22 死の泥
アジトに戻りすぐに会議を開く
グレムさんが言った
遠目でしたがあの兵器を動かしていたのは間違いなく国王でした。オフィーリアさんは確かにトゥリスカ・エンポリアーを破壊したのですか?
はい!間違いないです。でも私が見たものとは形状が違っていたと思います。
もしかしたら、オフィーリアさんたちが破壊した兵器は禁断の兵器ではないかもしれない。
そんな!
驚くオッペリア
バードン侯爵なら何か知っているかもしれません。
オフィーリアさん、ゼロスさん行ってもらえますか?
任せてください!
わかりました!ではマルベリーさんはトゥアレタさんとピュエロスさんと共に周辺の調査を
了解した。
任せてください!
あれが目覚めた以上、暴走は時間の問題、私たちの活躍で王国の未来が決まる。みんなを守るために頑張って!
グレムさんの激励を受け、バードン侯爵の屋敷を訪ねることになった。
屋敷の前まで到着する。
いまだ戦闘の傷跡が残り、かろうじで執事が庭の手入れをしていた。
バードン侯爵に雇われて日が浅いのか、すんなり応接室へと通される。
もしかしたら戦いの中で殺した人間の中に前の執事がいた可能性も・・・。
扉を開き、僕らの目の前にバードン侯爵が姿を現す。
何しに来た!
わっ!とする剣幕から苛立っているのがわかる。
貴様たち、サイフォスだな?
はい、今日はバードン侯爵が何の兵器を作っていたのかを確かめに来ました。
あれだけのことをしておいてよくもぬけぬけと!叩き斬ってくれるわ!
バードン侯爵は壁に飾ってあったサーベルを手に引き抜いて構えた
だが襲い掛かってくる前に立ち止まった
ふん、いいだろう。ついてこい。自分たちの行いを悔いるがいい。
バードン侯爵の後について地下へと行くとボロボロに破壊された禁断の兵器が置かれていた。
まだこれをよみがえらせるつもりなの!
怒れるオッペリアをあざ笑いバードン侯爵は言った
黙るがいい。馬鹿目!
何をぉぉ!
オッぺリア!落ち着いて!
かねてよりあの愚王の傍若無人ぶりには悩まされてきた。
王国が国王派と貴族派で分かれてしまうほどにやつは愚かな政策を繰り返してきたのだ。
お前たちも見たはずだ王都から飛び立つ禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーを、あれは国王が興味本意で壊れた禁断の兵器を修復し巨大イカを釣りに行きたいとわがままを言ったがために修理されたのだ。
うそだ!
本当だとも信じてくれなくて結構、事実なのだからな。話の本質はここからだ。あの兵器を修理することに民の血税が払われ、多くの死ななくていい人々が死ぬことになった。
そして禁断の兵器は海に近づくことで大量の泥を生み出す。
泥?
そう泥だ。生き物が皆死んでしまう死の泥だ。
我々はあれを死そのものだと思っている。
貴族派は禁断の兵器が海を汚す前にこの最強の兵器ソストス・オドスを作り上げ禁断の兵器を倒し国王の暴走を止めるつもりだった!お前たちがでしゃばらなければ!それができていたのだ!
オフィーリアさんが言った
そんな・・・。それじゃあ、私たちのせいで・・・。
ああ、お前たちのせいで海は枯れ何年もの間、人は海の恩恵を失うこととなるだろう
ガシャン!
バードン侯爵のサーベルが大きな置時計を砕いた
神の怒りすらかうかも知れん!
こんな!
風に!
な!
何度も何度もサーベルが置時計を叩き壊し、ガン!ついには時計の振り子が落ちた。
バードン侯爵はまるであふれ出る怒りを僕らにぶつけないようサーベルを振り下ろしているようだった。
彼は振り乱した髪の毛を額から片手でかきあげながら言った
それは・・・はぁ・・・はぁ・・・海沿いの領民たちの生活にも直結する重要な問題だ!死者も大勢出ることだろう!
それだけで済む話でもないまだ半分の世界が残っている。
あれは目覚めさせてはいけない力だ。人が御せる力ではない。いずれ暴れだし、世界の半分を焼き払うだろう。お前たちのせいでな!
バードン侯爵は激情のままに手を横に振った
まるで目の前にまとわりつく霧を振り払いたいかのようだ。
それならそれを修理すればいいんですね!
修理?無能が!どこにそんな時間がある!やつはすぐにでも海岸に向かい海を汚し始めるだろう!
すぐに修理に必要なものを集めてきます!
ふっ、と笑うとバードン侯爵は心底見下した顔をして言った
付き合っていられんな。
そう言ってサーベルを放り捨て、地上へとつながる階段を登って行ってしまった。
オッペリア、僕たちでソストス・オドスを直そう。
ゼロス、でも時間が・・・。
大丈夫!僕が間に合わせて見せるから!
あまり時間はない。手っ取り早く行こう。
まず吹き飛ばされた机を立て直し、火災を逃れた設計図を引っ張り出してくると
おおまかなポイントが理解できた。
・焦げた装甲盤
・エンジン
・砲身
・ロボットアーム
の4か所だ。
あの~。
男が立っていた。
私はロビン、屋敷のものなのですが、修理を手伝わせてもらえませんか?
いいんですか?
開発担当をしていたので細部の機構についてはあなた方よりも詳しいですから、
でもどうして?
世界が危機なのに、何もせずに終わりを待つなんて嫌じゃないですか。
単純明快な話だ彼はぼくたち同様に諦めていないのだ。
ありがとう!
それだけ言わせてもらった
こうして僕たち3人は修理を始めた。
タイムリミットは2日、国王が大陸を横断したら終わりだろう。北南方向に向かっていたらこんなに時間は残されていなかったはずだ。幸いと呼ぶほかない。




