲鳴をあげるルースに声をかけた
ルース。
マ、マスタ~!
俺を見て安心したのかへこたれてしまった
何をしている!
俺はルースを立ち上がらせると
貴様ああああああああああ!歯を食いしばれえええええええええ!
怒鳴り飛ばしたあとでルースを殴り倒す
ぐああ!
ルースが地面に倒れると口の端から血が流れていた
油断するな!死ぬことは許さんぞ!
は、はい・・・。
ルースからは俺に対する怯えが見えていた。
冷や水を顔にかけられた思いだろう。
口できつくしかりつけつつも俺は内心で胸を下ろす思いだった。
ひそかに襲撃を受けた次の日
職業魔法、職業は魔法なのである。
就職しないことには魔法が使えない。
ルースたちを引き連れ、神聖な聖堂前まで来た。
正門の扉を開くと開口一番に女神官が笑顔で言った
恵まれない子供たちを救うためお布施をお願いします。
俺はろくに金などなかったので旅の途中倒した魔物の牙を入れる。
い、いいでしょう。
苦笑いする女神官を横に
この3人に職業を与えてほしい。
ではこちらに
奥に通されると幾何学模様の陣が石に彫られている。そこに聖水が満たされている。聖法陣だ。
女神官は笑顔で言った
では聖法陣の中に・・・。
ルースは希望に満ち溢れた目をして陣に入ろうとすると
バチィ!
聖なる力が聖なる雷となってほとばしった
女神官は言った
これは!聖法陣が拒絶している・・・魔!
そうだった・・・陣は魔術や魔法を扱うものを拒絶するんだった!
へキサセクスか!きいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
奇声をあげ急激に激昂する女神官、怒り狂うあまり自分の服を引き裂いている。
俺としてはエイレースケイアの聖なる施設を乗っ取ったティーモスの信徒に逆上される言われはないのだが。
俺は状況を瞬時に判断して女神官の腹に拳を叩き込む
ドゴ!
女神官が、ガゴオオ!とうなり声が上げ、そのまま俺の腕に倒れ込み意識を失った
きゃああああああああああああああああああああああああああ!
一連の事件を目撃していた別の女神官が悲鳴をあげた
しまった!お前たち一度逃げるぞ!
は、はい!
全員で急いでその場を後にする。
カンカンカン!カンカンカン!
おそらく非常事態を知らせる鐘の音だ。街中の人間が俺たちを捕まえようとするはず
まさかこんなことになるとは。
そう言えばこの世界の魔法は聖法だった。
聖法と魔法は別々のもので、それよりもこの街はこの世界であっても侵略されているだけの機械魔法の世界であって。
ややっこしくなってくるが。デュシスと同じように向こうの世界の勢力に侵略された拠点がいくつも存在しているのだ。
以前のように聖法陣を魔法陣に無理やり書き換えることも可能だがさきほどの騒ぎで近づかないほうがいいだろう。
アスピダと合流し騎馬に乗って逃げよとすると大勢のティーモスの信徒たちが馬に乗って追ってきていた。
ものすごい数だ。
弓矢が雨となって降って来る。
プッチョが盾をかざし弓矢を弾いでいた
ここは引き付ける!ルース!お前たちは逃げろ!
ルースが叫ぶ
ダメだ!プッチョ!
エルマー、ガーネット!ルースを頼む!
はい!おじさま!
と、ガーネット
必ず!
とエルマー
ゼロス殿も頼みますぞ!お前たちに俺に続け!はあ!
そう言い残してプッチョは馬を操りアスピダの戦士たちと共にティーモスの誘導を買って出た。
俺はルースたちを引き連れて道を突っ切った。
うう・・・。
目まいがする。
それはどこかで見たような光景だった。
さっきのもそうだ。ここ最近の奇妙な既視感、どこかで見た風景に感じらるようなことばかりが起きている。混乱して考えてもしかたがない。
・
・
・
・
・
・
アスピダの人々とはぐれてから数日、当初こそ落ち込んだ三人も修行を再開する
ルースとエルマーを双剣杖でボロボロになるまで追い詰める
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
ルース!エルマー!最低でもこの攻撃は受けきって見せろ!
ちょ、ちょっと!マスター!速すぎます!わあ!
どうした!立て!ルース!エルマー!
く、くう、
ボロボロになりながらルースは立ち上がる
うおおおおおおおおおおおおおおお!
そうだ!俺を憎め!強く憎め!それがお前を強くする!
やあああああああああああああああ!
エルマーも挑んでくる
二人まとめて双剣杖で弾き飛ばす
よし、ここまでだろう。
あとはお前たちで模擬戦だ。いいな!
「「はい!」」
ルースとエルマーが剣と剣で模擬戦を始める
すでに両者はボロボロだが、
はあ!
ルースが言った
エルマーどうした!鈍いなら腕前くらいは俺を倒して見せろ!
なによ!
いらない挑発だが、減らず口を叩けるくらいの元気はあるようだ。もう少し技術的に追い込めるな。練習量を増やすか。そう思案しているとガーネットは言った
マスターゼロス、いいですか?
どうした?
黒魔術はこれでいいのでしょうか?
そう言ってガーネットが縄を持ち出す。
懐かしい喚起用の簡易陣だ。陣を描く時間がない場合これを利用して悪魔喚起を行うのだ。
干渉にひたる暇はない。
そうだ。常にいくつかは予備を用意しておけ
と言い含めておく
そうしてルース達に修行をつけ
・
・
・
・
・
・
半年後、新しい街、ベラ街に到着した。
さっそく聖堂に向かおうとして、張り紙が貼られていることに気が付く。
ふむ・・・。
マスター、どうしました?
ガーネットが大きな青色の目をパチパチして聞いてくる
先を越されたようだ。
そう言って俺は張り紙をまじまじと見た。
魔の者が聖法陣を狙う事件が起きたと書かれていた。手配書に俺の似顔絵が貼られている。
クルックー!
大量の伝書鳩が空を飛んでいた。
機械手袋サイバネティクス・ケイリスから青い稲妻がほとばしる
魔法で変装・・・そこまでしなくても問題ないか。
深くローブを頭にかぶり街中を歩く。
さてどうするか聖堂には近づけない。
かと言って騒ぎは旅に支障が出る。懸賞金に討伐隊など組まれたらしつこいこと間違いなし。できることなら素顔で安穏とした旅を送りたいものだ
そのとき街の角のスラムの暗がり、そこでゴソゴソと何かをしている集団を見つけた。
お・・・。
俺は思うままにあとをつける
マスター、何かあるんですか?
ガーネットが前かがみになり聞いてくるが。
静かに!
と言い含め黙らせる。
そして4人であとをつけると集団はある家の中に入って行った。
扉に耳を傾けると
ティーモスのやつらに後を付けられていないだろうな?
それだけ聞ければ十分だ。
バン!
扉を開け放つと黒いローブの集団がいるのを見つけた。
お前たちへキサセクスだな?
侵入者か!
頼みがある。それを聞いてくれればここの場所は黙っていると約束しよう。
それとも命がけで俺とやり合うか二つに一つだ。
そう言って双剣杖を構えて脅しをかけるとただならない実力差を察したのか
頼みとは何だ?と聞いて来た。
話に乗ってきた。好都合だ。
俺は何の臆面もなく堂々と言ってのけた。
定職をくれ。
数十分後
その部屋にはドラゴンを食うドラゴンの模様が壁に掛けられている。
薄暗く、じめっ、とした建物だ。
そう、ここは邪堂。聖堂の対となる場所
邪教徒は言った
では、魔法陣にお入りください。
邪堂にはこのように魔法陣があるのが道理だ。
俺は幾何学的な模様の刻まれた魔法陣にルースたちをうながす
最初に陣の中に入ったのはルースだ。
俺のときのように陣の中央に立つと古い古文書が目の前に現れる。
前に神官が世界の一端の一つとされるパリンプセストの書とか言っていたな。どうでもいいか。
剣、杖、いのり、斧、マシンガン、ヌンチャク、ハリセン、
それぞれ戦士、魔法使い、僧侶、マフィア、中国拳法、漫才師の絵が本の中で光輝いて並んでいる。お好きにどうぞそういうことか。
これは前に見たものと同じ内容だ。
そしてそれだけではなかった。
医師 航空機操縦士 大学教授 公認会計士 弁護士 大学准教授 記者 不動産鑑定士 歯科医師 大学講師 自然科学系研究者 高等学校教員 電車運転士 一級建築士 電車車掌 技術士 掘削・発破工 システム・エンジニア
航空機客室乗務員 薬剤師 発電・変電工 社会保険労務士 獣医師 旅客掛 自動車組立工 港湾荷役作業員 各種学校・専修学校教員 自動車外交販売員 診療放射線・診療エックス線技師
鉄鋼熱処理工 一般化学工 化学分析員 電気工 鍛造工 クレーン運転工 機械修理工 看護師 測量技術者 非鉄金属精錬工 臨床検査技師 機械製図工 圧延伸張工 フライス盤工 精紡工 製紙工 営業用バス運転者
営業用大型貨物自動車運転者 オフセット印刷工 配管工 製鋼工 鋳物工 デザイナー 機械組立工 ガラス製品工 旋盤工 溶接工 半導体チップ製造工 鉄工 とび工 機械検査工 板金工 建設機械運転工
プログラマー 小型貨物自動車運転者 金属プレス工 電気めっき工 合成樹脂製品成形工 玉掛け作業員 歯科技工士 ボイラー工 准看護師 理学療法士 仕上工 プロセス製版工 保険外交員
鉄筋工 自家用貨物自動車運転者 土工 金属検査工 電子計算機オペレーター はつり工 化繊紡糸工 介護支援専門員 バフ研磨工 重電機器組立工 木型工 予備校講師 家庭用品外交販売員
プリント配線工 大工 美容師 栄養士 歯科衛生士 保育士紙器工 幼稚園教諭
なんかめちゃくちゃ出てきた。
どうやら邪堂の職業魔法は特別なようだ。
どの職業も本の中で怪しく輝きまるでネオン街のようなピンクやら青やら緑やらに光っている。
どれも俺が転生前の職業たちだ
ここは公務員をお勧めしたいところだが、決めるのは本人だ。
警察になるのがベストだ
そうなんですか!とルースが言う
よく考えて決めることだ。
そう言い残して俺は壁際に背を預けると3人の決断を待った。
それから5時間後
これで決まったか。
それぞれがそれぞれの職業のページを手に持つ
本のページが取り外し可能なカードのようだ。
それぞれがカードを掲げて叫んだ
チェンジ!
