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15~2 魔力臓器の世界・ファイブ・ウィザード

ここは新たな世界、魔力臓器の世界、ここでは魔力を発する臓器が売られている。

人々は魔力臓器を媒介に魔法を行使するのだ。

アナトリ・キオ王国

白と灰のローブを着た人々が集まっていた。

その一団の中の一人が声高に熱弁する。

この世界はあと少しで終末を迎える!ですが我らエイレースケイア原理主義に入信すれば滅びを生き残ることができるのです!

白いローブの男が横から口を挟む

このペテン師め!エイレースケイア近代主義こそ!救い!みなさん騙されてはいけませんよ!

エイレースケイア?ミリアたちがいるのか?

まさか彼女たちもこの世界に来ている?

ははっ、乾いた笑いも漏れるというものだ。

異世界にまで布教しているというならずいぶん壮大な話ではあるが、いまさら会おうとも思わない。

ま、どうでもいいか・・・。

どうでもよくないことだとわかっていても自分を納得させ目を背けるためにどうでもいいかとスタンスを作っていく。

灰のローブをかぶった女が言った

大司教!ピエールカルダン様です!

なんか巨乳のおばさんが現れた。美人ではあるが、誰だあれは?ミリアでもプリズマでもない。

それだけ見て本当にどうでもよくなった。

新たな世界に来ても、ぬぐえない弟子たちの仕打ちを思い出すと夜も眠れず、どこか投げやりな自分をはらえない。

そんな矢先、いつかは起こると思っていた問題が起きた。

トゥアレタとケンカした。

闇魔術で悪魔を呼び出すだなんて!正気ですか!汚らわしい!

それが闇魔術だから!学びたがったのは君じゃないか!

だって!それはマスターアカーテスがいたからで!聖術を学び世界を救う。そう誓ったのに今さら汚れを力にするなんて考えられません!

それならマスターアカーテスは闇魔術を知ることで邪悪な敵を知ることにつながると言うはずだ!

言いませんよ!

ピュエロスが紙に書き込んだ幾何学的な模様、悪魔の名を書き込んだその護符を手に叫ぶ、

タリズマンよ!我が呼び掛けに応えよ!

スコタディ・スフェラ!!

手の内のタリズマンが焼き付くと同時に10cmくらいの手のひらサイズの闇の玉が飛んでいき闇が木を隠そうとする。

すぐ横でピュエロスが闇の玉を打ち出してみせる。

ほら、見なさい。君がいつまでもそうやって駄々をこねているから同期のピュエロスはすでに闇魔術を使いこなし始めてる。まったくピュエロスえらいえらい。

トゥアレタは遅れているのだけどそれでいいの?

ピュエロスも困った顔で言った。

トゥアレタ、そんなに聖術にこだわらなくてもいいんじゃない?

よくないの!わかるでしょ!

トゥアレタがピュエロスにまで噛みついたので

トゥアレタいい加減にしなさい。

と、言った。

そしたらそれが思いのほか彼女の逆鱗にふれたようで

もう限界です!出ていきます!

えっ!ちょ、ちょっと!トゥアレタ!待ちなさい!

さようなら!

トゥアレタは激情のままに宿を飛び出してしまった。

マスター!私追いかけます!

付き合いきれない!放っておきなさい!

そう言ったのにピュエロスもトゥアレタを追って出ていってしまった。

それからトゥアレタもピュエロスもいつまで待っても戻って来なかった。

二人がいなくなってからしずかになる。

数日もたたずに気がつく。

やることがないのだ。もともとやることを探していなかったのもあるが輪をかけて体が動かない。無気力になってしまい半日家でぼーっとしてしまう。

軽く鬱病になっていたのかもしれない。

するとふとしたときに嫌な記憶を思い出してしまう。

弟子たちから拒絶された記憶が歪んだ妄想でより悪意ある言葉になって頭の中で再生された。

何度も、何度も。

時には弟子たちの幻覚が僕を蔑んだ。

マスターゼロスあなたが憎い!

どうして助けてくれなかったの?

あなたはマスターなどではない。

僕は悪くない。僕は悪くない。僕は悪くない。僕は悪くない。だいたいあんな状況どうしろと言う・・・。

ブツブツブツブツブツブツと言葉を口ずさみ、町中を歩いていく。

思い出すほどに傷つき、また思い出すほどに傷つく。

最悪な気分だった。

おい!

ダン!

突然、路地裏に放り投げられた。

日の射さない、暗がりだ。人混みからも死角になっている。

僕に何か用?

無言で殴られる。

憂さ晴らしかはたまた物取りか。

やられるままに殴らせておく。

まったく痛くない。防御力755もあるのだ。当然だ。

ドゴ!ドゴ!ドゴ!ドゴ!

ふぅ!すっきりしたぜ!

むしゃくしゃしてたんだ。

おい!こいつすげぇぜ!金貨がザックリだ!

おらぁ!

もういいだろ!死んじまうぞ!

そうだな!

わりぃな!そう言って男は買い物袋からリンゴをひとつ取ると見せつけるようにかじって去っていった。

リンゴはあまり好きじゃないしミカンが取られなかっただけよしとしよう。

僕は持ち物を奪われたのに、空を見上げていた。

金くらいならいくらでもくれてやろう。

鼻から血がたれる。1のダメージだ

うあ!こいつ!ぐあ・・・。

てめえええ!うあ!ごはっ!ぎい!ぐえ・・・ぼはっ!

ちょっと!あんた!

胸倉をつかまれ立ち上がると目の前に女がいた。

凛とした雰囲気のある芯の強そうな女だ。

しっかりしなさいよ!ほら、大丈夫?

パンパンと膝の泥を払ってくれる。

あ・・・ああ・・・ありがと・・・。

どうやら男たちはこの女にボコボコにされたようだ。すぐそこで失神している。

正直、毛ほどもいたくなかったのだが、見た目ボロボロに見えれば心配されるには十分か。

ゼロスです。あなたの名前は?

私はオッぺリア。あんた、男なんだから自分のことくらい俺って名乗りなさいよ。そんなんだからこういうやつらに目をつけられるのよ

ははっ、手厳しいな。

苦笑いをしながら自己紹介が終わったところで気が付く。

プリズマ・・・?

え?

オッぺリアと名乗った女は見た目がプリズマとそっくりだった。

2mはある大柄でピアスをしていて、髪は長く髪の色も明るく、それにエプロンだ。

目をこらしてみたがわからない。

ただのそっくりさんかもしれないし。

異世界に自分と似た人間がいる。

そんなどこかの本で読んだような可能性がふと頭をよぎる。

よくはわからない。

すみません。知り合いにあまりに似ていたもので

へえ、そうなんだ。

そうだ!いまから家来る?

あんた仕事してなさそうだし。紹介するわよ!ちょうど人手が足りなかったのよ!

えっ、えっと~・・・。それはどうだろうか、と考えていると

決まりね!

えっ!

いいじゃない!ね!

オッペリアさんに手をひかれあとについていく。

虚無感で満ちていた自分の世界が広がっていく。そんな気がした。

仕事をせずともお金はありあまっている。

それなのに宿屋で受け付けの仕事を担当することになった。

オッぺリアさんは言った

店番お願いね?私は買い出し行ってくるから!

えっ!僕ひとりでですか!

手順は教えたでしょ?すぐ戻るから、頑張って!

そう言い残してオッペリアさんは行ってしまう。

カランカラン

客が来た。

い、いらっひゃいませぇ~、

緊張から言葉を噛む

はん、

鼻で笑われた。

弱そうだとなめられているのだろう。

へ、平常心、平常心だ。落ちつけえ。あとで大けがするよう呪っておこう

次の客

お、お一人様でしょうか?

笑顔を崩さず接客する

物腰の丁寧なよい客だった

次の客

チャリン、お金を投げられた。あとで病気になるよう呪っておこう

次の客

こちらが部屋の鍵になります。

ちっ!

鍵を引ったくられた

お、怒ってはいけない。怒るな。怒るな。

拳を固く握りながら怒りに耐え、男の背が見えなくなるのを待った。あとで呪っておこう

次の客

はい、いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?

はい。

お部屋は~

と言いながら手元の見取り図を見る。

従業員用のアイテムだ。

レンタル中の部屋にはインクでチェックが入っている。

空き部屋は右から3番目の扉か。

いまですと、そちらの廊下の突き当たりにある部屋になります?

じゃ、それで

先頭にいた客が

おい、お前らいいよな?と仲間たちに声をかける

いいよ。

いーよ。

先輩ごちになりますん。

部屋の前までお通しする。

ふう、なんだ。簡単じゃないか。

カランカラン

はい!いらっしゃいませー!

それから来店したお客さんを部屋に通し

オッペリアさんも戻り、夜を迎えると

今日はご苦労様。

オッペリアさんが手料理を振る舞ってくれる。

湯気の立った温かなクリームたっぷりジャガイモほかっほかのクリーミーなシチューだ。

うまそー!

オッペリアさんは両手の指を組むと目をつぶった

主パリョ・テオスよ。

わたしたちに糧を下さり。

日々の恵みと繁栄を下さり。

その大きな御心でわたしたちを包んで下さり。

この地に生けるわたしたちに愛を下さり。

わたしたちに健やかな日々を下さる。

感謝の祈りを捧げます。

オッぺリアさんは死んだ神の名を祈りの対象にしている。

・・・貧しい人に、悲しむ人に、迷える人に、生けるすべての人々に天の恵みをくださり感謝いたします。

お祈りが終わると

はい、どうぞ。

スプーンを渡され食べてみる。

うーん、おいしいです。

そう?ふふん、これでも私料理には自信があるから。

そうだ。これ初日を頑張った記念にあげるわ。

そう言ってオッぺリアさんは引き出しから奇妙なアクセサリーを持ってくる。

ドリーム・キャッチャー、魔除けよ。

おお!ありがとうございます!

・ドリーム・キャッチャー「オッぺリアさんからもらった魔除け」

さ、食べましょうか。

そう言ってオッペリアさんも食べていく

笑顔になったオッペリアさんの表情が印象的だった。

カランカラン、扉のベルの音が鳴ると

男女の冒険者が入ってくる

いらっしゃいませ~!

二名様ですね?

こちらの紙にサインをお願いします。

嫌な客も極たまに来る程度、最近では馴れてきていた。

カランカラン

オッペリアさん、お帰りなさい。

あー、雨に降られちゃった。

二人で宿屋の裏にある居住スペースに移動する

はい、どうぞ。

僕がタオルを渡すと

ありがとう。

そう言ってオッペリアさんはタオルを受け取りしずくを拭き取っていく。

その間に風呂場に移動すると

いまお風呂沸かしますね。

お願~い。

お風呂を沸かして台所に向かう。

何か温かいものでも飲ませてあげよう。

ポッドを火にかけて

廊下に出ると

わっ!

下着が脱ぎ散らかしてあった。

ひとつをつまみ上げる。

で、でかい・・・。

それにしても脱ぎ散らかしてだらしがない人だ。

下着をバスケットに投げ入れておく。

カランカラン、扉のベルの音が鳴る。

すいませ~ん!

は~い!

いそいそと宿屋のほうに向かい接客を済ませる。

受け付けもなれたもので

やりがいすら感じていた。

1か月がすぎようとしていた。

ゼロス、ちょっと買い出しに行ってくるから店番お願いね~。

はい。いってらっしゃい。

カランカラン。と扉のベルの音が鳴った。

いつものように宿屋の経営をしていると

暇だ。

二階の会話に聞き耳を立ててみる。

壁も床も薄い建物だが、声を潜めれば常人には会話内容を判別できない。

そこはフォース・ウィザード足る僕の力量だろう。会話内容を聞き分けて見せる。

つまらない会話からおもしろい会話まで聞き分けていると

マルベリー、首尾は?

順調だ。

男が4人に女が1人。

それにこの声・・・オッペリアさんだ。なぜ?二階から?

会話を聞く。

決行は今夜だ。

予定より早いが大丈夫なのか?

抜かりはない。

オフィーリア様!

やろう!ティス!みんな!

あぁ!

おぅ!

そうだな!

我々サイフォスが国王様のためにこの国を守るの!

オッペリアさんがそう言ったのを最後に会話が終わると

カランカラン、扉のベルの音が鳴り

たっだいま~。

オッペリアさんが笑顔で入ってきた。

夜、窓の外を見張っているとオッペリアさんが扉から出ていくのが見えた。

途中馬車が現れ荷台のテントから手が伸びる

オフィーリア!

ええ!

そう返事をしてオッペリアさんが手をつかみ馬車の荷台に飛び乗った。

流れるように乗り込んでいる。何度も経験した乗り方は完全にプロの動きだ。

オッペリアさんが仲間たちと合流した。

彼女は国王のために存在する何かの組織に所属しているようだ。

組織名はサイフォス・・・だったか?

まさか僕に気がつかれているとは思っていないだろう。

ついでにコードネームのようなものがあり彼女は仲間たちからオフィーリアと呼ばれていることがわかった。

はっ!

窓から飛び降り、ストンと地面に着地するとオフィーリアさんの背後を追いかける。

シュバ!

オフィーリアさんたちを乗せた馬車は屋敷の前に集まると全身フルメイルの騎士たちが馬車から降りてくる。

間違いなくオフィーリアさんだろう。

マルベリー!俺、不安だよ。

間違いでなければあの人がマルベリーだ。

そのマルベリーが言った

ティス安心しろ。俺とオフィーリアがいる。

オフィーリアさんは言った。

ティス、しっかりしなさい!

は、はい!

よし、みんな行こう!

こそこそと壁をよじのぼり、監視の雇われ兵を背後から切り捨てていく。

見事なのは建物内にいた8人の監視をそれぞれのメンバーがそれぞれ暗殺したことだ。

はああーー!

マルベリーさんが目にも止まらない速さで切り裂き、瞬時に4人を叩き斬る

はあ!

ティスさんも言動に似合わず敵を難なくぶった切り

でや!

オフィーリアさんも背後からの一撃であっさりと殺害したあとに目の前にいた敵を殴って昏倒させる

はあ!

あと・・・名前わからない4人目の人、あの人!あの人も頑張ってる!