ルース
Lv3
HP6
MP6
力6
防御6
すばやさ6
賢さ6
ジョブ
ボイラー工
装備
スパナ「力+2」
エルマー
Lv3
HP6
MP6
力6
防御6
すばやさ6
賢さ6
ジョブ
幼稚園教諭
装備
愛「力+1」
ガーネット
Lv3
HP6
MP6
力6
防御6
すばやさ6
賢さ6
ジョブ
デザイナー
装備
ウサギのペン「賢さ+7」
見た目も含め武器もチェンジしたようだ。
特にエルマーの幼稚園教諭の武器は愛、言うなれば精神が武器になる不思議な職業だ。
おしゃれなマフラーにオレンジ色の宝玉がワンポイントのルース
水色のエプロンにピンクのセーター、そしてジャージのエルマー
高級そうで背中が丸見え肌色多めな白い服を着たおしゃれさんガーネット
こんなものか。
すべてが終わってから俺はへキサセクスの一人に話しかけた
ウィンはどうしている。
たとえ死んだとてお前らなどに我らがアぺルピスィア・マギサのことを教えるものか!
その魔女の師が自分だと言ってやりたくなったが、師の資格などとうになくしているようなものかと思い改めて落ち込んだ。
魔法陣を求めてきたということはお前たちはティーモスと敵対しているのだろう?だったら教えてやろう。
ここからさらに西に行った場所にある水の都カラボキではティーモスの主神を祝うために巨大な建造物を立てる計画だそうだ。
行く当てがないなら行ってみるといい。お前たちが勝手につぶし合ってくれるならこちらとしても助かるのでな。
そう言って信徒は邪悪に笑った。
いいやつだ。
握手を差し出すと
は?お前バカなのか?と言われた
それから歩き出す。
徒歩と野宿と徒歩と野宿と徒歩と野宿だ。たまに行商から品物を買いそんな日々を繰り返す。
4人で焚火を囲む
おいしい!とエルマーが野菜を食べる
おいおい、エルマーお前本当にバクバク食べるよな。
そ、そんなことないし・・・。
とエルマーが弱弱しく反発する
あら、いいじゃない。エルマーはこんなにもいい子なんだから!
そう言ってガーネットがエルマーに自分の野菜を分ける
ありがとう。ガーネット。
俺は目の前の野菜を眺めていた。
そろそろ焼けたころだろう。
素早く動いたのはエルマーだ。
はい。ルースの分
と言ってエルマーがルースに野菜を手渡し
お、ありがとう。
はいガーネットの分と言ってガーネットに野菜を手渡す
ありがとう!
ガーネットはそれを笑顔で受け取る
エルマーが俺の分を取ろうとして
あ!
コロン、と野菜が落ちてしまう。
細かな雑草辺と土をまぶした野菜と化した。
ごめんなさい。マスター、代わりに私の分をどうぞ。
そう言って自分の分の野菜を俺に手渡す
いらない。やるよ。
俺はそれを突き返すと空腹に耐えることにした。
師匠らしいふるまいとしてはこんなものところだろうか。
そう、きっとアカーテスなら、マスターなら食事ひとつ取っても、もっとすごいことをしたはずだ。
思い返せば、マスターアカーテスとは最低な決別のしかたをしてしまった。
あの人は俺の味方をしてくれていたのに・・・。ごめんなさい。そんな気持ちがわきあがってくると少し涙が目じりに浮かぶ。
エルマーが言う
マスター、どうしました?
なんでもない。お前たちを見ていたら少し悲しいことを思い出しただけだ。
そう言って指で涙をぬぐった
いつか・・・仲直りできるだろうか・・・。
そんな勝手なことを思って我ながら最低だと思った。
・
・
・
・
・
・
それからさらに旅を続け、半年後、目的地にたどり着く。
水の都カラボキ、街の中央にあるドリル状の巨大な噴水タワーをシンボルにした街だ。タワーから段々に清涼な水が流れ落ちていく。
商店街には金額と商品の名前が書かれたプレートがあった。
聖なる水10G
聖水5G
この差は何だろうか。
野菜屋の前を通ると既視感がした
ああ、ここに聖水が落ちているはずだ。
屋台の野菜の入った袋、その中にたくさん入った枝豆にまぎれ、聖水の瓶1本落ちていた。もらっておこう。
既視感の正体はわからないが。もらわない手はない
街の住人に聞き込みをしていく。
おねえ~さ~ん!
水の都の女は皆肌色多めの衣服を着ている。
それで浮かれているのかルースがスキップしていた。
いちっ!
修行のケガが残っているのか途中でスキップをやめる
エルマーがちょっとルース!と言って追いかけて行った。
最近、怪死事件が連続して起きているそうだ。
犯行のずさんさから魔物のしわざとされている
聞き込みをしていくと港にある倉庫で怪しい連中が出入りしていることがわかった
宿屋で時間をつぶし
夜、港の倉庫に向かった。
ルースは緊張していた。
落ち着けルース。
そうなだめるも、そのすぐ横でガーネットの長髪が揺らめいていることに気が付く。
ガーネットのことが好きなようだ。
それを見てクスクスと笑うガーネットはルースに抱き着きだし。ルースもどこか嬉しそうだ。
マスター!いいんですか!
と小声で怒鳴るエルマー。
彼女の言葉足らずを補足するなら真面目にやらなくていいんですか!と怒っているのだ。
そうムキになっては好きと言っているようなものだ。
痴情のもつれにならなければいいが。
そのとき薄暗い闇の中を人が移動しているのが見えた
動いたぞ。ついてこい。
俺の声を聞き我に返った三人があとをついて来る。
倉庫内には大量の檻があり。
中には鎖で拘束された魔物たちが飼いならされていた。
それにこれは・・・。
デス・ムント・デスの眷属が一匹鎖につながれうごめいていた
産卵を始める眷属
その隣には数十種ほどの潰れた魔物たちが転がっていた。
自然交配させているのか・・・。
異形であるデス・ムント・デスの眷属と普通の魔物の合いの子がそれぞれの檻に眠っているようだ。
檻ひとつ取っても大量の目玉、ゴブリンとサイクロップスが子供をもうけたとてここまでの異形が生まれることはないだろう。
怪死事件の正体はここの魔物が逃げ出したと見ていい。
だがここはいったい何なの施設なのだ。
そのとき檻のある部屋の中央には何やら密談している集団が見えた。
あれは・・・。
ティーモスの信者たちだろう。
みんな一斉に飛び出すと武器を構える
はあ!
俺は双剣杖で
はあ!
目の前にいたヒョロっとした信者を滅多斬りにする。
ルースがスパナを振るい信徒を撲殺し
やあ!
エルマーが愛を振るい何もない空間が突如、信徒たちの武器をはたき落とす。
職業魔法の神秘だ。
は!
ガーネットが敵の首をペンでめった刺しにする
グサ!グサ!グサ!グサ!グサ!
返り血にまみれたガーネットの攻撃を最後に鎮圧が済むと
物陰から現れた誰かがルースに向けて言った
おのれ王国の追跡者か・・・。
その声の主は全身フルメイルの男たちだった。
ガーネットが叫んだ
あの鎧の紋章!
見れば肩に熊のエンブレムが描かれていた。
帝国騎士!
エルマーが言った
そんな!帝国は滅びたはず!
ルースが答える
間違いない!それにあの剣!噂に名高いアダマンタイトソード!それにオリハルコンソードとミスリルソード!帝国三大騎士!まさか生き残っていたのか!
デュシス王国とは別にティーモスに滅ぼされた国のひとつだ
左の騎士が言った
我が名は帝国三大騎士長が一人ヴォルフ!
右の騎士が言った
我が名は帝国三大騎士長が一人ヨハン!
中央の騎士が言った
我が名は帝国三大騎士長が一人フランツ!
《帝国三大騎士長フランツが現れた》
《帝国三大騎士長ヨハンが現れた》
《帝国三大騎士長ヴォルフが現れた》
帝国三大騎士長フランツ
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
炎上魔法Lv40
剣術Lv9
装備
アダマンタイトソード「力+50」
帝国騎士長メイル「防御+20」
帝国三大騎士長ヨハン
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
凍結魔法Lv40
剣術Lv9
装備
オリハルコンソード「力+50」
帝国騎士長メイル「防御+20」
帝国三大騎士長ヴォルフ
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
悪寒魔法Lv40
剣術Lv9
装備
ミスリルソード「力+50」
帝国騎士長メイル「防御+20」
三人とも元々この世界の人間だからか、職業魔法を所有せず機械魔法を扱うようだ。
それぞれの剣が魔法を発生させる機器のようだ。
魔力を帯びている。
さては王国の手の者か!今日この場で貴様たちと相まみえたのは行幸よ!帝国なき今、皇帝陛下に代わり貴様たちを討つことでその無念を晴らそう!
ぬうううん!
ルースに切りかかる帝国騎士長フランツ
かばうこともできるが俺はあえてフランツの攻撃をルースに経験させ剣術の成長をうながすよう努める
うわあああああ!
ルースが悲鳴をあげた。
ふん!
突然ルビーの剣が目の前の剣を受け止める。
王国騎士長ダンテが立っていた
王国騎士!なぜ!
ダンテが剣を弾き飛ばすと答えた
動けるか!逃げろ!
どうして!
ふん!知れたこと、俺たちは王国の牙!王国を脅かす帝国は俺たちの敵だ。
そういうことだ!
ギエーリ!
とっとと逃げろ!
アリ!
そうそうたる面々、王国と帝国の三大騎士長たちが勢ぞろいしていた。
ルースに代わって俺が言った
真意をはかりかねてルースはつぶやく
逃げるわけあるか!俺はアスピダの団長だぞ!
ふん、ならばよし、話はあとだ。まずはやつらを片付けるぞ。
そう言ってダンテたち王国騎士長たちは帝国騎士長たちに襲い掛かる。
最初にルースがスパナを振りかぶると
はあ!
帝国騎士長フランツの剣がルースを遠くへとぶっ飛ばす
わあああああああああ!
地面を転がっていくルース
ダンテの剣がフランツの剣とぶつかった。
帝国騎士長フランツは言った
ダンテ、積年の恨み晴らさせてもらうぞ!
死にぞこないが!今度こそ地獄に送り返してやる!
帝国騎士長ヨハンは言った
ギエーリ!貴様のつけた傷いまだうずくぞ!
ぬかせ!帝国騎士長ヨハンともあろうものがその程度か!
王国騎士長アリが言った
ヴォルフ!再び戦えたこと神に感謝する~!
アリ!今度こそ俺のほうが上だとわからせてやる!
王国騎士と帝国騎士たちの戦いが始まる
ぬおおおおおおおおおおおおおお!
ダンテの剣がフランツの剣と激突、剣の交差の繰り返し、一歩も引かない単調に見えて体力がものを言う攻防だ。大量の火花が散った
王国騎士長ギエーリと帝国騎士長ヨハンが
ぐうううううううううううううううう!
うなり声をあげながら力と力で剣をつばぜりあい全力で走り抜ける。
「「はあ!」」
互いに弾き飛ばすとダンテの魔力が剣に宿り燃え上がる。
鬼火魔法・ドラーコス・コルタール!
燃え上がる炎の剣が振り下ろされる
対するフランツの魔力が剣に宿り燃え上がった。
炎上魔法・ピー・コルタール!
燃え上がる炎の剣が迎え撃つ二つの炎が激突すると
ヴォ!と二つの大きな炎がきらめいた。
帝国騎士長ヨハンが剣を振るい魔法を発動させる。
氷結魔法・パーゴス・クルスタロ!
突如、王国騎士長ギエーリの頭上から人を貫通してしまいそうなほど大きく無数のつららが降って来た。
常人よりもはるかに強力な凍結魔法Lv40の恐るべき力だ。
ギエーリも負けず剣を振るう
鬼氷魔法・ドラーゴス・クルスタロ!
氷の柱が空中に出現しつららの雨を迎撃していく。
威力は互角だ!
空中に高くジャンプした王国騎士長アリが上段から剣を振りおろし魔法を発動させる
鬼風魔法・ドラーラス・ナーファハ!
凄まじい緑の風が吹き荒れる
帝国騎士長ヴォルフが剣を振るい魔法を振るい緑の風を巻き起こし迎え撃つ
悪寒魔法・アエーラス・ナーファハ!
二つの吹き荒れる緑の風が激突した。
ルースが立ち上がるのを待ち、そろそろ俺たちも戦いに加わろうとするとひときわ大きな魔物の檻がバタン!と倒れた。
グルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
うなり声をあげ首長の目の大きな化け物が現れた。首の長い異形のコウモリだ。
眷属との交配でかなり変異している。
マスター!
ルースが叫ぶ
いいだろう。ルース!エルマー!ガーネット!騎士たちはあとまわしだ。さきにこいつを片付けるぞ!
「「はい!マスター!」」
ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
コウモリの魔物が咆哮する
はあ!
ルースが剣を振るい
やあ!
エルマーが鞭を振るうもすべて
コウモリがガーネットの腕に噛みつく
いたあああああい!
悲鳴が上がる
はあ!
俺がすかさずコウモリの鼻を蹴り飛ばすと口を離した
ガーネット!大丈夫か!
俺はガーネットに呼びかける
大丈夫か!
だ、大丈夫です!それよりも!
ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
奇声をあげるコウモリの魔物
コウモリの魔物は空をバサバサと飛び
きゃあああああああ!
なんとエルマーの背中を足でつかみ空高く上昇していく。
ルースが叫ぶ
エルマー!
コウモリは倉庫の窓から外に向かって飛び出すといまにも巣にでも返ってしまいそうなそぶりを見せる
このままではエルマーが連れ去られるだろう。
ルース!行って来い!
俺はルースの腕をつかみ軽くぶん投げる
わあああああああああああああああああ!
ルースがエルマーの目の前まで飛んでいくとコウモリの背中につかまった。
下手に殺したら俺たちが落ちるつかまってろ!
そのまま背中にエルマーにしがみつかれ夜空を飛行する
ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
よし!ここなら!うおおおおおおおおおおおおおおお!
ルースがのこぎりのようにコウモリの羽を両断していく
ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
あまりの痛みに悲鳴をあげコウモリが墜落していく
あとは師匠である俺の仕事だ。
まだまだ高高度からの着地などできない未熟な弟子に代わり空中に飛び上がり二人を脇に抱えてキャッチ、弟子たちのしりぬぐいをする。
そのままコウモリは地面に激突した。
高高度から高速で転落したコウモリはそれで息絶えたのだった
た、助かった~。安堵するルース。
ルース!怖かったよ~。
エルマーがルースに抱き着いた
二人ともまだ戦いは終わってないぞ!
「「はい!」」
倉庫に戻ると
きゃあああああああああああああああ!
ガーネットが帝国騎士長にタックルされ壁まで吹き飛ばされていた。
ガーネット!よくもガーネットを
ルースが王国騎士長ダンテと帝国騎士長フランツの戦いに割って入る。
ダンテが言った
さがっていろ!
ルースはそのままフランツへと襲い掛かり
邪魔だ!小僧!
フランツの攻撃をルースが避けようと機敏に動くが
ステータスが違いすぎる。避けきれるわけがなく。ルースを叩き斬った
危ない!
ダンテが間一髪ルースを突き飛ばすと斬撃は深くは入らなかった
クソ!いてええええ!
のたうつルース
ルース!
エルマーとガーネットが集まる
ルース!しっかりして!
エルマーがルースにすがりつき
倉庫の天上付近が吹き飛ぶと光り輝く天使が浮遊していた
天使様!
ダンテが叫ぶ
天使は言った
なるほど帝国騎士たちとそれに・・・
そう言って天使は俺たちのほうを見る。
天使は言った
お前たち下等な生き物が我々天使の計画を妨害するなどあってはならない。
そう言って天使が手の平に電気関係の魔力を集めていく。
想像できる今後の展開は考えなくてもわかる。
天使は手の平の魔法を俺たちに投げて皆殺しにする気だろう。
くらえ!
バチバチバチー!
わあああああああああああああああああああああああ!
帝国騎士たちが目も暗む雷を切り裂き
ここは退くぞ!
そう言って消えてしまった。
その場に残ったのは俺たちだけだ。
ルースは立ち上がると剣を構えて言った。
魔物め!
天使は言った
心外ですね。私たち神に仕える天使たちを魔物などと一緒にするとは
ルースたちにこれ以上の戦闘は無理だろう。
それにあの天使、天使を名乗るだけあってルース達ではまだまだ手にあまる実力を感じる。
俺はルースたちの目の前に手を差し出してこれ以上前には出るなと制した。
マスターゼロス!
下がっていろ。ここからは俺がやる。
そう言い聞かせれば三人とも引き下がる。
初戦でこれだけやり合えれば十分だ。これ以上は殺されかねない。
俺は双剣杖を縦に構え精神を集中させる。
はあああああああああああああああああああああああああああああ!
余波だけで周囲の檻がなぎ倒されていく
ルースが自らのケガも忘れてつぶやく
な、なんだあれ・・・。
その言葉を聞きエルマーもガーネットも俺のほうを見た
ガーネットが言った
す、すごい・・・マスターの体からどす黒い・・・魔力が・・・目で見えるほどの・・・あれが・・・可視化できるほどの魔力!