マルベリーさんが言った

これで、エントランスは制圧した。伯爵は二階だ。急ぐぞ!

ドガン!

マルベリーさんが扉を蹴破ると

狼狽する貴族の男が現れた

な!なんだ!お前たちは!

オフィーリアさんは机の上に土足で乗り上げると剣を突きつけた

サイフォスだ!

サイフォスだと!王直属の番犬どもが!

オフィーリアさんが言った

エドガー伯爵だな!貴様の悪行はすべて知っている。

国家にあだなす反逆罪で貴様を国王陛下のもとに連行する!

オフィーリアさんの後ろにいたティスさんが言った

とっとと観念しろ!

くっ!くそぉ!誰か!誰かいないか!

無駄だ!お前の護衛は全員始末した!

エドガー伯爵は間の抜けた顔で言った。

ほな、さいなら~。

ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!

爆発!貴様正気か!

この国のため、妻、子すら焼いて見せよぉぉ~こんがりとな~!

次の瞬間、エドガー伯爵の座席が爆発した

マルベリーさんがティスさんの前に飛び出すと爆発の残骸をすべて剣で弾き飛ばす

危ない!

僕も瞬時に姿を現すと

双剣杖を振るう

黒魔法・メラース・トイコス!

黒魔法最上位障壁が何重にも出現、全方位に張り巡らされた。

ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!ドカーン!

爆炎は晴れず黒い結界の外は炎に包まれていた。

マルベリーさんが言った

ティス大丈夫か

ああ、ありがとうマルベリー。

ゼロス!と言ったあとに、オフィーリアさんはなぜ見ず知らずの僕の名前を知っているのかという矛盾に気がつき、しまった!と顔を歪める。

オフィーリアさん、大丈夫ですか?

何者だ!

ティスさんが僕に剣を向けると背後でマルベリーさんも僕に剣を向けた

やれやれ、助けたのに剣を向けられるとは、なんにせよその前に一度避難しましょう。

そう説得してメラース・トイコスで炎を地面に押し付け、鎮火させ道を作ると火の海を抜け、人が集まる前に場所を移動した。

人気のない道の隅に来る。

改めて自己紹介をする。

ゼロスです。そこのオフィーリアさんのお世話になっている同居人です。

人違いだ。

即答で否定された

オッペリアさんバレてますから。

即答で言い返した。

オフィーリア!お前の連れか?

オフィーリア様!いつの間に!

だがそれなら身元はしっかりしているようだな。

甘いですよ!マルベリー!

ティスさんが叫ぶと剣を抜き、いきなり斬りかかってきた。

よせ、ティス!

オフィーリアさんが止めようとするが立ち位置が遠く間に合わない。

まぁ、心配はないのだが。

はい。

双剣杖を抜き、平然と刃を受け止めた。

遅すぎる。ハエが止まりそうな速度だ。

それを見たオフィーリアさんが驚愕する。

ウソ!ただの人間が、サイフォスの剣を受け止めた!

サイフォス?なにそれ?

察するに平均よりはるかに強い戦士なのかも。

くっ・・・くうううううう!

ティスさんが力を込める

なぜかすごい形相でにらまれている。

はい。

わっ!

いくら力を込めてもおかまいなしに双剣杖をひねるように振るい、ティスさんの剣を巻き込む。

ティスさんの体が上下反転して床に叩き伏せられた。

剣が床に転がり落ちる。

ドガ!

僕はできるだけ敵意を込めず笑顔で言った

まだやる?

ただそれが意図せず嫌みに聞こえることもある。

激昂したティスさんは果敢にも立ちあがり挑んできた

ふぬ!

剣で救い上げた石つぶてが弾丸となって飛んできたので手の平で受け止める。

グサ!グサ!

刺さったが小さく血が出るのみ。

ほぼ痛みはなく。顔色ひとつ変えずに石を投げ抜いて捨てる。

それを見たティスさんは素早く回転するように体勢を立て直すとまた襲いかかってくる

タフな!つもりかあぁぁぁぁぁぁ!

ティス!

オフィーリアさんが間に割って入り

ティスさんの動きが止まる。

オフィーリア様!

いいから、向こうに行ってて!

しかし!

いいから!

・・・くっ・・・わかりました。

戦意を削がれ、トボトボと行ってしまう。

ゼロス、ごめんね。

いまの戦いを見てあなたの力、普通じゃない。あなたは・・・いったい。

しがない魔法使いですよ。

次の日

ガチャ

扉が開いた音で目が覚める。

オッペリアさん、じゃなかった。オフィーリアさん、おはよぅございますぅ。

目をこすりながらあいさつをする。

彼女は少々戸惑い。

宿屋や街中ではオッペリアと呼んで!

小さく怒った

そうでした。すいません。オッペリアさん

まあいいわ。昨日は助かったし。ご飯できてるから。食べましょ

ガチャン、扉を閉めて行ってしまう。

その後、二人でできるだけ自然に朝食を済ませ。

いつものように宿屋の部屋掃除をしていると、

廊下に現れたオッペリアさんが洗濯かごを持ちながら言った。

今日は午後から休みね。行く場所あるから付いてきて。

その後、オッペリアさんがウィッグの付いたカツラをかぶり、眼鏡をかけている。

ほら、これでもかぶって、そう言われて渡された帽子をかぶりあとをついていく。

乗るわよ。

オッペリアさんに言われ馬車に乗り込んだ。

ティスのことだけどね。あの子あんなのだけど私のこと心配してしたことだから許してあげて

はは、もちろん怒ってなんていませんよ。

昔からなのよ。熱くなると周りに見境がなくなるの。

幼なじみですか。

そうね。幼なじみなの。ティスは昔から弟みたいなもので。

いまは上司と部下の関係にもなってるから、あの子も私に置いて行かれないように気負い過ぎてるのかも

昇進しすぎて置いてけぼりにされまいと必死なのかそれならあの暴走ぶりも何となくふに落ちる。

さて、街中を大きく移動して入りくんだ路地で下車、

それから日陰の濃い路地へと進んでいくと、ある書店にたどり着いた。

隠し基地でもあるのだろうか?そう思っていたら

オッペリアさんが書店の店員と合言葉を言い合い始める。

レジカウンターの裏の部屋に通されると地下へと続く両開きの扉があった。

ああ、やっぱり。

そこから両開きの扉を開くと階段が姿を現れ降りていくと門番が姿を現した。

オフィーリア、そいつは何だ?

期待の新人、逸材よ。

ほほぅ、お前が認めるほどか!そいつはすげぇ!よろしくな!

よろしく。

オフィーリアさんは言った

グレム戦士長はいる?

戦士長なら座禅の時間だ。

そう、ありがとう。

グレム戦士長って誰?

と首をかしげながらオフィーリアさんのあとをついていく

長い道だ。途中大勢の戦士たちを目にする。

その中でひときわ美青年が指導をしていた。

そうたしか名前はマルベリーさん、指導しているのはティスさんだ。

ティスさんと目が合う・・・にらまれた。

マルベリーさんに軽く会釈しておく

皆訓練に明け暮れているようだ。

オフィーリアさんが言った

ここは強化戦士養成組織サイフォス、いまこの国は国王派と貴族派王で争っているの。

サイフォスは国王派の暗部として動き、反対派の強欲貴族たちと戦う国民を守るための正義の組織なの。

これから会う方は戦士長グレム、

我々サイフォスの中でもっとも気高く、もっとも偉大な戦士よ。

王国はひた隠しているけどグレムは禁断の兵器を倒して世界を救った英雄なの

禁断の兵器?何ですかそれ。

知らないの?

はい。

神話に出てくる邪悪なるもの、魔王トゥリスカ・エンポリアー、忌まわしき魔王を模して作られ世界に災いをもたらした禁断の兵器。

それをたった一人で倒した伝説の戦士それがグレムなの。

魔王・・・きっとあれのことだろう。

天上を見上げると魔王らしき怪物の壁画とドリーム・キャッチャーが刻まれていた。

それでね。戦士たちは皆、グレムに贈られた最強の戦士の証、サイフォスの称号を継ぐのが目標なのよ。

豪華な扉の前まで来た。

失礼します。

ガチャ、

扉を開くと

キェー!

美少女が座禅の姿勢から一気に跳躍すると居合いをした。

スパンと竹が切断される

おお、すごい迫力だ。

オフィーリアさんは言った

あれがグレムよ。

え?あの少女が?

少女はこちらの存在に気がつくとちょこちょこ小走りに寄ってきた

オフィーリアさん、おはようございます。何かありましたか?

なんだか強いのに腰の低い人だと思った

はっ!

頭を下げるオフィーリアさん

戦士長グレム。この者は私たちを爆発から助けてくれた大恩あるお方

さらにはあのティスを難なく組伏せるほどの才を持つほどの強者!

つきましてはこの者をサイフォスに加えていただきたく参上した次第でございます!

なにやら組織に組み込まれてしまいそうな話が進展している。

グレムは言った

オフィーリアさんがそこまで認めるなんてすごいですね!

でも、手解きをするに足る器か見ないとちょっとわからないかな?

ちょっと待ってください!

そう叫んでティスさんが走ってきた

ティス!

ティスさんが言った

マスターグレム!そんな野良犬!俺がぶっ飛ばしてやりますよ!

へー、僕以外にマスターなんて呼ばれる人がいるのか~・・・の、野良犬!?

あまりに雑な評価に意識が錯乱する。

ティスさんはいまにも斬りかかって来そうだ。

ティスさんの手がわずかに剣のつかに触れるのを見逃さなかったのだろう

オフィーリアさんが叫ぶ

ティスやめて!

マスターグレム俺からも頼む

そこに現れたのはマルベリーさんだった

ティスは先日の戦いで彼に敗北している。もう一度戦う機会を与えてやってほしい

マルベリー!あなたまで!

それらを見てマスターグレムが笑顔で言った

次期サイフォスであるマルベリーさんがそこまで言うならわかりました!ならこうしましょう!

闘技場に通されると

ティスさんの全力の一撃を僕が受けることになった。

オフィーリアさんが訴える

グレム!これではあまりに一方的すぎます!

しかしグレムは悪びれる様子もなく

王家の暗部であるサイフォスに入団するならこれくらいしのいでくれないと危ないですよ!

マルベリーも止めてください!

落ち着けオフィーリア、ティスの強さは俺が誰より知っているつもりだ。だが昨日の動きを見ていればそう問題もあるまい。

詭弁だった。組織に入る前からすでに実力者と戦えと言っているのだ。

だがオフィーリアは知っている昨日のゼロスとティスの攻防を、その秘められた実力を、サイフォス戦士長であるグレムがそれらを見抜いているだろうことも、だからこそ見守るのだ。

意地悪そうにティスさんは笑った。

運が悪いな?組織の実力者である俺に目をつけられるなんて、昨日は油断しただけ、今日は引き裂いてやる!

なんでこんなことに・・・。


≪サイフォスの戦士ティスが現れた≫



サイフォスの戦士ティス

Lv20

HP140

MP42

力46

防御40

すばやさ40

賢さ50


スキル

剣術Lv1

炎上魔法Lv40


装備


サイフォスの剣「力+35」


特技


・強化戦士手術被験者「2回行動」


弱い!弱い!弱い!弱すぎる!とにかく弱い!

ここはできるだけ手加減しよう。

どの魔法で戦おうか。

グレムさんは言った。

ティスさん倒せそうなら倒しちゃっていいですからね~!

マルベリーさんも言った

油断するな。訓練を思い出せ!

了解!

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

ティスさんが胸に手を当てると体から魔力が溢れ出しほとばしる。

ティスさんの背後に赤のオーラがただようのが見えた。

これが魔力臓器の力!

ティスさんの魔力が剣に宿り燃え上がった。

これがこの世界の魔法!

それを振りかぶり襲いかかる。

炎上魔法・ピー・コルタール!

燃え上がる炎の剣が僕の体を二回切り捨てた。

これがサイフォスの二回行動の動きか!まるで残像だ!

オフィーリアさんが叫ぶ

ゼロス!

ま、余裕なんですけどね。

切り捨てたように見えただけで

炎の剣の刃が双剣杖の上をすべっただけだ。

ティスさんがしり込みしてしまう。

ば、馬鹿な!炎の剣と組み合って生きているだなんて!やつは不死身なのか!

悪くない攻撃ですが、あなたの魔法ではそこが限界でしょう。

は!はぁぁぁぁぁ!

激怒するティスさんを無視して僕はグレムさんに聞いた。

グレムさん、合格ですか?

戦士長グレムは困りながらも笑顔で言った

う~ん、もう少しゼロスさんの実力が見てみたくなっちゃいました。ゼロスさんあと少しだけ魔法振るってもらえませんか?

腹の底の見えない人だ。

あどけない少女を演じながら節々にわずかに漏れでる殺気は無視したくない。

それにマルベリーさん、彼もかなりの強さだろう。

さすがは最強のサイフォスと次期サイフォス。

しかたがない。少しだけ手の内を見せよう。

そうだ。今回は陰魔法で戦うことにしよう。

魔王以外使ったことのない陰魔法がどんな魔法を持つか気になっていたんだ。

どうなるだろうか?

僕は双剣杖を振るい唱える。

陰魔法・ウンブラ・イレクトリズモス・ヘルコス!

突如周囲に電気柵が出現し周囲を取り囲む

ティスさんは、な!と声をあげ驚愕したあとに冷静さを取り戻すとくだらなそうに言った。

見たこともない珍しい魔法に驚かされたが何をするかと思えば、こんなもの見えていれば当たるわけがない!子供騙しだ!

安い挑発を聞き流しながら

双剣杖を振るう

陰魔法・ウンブラ・ペロネー・ヴノ!

突如、地面に針山が現れ、ティスさんが一歩歩いたら見事に針山を踏み抜いた

ぎゃ!

ぶざまにケンケン歩きをして、そのまま後頭部から電気柵に突っ込み

高圧電流がほとばしる

アアガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

ティスさんが悲鳴をあげ転ぶ

双剣杖を振るう

陰魔法・ウンブラ・エンコピ!

ボキ!