天使が言った
な、なんだこいつ!
双剣杖を振るい唱える
闇魔術・スコタディ・スフェラ!
一粒480m、2720発の巨大な闇の球体が直進すると
ぎょええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
絶叫し崩壊していく天使、一撃で粉々に、それこそ骨すら残さず跡形もなく消滅させる。
やれやれ、これでも手加減しているのだが。一帯はクレーターを刻み込んだ。いまだ魔術の余波が残りわずかに闇が轟いている。
エルマーはつぶやく。強い強いとは思っていたけど・・・私たちは・・・なんて人を師匠に持ってしまったの・・・。
ついさきほどまであった単なる尊敬の念はひょっとすると畏怖にすら昇華されようとしていた。
・
・
・
・
・
・
既視感がした
ああ、ここに聖水が落ちているはずだ。
屋台の野菜の入った袋、その中にたくさん入った枝豆にまぎれ、聖水の瓶1本落ちていた。もらっておこう。
既視感の正体はわからないが。もらわない手はない
街の住人に聞き込みをしていく。
おねえ~さ~ん!
水の都の女は皆肌色多めの衣服を着ている。それで浮かれているのかルースがスキップしている。いちっ!
修行のケガが残っているのか途中でスキップをやめる
エルマーがちょっとルース!と言って追いかけて行った。
最近、怪死事件が連続して起きているそうだ。
犯行のずさんさから魔物のしわざとされている
港にある倉庫で怪しい連中が出入りしていたの!
とはすれ違った夫人の発言からだ。
宿屋で時間をつぶし
夜、港の倉庫に向かうと機会を待った。
ルースは顔を赤くして緊張していた。
落ち着けルース。
そうなだめるもそのすぐ横でガーネットの長髪が揺らめいていることに気が付く。
ガーネットのことが好きなようだ。
それを見てクスクスと笑うガーネットはルースに抱き着きだし。ルースもどこか嬉しそうだ。
マスター!いいんですか!
と小声で怒鳴るエルマー。
彼女の言葉足らずを補足するなら真面目にやらなくていいんですか!と怒っているのだ。
そうムキになっては好きと言っているようなものだ。
そのとき薄暗い闇の中を人が移動しているのが見えた
動いたぞ。ついてこい。
俺の声を聞き我に返った三人。
4人であとをつけると
大量の檻があった。
中には鎖で拘束された魔物たちが飼いならされている。
それにこれは・・・。
デス・ムント・デスの眷属が一匹鎖につながれうごめいていた
産卵を始める眷属
その隣には潰れた魔物たちが転がっていた。
自然交配させているのか・・・。
異形であるデス・ムント・デスの眷属と普通の魔物の合いの子が眠っていた。
大量の目玉だ。ゴブリンとサイクロップスが子供をもうけたとてここまでの異形が生まれることはないだろう。
怪死事件の正体はここの魔物が逃げ出したと見ていい。
だがここはいったい何なの施設なのだ。
檻のある部屋の中央には何やら密談している集団が見えた。
あれは・・・。
ティーモスの信者たちだろう。
みんな一斉に飛び出すと武器を構える
はあ!
俺は双剣杖で
はあ!
目の前にいたヒョロっとした信者を滅多斬りにする。
ルースがスパナを振るい信徒を撲殺し
やあ!
エルマーが愛を振るい信徒たちの武器をはたき落とす。
職業魔法の神秘だ。
は!
ガーネットが敵の首をペンでめった刺しにする
グサ!グサ!グサ!グサ!グサ!
返り血にまみれたガーネットの攻撃を最後に鎮圧が済むと
物陰から現れた誰かがルースに向けて言った
おのれ王国の追跡者か・・・。
その声の主は全身フルメイルの男たちだった。
ガーネットが叫んだ
あの鎧の紋章!
見れば肩に熊のエンブレムが描かれていた。
帝国騎士!
エルマーが言った
そんな!帝国は滅びたはず!
ルースが答える
間違いない!それにあの剣!噂に名高いアダマンタイトソード!それにオリハルコンソードとミスリルソード!帝国三大騎士!まさか生き残っていたのか!
デュシス王国とは別にティーモスに滅ぼされた国のひとつだ
左の騎士が言った
我が名は帝国三大騎士長が一人ヴォルフ!
右の騎士が言った
我が名は帝国三大騎士長が一人ヨハン!
中央の騎士が言った
我が名は帝国三大騎士長が一人フランツ!
《帝国三大騎士長フランツが現れた》
《帝国三大騎士長ヨハンが現れた》
《帝国三大騎士長ヴォルフが現れた》
帝国三大騎士長フランツ
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
炎上魔法Lv40
剣術Lv9
装備
アダマンタイトソード「力+50」
帝国騎士長メイル「防御+20」
帝国三大騎士長ヨハン
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
凍結魔法Lv40
剣術Lv9
装備
オリハルコンソード「力+50」
帝国騎士長メイル「防御+20」
帝国三大騎士長ヴォルフ
Lv40
HP80
MP80
力80
防御80
すばやさ80
賢さ80
スキル
悪寒魔法Lv40
剣術Lv9
装備
ミスリルソード「力+50」
帝国騎士長メイル「防御+20」
三人とも元々この世界の人間だからか、職業魔法を所有せず機械魔法を扱うようだ。
それぞれの剣が魔法を発生させる機器のようで魔力を帯びている。
今日この場で貴様たちと相まみえたのは行幸よ!帝国なき今、皇帝陛下に代わり貴様たちを討つことでその無念を晴らそう!
ぬうううん!
ルースに切りかかる帝国騎士長フランツ
かばうこともできるが俺はあえてフランツの攻撃をルースに経験させ剣術の成長をうながすよう努める
うわあああああ!
ルースが悲鳴をあげた。
ふん!
突然ルビーの剣が目の前の剣を受け止める。
ルースが横を見れば王国騎士長ダンテが立っていた
驚くルースに騎士長ダンテが相手の剣を弾き飛ばすと答えた
動けるか!逃げろ!
どうして!
ふん!知れたこと、俺たちは王国の牙!王国を脅かす帝国は俺たちの敵だ。
そういうことだ!
ギエーリ!
とっとと逃げろ!
アリ!
そうそうたる面々、王国と帝国の三大騎士長たちが勢ぞろいしていた。
真意をはかりかねてルースはつぶやく
お前たちはいったい!
話はあとだ。まずはやつらを片付けるぞ。
そう言ってダンテたち王国騎士長たちは帝国騎士長たちに襲い掛かる。
ダンテの剣がフランツの剣とぶつかった。
帝国騎士長フランツは言った
ダンテ、積年の恨み晴らさせてもらうぞ!
死にぞこないが!今度こそ地獄に送り返してやる!
帝国騎士長ヨハンは言った
ギエーリ!貴様のつけた傷いまだうずくぞ!
ぬかせ!帝国騎士長ヨハンともあろうものがその程度か!
王国騎士長アリが言った
ヴォルフ!再び戦えたこと神に感謝する~!
アリ!今度こそ俺のほうが上だとわからせてやる!
王国騎士と帝国騎士たちの戦いが始まる
ぬおおおおおおおおおおおおおお!
ダンテの剣がフランツの剣と激突、剣の交差の繰り返し、一歩も引かない単調に見えて体力がものを言う攻防だ。大量の火花が散った
王国騎士長ギエーリと帝国騎士長ヨハンが
ぐうううううううううううううううう!
うなり声をあげながら力と力で剣をつばぜりあい全力で走り抜ける。
「「はあ!」」
互いに弾き飛ばすと
ダンテの魔力が剣に宿り燃え上がった。
それを振りかぶり襲いかかる。
鬼火魔法・ドラーコス・コルタール!
燃え上がる炎の剣が
対するフランツの魔力が剣に宿り燃え上がった。
それを振りかぶり襲いかかる。
炎上魔法・ピー・コルタール!
燃え上がる炎の剣
二つの炎が激突すると
ヴォ!と二つの大きな炎がきらめく。
帝国騎士長ヨハンが剣を振るい魔法を発動させる。
氷結魔法・パーゴス・クルスタロ!
突如、王国騎士長ギエーリの頭上から人を貫通してしまいそうなほど大きく無数のつららが降って来た。
常人よりもはるかに強力な凍結魔法Lv40の恐るべき力だ。
ギエーリも負けず剣を振るい魔法を発動させる。
鬼氷魔法・ドラーゴス・クルスタロ!
氷の柱が空中に出現しつららの雨を迎撃していく。
威力は互角だ!
空中に高くジャンプした王国騎士長アリが上段から剣を振りおろし魔法を発動させる
鬼風魔法・ドラーラス・ナーファハ!
凄まじい緑の風が吹き荒れる
帝国騎士長ヴォルフが剣を振るい魔法を振るい緑の風を巻き起こし迎え撃つ
悪寒魔法・アエーラス・ナーファハ!
二つの吹き荒れる緑の風が激突した。
俺たちも戦いに加わろうとするとひときわ大きな魔物の檻がバタン!と倒れた。
グルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
うなり声をあげ首長の目の大きな化け物が現れた
マスター!
ルースが叫ぶ
よし、いいだろう。ルース!エルマー!ガーネット!騎士たちはあとまわしだ。さきにこいつを片付けるぞ!
「「はい!マスター!」」
ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
うなり声をあげるのはコウモリの魔物
はあ!
ルースが剣を振るい
やあ!
エルマーが鞭を振るうもすべて
コウモリがガーネットの腕に?みつく
いたあああああい!
はあ!
コウモリの鼻を蹴り飛ばすと口を離す
俺はガーネットに呼びかける
大丈夫か!
だ、大丈夫です!それよりも!
ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
奇声をあげるコウモリの魔物
コウモリの魔物は空をバサバサと飛び
きゃあああああああ!
なんとエルマーの背中を足でつかみ空高く上昇していく。
ガーネットが叫ぶ
エルマー!
コウモリは倉庫の窓から外に向かって飛び出すといまにも巣にでも返ってしまいそうなそぶりを見せる
俺はそれを普通に眺めていた。
このままではエルマーが連れ去られるだろう。
ルースが叫ぶ
マスター!俺を投げてください!
わかった!
ルースの腕をつかみ軽くぶん投げるとエルマーの目の前までルースが飛んでいく
エルマあああああああああああああああああああ!
ルースがコウモリと同じ高さまで飛びあがるとルースはエルマー目掛けて剣を振りかぶる
エルマー!
ルースは剣を振りかぶった
無意識か暴れることもなくエルマーはその場でじっとしていた。
それはある意味でルースを信頼していたから取れた行動だった
ルースの剣がコウモリの鼻を斬る。
ブヒイイイイイイイイイイ!
あまりの痛みに悲鳴をあげコウモリがエルマーを離し解放する。
あとは師匠である俺の仕事だ。
まだまだ高高度からの着地などできない未熟な弟子に代わり空中に飛び上がり二人を脇に抱えてキャッチ、弟子たちのしりぬぐいをする。
そのままコウモリは地面に激突した。
傷こそ大したことはないものの高高度から高速で転落したコウモリはそれで息絶えたのだった
た、助かった~。
とルースが言い
エルマーがルース!と言ってルースに抱き着く
二人ともまだ戦いは終わってないぞ!
「「はい!」」
きゃあああああああああああああああ!
ガーネットが帝国騎士長にタックルされ壁まで吹き飛ばされる。
ガハッ!
ガーネット!
ルースたちが駆け寄ると
クソおおおおおおおおおお!
叫びそのまま帝国騎士長フランツに戦いを挑む
王国騎士長ダンテと帝国騎士長フランツの戦いに割って入る形だ。
ダンテが言った
さがっていろ!
ルースはそのままフランツへと襲い掛かる
邪魔だ!小僧!
フランツの攻撃をルースが避けようと機敏に動くが
ステータスが違いすぎる。避けきれるわけがなく。ルースを叩き斬った
クソ!いてええええ!
ルースが腕をおさえて痛みにもがき苦しむ
ルース!
体から血を流すルースのもとにエルマーとガーネットが集まる
ルース!しっかりして!
エルマーがルースにすがりつく
突然どこからともなく声が響く
いったい何の騒ぎですか?騎士長ダンテ
倉庫の天上付近が吹き飛ぶと光り輝く天使が浮遊していた
天使様!
ダンテが叫ぶ
天使は言った
なるほど帝国騎士たちとそれに・・・
そう言って天使は俺たちのほうを見る。
天使は言った
お前たち下等な生き物が我々天使の計画を妨害するなどあってはならない。
そう言って天使が手の平に電気関係の魔力を集めていく。
想像できる今後の展開は考えなくてもわかる。
天使は手の平の魔法を俺たちに投げて皆殺しにする気だろう。
くらえ!
バチバチバチー!
わあああああああああああああああああああああああ!
帝国騎士たちが目も暗む雷に吹き飛ばされるかのように見えただけだ。帝国騎士たちは雷を切り裂いていた。
帝国騎士長フランツは仲間たちに言った
ここは退くぞ!
そう言って消えてしまう三人
その場に残ったのは俺たちだけだ。
ルースは立ち上がると剣を構えて言った。
魔物め!
天使は言った
心外ですね。私たち神に仕える天使たちを魔物などと一緒にするとは
ルースたちにこれ以上の戦闘は無理だろう。
それにあの天使、天使を名乗るだけあってルース達ではまだまだ手にあまる実力を感じる。
俺はルースたちの目の前に手を差し出してこれ以上前には出るなと制した。
マスターゼロス!
下がっていろ。ここからは俺がやる。
そう言い聞かせれば三人とも引き下がる。
初戦でこれだけやり合えれば十分だ。これ以上は殺されかねない。
俺は双剣杖を縦に構え精神を集中させる。
はあああああああああああああああああああああああああああああ!
余波だけで周囲の檻がなぎ倒されていく
ルースが自らのケガも忘れてつぶやく
な、なんだあれ・・・。
その言葉を聞きエルマーもガーネットも俺のほうを見た
ガーネットが言った
す、すごい・・・マスターの体からどす黒い・・・魔力が・・・目で見えるほどの・・・あれが・・・可視化できるほどの魔力!
天使が言った
な、なんだこいつ!
双剣杖を振るい唱える
闇魔術・スコタディ・スフェラ!
一粒480m、2720発の巨大な闇の球体が直進すると
ぎょええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
絶叫し崩壊していく天使、一撃で粉々に、それこそ骨すら残さず跡形もなく消滅させる。
やれやれ、これでも手加減しているのだが。一帯はクレーターを刻み込んだ。いまだ魔術の余波が残りわずかに闇が轟いている。
エルマーはつぶやく。強い強いとは思っていたけど・・・私たちは・・・なんて人を師匠に持ってしまったの・・・。
ついさきほどまであった単なる尊敬の念はひょっとすると畏怖にすら昇華されようとしていた。
・
・
・
・
・
・
ダンテは剣を肩にかつぐとこちらを振り向いた
ルースが話かける
おっさんはどういうつもりで俺たちを助けたんだ?
エルマーは気を抜かずに愛を構えて言った
ルース!不用意に話しかけないで!こいつらは一度私たちとマスターを殺そうとしたのよ!そう簡単に信用できない!
まあ、話を聞こうぜ。
騎士長ダンテは言った
俺たちに戦闘の意思はない。国王様は唐突に現れたあの天使たちを信頼しきっている。それもこれも側近の神官の差し金だ。
神官?
ああ、怪しいことはわかっているだが証拠がない。それに国王様どころか民衆もすべて天使たちを信用しきっている。
俺たちはあの怪しげな天使たちとおそらくその差し金であろうあの神官から王国を守るため悪に徹し天使たちの目をあざむいてきた。
俺は言った
俺たちを襲ったのはその演出だったわけだ。
そうだ。すまなかった。だが、王国を救いたいのは本心だ。王国の牙の誇りにかけて誓おう。
どうやら大義と使命感を持った人格者だったようだ。そう簡単に信用する気もないが。
すまなかったって・・・。そんなこと言われても・・・。
不満そうにルースがぼやく
俺も言った
そうだ。ルースの言っていることもわかる。いくら何でも急に信頼などできない。
ダンテはさらに言った
天使たちは王国とティーモスを操って次なる計画を行おうとしている。
その計画を阻止するためをあなた方のお力を借りることはできないだろうか?
さきほどの大魔法、御見それしました。
私が知るどの魔法使いよりも優れている。
あなたのような手練れの吾人にお力添えしていただければ、きっと王国を天使たちから取り戻せましょう!
俺たちに協力するつもりか。
ルースは言った
俺、力になるよ!おっさん!マスター!いいですよね!
エルマーはどうする?
私はルースがいいなら!
ガーネットは?
私は反対です。でも王国の人たちを助けるルースの力にはなってあげたい。
ここで決断することもルース達の冒険者としての経験になるだろう。
交渉成立だな。
ダンテと握手を交わす。
こうして俺たちは王国騎士長たちと協力関係となった。
・
・
・
・
・
・
俺はピュエロスを、ルース達はティーモスを、王国騎士長たちは天使たちを打倒するため旅をしている。
そんな俺たちが旅を共にするのは必然的なことだったのかもしれない。
王国騎士長たちから次なる天使たちの計画を知ることとなった一行は次なる街を目指し歩みを進める。
すでに5週間がすぎようとしている。
話してみると彼らは気のいい人格者だった。
いかにも権力に媚びへつらい部下たちから上前を跳ね。出世欲にまみれた権化のような男たちに見えていた。あれもすべて天使たちを騙す演技だったのだ
ダンテたちたっての希望で弟子たちの稽古をつけさせることにした
どうした!ルース!もっと来い!
ダンテが剣を片手に手招きする
ははっ!すげえこれが王国騎士長!
ルースが喜びの声をあげる。
その何倍もすごい相手の修行を受けていたはずだが、権威や肩書とは人を盲目にしてしまうのか、あの王国三大騎士長の稽古を独り占めで受けられる機会にやや浮かれているのかもしれない。
体感は事実に勝るか。
ギエーリはエルマーの相手をする。
いいぞ!エルマー!もっと来い!
はい!
アリはガーネットに修行を付ける
いいですね。その調子で精神を均一に保ってください。ペン先に魔力を集中して
はい!
最初に見たときはまるで正反対の知性的かつ紳士的な印象を覚える人物だ
エルマーもっと気持ちを込めて愛を振るうのだ!