良い音がして転ぶと同時、ティスさんの愛剣が折れた。

あぁ・・・俺・・・俺の・・・剣がぁぁっ・・・。

長年愛用していたのだろう。

泣きそうになっている。

グレムさんが剣を投げてよこすとティスさんはそれを構えた。

スペアがあるのか。

く、くじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

激昂している!バーサク発動だろうか。

双剣杖を振るう

陰魔法・ウンブラ・ペクストラ・ペトラ!

突如、いくつもの石が飛んできた!

それがティスさんを滅多打ちにする

いいいいい痛い!痛い!痛い!痛いいいいいいいいいいいいいい!

ティスさんが悲鳴をあげる

バッ!と石の飛んできたほうを見ると

やばい!にげろおおお!そう誰かが叫び、悪童を思わせる少年たちの黒い影がスッ、と霧のように消えた。歯がギザギザしていたしおそらく怪物か何かだ。少なくとも人ではあるまい。

まだまだ!とどめだ!

双剣杖を振るう

今度は一度も使ったことがないとっておきの魔法だ。

陰魔法・ウンブラ・パジェス!

・・・。

何も起きなかった。

あ、あれ?魔法が発動しない。

双剣杖が故障でもしたのか?杖は故障するものなのか?とまじまじと眺めていると

ゆっくりとティスさんが立ち上がった。

そのままよろよろとにじりよってくる

ゼロスぅぅころぉぉす・・・。

ティスさんが泡を噴きながら八重歯をむき出しにしてジリジリと迫る。

背後ではかつてないほどに巨大な赤い魔力のオーラがほとばしっていた

あ、あぁぁー!

突如、ティスさんが悲鳴をあげ視界から消えた。

は?・・・は?は?

自分でもよくわからず様子をうかがうと大きな縦穴ができていた。

落とし穴だ。それも何十メートルもありそうだ。

勝者!ゼロス!

陰・湿・。

圧倒的陰湿。陰魔法、改めて使ってみて理解する。陰湿な魔法だった。

ロープで引き上げられたティスさんが、

おい!しっかりしろ!

うう、マルベリー、

す、すげえ~、ティスを倒しやがったぞ

嘘~ティスくん可哀想~。

外野がざわつき始める

マルベリーさんが言った

グレム。

なんですか?

俺も戦わせてもらえないか?

また観戦していた外野がざわつく

ええ!嘘だろ!マルベリーさんが戦うのかよ!

グレムさんが言った

ええ、いいですよ?

弟子の仇は俺が取ろう。

マルベリーさんが剣を抜く。

どうやら今度はマルベリーさんが相手になるようだ。

オフィーリアさんが言った

気を付けてゼロス!マルベリーは次期サイフォス、グレムを除けばサイフォス最強の戦士よ!

グレムさんに抗議する

僕新人ですよ!

ニコニコとグレムさんは笑っていた。

聞き入れる気はないらしい。

名前の知らない戦士にティスさんが支えられながら医務室に運ばれていく。

さて、しかたがあるまい。

マルベリーさんは言った

本気で来てほしい。そうでなければ死ぬぞ!

マルベリーさんが剣先を僕に向ける

本気になると殺してしまいそうだ。努力はしよう。


≪サイフォスの戦士マルベリーが現れた≫


サイフォスの戦士マルベリー


Lv50


HP326

MP529

力78

防御121

すばやさ65

賢さ75


スキル

凍結魔法Lv99

溝鼠魔法Lv99

悪寒魔法Lv99

剣術Lv10


装備


サイフォスの刃剣「力+80」


特技


・強化戦士手術被験者「2回行動」


強い!MPがすごい!

マルベリーさんが叫ぶ

凍結魔法・パーゴス・コルタール!

剣が凍る

冷気剣か、

あの人は強い。

敬意を表してこちらも技をお見せすることにした。

双剣杖を前にかざし、魔術を付与する。

そう闇魔術による魔力付与だ。

刀身に手をすべらせると剣に闇がまとわりつく

燃え上がる闇の剣、まとわりつく闇と言うのが正しいか。

マルベリーさんが警戒する

外道魔法!違う!この魔法は?まさかサイフォス製の魔力臓器を?だがただの魔力臓器でこの出力はありえない!

では、行かせてもらいます。

跳躍して一気に距離を詰める。

速い!

バイン!

金属が弾かれる音がしてマルベリーさんが一上方に吹き飛ばされる。2mはある大柄な男が、その巨体を軽々と弾き飛ばされる。

観戦していた戦士たちは唖然としてしまう。

無理もない反応だ。

オフィーリアさんの目には僕が剣を振りぬいた残像が現れたことだろう

はぁ!はぁ!

2回の斬撃がマルベリーさんの剣とつばぜり合う。

力のこもった剣撃にマルベリーさんが思わず声をあげた

くっ!

剣を組み合って見て理解する。悪くない。

平均の戦士を軽々と越える超人的な反射速度、これが次期サイフォスか。

僕の斬撃に2回もついてくるとは

最大でもあと94回分速く動ければ僕に一撃を叩き込めるだろうか。

バイン!

ぐあああ!

マルベリーさんの剣に双剣杖を投げつけ、ズシリと重い衝撃を叩き込む。

さらにジャンプ、空中で投げた双剣杖をキャッチして流れるように二刀流を叩き込む。

二つの大きな火花が散った。

くぐぅ!

マルベリーさんが踏ん張り地面に線路みたいな足跡がつく

手加減はしているが軽く200mくらいは吹き飛んだ

ポーカーフェイスの内心は僕の斬撃をさぞや重い剣だと思っていることだろう。

着地前にさらに剣を6回くらい振るってみると

腕が折れるんじゃないかと思うくらいマルベリーさんの握る剣が火花を散らす

本気で振れば腕を叩き折れるので間違いではないが。

オフィーリアさんが驚愕しながら言った

信じられない!あのマルベリーが押されている!剣の天才が、次期サイフォスがあそこまで追い詰められるなんて!

グレム!やはりあなたはこれを見越して!

グレムさんは言った

異邦の戦士、いえ、魔法使いの実力まさかこれほどとは思いませんでした。

マルベリーさんは中腰で踏み込み

はぁぁー!

回転するように大振りに剣を振るう

重量の乗った見事な斬撃だ

氷魔法・パーゴス・コルタールが氷のつぶてとなって飛んで来る。

無論、氷のつぶてを投擲する魔法は別に存在するし。その戦い方は本来のパーゴス・コルタールの扱い方ではない。

刀身に冷気をまとわせる魔法を発動させながら力技で冷気を投擲してみせる

すべてマルベリーの才能があって初めてなせる技なのだが。

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

すべて双剣杖で叩き斬り、氷のつぶに真正面から突き進む

オフィーリアさんが言った

パーゴス・コルタールを切り裂いた!

双剣杖を振るう

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

96回の斬撃がマルベリーさんの剣をぶっ飛ばし

ぐはぁ!

マルベリーさんが投げ飛ばされ地をゴロゴロと転がっていった

マルベリーさんは言った

馬鹿な!俺の剣が・・・負けた!

グレムさんが言った

そこまで!勝負あり!

う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!僕の勝利だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

勝利に喜んでいると

マルベリーさんが他の戦士に肩を貸してもらい立ち上がる

やられたな。まさか、これほどとは次期サイフォスの異名もこれで返上か

僕もマルベリーさんの強さには驚かされた

異世界を渡り歩いたわけでもない人間がここまで僕についてくるとは

ここで自分の強さを謙遜してはマルベリーさんに対しての嫌みに聞こえてしまいかねない。

だから僕は

いい試合でした。

無難な言葉を選びお茶を濁しておく。

マルベリーさんが医務室に向かうと入れ替わりにグレムさんがやってきてわざわざ僕の隣に立ち言った。

よろしくお願いしますね。ゼロスさん。

そう言って去っていく。

グレムさんが認めたことで僕はサイフォスの手術を受ける権利を得た。

普通なら断るだろうがどちらでもよかったので流れで強化戦士に改造してもらうことにした。

白衣を着たグレムさんが言った

冷凍保存された臓器を選んでください。

こちら一般には流通していない闇臓器になります。

そう言われ、ライトアップされたレントゲン写真たちを見せてもらう

心臓、

肝臓、

胃、

腸、

できるだけ強いものがいいです。

強いものですか?

それなら断然魔力量の多い心臓ですね!

と言われる。

心臓か、

一応見せてもらうと

心臓1番目に魔力が強い

胃2番目に魔力が強い

肺3番目に魔力が強い

肝臓4番目に魔力が強い

胃5番目に魔力が強い

腸6番目に魔力が強い

ふと思い出す。牛の胃が5つあることを・・・。

胃がいいです。それも5個

5個?わかりました。できあがりが楽しみです。

グレムさんが手術着を羽織る

それではこれより戦士ゼロスの強化戦士手術を始めます。

ナス。

不安しかない。



ステータス


Lv396

HP755

MP755

力755

防御755

すばやさ755

賢さ755


スキル


呪怨喚起悪魔憑依魔術Lv99

黒魔法Lv99

影魔法Lv99

陰魔法Lv99

外道魔法Lv1


熟練度99999


装備


・スキアー・スパティ・ラヴディ「賢さ+255、二刀流、悪魔憑依×3」

・サイバネティクス・ケイリス「賢さ+255、陰魔法を発生させ、通常の魔法発生器の100倍の性能を誇りる恐るべき機械手袋」

・魔力臓器「賢さ+255、外道魔法を発生させ、魔力臓器を5つ移植したことで1つの魔力を発動させれば同時に5つの魔力を上乗せさせられる五重魔力を発現させる恐るべき魔力臓器」

・スピードリング「瞬間二撃」

・スターリング「2回攻撃」

・星くずリング「4回攻撃」

・先代勇者のピアス地「会心率+100%」

・先代勇者のピアス天「魔力×2倍」

・魔力臓器「五重魔力」


特技


・超上級技術、乱れうち「4連撃」

・ダブルマジック「二連魔術」

・連続魔法「4回魔法撃」

・分身撃「同時二撃」

・強化戦士手術被験者「2回行動」



魔力臓器を移植したことで外道魔法を得た。

おまけに胃を5つ移植することで5種類の魔力を得た。

五重魔力、1つの魔力を発動すれば同時に5つの魔力が上乗せされる恐るべき力だ。

これで晴れてファイブ・ウィザードになった。

外道なんて名前からにじみだす狂気が末恐ろくもある。

さらに強化戦士手術被験者となったことで肉体が強化され手際が高速化、1回の行動をする内に2回分行動が可能になった。

凄まじい力だ。いまさらな気もするが。

ティスさんよろしくお願いします。

ふん!

そっぽを向くティス

マルベリーさんよろしくお願いします。

ああ、とだけ返事をする。

これからよろしくねゼロス。

こちらこそ、とオフィーリアさんにあいさつする

それでは新人戦士ゼロスの入団を祝ってかんぱーい!

かんぱーい!

グレムさんがおめでとうございます!と拍手している。

パチパチパチパチ

周囲の他の戦士たちも戦士長にならい拍手を贈る。

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

内心は強い新人戦士の登場に戦々恐々と言ったところ

ティスが負けたってよ

ウソだろ!うちのナンバー3だぞ!

知らないのか?

遠征組だったからさ

それがさ。どうも手術前の生身で倒したそうだ。

さ、サイフォスを生身で倒した?お前いくらなんでもあり得ることとそうでないことがあるだろ。

鍛えた一般人でも無理だぞ

間違いないって、新人が手術を受けたのはつい先日だぞ。試合はそれよりも前に行われた。

それじゃあ、とんでもない化け物じゃないかよ・・・なんてーいうと思ったかああ?がははははははははははははは!

本当だって!

オフィーリアさんの推薦だそうよ!

納得だな。うちのナンバー2が連れてきた逸材だよ

どうやら

殿堂入り0位、グレム戦士長

1位、マルベリーさん

2位、オフィーリアさん

3位、ティスさん

の順に強いようだ。

いきなりナンバー3を倒してしまってなんかすいません。しかも生身で倒してしまってなんかすいません。

ついでにナンバー1を倒してしまってなんかすいません。

内心で全方位に謝罪しておく。

サイフォスの目的は、国王派の暗部戦士として貴族派と戦うことだ。

秘密警察のようなもので民衆はサイフォスの存在は知っていてもどこでいつ活動しているかはわからない。正義のために戦う戦士たちだそうだ。

敵を知るいい機会だ。貴族派の話を教えてもらおう。

人が混雑する中、適当な人に話しかけてみよう。

目の前にいた戦士に話しかける。

もし、貴族派はどんな不正をしているのですか?

知らないか?いいだろう。教えてやるよ。

まずは金だ。不正な金だ。それからその金で女を買い酒を飲み豪勢な贅沢をしている。典型的な私欲の塊さ。

貴族は悪いやつらのようだ。

目の前にいた女戦士に話しかける。

もし、貴族派はどんな不正をしているのですか?

主に女奴隷を慰み者にして・・・。

顔を赤くして口ごもってしまう

恥ずかしすぎて言えないが酷い内容のようだ。

貴族って酷い。

それから僕らは調査を続けた

貴族派の中でも3人の人物が中心となってが王派と争っていた。

モフォック伯爵の屋敷に潜入することになった。

目的は王に反旗を翻した確たる証拠だ。

集まったわね!

オフィーリアさんがそう言えばサイフォスの戦士たちが集合していた

オフィーリアさんが全員に指示を出していく

4人は屋敷の右側面から

ああ!

4人は屋敷の左側面から

了解!

4人は屋敷の上方から侵入して

任せてくれよ!オフィーリア!

あなたは待機

ホームは死守して見せるぜ。

手薄だとツッコミを入れる気はない。

マルベリー、ティス、ゼロスは私と

4人は下水から侵入して

了解!

作戦が始まった

一斉にサイフォスたちが屋敷を襲撃していく。

敵だ!敵襲!敵襲!

各地で金属のこすれ合う戦闘音が聞こえてきた。

いたぞ!

ゾロゾロと兵士たちが現れる

3人が兵士たちを次々叩いていく

オフィーリアさんが叫ぶ

はああああああああああああああああああ!

マルベリーさんが、くの字に俊敏に駆け、敵を端から端まで叩き斬る

はあああああああああああああああああああああ!

ティスさんが上段から振り下ろした一撃で敵を両断する

オフィーリアさんが素早く滑り込むと強化戦士の実力を発揮して自分よりもずっと大柄な兵士の腹目掛け正拳を叩き込み意識を瞬時に刈り取った。

ティスさんが剣を投げると叫ぶ

炎上魔法!ピー・コルタール!

剣が燃え上がり、炎のブーメランとなって敵陣を切り裂く

うわあああああああああああああああああああああああああ!

ぐあああああああああああああああああああああああああ!

ドカーン!

パクられたと思った。

誰かの掛け声や爆発音が聞こえて来る

みんなが頑張って戦っている

及ばずながら僕も加勢する。

殺さない程度におびえさせろ!

双剣杖を振るう

陰魔法・ウンブラ・スキリ!

陰魔法によって全長3mの魔犬が現れる。

魔犬は素早く移動し各所をかく乱する。

見るものによっては屋敷の中を黒い影がはいまわっているように見えたことだろう。

遠くの棟の上で追い詰められた兵士が噛みつかれている。

仲間を見捨てて部屋に向けて走り。

おわわああああ!悲鳴をあげ

扉を閉める瞬間、魔犬が扉の内側に入っていくのも見えた。

それからたっぷり20秒たつと、悲鳴が聞こえ扉をバラバラに吹き飛ばして男が投げ出されてきた、もう男に興味をなくしたのか魔犬は元気に次の獲物を襲っていく。

なんなんだ!あいつは!どこまでも追ってくるぞ!違う!あいつ俺たちが疲れて追い詰められる様を楽しんでるんだ!

そう、あいも変わらず陰湿な魔法だ。

くらえー!

横から来た別の兵士を拳で吹っ飛ばす。

ぶあああああああああああ!

悲鳴をあげて兵士が別の兵士に激突した。

オフィーリアさんが背後に現れると

ゼロス!背中は任せたわよ!

頼りにしてくれているのだ。

僕もその期待に応え

はあ!

迫る敵の攻撃を双剣杖で叩き落としていく

ある一人の敵兵にのみ96回斬撃を叩き込み

鎧をすべて破壊してみせるとほかの兵士たちは全員小便を漏らし。

じょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

しりすぼみしてしまう

う、う、うわあああああああああああああああああ!

それでも果敢に挑んでくる敵兵士を叩き斬る

でや!

オフィーリアさんも華麗に飛び回り剣で切り飛ばしていく

誰ともなく言った

あいつら息ぴったりだ

案の定それを聞いたティスさんは二人で一つとなって戦う僕たちを見て憎々しいものを見る目でつぶやく

あいつうう・・・!

はあ!

マルベリーさんが天上から落ちて来ると

凍結魔法・パーゴス・コルタール!

剣が凍ると回転するように切り裂いた敵たちを一瞬で凍結させてしまう

はあ!はあ!

対峙する敵を前にして踊るように戦場を斬り進み次々と凍結させていく

仲間の誰かが歓声をあげる

強すぎる!あれが最強の戦士!

そのとき仲間の誰かが叫ぶ

おい!こっちに牢獄があるぞ!

オフィーリアさんが言った

警備の兵士たちはあらかた片付いた。私たちは牢獄に向かおう!

はい!

牢獄に行ってみると石を敷き詰めた人工的な牢屋が奥まで続いていて、いろいろな種族、人、獣人、エルフ、ドワーフ、遺体まで牢屋に入れられている。

その奥でトゥアレタとピュエロスを見つけた。

マスター!

ピュエロス!どうしてこんな場所に!

二人とも少しやせていたが生きていた

牢屋のカギを壊すと

うあ~ーん!怖かったよ~!

ピュエロスが抱き着いてきた。

トゥアレタも呆然として僕を見て、まるで希望を目にした瞬間のような顔をしていた。

撤退!

オフィーリアさんの合図で屋敷を後にし、サイフォスのアジトへと戻る。

トゥアレタとピュエロスの二人から話を聞くことになった。

トゥアレタが説明してくれる。

私が家出したあとピュエロスが探しに来てくれて

そのときはあのモフォック伯爵とトラブルになっていて

ピュエロスが一緒に戦ってくれて

そしたらあの伯爵、子供を人質に、それで・・・。

捕まったの?

はい・・・。

マスター、トゥアレタを責めないでください!

ピュエロスがそう言ったのとは関係なく。僕はトゥアレタを責める気はなかった。

もちろんです。トゥアレタ、すまなかったね。

君たちをあんな牢屋に放っておいたのはまぎれもなく僕自身だ。

え・・・そんな、悪いのは私で・・・。とトゥアレタが驚いた顔をしている。

僕は二人に詳しくは説明していなかったね。

そろそろいいかもしれない。

僕は弟子たちを裏切ったことをようやく二人に打ち明けたのだ。

まさかそんなことがあっただなんて・・・。

トゥアレタは後悔したような顔をしていた。

ピュエロスも共感し泣いている。

トゥアレタ・・・悪かったね・・・もしこんな僕でもよかったらこれからも君の修行の手伝いをさせてもらえないだろうか?

もちろんです!私も悪い部分直せていけたらいいと思ってます!

ピュエロスは

トゥアレタ・・・。

とつぶやいて涙ぐんでいる。

僕とトゥアレタの氷のような関係は今日、ようやく氷解したのだ。

オフィーリアさんとグレムさんに集まってもらう

初めまして、トゥアレタです。

ピュエロスです。

私たちも皆さんの力になりたいと思ってます。よろしくお願いします!

グレムさんが笑顔で言った。

こちらこそよろしくお願いしますね。

それから僕たちはサイフォスと行動を共にしていくつもの貴族たちと戦いを続け

半年がたとうととしていた

男の一団が路地裏で貴族の令嬢を取り囲んでいた

ぐへへへ!お前さんを人質に身代金を要求すれば大儲けだぜ!

だ、だれか・・・助けて・・・。

大丈夫か!

僕はさっそうと屋根の上から現れ

はあ!

飛び降りて双剣杖を振るい男を切り捨てる

ぐは・・・。

サイフォスだ!

僕とトゥアレタとピュエロス、3人で仮面をかぶり参上する

あなたたちお縄につきなさい!

逮捕よ!

ひい!

サイフォスだと!逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおお!

男たちが逃げていくと令嬢は泣きながら抱き着いてきた

怖かったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!わあああああああああああああああああああああああああああああああ!

もう大丈夫だ!怖かったね。

家族のいる屋敷まで送り届け

ありがとうーおにいちゃーん!

サイフォスのルール、名も名乗らず去ること

そんなサイフォスには称賛の声が贈られた。

影から世界を守る英雄だ

さすがサイフォス!

俺たちの平和を守ってくれる正義のヒーロー様だぜ!

英雄扱いされるのも悪い気分ではない。

サイフォスとして顔がバレているわけではないので道を歩いていても賞賛されるようなことはないのだが。

噂話でサイフォスを称える声が聞こえると達成感と街を守っている充足感といたずらをしているくすぐったさがあった

アジトにて

はあ!はあ!

オフィーリアさんが訓練の手を止めると言った

情報によれば今日の夜、モフォック伯爵とヴァート男爵の密会がある。

マルベリーさんが言った

屋敷の見取り図は?

これよ。

オフィーリアさんが見取り図を広げ作戦を説明していく

トゥアレタ!私たちで世界を守りましょう。

ええピュエロス、オフィーリアさん今回もよろしくお願いしますね。

ティスさんが言った

ふん、せいぜい頼んだぜ。トゥアレタ、ピュエロス

オフィーリアさんが言った

そうかしら?トゥアレタ、前回の作戦では大活躍だったじゃない今回も頼んだわよ。

はい!

トゥアレタは得意げな顔をしてティスさんに言った

そういうことよ。お馬鹿さん!

なにい!

イラつきを露わにするティスさん

ちっ!

かんしゃくを起こして行ってしまう

ちょっとティス!

オフィーリア様!やることはわかってますよ!

バン!

と勢いよく扉が閉められた

やれやれ

とマルベリーさんがあきれた顔をしてティスさんのフォローへと部屋から出て行ってしまう

トゥアレタは怒りながら言った

何よあれ!マスターあとで彼を殴ります。

暴力はいけないと思うよ・・・。

冗談だろうことは織り込み済みの会話だ。

冗談だよね・・・?トゥアレタが暴れださないことを祈ろう。

モフォックは以前取り逃がしたので都合がいい。一網打尽と行きましょう。

屋敷の正門の前まで来た。

ティスさんはいまだ不機嫌そうだが、作戦となれば切り替えができる程度には戦士のようだ。

オフィーリアさんが言った

ティスたちは屋敷の天上から強襲後、合流して

了解!

トゥアレタとピュエロスたちもティスと一緒に行ってくれますか?

トゥアレタが言った

わかりました。オフィーリアさん

ピュエロスも返事をする

テフィスさんが意地悪そうに言った

へまするなよな。

ふん、当然よ!

オフィーリアさんが言った

トゥアレタが怒っている

ゼロスは私と正面から、陽動だから派手に騒ぎを起こして

ティスさんが不満そうにつぶやく

またかよ・・・。

マルベリーさんが言った

ティスそうぼやくな。

だって・・・。

いくよ!みんな!

オフィーリアさんを先頭にサイフォスの面々が突撃をかける

ティスさんが

はあ!

剣を振るい敵を薙ぎ払い

はあ!

マルベリーさんが隣で剣を振るい敵を薙ぎ払う

激しい戦いのさなか

トゥアレタとピュエロスが

カミオン・フォース・スフェラ!

聖術と

カミオン・スコタディ・スフェラ!

魔術

中程度の威力で白と黒の球体が飛び交う

うわあああああああああああ!

わああああああああああああああああああ!

敵が悲鳴をあげ吹き飛んでいく

まだまだ未熟だが二人とも成長したものだ

トゥアレタは言った

ねえ、なんだかオフィーリアさんとマスター仲が良くない?

ピュエロスが言った

え!そうなの?

気が付かなかった?

そんな会話をしているとはつゆ知らず

聖術と魔術で敵陣が吹き飛ばされていく

聖魔の協力関係を尊ぶマスターアカーテスが弟子たちの姿を見たら感動してしまうのではないだろうか。

僕もオフィーリアさんと共に敵陣を突き進む

はあ!

目の前の敵を双剣杖で投げ飛ばし

でや!

その隣でオフィーリアさんが敵を斬った

俺だってええええええ!

突然、ティスさんが目の前に飛び出してくる

え!ティス!なんでここに!

それと同時弓矢が群れて降り注ぐ

危ない!ティス!

オフィーリアさんが身をていしてそれを防ごうとしたが、とても生身で受けきれるものではない。

僕はすかさずオフィーリアさんの目の前に踊り出ると、同時に僕の隣にマルベリーさんが現れる

マルベリーさんも迫る弓矢を剣ではたき落とし

僕も双剣杖を振るう

陰魔法・ウンブラ・トイコス!

目の前に瞬時に陰湿な障壁が展開する。

最上位障壁陰魔法、トゲトゲしたスパイク付きの障壁が敵の魔法をその障壁で打ち破る。

マルベリーさんが叫ぶ

無事か!

オフィーリアさんが叫ぶ

ティス!どういうつもり!

こ、これはたまたまで!

なんで持ち場にいないの!他のみんなは?

あの・・・それは・・・!

僕は言った

オフィーリアさん、いまは言っていてもしかたがない。

そうたしなめるとしばらくオフィーリアさんは物憂げにうつむき

・・・わかったわ。ティス、あとで話しましょう。

マルベリー、ティスをお願い。

任せろ。

ゼロス!行こう!

はい!

ティスさんを置いて僕とオフィーリアさんは二人で先へと突き進む

ティスさんは捨てられた子犬のような目をしていた

撃て!撃て!撃て!敵を入れるな!

敵魔法使いたちのリーダー風の男が指揮を取り、魔法の弾雨が飛んでくる。

オフィーリアさんが言った

くっ!これじゃ、進めない!待っていたら援軍に取り囲まれる可能性も、どうしたら!

僕は言った

任せてください。

ゼロス!作戦があるの?

正面突破します!

ええ!?

複数人の魔法使いたちが敵陣を僕一人でゆっくりと歩いていく

敵の魔法使いたちが言った

来るぞ!正々堂々と真正面から突っ込んでくるとはよほど死にたいらしいな!

「「あははははははははは!」」

魔法使いたちが邪悪な笑い声をあげる

無数に飛んできた炎上魔法たちがすぐ横でさく裂するもそれをわずかに角度を避けるだけで避けて見せる。

す、すごい・・・。

と感動するオフィーリアさん

な、なんだ!あいつ!魔法の弾雨の中を歩いてくるぞ!

避けているだと!ありえない!攻撃を集中させろ!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!

シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!

全然当たる気がしない速度だ。

そのまま敵の背後を取り、ひとりひとりゆっくりと双剣杖で叩き、

ごはっ!

うわっ!

うえっ!

気絶させていく。

鎮圧完了、オフィーリアさん、もういいですよ!

凄まじい力ね!

階段を登り、ヴァート男爵の私室までやってくるとモフォック伯爵と一緒にいた。

銃を撃ってくる

それを双剣杖で弾き飛ばした

はぁ!

ギャイン!

火花が散る

オフィーリアさんも同じように剣で弾いていく

はあ!

ギャイン!

一気に走り飛び、膝蹴りを叩き込む

そのとなりで僕も飛び蹴りをくらわせた

とお!

これで終わりですね。

遅れてやってきたマルベリーさんとティスさん、それとトゥアレタとピュエロスも入室してくる

全員集まったわね。証拠を探しましょう。

さ~て、証拠、証拠、

室内を物色すること数分、資料を見つけた。

オフィーリアさん!ありました!

こっちもあったわ!

6人で資料を見る。

これが横流し品のリストのようだ。

ふんふん、なるほど~。

皆が調べているすぐ横で地下室を見つけた。

これは・・・オフィーリアさん!