はい!ギエーリさん!
彼もなかなか気配りが効く。エルマーの技量に合わせて技を振るっているのが見てわかった
たまには俺以外との戦士と修行してみるのも経験になるだろう。
ルース
Lv30
HP60
MP60
力60
防御60
すばやさ60
賢さ60
スキル
黒魔術Lv30
ジョブ
ボイラー工
装備
メタルスパナ「力+10賢さ+10」
エルマー
Lv30
HP60
MP60
力60
防御60
すばやさ60
賢さ60
ジョブ
幼稚園教諭
スキル
黒魔術Lv29
装備
愛「力+1」
ガーネット
Lv30
HP60
MP60
力60
防御60
すばやさ60
賢さ60
ジョブ
デザイナー
スキル
黒魔術Lv35
装備
三つ首ウサギのペン「賢さ+21」
三人とも目覚ましい成長を遂げているようで何よりだ
・・・あ・・・うああ・・・。
突然、ガーネットが苦しみ出す
どうした!ガーネット!
慌てて駆け寄るとガーネットは頭を抱えながら言った
ちょ、ちょっと貧血かもしれません。少し休めば・・・うああ・・・。
バタン!
ガーネット!
ガーネットは顔を青くしてい倒れている
急いでガーネットをダンテ達王国騎士長の持っていた馬車に乗せ移動を開始する。
ダンテが言った
頑張れガーネット!街はすぐだぞ!
そうこうしていると街に到着した
光の街ハルテレス
第二の王都と言っても過言ではないとても大きな街だ。
宿屋につき。
エルマーが受け付けを済ませている間にルースがガーネットを抱えた。
手伝おう。
ダンテがガーネットの足を持つ
ありがとう。
ここは二人に任せてドアでも開けるとするか。
建物の中には棚や花瓶が置かれていた
ギエーリが言った
気をつけろ。当てないようにゆっくりだ。そうだ。
アリが女冒険者の集団の前に移動すると
持ち前の凛々しい顔立ちを柔和な笑顔に変え
申し訳ないがお嬢さんたちどうぞ一歩こちらへ、道を開けていただけますかな?
優しくとても丁寧にお願いすると女たちは少し目を輝かせて
はい・・・。
嬉しそうに道を譲ってくれた
ルースが言った
ガーネット、宿についたぞ。
意識を失ったガーネットから返事はない
ルースとダンテがガーネットを運び込むとベッドにゆっくり寝かせた
よし、俺は食料を買い出しに行ってくる。
俺も行きます!ガーネットの何か精のつくものを買ってくるからな!
俺も付き合おう。
ダンテ、ギエーリ、アリも同行することになった。
この街でやれることはそうはない。
ガーネットのために食料を買うルース
俺も別で食料を買い。
その間にダンテ達は出店でめぼしいものはないだろうかと探していた。
共に旅をしているとは言え弟子ではない3人だ。彼らの行動にとやかく口をはさむ気はない。
野菜屋の前に立ち止まり袋に野菜を詰めていると
おお!
ダンテがうなって立ち止まり
このアクセサリー、娘が喜ぶかもしれない!
そう言って拳ほどの赤い宝石をつかんだ。ジャラジャラした金品の中に埋もれるように陳列されている。
ダンテは赤い宝石と豪華なネックレスを買っていた
ほう、では俺はこいつを娘にでもやるとしよう
ギエーリはそう言ってサファイアを手に取り
なら私はこれにしよう。王都にいる妻のへみやげだ。
アリはそう言ってエメラルドの装飾品を手に取る
意外な一面を見た。
この男たちは既婚者だったのか。無骨な戦士一辺倒かと思えばずいぶん愛妻家なところもあるじゃないか。
用事を済ませて宿に帰宅する
カランカラン
扉のベルが鳴り、
宿の二階を目指すとガーネットが起きてきた。
ガーネットの顔には赤みが差し、体調不良などなかったかのようだ。
ガーネット!
あ、ルース!おかえりー!
元気そうにガーネットが返事をする
お前!気を失って・・・
唖然とするルース
俺は口をはさむ
もういいのか?
はい、マスター、何だか軽いものだったみたいですっかり元気です。
カランカラン!
扉を勢いよく開けるとエルマーが入って来た
あ、エルマーおかえりー。氷、買ってきてくれた?
うん!そ、それよりね!
頬を蒸気させながらエルマーが言った
さっき耳にしたんだけど!ここの街、毎週の夜にダンス会が開かれみた!今日がちょうどその日なのよ!
ええ!いいじゃない!ねえルース!一緒に踊りに行かないか?
え・・・。
戸惑うエルマー。
ルースが言う
え、でもお前病み上がりじゃ。
大丈夫よ!このくらい!
ガーネットもいつもの元気そうな笑顔を作り
わかった!それじゃ行こうぜ!
ひょっとしてエルマーはルースを誘おうとしていたのではないだろうか。
その予測を裏付けるかのようにエルマーは夜のダンスに向けて盛り上がる二人をうらやましそうに見ていた。
・
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・
・
・
・
夜会、街の広場では多くの人たちがにぎわおり
あちこちで人が踊っていた
街の壁面には美しい鉱石が輝いて
それが炎の光を吸い乱反射して街全体を明るくしていた。
なるほど光の街の名はこのことを指していたようだ。
ダンテがルースにネックレスを渡していた
夜ダンスと来れば少なからずつまめるものがある
案の定薄切りの肉を手にダンスには興味がないので近くの階段に腰かける
うまい・・・。
舌づつみにして楽しんでいると
暗がりから変な音が響く
なんだ?
行ってみると
だ、ダメ・・・
いやああああああああああ!
天使が女にまたがっていた
騒ぐな人間!我らのためにその依り代を捧げるのだ!
天使の口がホース状に変形するとぶじゅーと謎の汁が噴出していた
グロすぎるんだよおおお!
双剣杖を抜き天使に一気に斬りかかる。
ぐええええええええええ!
天使は悲鳴をあげて上空へと逃げて行った
その場にへたり込んだ女に話しかける
大丈夫か!
あ、ありがとうございます。あなたはいったい!
そうだな・・・。主神パリョ・テオスの使徒ってところだ。
すぐに跳躍して天使を追いかける
人々が楽しそうにダンスに興じる中、俺と天使は壁を駆け上がり、それこそ踊り狂うように屋根の上で爪と双剣杖をぶつけあう。
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
この動き!ただの人間ではない!
俺の双剣杖を前になかなかの技量を見せる天使悪くない相手だ。
ははあっ!いいぞ!天使!手加減してやるから死なないように俺を楽しませろ!
ゼロス殿!力を貸そう!
ダンテ、ギエーリ、アリ、王国騎士長3人が現れると天使に襲い掛かる。
ふん!
ダンテが剣を振り下ろし天使がくるくると回転しながら墜落していく
すかさず地上にいたギエーリが
はあ!
天使を打ち上げるように切りつけ
でや!
空中で剣を振るいアリが斬り飛ばす
ぐあああ!
天使は体中に傷を作りながらなんとか態勢を立て直す。
俺はすかさずそこに飛び込む
私は天使だぞ!
天使が魔法の光を放ってきたので少しだけ体をそらし避ける。
光はそのまま直進し、街の外へと抜けて行った。
馬鹿な!あれを避けたのか!下等なお前たちが万能たる天使に牙を剥くことがすでに大罪なのだ!
一層爪を素早く振るう天使の攻撃を難なくいなしていく。
頑張っているのか天使の爪が振り下ろされる速度がわずかに加速する。
ははっ!それで万能を名乗るか!もっと速くしてやる!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
双剣杖を振るいわざと天使の爪に叩きつける。
天使は俺の攻撃を1撃、2撃を受け止めて見せた。マルベリーと比べれば数段劣る相手だ。
天使が反応するよりも速く動き、爪にあえてぶつけに行くことで相手をもてあそぶ
ぐ!くそ!ぐぞお!
バキ!
ぐああああああああああああ!
天使の爪が折れ、痛みにのたうつ天使
終わりだな。楽しめたぞ。
とどめを刺そうとしたら
いたぞ!
ゾロゾロと向かいの屋上に白いローブの連中が集まって来る。
数は5人、全員教団ウーラノスの白の使徒だ。
ダンテ達騎士長は剣を構えて俺の前に躍り出た。
むう、ゼロス殿、ここは退くほうがいい。
同感だ。
すぐに俺は姿を消すと
レシーヌもこの近くに来ているのか?
わずかな疑問を抱くが今日はここまでだ。
会場に戻るとやることもない。さて食事の続きといこう。
出店で食べ物を買いまた食べ始める。
ゼロス殿これから一緒にどうだ?
ダンテたちに飲みに誘われ
いや、いい。
断っておいた。
つれない人だと目を潤ませて寂しそうな顔をされる。ずいぶんおもしろいおっさんたちだ。
遠くの方にルースとガーネットが見えた。
あれは?
ルースがガーネットと向かい合い、首に豪華なネックレスを着けようとしていた
昼間ダンテが買っていたネックレスだ。
まめな男だ。ルースに恋の手ほどきでもしたのだろか。ルースも良い旅の友を持ったものだ。
ガーネットが言った
ねえ、どう似合う?
ああ、すごく綺麗だ!