オフィーリアさんと一緒に降りてみると

大量の水槽が並び、中に人間が浮かんでいた。

何かの研究施設のようだ。

水槽と直結した機械基盤の上に何枚かのファイルが置かれている。

その一文にはこう書かれていた。

強化兵士、サイフォスに代わる新たな戦士と書かれている。

ゼロス!

オフィーリアさんが読んでいたのはずいぶん古い手記のようだ

パラパラと手記の内容を読み込んでいく

大型兵器トゥリスカ・エンポリアーは魔王を模して作られた兵器だ。

しかし巨体を動かすため膨大な魔力を発生させることのできる人間が必要になる。

動力として産み出された強化兵士たちは副次的効果で強靭な身体能力を得ることも認められた。

私はこれをサイフォスと名付け生涯の研究課題として昇華させていくつもりだ・・・。

オフィーリアさん・・・これはいったい・・・。

僕とオフィーリアさんは驚きの表情でその手記を見ていた

そのときだった。

そ、そんな・・・。サイフォスが産み出されたのは人々の平和のためじゃなかったのか!

ティスだった。

彼は頭を抱えて部屋の中をうろうろし始めると水槽の中の人を次々見てまわる

うう・・・。

声をあげ泣き叫びそうになる。相当取り乱しているようだ

ちょっとティス!落ちついて!

錯乱するティスさんにオフィーリアさんが手を差し伸べるとティスさんはその手を払いのけた。

何これ、何これ、何これ!何これ!何これ!

凄まじい取り乱し方だ。

いまにも意識が飛びそうな早口言葉だった。

オフィーリアさんが言った

資料を読み込むのはあとにして、いまは屋敷の探索を優先させましょう。私はティスを見てるからゼロスはみんなをお願い。

わかりました。

それから僕が加勢したことで戦いは早々に終わり、アジトに戻るとみんなで祝杯をあげることになった。

サイフォスの戦士たちがみんな祝ってくれる。

オフィーリアさんはティスさんはどうなっただろうか。

はははっ!ゼロス!お前やるじゃないか!

すごいすごいと思っていたけど敵の集中砲火を前に前進するなんてすごすぎますよ!

ああ、お前はすごいよ

と、マルベリーさんも認めてくれる

次期サイフォスが認めてくれたのは大きい功績だ。

いた!オフィーリアさん!ティスさんはどうなりました?

ティスなら部屋にこもって出てこなくなったみたい。

そうでしたか。

マスタ~飲んでましゅか~。

うわっ!

頭から肩にぶつかってきたのはトゥアレタだった

相当酔っているようで真っ赤だ。

トゥアレタもお疲れさま

あははは~!オフィーリアさんもいつもお綺麗ですね!

ええ、トゥアレタありがとう。

トゥアレタ飲みすぎよ。

ピュエロスがトゥアレタに注意する

ピュエロス、トゥアレタを頼む

はい、マスター。

そう言ってピュエロスがトゥアレタを連れていく

祝福の言葉を受け流しながら僕とオフィーリアさんはグレム戦士長のもとへと向かった

お疲れ様です。オフィーリアさん、ゼロスさん、

グレム戦士長、お話があります。

何でしょう。

実は・・・

僕たちは地下室で見たものと資料の内容をグレムさんに話した。

グレムさんは言った

サイフォスのこと・・・私は知っていました。

そんな!

それを聞きオフィーリアさんが狼狽する。

ごめんなさい。言えば皆サイフォスに誇りを持てなくなってしまう。そう思うととても言葉にできなくて

グレムさんがつらそうに言っている

それはそうかもしれないですが・・・。

オフィーリアさんたち現場の戦士からすれば信じてほしかったのだ。

それはサイフォスとなった僕も同じだが、しょせん異世界からの来訪者である僕とでは立ち位置が違う。受け取り方が違うのだろう。

グレムさんは言った

そう、私たちサイフォスは本来、禁断の兵器を動かすための動力、戦士として能力は偶発的に生まれた力にすぎません。

ですがそれは自分たちの生き方を決めることとはまったく違う。そう信じて私は今日までサイフォスとして戦い続けてきた。

サイフォスを組織し維持する理由は単なる王国の平和ためだけではない。

二度とあの忌まわしき兵器をこの世によみがえらせないための組織なのです。

そのために私は国王様と約束しました。

サイフォスを二度と兵器として扱わず、サイフォスを生み出す技術もこれを破棄するものとすると、

王国はもはやサイフォス製造方を持ち合わせていません。

サイフォス化手術は私たちだけが扱える代物なのです。

オフィーリアさん、ゼロスさん、真実を知りこの組織を去るかはあなた方の自由です。

オフィーリアさんは重苦しい表情で言った

私は・・・このまま・・・戦士として正義のために戦う。あなたのことも変わらず師として崇めるつもりです。けれど、もう秘密はなしにしてください

約束しましょう。我が友よ。

重い話を済ませ。

僕とオフィーリアさんは祝杯の場に戻ると

弟子たち二人が僕を祝ってくれる

少し酔いがさめたのかトゥアレタが改めて言った

ああー。マスター、おめでとうございますーー。

ピュエロスが言った

おめでとうございます

トゥアレタとピュエロスもありがとう。

それからしばらく飲み続け、足を建物のテラスへと向ける。

外に出ると夜風が涼しかった。

あ~いたいた!

オフィーリアさんが酔っ払いながら抱き着いてくる

う、酒臭い!

よほど酔いたかったのだろう。あびるようにハイペースで飲み続けていた。

意識がもうろうとしてのがわかる。

僕はオフィーリアさんを抱えて部屋へと向かった

ほら、オフィーリアさん着きましたよ。

うーん、ありがと~。

彼女をベッドにおろし、寝顔を見て、少しくすぐったい気持ちになった

自室に帰ると今日一日のできごとを考えながら窓の外を見た

街の通路を若者たちがワイワイと騒いで歩いている。

サイフォスのみんなからはよくしてもらっている。

それは僕自身もそれがうれしく、ありがたかった。

ただ、心血を注いで育てた弟子たちとはまた違うのだ。

僕にもあんな仲間たちがいたんだ。

そう思ってなくしてしまったものの大きさを改めて感じるとなんだが気分が落ち込んだ。

いまも彼らと彼女たちの怨嗟の声が聞こえる気がした。恨まれている。憎まれている

トン、と足音がして向かいの建物を見るとマスターアカーテスが立っていた。

マスター!いつの間に!

ゼロス、戻ってきて早々すみませんが、また私は別の世界の魔王から人々を救うため行かなければならなくなりました。

そんな!また行ってしまうのですか!

ええ、残念ながら。

できれば一緒にいてほしかった。

マスターと話をすると弟子たちのことも気が楽になれたからだ。

そうも言っていられないのもわかってはいるが。

僕は、ない元気を振り絞って強がって笑ってみた。

トゥ、トゥアレタとピュエロスはこのまま僕が請け負います。マスターはご自分の使命を果たしてください。

ありがとう。ところでゼロス、さきほど親しげに話をしていたあの女性は誰でしょう?

彼女はオフィーリアさんと言っていまお世話になっている方です。

そう、オフィーリアさんと言うの。彼女がいればあなたはきっと大丈夫。

え・・・そうでしょうか?

そうですよ。自分だけではない。あなたを愛してくれる人を信じなさい。あなたはひとりではないのだから。

すっ、と心の中に入り込むような言葉だった。

そうだ。言われてみればオフィーリアさんといるとどこか、ほっ、とすることが多い。

妙にふに落ちる。

これが身に染みるということなのだろうか?

マスターの他に心の支えになる人など考えてみればいなかったのだから自分自身、いまの自分の状態に驚いている。

はい・・・マスター・・・アカーテス・・・。

僕は言葉少なくそう返事をした。

ゼロス頼みましたよ。

天使型魔法生物であるキュクノスに手を引かれマスターは行ってしまった。

マスター、頑張ってください。僕も頑張ります。

サイフォスの秘密は秘密のまま守られた。

ティスさんは祝杯にも参加せず、いまだ部屋にこもっているようだがそれはしかたがないのかもしれない。それほどの衝撃だ。時間が彼の問題を解決してくれることを祈ろう。

オフィーリアさん、マルベリーさん、トゥアレタ、ピュエロスそして僕

みんなで集まって会議をすることになり。

僕たちは重苦しい空気の中にさらされていた。

資料を手にグレムさんが言った。

どうやら、貴族たちは・・・禁断の兵器をよみがえらせようとしているようです。

数十人いる戦士たちがみんながどよめく

オフィーリアさんが言った

みんな聞いて!ここに書かれているように貴族たちは禁断の兵器を復活させるために物資を集めているの!

マルベリーさんが言った

ティスは今回参加できない。戦力は大きく損なわれると思ってくれ。

時間か・・・出動だ!

「「了解!」」

こうして僕らは貴族派最後の砦であるバードン侯爵の屋敷に襲撃することになった

大きな屋敷だ。

いつものように潜入していく

マルベリーさんが敵を切り裂き、トゥアレタとピュエロスもそれに加勢する。

僕たちもさらに潜入していき

オフィーリアさんが言った。

ここがバードンの私室よ。

私室に入るとバードンは逃げたようだ。

部屋を探索、地下へ続く隠し通路を進んでいくと

目の前に巨大な機械の怪物が現れた。

これが・・・禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアー。

巨大なマシンがドッグの中に安置され鎖で縛られている。

オフィーリアさんが言った

破壊しなきゃ、

手渡されたのは爆弾だ。

僕とオフィーリアさんはテキパキと爆弾をしかけていく。

一通りしかけ終わったあとで屋敷の外へと出ると

マルベリーさんとトゥアレタたちと合流した。

マルベリーさんが言った

オフィーリアどうなった。

ものは見つけた。いまから爆破するわ。

ピッ!

オフィーリアさんが起爆スイッチを押すと

ドカーン!ドカーン!ドカーン!

屋敷のあるほうで大爆発が巻き起こる

オフィーリアさんが言った

これで貴族派の野望も終わりね

こうして貴族派との抗争は幕を下ろしたのだ。

これで終わりか。

アジトに戻った僕らサイフォスたちはグレムさんの前に集合していた

グレムさんは言った

貴族たちの中心人物である2人は捕まりました。

もう1人も時間の問題でしょう。

頭を失った貴族派は近いうち王の粛清を受けるさだめ、

戦いは終わったのです。

「「うわああああああああああああああああああああ!」」

俺たちの勝利だああああああああああああああああああ!

わああああああああああああああああああああああああああああ!

しばらくは暇になると思うので長期の休暇にします。

私はこのことを国王様に報告に向かいますからそれではみなさん、よい休日を。

まだ昼下がりなのに皆が早めの祝杯を挙げる。

そんな中で僕は人気のない一角にオフィーリアさんを連れていく

ど、どうしたの。ゼロス?

実はオフィーリアではなくオッペリアとしてのあなたに話したいことがあって

僕は地面に膝間付いてオッペリアさんに指輪を見せた。

オッペリア、僕に君を守らせてくれないか?

・・・。

オッペリアは無言で指輪と僕を見比べてからハッ!と戸頬を赤く染めていった。

・・・ああ、・・・はい・・・。

返事をしてくれた。

こうして僕たちは結婚することとなったのだ。

それから数日、宿屋に帰った僕らは穏やかな日々を過ごした

今日はグレムさんが国王と謁見することとなった。

部屋の中央にはどこまでも続くレッドカーペットが引かれ、左右には計20人の衛兵たちがそろっている

奥には玉座が置かれていた。

黄金をあしらった一点物の職人技だ。

椅子だけで簡単な家が建てられそうだ。

それが3つ置かれている。

奥が国王のもので左右は王子か王女かはたまた妃のためのものか。

僕とオッペリア、マルベリーさんと、それにトゥアレタとピュエロスが控えて王の登場を待っていた。玉座から8本ほどの距離がある場所に螺旋階段があり

階段から国王が降りて来ると20人の衛兵たちが一斉に背筋を伸ばした。

国王様はゆっくりと歩いてくると玉座にドッカリと座った

これがこの国の国王、モードレッド・ペンドラゴン・モルゴース

うむ、余は寛大なる王なるぞ。

初めて会うお前たちの同席を許そう。

はっ!もったいなきお言葉、謹んでお受けいたします。

と、グレムさんが普段とは違った丁寧な言葉を使っている。

うむ、表をあげ

はっ!

座ったまま顔をあげ、国王の顔を改めて見るとでっぷり太った性格が悪そうで強欲そうなおっさんだったそうな。

国王のそばに控えていた神官が何やら耳元でこそこそと話をしている。

ひそひそ話が終わると国王は満面の笑みを浮かべて言った

うむ、よかろう。

こたびの功績まことにご苦労であった。ついては褒美を取らせるよう。

好きなものを申すがいい。

はっ!

グレムさんたちが組織の拡大に必要な資金や、すごい武器などを所望する一方で僕は特にほしいものがなかったので適当に宝物庫のものをくださいと言っておいた。

神官に連れられて宝物庫まで来ると

宝箱が3個置かれていた。

好きなものを一つ選んでいいと言われている。

どれかひとつだけだと迷うな~。

神官が一つ一つ箱を開けて見せてくれる。

神官が宝を手に持つと、それぞれの内容を説明してくれる。

死んだ英雄たちの遺産だそうだ。


・ドラゴンキラー「ドラゴン殺しの剣」

・スピード・ベルト「3回攻撃」

・マジカル・クラウン「ステータス異常無効」


どれも素晴らしい性能だ。決められないので、全部もらっておこう。

こっそりと双剣杖を振るい

影魔法・スキアー・アンテローポイ!

邪悪な影の者たちを呼び出す。

影たちは神官にバレないようにそーっと忍び寄りガバッ、と回収を済ませる。

人それを盗みと呼ぶ世界を救うためだ。ほうべんほうべん!



ステータス


Lv495

HP1010

MP1010

力1010

防御1010

すばやさ1010

賢さ1010


スキル


呪怨喚起悪魔憑依魔術Lv99

黒魔法Lv99

影魔法Lv99

陰魔法Lv99

外道魔法Lv99


熟練度999999


装備


・スキアー・スパティ・ラヴディ「賢さ+255、二刀流、悪魔憑依×3」

・サイバネティクス・ケイリス「賢さ+255、陰魔法を発生させ、通常の魔法発生器の100倍の性能を誇りる恐るべき機械手袋」

・魔力臓器「賢さ+255、外道魔法を発生させ、魔力臓器を5つ移植したことで1つの魔力を発動させれば同時に5つの魔力を上乗せさせられる五重魔力を発現させる恐るべき魔力臓器」

・スピードリング「瞬間二撃」

・スターリング「2回攻撃」

・星くずリング「4回攻撃」

・先代勇者のピアス地「会心率+100%」

・先代勇者のピアス天「魔力×2倍」

・スピード・ベルト「3回攻撃」

・マジカル・クラウン「ステータス異常無効」


特技


・超上級技術、乱れうち「4連撃」

・ダブルマジック「二連魔術」

・連続魔法「4回魔法撃」

・分身撃「同時二撃」

・強化戦士手術被験者「2回行動」


その他


・ドリーム・キャッチャー「オッぺリアからもらった魔除け」

・ドラゴン・キラー「力+90、ドラゴン殺しの剣」



もう状態異常は怖くない!

三回攻撃でさらになる高みへ!

熟練度999999になったことで魔力が2倍化した!

気がつけばマーゾのステータスを越えていた。

いまの僕なら魔王たちの力に頼らずとも自力で異世界へと渡り歩くことができることだろう。

ん?

ふと気がつく。

女神官の顔に見覚えがあった

大司教ピエールカルダンの隣にいた灰のローブをかぶった女だ。

ちょっと待て!なぜ君がここにいる!

ゼロスどうしたの?

戸惑うオッペリアに説明する。

この人はエイレースケイアの信徒です。

なんと!

それも大司教直属の部下、それが王国の神官を兼任しているなどあり得ない!

ひ、人違いですよ。

どうかな?

双剣杖を振るう

外道魔法トゥリスカ・カエール・ミティ!

外道魔法の力で女の鼻が少しずつ顔から剥がれていく

ぎゃあぁぁぁー!

女が悲鳴をあげる

使っておいてなんだがエグい魔法だ。

さぁ、本当のことを話せ!

女はあっさりと洗いざらいを話てくれた

オッペリアが言った

まさかエイレースケイアの原理主義勢力が国王をそそのかしていたとは!

オッぺリア!国王は禁断の兵器をよみがえらせる気だ!止めないと!

そのときだった。

ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

突如、騒音が巻き起こった。

何の音!

あれを見て!

僕が指差した先には崩れ去る城の中からはい出す機械の怪物がいた。

な、な、な!なにいいいいいいいいいいいいいいいい!

名も知らない兵士の誰かが絶叫する。無理もない。

オッペリアが言った

あれは!まさか禁断の兵器!そんな!確かに破壊したはず!

そうだ!僕らはあれを破壊したはず、でも前に見たのと形状が違うような気が!

兵器の上には国王が立っていた。

イカ釣りじゃああーーーー!

フューーーー!ズダアアアアアーー!

意味不明な叫びをあげ、反重力装置としか思えない推進力で王都の街並みを蹴散らしながら前進し飛び去ってしまう。

いったいどうなっているんだ!

アジトに戻りすぐに会議を開く

グレムさんが言った

遠目でしかたがあの兵器を動かしていたのは間違いなく国王でした。オフィーリアさんは確かにトゥリスカ・エンポリアーを破壊したのですか?

はい!間違いないです。でも私が見たものとは形状が違っていたと思います。

もしかしたら、オフィーリアさんたちが破壊した兵器は禁断の兵器ではないかもしれない。

そんな!

驚くオッペリア

バードン侯爵なら何か知っているかもしれません。

オフィーリアさん、ゼロスさん行ってもらえますか?

任せてください!

わかりました!ではマルベリーさんはトゥアレタさんとピュエロスさんと共に周辺の調査を

了解した。

任せてください!

あれが目覚めた以上、暴走は時間の問題、私たちの活躍で王国の未来が決まる。みんなを守るために頑張って!

グレムさんの激励を受け、バードン侯爵の屋敷を訪ねることになった。

屋敷の前まで到着する。

いまだ戦闘の傷跡が残り、かろうじで執事が庭の手入れをしていた。

バードン侯爵に雇われて日が浅いのか、すんなり応接室へと通される。

もしかしたら戦いの中で殺した人間の中に前の執事がいた可能性も・・・。

扉を開き、僕らの目の前にバードン侯爵が姿を現す。

何しに来た!

わっ!とする剣幕から苛立っているのがわかる。

貴様たち、サイフォスだな?

はい、今日はバードン侯爵が何の兵器を作っていたのかを確かめに来ました。

あれだけのことをしておいてよくもぬけぬけと!叩き斬ってくれるわ!

バードン侯爵は壁に飾ってあったサーベルを手に引き抜いて構えた

だが襲い掛かってくる前に立ち止まった

ふん、いいだろう。ついてこい。自分たちの行いを悔いるがいい。

バードン侯爵の後について地下へと行くとボロボロに破壊された禁断の兵器が置かれていた。

オッペリアが言った

まだこれをよみがえらせるつもりなの!

怒れるオッペリアをあざ笑いバードン侯爵は言った

黙るがいい。馬鹿目!

何をぉぉ!

オッぺリア!落ち着いて!

飛びかかりそうなオッペリアを落ち着かせるとバードン侯爵は言った。

かねてよりあの愚王の傍若無人ぶりには悩まされてきた。

王国が国王派と貴族派で分かれてしまうほどにやつは愚かな政策を繰り返してきたのだ。

お前たちも見たはずだ王都から飛び立つ禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーを、あれは国王が興味本意で壊れた禁断の兵器を修復し巨大イカを釣りに行きたいとわがままを言ったがために修理されたのだ。

うそだ!

本当だとも信じてくれなくて結構、事実なのだからな。話の本質はここからだ。あの兵器を修理することに民の血税が払われ、多くの死ななくていい人々が死ぬことになった。

そして禁断の兵器は海に近づくことで大量の泥を生み出す。

泥?

そう泥だ。生き物が皆死んでしまう死の泥だ。

我々はあれを死そのものだと思っている。

我々貴族派は禁断の兵器が海を汚す前にこの最強の兵器ソストス・オドスを作り上げ禁断の兵器を倒し国王の暴走を止めるつもりだった!お前たちがでしゃばらなければ!それができていたのだ!

オフィーリアさんが言った

そんな・・・。それじゃあ、私たちのせいで・・・。

ああ、お前たちのせいで海は枯れ何年もの間、人は海の恩恵を失うこととなるだろう。なんなら!

ガシャン!

バードン侯爵のサーベルが大きな置時計を砕いた

神の怒りすらかうかも知れん!

こんな!

風に!

な!

何度も何度もサーベルが置時計を叩き壊し、ガン!ついには時計の振り子が落ちた。

バードン侯爵はまるで身の内からあふれ出る怒りを僕らにぶつけないようサーベルを振り下ろしているようだった。

彼は振り乱した髪の毛を額から片手でかきあげながら言った

それは・・・はぁ・・・はぁ・・・海沿いの領民たちの生活にも直結する重要な問題だ!死者も大勢出ることだろう!

それだけで済む話でもないまだ半分の世界が残っている。

あれは目覚めさせてはいけない力だ。人が御せる力ではない。いずれ暴れだし、世界を半分焼き払うだろう。お前たちのせいでな!

バードン侯爵は激情のままに手を横に振った

まるで目の前にまとわりつく霧を振り払いたいかのようだ。

僕は言った

それならそれを修理すればいいんですね!

修理?無能が!どこにそんな時間がある!やつはすぐにでも海岸に向かい海を汚し始めるだろう!

すぐに修理に必要なものを集めてきます!

ふっ、と笑うとバードン侯爵は心底見下した顔をして言った

付き合っていられんな。

そう言ってサーベルを放り捨て、地上へとつながる階段を登って行ってしまった。

オッペリア、僕たちでソストス・オドスを直そう。

ゼロス、でも時間が・・・。

大丈夫!僕が間に合わせて見せるから!

あまり時間はない。手っ取り早く行こう。

まず吹き飛ばされた机を立て直し、火災を逃れた設計図を引っ張り出してくると

おおまかなポイントが理解できた。

・焦げた装甲盤

・エンジン

・砲身

・ロボットアーム

の4か所だ。

あの~。

男が立っていた。

私はロビン、屋敷のものなのですが、修理を手伝わせてもらえませんか?

いいんですか?

開発担当をしていたので細部の機構についてはあなた方よりも詳しいですから、

でもどうして?

世界が危機なのに、何もせずに終わりを待つなんて嫌じゃないですか。

単純明快な話だ彼はぼくたち同様に諦めていないのだ。

ありがとう!

それだけ言わせてもらった

こうして僕たち3人は修理を始めた。

タイムリミットは2日、国王が大陸を横断したら終わりだろう。北南方向に向かっていたらこんなに時間は残されていなかったはずだ。幸いと呼ぶほかない。

焦げた装甲盤は研磨することで新品同様に磨きあげる作業が始まった。

ロビンのつてで昔の仲間たちを集め、不眠不休で修理する。

次はエンジンだ。

ソストス・オドスは魔力臓器を集めた結晶をエンジンにしている。そこでだ。

カランカラン、魔力臓器販売中店の扉を開くと

はいはい、お客さまどのようなものをお求めで?

店主がごますりしながら現れる。

見上げる高さまでショーケースに入れられ怪しくライトアップした魔力臓器が陳列されていた

どれも美しい混色の輝きを放つ宝石のようだ。

ルビーサファイアの魔力臓器5000万

サファイアサファイアの魔力臓器2000万

エメラルドサファイアの魔力臓器1000万

ピンクサファイアの魔力臓器1500万

アメジストサファイアの魔力臓器300万

スカイブルーサファイアの魔力臓器200

イエローサファイアの魔力臓器100万

他にも無数にある。

サファイアサファイアの魔力臓器は文字通りサファイアの中にサファイアが埋め込まれた天然の芸術品、もっとじっくりながめたかったが時間がない。

金に糸目はつけない!店のものすべて買わせてもらう!

す、すべてですか!

時間が惜しい!運び出してくれ!

御意!

次々入店してくるのはこの国で宅配便を生業とする人々だ。さっき雇っておいた。

ちょちょちょっと!お客さ~ま!

店員があわてふためいているが問題ない。

砲身、

街中に沿うようにある岸壁、その壁をくりぬいた天然の建物の前に来た。

ここからはドワーフたちが働く姿が見える。

僕は言った

誇り高きドワーフの職人たちよ!皆さん聞いてほしい!明日この世界は滅びるかもしれない!

なんだ?なんだ?と突然演説を始めた来客に立ち止まってしまうドワーフたち

知ってのとおり禁断の兵器がよみがえったからだ!

領主バードン侯爵は禁断の兵器に対抗するため新たな兵器を作り出した!

だがそれは愚かにも私の手で破壊してしまった。

だが、まだ止まるわけには行かない!

あの悪魔を止めなければならない!

身勝手な頼みなのは重々承知しているが聞いてほしい!

皆さんの力が必用だ!

兵器を修理し禁断の兵器と戦うためどうかお願いします!

皆さんの血の通った仕事を!技術を!力を貸していただきたい!

深々と礼をした。

ガンガン!と音が響く

ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!ガンガン!

ドワーフたちはハンマーを片手に壁をガンガン!と叩き賛同してくれていた。

ドワーフたちの声援が上がった

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」

みんな!やってやろうぜ!

伝説の怪物に俺たち職人の魂でひとあわふかせてやれるなんて職人冥利につきるぜ!

勇猛果敢なドワーフたちが息巻いている

ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!

ロボットアーム、近接戦を想定した格闘のかなめになるパーツだ。

本来は機体の破損箇所修理のためは指先まで細かく動かせるものだったのだが、そこまで修理に時間をかけるわけにはいかないので

大きな岩の塊を取ってきて

そこから鉄を精製してもらい

鉄のランスを作り、ソストス・オドスに装備させることにした。

これで完成だ!

修理は完了したのだ!

本当に君が乗るの?

私がやらないと、これはケジメなの!

そう僕は禁断の兵器に魔王たちをぶつけることもできたのだ。

けれどそうしなかったのはオッペリアに戦ってもらい遺恨なく解決してほしかったからだ。

トゥアレタとピュエロスとロビンさんがやってきた

トゥアレタが言った

頑張ってください!

ピュエロスが言った

応援してます。

任せて!

力強くオッぺリアが返事をするとソストス・オドスのコクピットに乗り上げる。

ロビンさんが最終調整をする間

僕もギリギリまでオッぺリアと話をしようとコクピットに乗り上げる

オッぺリア君ならやれる

ゼロス見守っててよね。

オッペリア。

彼女の名前を呼びキスをする。

別れのキスなんて嫌だからね。

信じて!

オッペリアはエンジンを起動し、コクピットに深く乗り込む。

僕もそれを見て、コクピットのふちから飛び降りて着地する

コクピットそば、エンジンの騒音が響くと入れ替わりに整備を済ませたロビンさんが現れ、怒鳴りながら機材の解説をしているようだ。

オッペリアが言った

このボタンで射撃ね!

そうです!それからこれが格闘、基本はオート格闘で動きながら、任意で動かすことができます。

で、こっちが脱出レバー、危ないと思ったら迷わず脱出してください!

ロビンさんがコクピット近くから離れるとはしごが全自動で折りたたまれソストス・オドスから離れていく。

オッペリアはコクピットから立ち上がると両手で手を振っていた。まるで大丈夫だと元気に笑顔で笑って見せて僕に手を振る。

そうして今度は完全にコクピットを閉鎖してしまう。

オッペリアは言った

ソストス・オドス起動!

ビゴン!

両目が光るとソストス・オドスが動き出す。

フォーフォーフォーバァァァァー!