ははっ!うれしい!
ニッコリと花のように笑うガーネット
それにしても、ああ~!おもしろかったあ~!
そう言って背伸びをしてから満足げに椅子に座った。
目の前ではいまも多くの人々が踊りを楽しんでいる。
はい、ガーネット
そう言ってルースはガーネットに果汁の入ったビンを渡す。
ありがと!
ルースがガーネットの隣に座ると二人で飲んでいる。
ガーネットは言った
ルースってさ。私にだけ優しいときあるよね?
え?
エルマーをよくからかうけど。私には何か違うよね?もしかして私のこと好きだったりして~?
そう言われてルースは
ガーネット。
と言いながらガーネットの肩を持つ
いまにもキスをしそうな距離感へと徐々に近づいていき
ルースを見つめるガーネットは急に赤い顔をしていく
え、嘘・・・本当に・・・そうなの?
ガーネットからすればそれに対して嫌悪したりすることは決してない。
二人は同じ村の出身だ。
気の知れた幼なじみ、必要以上に好意的にとらえていのだがまさかそういう意味の好意だったとはと驚いているのだろう。
わずかな戸惑いが生まれた。
真実を知り理解するうちガーネットの顔はさらに真っ赤になっていく。お互いに思っていたのかもしれない。
ガーネット!
ビクリと肩をとがらせるガーネット、
ガーネット君が好きだ!・・・好きなんだ。
ルース・・・。
ガーネット・・・。
ルースはガーネットにキスをする
キスを終えると
ガーネットは瞳を潤ませて、いたずらっぽく笑った。
綺麗だガーネット、君は誰よりも綺麗だ。俺たちずっと一緒にいよう。
う、うん。
うふっ、うふふっ!
なんだかルースが言うセリフじゃないみたい!
わからないか?本気だからさ。
そう言ってルースはガーネットの手を持つと指をからめるように手をつないだ
壮大な愛の告白だった
あ、花火だ!
ヒュー!ドーン!ヒュー!ドガーン
そのとき人込みの中でポツン、と立ち止まって二人のことをじっー、と見ているエルマーを見つけた。
・
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・
街をあとに旅を始めて数週間、馬車に揺られ山を越えた
その間も修行をしつつ川を越え、草原を超え、たまに魔物に襲われる
ダンテさん!
ははっ!ダンテでいいさ。それよりいいぞ!ルース!いまの一撃はだな。
そう言ってダンテはルースに剣術をレクチャーしていく
最近気が付いたことだが、ダンテのほうが俺などよりもよほど師として向いている。
何よりルースが時たまダンテをさん付けで呼んでしまい。
気さくなダンテは呼び捨てでいいと笑って許すそんな光景を何度か見せられた
第一に剣術の教え方がうまかった。
第二に女の口説き方もだ。
ガーネットとの蜜月にどうすれば女をどうこうできるかやら、どうすれば相手を誘惑できるかをダンテ流に教えてもらい。
ルースはそれらを実践し、それは見事にガーネットを魅了していった。
ルースがダンテに心酔とはまで行かずともカリスマ性を見出しいてるのは間違いない。
いまや言葉でマスターとは呼ばずともダンテはルースの第二のマスターへと株を上げて行った。
俺はと言えば厳しい修行を繰り返し、それでルースの技量はグングン成長させいく。
ただそれが俺を尊敬することとは直結しない。
目に見えずとも心理的な溝を感じるような気分になった
比較対象がいるとなおさらだ。
弟子を敵から守るためとは言え、その弟子から嫌われるのはさすがにこたえる。
マスターの資質が段違いなのだろう。
自信を無くしそうだ。
俺がそんな情けないことを思いながらルースに対する接し方をゆるめようか迷っていると
ある日ガーネットが倒れ寝込んだ。
揺れる馬車の上では安静にするのも限界がある早めに次の街へ移動してやりたいところだ
ガーネットの額を触る。すごい熱だ。
ルースは心配そうに言った
ガーネット!
エルマーが言った
マスター、引き返しましょう。
それもわかるが。いまから引き返すより、先に進むほうがいいだろう。
これを煎じて飲むといい。
そう言ってダンテが近くの草場から薬草を取ってきてくれたのでルースはそれをすりつぶして飲ませることにした
ほら、ガーネット
少しずつガーネットののどに煎じた薬を滑り込ませる
ゴホッ!ゴホッ!
こぼしてしまった。
ごめん、なさい・・・。ゴホッ!
いいんだ。無理をするな!
でも・・・もったいないから・・・飲むね・・・。
苦そうな顔をしてガーネットは薬を飲み込んだ。これで一安心だろう。
先を急ごう
新たな街コネリーに到着した。
すぐに病院に担ぎ込んだもののそのころにはガーネットの顔半分はどす黒く変色していった。
ルースは勢いよく食ってかかった
先生!治るんですか!
これはコウモリの毒ですね。以前コウモリに噛まれたことは?
そう言われ、思い出すのは水の都カラボキでの化けコウモリだろう。
今晩が山です。
そう言って医者は空中に両手で山を描く
そんな!先生!ガーネットを助けてください!
いや、しかしだね・・・もう治療は完了していて私にできることは・・・。
医者は参ったなと言った風に後頭部をさすると廊下を後に出て行った。
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寝ずの晩が来た。
落ち着かないルースはガーネットのそばにつきっきりだ。
エルマーも落ち着かずにそわそわしている。
朝が来る
医者はガーネットを診察しながら言った。
一命はとりとめました。冒険者としてこれからも活動はできるでしょう。ですが顔はもうもとには。
ルースが絶望した顔で言った
そ、そんな・・・。
失礼します。
医者はそう言い残して部屋を出て行った。
その日からルースは自ら進んで看病を続けた。
数日が過ぎたころ
はあ!はあ!
ルースが剣を振るい俺はそれをいともたやすく払いのけ弾き飛ばす
地面に膝をつくルースは
もう一回お願いします!
過剰な練習量、邪念を払い落すつもりなのかルースは何度も俺に戦いを挑みボロボロに負けていた。
まただ。
肉体に有り余った力を放出することで達成感を得てそれにより脳内麻薬を分泌させわずかばかりの報酬欲求で心を満たしたいのだ。
それを意識しているかは別にして、一言でいえば落ち着きたいのだろう。
今日はこのくらいでいいだろう。
エルマー、次はお前の・・・。番だ。と言おうとして周囲を見るもエルマーの姿はない。
今日もサボりか。
しかたがない。あの夜のダンスの目にしていれば言わずともわかる。恋敵であり友人でもあるガーネット、それがあんな状態では思うところがあるのだろう。
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ルースが病室を訪れると窓辺のベッドにガーネットが座っていた。
おはよう。ガーネット。
ルース、おはよう。
ガーネットは愛しい恋人にニッコリと笑顔を返す。
風の流れか落ち葉の動きか、自然のさざなみが無言の病室を満たす。
沈黙が流れたあとそれを破ったのはガーネットだった
ルース、もうあなたとは付き合えない・・・。
え?
別れよう。
戸惑うルース、こんなこと言われると思っていなかったのだろう。
ど、どうして!
だってこんな顔の女嫌でしょ?
そう言ってガーネットは美しい瞳から涙を流しす。
ルースは不誠実な男だ。
とても女にだらしがない。
ただよく言えばやや蛮勇の気質が高く。意思も強く、性根はいい男だ。だからだろうか。ルースは言ってのけた。
それでもいい・・・!顔がなんだ!俺は!お前が好きなんだ!
ル、ルース・・・。
ルースの大きな愛情がガーネットを包み込み満たした。
ガーネット愛している。
そう言って二人は互いに抱きしめ合うのだった。
ほどなくガーネットは顔半分に白塗りの仮面を付け火傷を隠した。
旅をしているとガーネットはルースに受け入れてもらえたことにわずかに自信が持てないのか手をさ迷わせている。
ルースはそんなガーネットの手を引き寄せると自分の腕にからめて手を握った。
俺は少しだけ涙が出た。
人間の優しく純粋な部分を目にできたからだ。
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旅を続けるうち新たな街、ダツ街に来た
ルースはガーネットの手を引くと馬車を降りる
さ、足元に気をつけて
ありがとう。ルース。
食料を買いに行くからあとで合流だ。
マスター、俺たちもついていきます。
そうか、
ダンテが言った
では我らも
ダンテ達もついてくることになった
エルマーは言った
私は馬車に残ります。
いいのか?
はい。お気になさらず
そうか。
エルマーを残し俺たちは買い物に出かけた
食品の屋台をあさり歩き、大量のジャガイモを買っていると
強盗だ!
へへえ!邪魔だ!邪魔だ!
ナイフを手に男が走って来る
ガーネット!俺の後ろに!
ルースがガーネットを背にかばう
寄るな!寄るな!
ナイフを振り回す男、冒険者崩れなのか戦士のようだ
危険な行為だ。二人ならなんとかしてくれるだろう。緊急時にいちいち師匠が出向いていては成長の妨げになる
じーっ、と見ているとルースが飛び出す
はあ!
ナイフを抑えつけようともみあいになる。
いいぞ!ルース!頑張れ!頑張れ!と思っているとルースが投げ飛ばされた
うわ!
ルース!
ガーネットが青い顔で叫ぶ
ルースの目の前にナイフが迫る
うわあああああああああああああああ!