ジェットエンジンとしか思えない推進力が火を噴き、ソストス・オドスは高速で去っていった

山岳地帯まで飛んでくるとすでに戦闘は開始されていた。

魔王を模して産まれた禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーとその禁断の兵器を破壊するために作り出された最強の兵器ソストス・オドスが激突する。

国王が山の上でピョンピョン跳ねているのが見えた。

あれは!国王!やつが操縦しているわけではないのか?

ズルッ、

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

国王が山から転げ落ちて行くのが見えた。

あれでは生きていまい

僕は二体の兵器に目を向けるとオッペリア、死なないで!

そう祈った。

禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーは

全身機械ででき金属骨の胸部、一見脆く見える体は強靭な金属パーツで何重にも強化されている。

山を巻き込んでしまいそうな長い金属製のしっぽ、

街の広場をまるごと握りつぶしてしまいそうな鋭くゴツゴツとした手、

破綻した造形の顔を持つ金属の怪物だ。


対する最強の兵器ソストス・オドスは

全長20mある悪魔に似たギザギザした巨大な翼を持つ、機械でできた怪物の頭が胸についている。

頭の下顎は巨大な牙を持ち、敵対する怪物を噛み砕いてしまうはずだ。

口の中の巨大な二門の砲、両肩のガトリング砲、角張ったしっぽ、

両足のジェットエンジン、背中に生えた2本のさんかく角

超重武装の金属の怪物だ。


≪禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーが現れた≫

≪最強の兵器ソストス・オドスが現れた≫


禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーが咆哮する

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

魔王を模して作られたがために咆哮するという生物的な機構まで再現されているのだ。

だがそれははからずも小程度の魔物を恐怖させる効果を持ち、邪魔な雑魚たちを蹴散らすのにちょうどよかった。

オッペリアは言った

鳴け!ソストス・オドス!

トゥリスカ・エンポリアーの咆哮に対抗してソストス・オドスが咆哮する

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

互いの声が同じ機械に共鳴反応を引き起こし、高度な電子戦が繰り広げられる。

明滅する互いの眼がハッキング合戦をしている証拠だ。

バチン!

いきなり二体の兵器がショートした。互いの電子部品がクラッシュしてしまったのだ。

オッペリアは身構えた

前哨戦はここまでよ!ソストス・オドス!

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

いよいよ魔王たちの激突が始まる。

がんばれー!がんばれー!

応援した。

ソストス・オドスの口が開くと二門の砲台が姿を現す

オッペリアが言った

ジスロプロシウム・リンター発射!

二本の赤いビームがソストス・オドスから発射されていく。機銃を思わせる赤いラインが点々と飛び出しトゥリスカ・エンポリアーの胸部の顔面を撃ち抜き、大爆発を巻き起こす。

火花が散った。

オーモス・ウゥルカーヌス!

両肩のガトリング砲が向きを変えると照準をセット

ドルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル!

ドルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

弾丸の発熱は青く、魔法が施されているに違いない。

青い細かな点線が執拗な集中放火となり2分ほど続く。

大量の重く巨大な薬きょうがジャキジャキと落ちて太い木々をバキバキバキミシミシバキと折っていく。

それらガトリング砲の雨をトゥリスカ・エンポリアーはしっぽで顔をおおい耐えた。

矢じりに魔法のこもった弾丸なのだろう。

きっと威力が高まっている。

そんな兵器を耐え続けるなんて強靭なしっぽなんだ!

ホメロス・リンター!

ソストス・オドスのしっぽが16枚に花開いてその花びらすべてから砲身が姿を現す

次の瞬間、放射状に緑のビームが飛んでいく。

そのビームは弧を描いて曲がり、トゥリスカ・エンポリアーの足元に降り注いだ

チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!チュン!

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

悲鳴をあげトゥリスカ・エンポリアーがバランスを崩して倒れる

やった!

オッペリアが思わず拳を握りしめる

次の瞬間、ドゴン!

鞭のごとくしなったトゥリスカ・エンポリアーのしっぽがソストス・オドスを宙に吹き飛ばした

うああああああああああああああああああああ!

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

悲鳴をあげるオッペリアとソストス・オドス

オッペリア!

僕も思わずオッペリアの名を叫んだ。

ソストス・オドスは山肌に流れる大きな川に頭から突撃しそうになり水面スレスレで前足のジェットを噴き、真っ白い水柱を上げる。ぐるんと回転、崩れたバランスを立て直すと反転してみせた。

危なかった!よし!ソストス・オドス!いまよ!

プラティ・リンター!

ソストス・オドスの背中に生えた二本のさんかく角から黄色いスパークを巻き起こり、空中でひとつに合体、一直線にトゥリスカ・エンポリアーに向かっていった

ヒョイ!

トゥリスカ・エンポリアーがそれを避けると大地が吹き飛び、マグマの柱がそそり立つ、超高温電撃で敵を融解させるさんかく角ビームだ!

オッペリアは言った

外した!もう一度よ!

ソストス・オドスの背中から再びさんかく角ビームが炸裂すると

トゥリスカ・エンポリアーの背中が12枚のくじゃくに似た羽のように開き、バリアが展開されさんかく角ビームを弾き飛ばしてしまう。

なんて強力なバリアなの!

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

お互いに威嚇し合い、

オッペリアが言った

全力を出すしかない!ソストス・オドス!

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

ソストス・オドスの背中に格納されたさんかく角がさらに二本生えてくる。

合計4本のさんかく角からプランティ・リンターがいつでも黄色い電撃を撃ち出させるよう臨戦態勢になり、

立て続けにジスロプロシウム・リンターから口の中から二門の砲から赤いビームが

オーモス・ウゥルカーヌス両肩のガトリング砲から青い弾丸が

ホメロス・リンターしっぽが16枚に花開いてその花びらすべてから砲身から緑のビームが発射を待つ

オッペリアは気迫を込めて叫ぶ!

ニート!うわああああああああああああああああああああ!

絶対に勝たなければならない彼女の魂の叫びだった。

人々の平和のために負けられない願いと決意!

そしてその願いは見事に届いた。

最強の兵器ソストス・オドス最強の技、勇者の名を冠する最強の一斉射撃が禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーの堅牢なバリアを打ち砕いたのだ。

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

ズドーン!

トゥリスカ・エンポリアーがついに倒れ、勝利したのだ。

オッペリアー!

僕は彼女の名を呼び走った。

オッペリアー!

ゼロス!

オッペリアー!

ゼロス!

二人で抱き締め合いキスをする。

僕らは恥ずかしそうに顔を赤らめた

すべて終わったのね。

ああ、終わったよ。帰ろう僕らの家に。

ええ・・・。

ソストス・オドスがジェットをふかせ着地すると、

おーい!

トゥアレタ、ピュエロスそしてロビンさんが走ってきた。

トゥアレタが言った

マスターお疲れ様です!

ピュエロスが言った

オフィーリアさんお疲れ様です!

うん、みんなただいま。

ロビンさんが言った

侯爵様からソストス・オドスを受けとるように言われています。

お願いします。

オッペリアはソストス・オドスにひと言、ありがとうとつぶやいた。

相手は意思を持つはずのない機械だ。

だが共に戦った彼女は相棒に別れをつげるような感傷的な気持ちになっていたのだろう。

王城に向かう。

それから簡単な経緯を説明してからなんと王城内で1日休み、次の日、王城のパーティーに招かれた

コンコン、扉をノックする音に目を覚まし

はい。

扉をあけると

ロビンさんが立っていた。

侯爵様はお待ちしています。

きゃっ!

あぁ!失礼しました!

全裸のオッペリアさんがベッドシーツを体に巻き付けて焦っていた

・・・・・・なんかムカつく。

パーティー会場に向かうと大きな扉の前にバードン侯爵が立っていた。

ははっ!改めて昨日はご苦労様。英雄の帰還だ!皆おまちかねだぞ。

なに気負うことはない。いまの財政じゃパーティーと言っても質素なものだ。

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扉を開き、会場内に入ると割れんばかりの拍手が鳴る

英雄として祭り上げられた彼女、戦ったのはオッぺリアだけなのだが。どうやら僕も一緒に戦場に行き戦っていたと思われているらしい。

あながち間違いとも言い切れないがそこは放っておこう。

聞けば新たな統治機構がバードン侯爵たち貴族を中心にした新体制で樹立される見込みだ。

その日は国王を打ち取った王都の城でささやかながらも精一杯のパーティーが開かれた。

オッペリアがドレスを着付けてもらい。僕の前に現れる。

艶やかな紫のドレスだ。

オッペリア綺麗だよ。

ありがとうゼロス。

そう言ってオッペリアは頬を赤くする

僕もそれなりの衣装を着ようと思ったが断っておいた。

なんだか胸騒ぎがして落ち着かないのだ。

バードン侯爵はすっかり僕らに気を緩し友人として接してくれるまでに親密になっていた

バードン侯爵は言った

名も知らない貴族たちと仲良くなるいい機会だ。付き合っておいて損はないぞ。お前たちは今や我が国の英雄だ。間違いなく貴族に推薦すると約束する。

国を救ってくれた大恩に報いるため俺が一生涯何不自由ない生活を送れるよう取りはかろう。

ははっ、ありがとうございます。

うぅ・・・。

突然、オッペリアが頭を手で抱え、ふらつきだす。

オッペリア!大丈夫?

ご、ごめん。さすがに戦いの疲れが抜けきらないみたい。先に帰るね。

わかった帰ろう。

いい!いいの大丈夫、ゼロスはこれからのために貴族たちの相手をして

でも・・・。

大丈夫だってば、消えてなくなったりするわけじゃないんだからさ。

オッペリアはふふっ、と笑って見せるも朦朧としているのかつらそうだった。

わかったよ。気を付けてね

ええ。

オッペリアは行ってしまった。

それからしばらくたったときだった。

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

爆弾!

窓の前に来賓客たちが一斉に集まり、ざわつく。

外を見ると爆発の炎が上がっていた。

いったいなんだ!

人混みをかき分けて出てきたバードン侯爵が驚愕した。

あれは!トゥリスカ・エンポリアー!禁断の兵器がなぜ!

まぎれもない。機械の怪物、禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーだった!

「「マスター!」」

トゥアレタとピュエロスがかけてくる。

二人ともケガは?

大丈夫です!それよりも!

トゥリスカ・エンポりアーが暴れている。

それもサイフォスのアジトのある方角だ。

バードン侯爵は言った

ゼロス!どういうことだ!なぜトゥリスカ・エンポリアーが生きている!

僕にもわからない!倒したはずなのに何故!

くそぉ!

バードン侯爵!

バードン侯爵は一目散に走り去ってしまった。

オッペリアが心配だ!

急ぎオッペリアが休んでいる部屋に行ってみる

バン!

扉を勢いよく開くと窓辺が砕け散り、何者かの襲撃を受けたかのようだった

オッぺリア!

くっ!どこにもいない!

このままではオッぺリアが心配だ!

トゥリスカ・エンポリアーのいるアジトのほうに行ってみよう!

トゥアレタが言った

マスター!私たちもお供します!

わかった!

ピュエロスが言った

きっと大丈夫ですよ!

わかってる!必ず見つけ出す!

それから燃え盛る街を走った。

見馴れた通りは燃え盛り、火の海となり果てていた。

たすけてえええええええええええええええええー!

たすけてええええええええええええええぇー!

いだぁぁぁぁぁい!いだい!いだい!いだい!いだい!いだい!いだい!

きぃぃぃぃぃぃぃぃ!

助けを求める声、痛みに身もだえる声、かなり切り声、多くの人々が傷つき、苦しんでいた。

トゥアレタが子供のケガを見ながら言った

これは・・・助けないと!

トゥアレタは東側をピュエロスは西側の街の救助に回って!

トゥアレタが言った

わかりました!マスターはオフィーリアさんを

ああ!二人とも危ないと思ったらすぐに逃げるんだ!いいね!

「「はい!」」

トゥアレタが言った

行こう!ピュエロス!

ええ!

二人と別の方向へと走り出す。

道行くほどに煙で肺が燃えてしまい一見、無傷の死体の山が転がっていた。

ここはあの地獄の再現か!

弟子たちの、魔王たちが集ったあの王都シルキリアとまったく同じ光景が広がっていた。

マスターアカーテスの顔が脳裏に浮かぶ、

助けてください・・・マスターアカーテス・・・。

オッペリアーー!

僕はたまらず彼女の名を叫んだ。

そのときだった!

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

禁断の兵器が咆哮する

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

聞き慣れた咆哮が聞こえた。

あれは!

ジェットエンジンを噴かせて街中に着地したのはソストス・オドスだった。

誰が乗っているんだ!まさか・・・バードン侯爵とロビンか!

バードン侯爵は目の前の怪物を見ながら言った

化け物め!ようやく王国がこれからだと言うのに!これ以上貴様の好きにはさせんぞ!ロビン!エネルギーは充力できているのか!

問題ありません旦那様!

よろしい、王国の未来を好きにはさせんぞ!

ソストス・オドスの背中に格納されたさんかく角がさらに二本生えてくる。

合計4本のさんかく角からプランティ・リンターがいつでも黄色い電撃を撃ち出させるよう臨戦態勢になり、

立て続けにジスロプロシウム・リンターから口の中から二門の砲から赤いビームが

オーモス・ウゥルカーヌス両肩のガトリング砲から青い弾丸が

ホメロス・リンターしっぽが16枚に花開いてその花びらすべてから砲身から緑のビームが発射を待つ

くらえ!

これこそが!

貴様を倒すために長い年月と莫大な予算とその犠牲になった人々の命から作り出された勇者の力一撃!最強の力!

ニート!

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

ソストス・オドスが咆哮すると

勇者の名を冠する最強の一斉射撃が禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーに発射された。

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

トゥリスカ・エンポリアーの背中が12枚のくじゃくに似た羽のように開き、なんとそこからさらに3倍の36枚の羽が現れた。

なんだと!

オッペリアが戦ったときの3倍のパワーを持つ魔法バリア、ズィエクディキティス・アフセンディアが展開されニートを弾き飛ばしてしまう。

バードン侯爵は焦る

こ、こんな!バカな!何が起きているんだ!ニートが効かないだと!

ロビンが言った

旦那様!来ます!