ふん!
ナイフを握りしめるように受け止めたのはダンテだった。余計なことを
力任せにナイフを奪い取ると
おらああ!
前蹴りを腹に叩き込む
男が地面に倒れ込んだ
おさえろ!おさえろ!
ギエーリとアリが手足を抑えつけるとようやく事態は収まった
ほら、立てるか。
ギエーリがルースに手を貸してくれる
ルースは照れくさそうに言った
ありがとう。ダンテ
気にするな。男ならあれくらい勇敢でなければならん。
へへ。
二人の友情が育まれていく。
不本意だ。いまのはルースひとりで対処できることだったのに
・
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マルベリーの使いから情報を得た俺たちは新たな街ガブリスに来ていた。
この地方の統治を任された貴族の家がある村だ。
中規模集落の最奥には豪華な石造りの館が置かれている。
情報ではこの館のそばで天使を見たそうだ。
聞き込みをしていくも天使の目撃談は聞けなかった。
さて手詰まりだ。次はどうしよう。
ダンテたちは天使の情報を得るため城の内通者に会いに行っているはずだ。
あ、あの!
話しかけてきたのは
女だ。
鼻の頭がそばかすにまみれている
女は不安そうに言った
天使様を探しているって本当ですか?
そうだが何か知ってるのか?
いえ、それなら思い当たる場所があります。
言われるままに街はずれの洞窟に連れてこられた。
この中にいますよ。
俺はルースのほうを見るルースも俺のほうを見る、俺たちは行ってみることにした。
君はここで待っていてくれ。
女を入口で待たせ、たいまつの火を頼りに俺たちは洞窟の中へと進んでいく
目の前は無限に続く暗闇の世界、生き物をすべて呑み込んでしまいそうな異空間、生き物どころか魔物すらいない。
ピチャン!
水のしずくがしたたる音が響いた
ルースは無意識にガーネットと手をつなぐ
大丈夫、俺が守るさ!
ルース・・・。
俺はそのとき殺気に気が付く。
エルマー!伏せろ!
ぶえ!
俺はエルマーの顔を手で倒すとそのすぐあとにエルマーの顔があった場所を液体が通過する
ぐうわああああああああああああ!
ガーネットが悲鳴をあげた
ルースが叫ぶ
ガーネットー!
たいまつの光が照らしたのは顔を両手で抑え激痛にもだえ苦しむガーネット姿だった。白い湯気のようなものが立ち上っている。
それだけではない。
ダンテ達も岩に手足を埋め込まれ抑え込まれているのを見つけた
ダンテが叫ぶ
ゼロス殿!気を付けなされ!
うわああああああああああ!
絶叫するルース
倒れるガーネット
俺は急いでガーネットを抱き起こす
しっかりしろ!ガーネット!
あああ・・・ああああああああ!
苦痛の声をもらすガーネットは口の端からブクブクと小さな泡を吹いている
ダメだ!痛みと衝撃で正気を失っている。
オオオオオオオ!
巨大なスライムの魔物がいた。
こいつ!天使なんていないじゃないか!
ガーネットは次第に白目をむき、ビクビクと痙攣を始める俺は手を握ることしかできない。
クソ!しっかりしろ・・・!ルゥゥーース!
・・・。
ルース!何をしている!
俺の怒鳴り声を聞き。はっ!と我に返るルース
薬だ!薬を出せ!
そう呼びかけルースにかばんを探らせる
買い置きの薬が入っているはずだ
ルースにスライムが飛びつく
う、うわあああああああああああああ!
次の瞬間目の前の景色が変わっていく。
村が現れた。
さっきまで洞窟にいたはずだ。
ガーネットやエルマー、ダンテ達もいつの間にか姿を消している
幻術?それもかなり高度なものだ。
ルースはどこかぼんやりとしながらその景色の中をさまよい始める。
ここは・・・家の中だろうか。
周囲を見れば生活感のある部屋が広がっていた
コンコンと何かを包丁で切る音が聞こえる
女は言った
ルース!裏山でキノコ採って来てよ!
あーわかったよー!
そのままルースを追って場面は建物の外へと切り替わる
ちっ!おふくろも面倒だな。
ルースは文句を言いながらも裏山にキノコを採りにいく。
のどかな川や村、木々やそよ風と言ったところか。
これは・・・ルースの記憶なのか?
ルース!
誰かの声が響くと
あれは!ガーネットたちだ。
幼いガーネットが手を振っていた
ルース!どうしたの?
ああ、裏山にキノコを採りに行けっておふくろがさ。
私も行くよ!
二人は登山をしたあとキノコ採りを続けて
帰ろうか。
ガーネットがそう言って下山を始める
カンカン!カンカン!カンカン!カンカン!
鐘の音が鳴っている
この音は!村のほうだ!
ルースたちが急いで村に向かうと
大勢の人間が武器を手に、村に押し寄せていた。
襲撃だ!
家は燃え盛り、人の死体がいくつも転がっている
ティーモスの信徒だ。
殺すのだああああああああああああああ!不信心者どもを!皆殺せえええええええええええええええええええええ!
逃げろおおおおおおおおおおおおおおおお!
ルースが叫びガーネットの手を引く
二人を追いかけるように頭上をいくつもの炎の弓矢が通過して行った。
ぐ!
見知った近所の知り合いが膝をついて倒れ死ぬ
うあ!
ちぇえええええーー!
ティーモスの信徒たちは、目を大きく見開き、まるで獣の動きで飛び上がった
次々と降り注ぎ村人を切り裂いていく
ちぇええええええええーー!
ひゃああふうううううううーーー!
じょりじょりじょりいいーー!
きゃあああああああああああああああああ!
わあああああああああああああああ!
悲鳴が上がり、大量の血しぶきが吹き飛んだ。
きゃああああああああああああああああああああああああああ!
誰かの悲鳴があがる
逃げろおお!
叫んだ直後、また二人の村人がズタズタに切り裂かれていく
うわああああああああああああああ!
ぎゃあああああああああああああああああああ!
酷すぎる!
ルースは信徒たち目がけ突っ走ったたが
うおおおおおおおおおお・・・がわ!
あっさりと切り捨てられ無残に土ぼこりの中に倒れ伏した。
ルース!
死んだのかと思ったら
・・・ごほっ!
覚醒する。
運よく失神していただけだ。命はあるし傷は浅い、だがルースを動揺させるには十分だった。
わ、わ、わわあああああああああああ!
ルースが腰砕けになり、へなへなと駆け出すと
ルース!
ガーネットがルースをゴミ捨て場の中に引きずり込む。
そして素早く、古びた布を被せた
二人で震えながら村人が殺され村が焼き払われる光景を見ている。
これはいったいなんだ。
俺はただ震えるルースたちを見た
推測するならあのスライムの魔物の精神攻撃だろう。
ルース!いま助ける!
幻覚には幻覚だ!
暗黒の鎧・スコティノース・パノプリアの胸に手を当て精神を集中させる。
鎧が黒いオーラで満たされる。
鬼畜魔法・ドラゴ・プセヴデスシシス!
鬼畜の幻覚が全長3m牛に似た異形の怪物となって幻覚の中のティーモスの信徒たちに立ちはだかる
ブチャーーーーーー!
鳴き声をあげながら次々と信徒たちを食い殺していく
逃げろ!ルース!
ルースはどこからともなく聞こえて来る俺の声を聞き
こっちだ!
ガーネットを引き連れて逃げだしていく
それが幻覚を打ち壊すことになったのか現実の世界が姿を現す。
洞窟の中に景色が戻ると
スライムがルースを呑み込もうとしていた
殺させるものか!はあ!
すかさず双剣杖を振るいスライムを両断した
ルース!大丈夫か!
ゴホッ!ゴホッ!
ルースが口からスライムを吐き出していく
は、はい!マスター・・・あ、ありがとうございます!
スライムの腹は透けていて中には俺たちをここまで連れて来た女が見えた。
そういうことか。
あれが天使だ!
オオオオオ!
魔物の背に真っ白い羽根が生えると本当の姿を現す。
スライムの体内に寄生しているのか。
ルースがスパナを構え
スパナとスライムの中にいる天使の爪が激突した。
エルマー!ダンテさんを!
ルースが戦っている間にエルマーが騎士長たちの拘束を解放していく
はあ!はあ!
果敢に叩くルース
天使相手に未熟なルースが戦えている
成長したな。
天使が魔法を振るうと巨大なスライムが波となって押し寄せた
うわ!
スライムの波を断ち切ったのはダンテだ
ダンテさん!ギエーリさん!アリさん!
ルース!我らと共に行くぞ!
「「はあああああ!」」
天使の攻撃をルースたちは避けながら
そこだ!
次々に天使を切り捨てていく
俺は言った
ルース!教えたはずだ!魔力付与を使え!
はい!
俺の指示を聞き、ルースが黒魔術でスパナに魔力を付与する。
闇のスパナ!はああああああああああああああああああああ!
ルースのスパナが天使を斬り裂く。
オオオオオオオオオオオオオ!
勝利したのだ
戦いが終わるとルースはどこか悲しげだった。
座り込むルース
言わずともわかる過去に打ちのめされているのだ
マスター、俺は・・・必ずティーモスを倒して見せます!
ああ!必ず倒そう!
そう元気付けることにしておいた
・
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