本来守るためにあるトゥリスカ・エンポリアーのバリアが破壊の脅威となって迫ってきた。

う、う・・・うわぁぁー!

大爆発が巻き起こった。

最強の兵器ソストス・オドスは禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーの力を前に成すすべなく破れ去ったのだ。

あ、トゥリスカ・エンポリアーが燃え盛るソストス・オドスに近寄ると謎の触手を伸ばしていくのが見えた。

オッペリア!

僕がアジトに飛び込むと入り口に死体が転がっていた。

誰がこんなことを!

さらに奥に進むと

死体が転がっていた。

それも投げ出されたもの、もがき苦しんだであろう燃えているもの、壊れた壁に放り飛ばされ垂れ下がっているもの、様々だ。

皆、死んでいた。

うぅ・・・。

わずかな生き物の気配を聞き漏らさなかった

炭化した黒焦げになった戦士の一人を抱きかかえる

大丈夫ですか!

ゼ、ゼ、ゼロス・・・

しっかりしてください!誰がこんなことを!

ティスが・・・

ティス?

やつは・・・魔王となり、トゥリスカ・エンポリアーの真の性能を引き出したと・・・

魔王?真の性能?いったい何を言って

・・・。

息をしていない。

もう、死んでいる。

亡骸をそっと下ろすとさらに奥に進む

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

聞き慣れた咆哮

勢いよく廊下の角を曲がるとすでにアジトの天上は爆発で吹き飛び外から丸見えになっている。

そこにいたのはグレム戦士長だった。

大丈夫ですか!

ゼロスさん!

グレムさん、そのケガ!

グレムさんの胸からおびただしい量の血が流れていた。

たいしたことではありませんよ。それよりティスさんが裏切りました!

裏切り?信じられない!

間違いありません!

彼はオフィーリアさんを誘拐して消えました!

消えた!いったいどこへ!

わからない!でもそう時間はないはずです!

そのときだった。

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

燃え盛る街中を歩きソストス・オドスが街を破壊しながらこちらに向かってきていた。

なぜソストス・オドスが街を破壊しているんだ!

グレムさんが言った

トゥリスカ・エンポリアーのハッキング能力に取り込まれましたか。

そんなことまでできるのですか!

可能です。無理矢理暴走させられている。

ゼロスさん!ここは私に任せて!あなたはオフィーリアさんの救出を!

ティスさんならきっとオフィーリアさんとの思い出があるここから北にある古城跡地にいるはず!

ソストス・オドスは私が止めます。

で、でも・・・そんな大ケガで戦えるわけないじゃないですか!

グレムさんは大量の血を流すほどの大ケガを負っていた。

行け!ゼロス!

そう横から言ったのは

マルベリーさん!

全身から血を流している。

マルベリーさんは言った。

死にかけの戦士長と俺がいれば戦力は十二分だろう。

そう言ってマルベリーさんはソストス・オドスに剣先を向ける

グレムさんは苦しそうに傷口を抑えながら笑った

ははは、死にかけとは言ってくれますね。でもそのとおり、私たちに任せて行ってください!

ウブッ、

グレムさんが口から血を吐いた

グレムさん!

大丈夫!こ・・・こう見えて・・・私、禁断の兵器を倒したことあるんですから・・・。

見てわかるとてもじゃないが立っていられる体じゃないじゃないか・・・グレムさん!

ゼロス、あなたが次のサイフォスとなり皆を率いてください。

でも!

さぁ!早く!行ってくださいぃ!

ゼダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

ソストス・オドスが咆哮すると

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

グレムさんとマルベリーさんは一気に飛びかかって行ってしまった。

僕は二人の背を見ながらひと言だけ言った

・・・ごめんなさい!

そう言って走り出した。


ついに北の古城跡地を見つけた。

待っていてオッペリア!

古城跡地を歩いていく。

焼き払われた城の中には大量のティスたちの巣窟だった

こ、これは!

数百体のティスたちが全裸でこっちに向かってくる

オフィーリアねえちゃーん~!

姉ちゃん~!好き~!

オフィーリア好き~!

どう見てもクローンだ。

ティスのクローンだと!

禁断の兵器にはこんなものまで作り出す力があるのか!

オフィーリアねえちゃーん~!

ティスたちが僕を殺そうと走ってくる。

くっ、僕が躊躇すると思うなよ!

双剣杖を抜く

邪魔だああああああああああああああああ!

双剣杖を振るい一振りで10匹のティスたちを粉々にしていく。

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

右の波を切り払い、左の波を切り払う。

くっ!

背後から組みつかれた

はぁ!

組みつかれたままバク転し天上に叩きつけはたき落とす

でやぁぁー!

二本の杖で回転斬りをくり出し鬱陶しいティスたちを斬り飛ばす。

さらに奥に進むと

あれは・・・。

オッペリアだった。

オッペリア!

オッペリアの体には機械の管が刺さり管は天上に伸びている。

丸裸にされたオッぺリアの体にティスのクローンたちが群がっていた

んねえええええええええええええええええ!

激情のままに一切の容赦なく双剣杖を振りかぶりティスたちを斬り殺していく。

肉を絶ち、骨を砕く。

自分自身が血に染まり、血と体液にまみれたオッペリアから機械の管を引き抜き拘束から解き放つと抱き抱えた

何度も乱暴された後なのが見てすぐにわかる

打撲、擦過傷、全身傷だらけだ。酷すぎる。

オッペリア!しっかりして!オッペリア!僕だ!ゼロスだ!

ゼ・・・ゼロ・・・ス・・・。

そうだ!僕だよ!

わた、わたし・・・!ううううううええええええええええええええん!

そう言葉少なく言ってから赤ん坊のように泣き出してしまう

もう大丈夫だ。大丈夫だ。大丈夫、大丈夫、帰ろう。帰ろう。

僕はオッペリアが落ち着くの待ち、ローブでくるみ抱き抱えると城を出ようとした。

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

この揺れは!

ズガーン!

朽ち果てた窓の外に禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーがその背を現した。

その姿は以前と異なっていた。

トゥリスカ・エンポリアーはいまや形状変化を引き起こしていたのだ。

全身機械ででいるのはもちろん、金属製の胸骨はサイズがふたまわり巨大になり、

背面に二本の巨大なサーベル状の牙が伸び

山を巻き込んでしまいそうな長い金属製のしっぽはトゲにまみれ

街の広場をまるごと握りつぶしてしまいそうな鋭くゴツゴツとした手は10本の爪がカマのように鋭さを増す

破綻した造形の顔は目玉がカメレオンのように舌が蛇のように飛び出し鼻がグシ!と音を立てピノキオ鼻に変形していく。

まさに金属の怪物になっていた。

そのときだった。

ピシッ!ジャー!

と音がして白い煙が立ち上るとトゥリスカ・エンポリアーの胸部から全裸のティスが出てきた

だが見馴れた彼ではなく。

おぞましくもその身は機械と融合している。

変わり果てた戦士の成れの果てがそこにいた。

ティスは言った

ゼロス、久しぶりだな。

ティス!なぜアジトを襲撃した!

この計画にはサイフォスが最大の障害だったからさ。

ティスは不適に笑いながら言った

くふふふ、いかにお前と言えどこの力を前にいまさら何ができる?

トゥリスカ・エンポリアーは本来サイフォスの戦士を乗せるために作られた。

それは国王が作り上げたまがいものの強化戦士ではない。

真のサイフォスである俺が乗ることで真の性能を発揮する!

俺はサイフォスの真実を知ってから秘密裏に国王派と内通してトゥリスカ・エンポリアー開発に協力していた。

そしてトゥリスカ・エンポリアーが貴族たちに敗れたあとでトゥリスカ・エンポリアーを根こそぎ奪い取り、圧倒的な力でオフィーリアを手にする時を待った。

それが今だ!

ティスはこの世の何よりも憎いものを見るような目をして口の端から微量の泡を噴き立たせながら言った。

それもこれも全部お前のせいだあああーー!

ティス、オッペリアは返してもらうぞ!

ティスは天をあおぎ見てから

ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!

笑い声をあげた

開き直ってんじゃねぇよ!

俺はなああ!あんたを見たときに思ったよ!

こいつはとんでもねえクズ野郎だってなああ!

ある日、横からやってきて俺からオフィーリアを!俺の姉ちゃんを奪い取ってぇぇ!

姉ちゃんの次に優秀な俺を差し置いて姉ちゃんよりも活躍して!

薄汚いぬすっとが!

さらには結婚だあああああああああああ?

盗人たけだけしいんだよおお馬鹿があああ!

それは!俺が夢見たことなのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!

おま!おま!おま!お前ごときがあああああああああああああああああああーー!

姉ちゃんの汚れのない肌に触れるなど頭がおかしくなりそうなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

僕は抱き抱えていたオッペリアの体を一番遠くの壁に預け。

ティスの前まで戻ってからやつをにらみつけた。

裏切り者が!言葉を絶つというのならもはやこれまでだ!

お前がオッペリアにしたこと・・・。

仲間たちにしたこと・・・。

お前に言葉が通じないなら、サイフォスを受け継ぐ者として、わかるまで斬り続けてやる!


≪禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーが現れた≫


禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーが咆哮する

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

オッペリア、すぐに終わらせるから

姉ちゃんの名を気安く呼ぶなぁぁぁーー!

機械には機械だ!

双剣杖を振るい

精神を集中させる

はああああああああああああああああああああ!

陰魔法・ウンブラ・イェラオ!

デュフフフフフフ!デュフ!デュフフフフフフフフフフフフフ!

奇妙な笑い声をあげ

銀色に輝く針の束がひとつによりあつまって巨大な生き物のようにうごめき

針でできた銀色のドラゴンが現れ

銀の束の中に黄色い二つの目が見開く

ドラゴンはニヤニヤと目を細め

両手には同じく針でできたドラゴンの頭が付いている。

お尻から伸びた尻尾には無数の針が、汚い言葉を吐き続けている。まるで人々の思念を吸ったかのような生きる針、呪いの針だ。

全身から陰湿さがかもし出された怪物が姿を現す。

デュフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ!

ウンブラ・イェラオが両手を向けると頭と合わせて数十億本はある魔法の針をトゥリスカ・エンポリアーに照射する。

ドカーン!

爆発!

激しい噛みつき合いが始まり

針の体をトゥリスカ・エンポリアーの鉄のあごがかみちぎり、ウンブラ・イェラオもトゥリスカ・エンポリアーの砕けてパーツに針を注ぎ込む。

生身の魔王なら効果は抜群だったはずだ。

同じ機械でありながら生物的な流れを組むウンブラ・イェラオと無機物でありながら魔王という生物を模倣するトゥリスカ・エンポリアーはまさしく対極の存在だった。

トゥリスカ・エンポリアーがその爪で針の体をむしりとり削り落としていく。

針の心臓をえぐられながらも果敢に噛みつくウンブラ・イェラオ、口から無数の針が照射されるがトゥリスカ・エンポリアーの鉄の体に突き立てることができず、あごを使った噛みつきのみが有効打となってトゥリスカ・エンポリアーの首に噛み砕いた。

しかし、いまだ力不足。トゥリスカ・エンポリアーの破壊はそれらを上回り、ついにはウンブラ・イェラオを左右に引きちぎり投げ捨てた

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

トゥリスカ・エンポリアーが勝利の咆哮をあげる

ウンブラ・イェラオが負けたか!

ティスが叫ぶ

ゼロス!

砕け散り、宙を落下していく無数の針の上を跳躍し

トゥリスカ・エンポリアーの巨大な手の斬撃を空中で迎え撃つ

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

双剣杖で弾き飛ばす

続いて左手の斬撃を

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

弾き飛ばし

一太刀

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

144回の斬撃がトゥリスカ・エンポリアーの爪とつばぜり合う。

ファイブ・ウィザードの物理攻撃だ。

強い強いとは思っていたが!まさかこれほどとは!

驚愕するティスを前にトゥリスカ・エンポリアーの猛攻をすべて双剣杖で弾き飛ばす

双剣杖を振るい

瞬時に精神を集中させる

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

闇魔術・カタラ・パンメガス・スコタディ・スフェラ!

巨大な闇の玉が2720個姿を現しティスめがけて炸裂する!

トゥリスカ・エンポリアーがくるくると回転し

背面の巨大なサーベル状の牙と爪で闇の玉を両断していく

はぁ!

すかさず双剣杖で切りかかると山を巻き込んでしまいそうな長いトゲ付きしっぽがそれを受け止め、100回近く金属と杖がぶつかり火花が散る

辺りを闇が包み、闇が晴れると湖光とバリアが張り巡らされていた。

トゥリスカ・エンポリアーの背中から36枚のくじゃくに似た羽が現れ、バリアがトゥリスカ・エンポリアーを包んでいた。

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

トゥリスカ・エンポリアーが咆哮する

ハハハハハハハハハハハハハ!

ティスが勝利し勝ち誇った笑い声をあげる

僕はミサイルのようにトゥリスカ・エンポリアーの股下に飛び込み正面のトゥリスカ・エンポリアーを見た。

闇魔術では力不足か!さすがは魔王!だが!すでにふところに飛び込んだ!

闇魔術を目眩ましにトゥリスカ・エンポリアーの真下に潜り込み、双剣杖で地面殴り高く跳躍、やつの間接を踏み台にしてさらに突起したパーツへとジャンプ、

はぁ!

双剣杖を振るい、落下しながらも片っ端からぶった切っていく

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

ドカーン!ドカーン!ドカーン!

トゥリスカ・エンポリアーの体からついに爆発が巻き起こる

なに!

ティスが驚きの声をあげた

着地直後、

こんのぉぉぉぉぉぉ!

トゥリスカ・エンポリアーから降り下ろされた爪に向けて機械手袋をかざす。

サイバネティックス・ケイリス!

青い稲妻が機械手袋からほとばしりトゥリスカ・エンポリアーの全体重の乗った一撃を支える。

単なる放電ではない魔力の放電だ。

電気キャノンかとみまごう雷鳴が物理的な抵抗力となってを爪を弾き飛ばす。

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

悲鳴をあげるトゥリスカ・エンポリアー

ティスが叫んだ

なぜだ!

一方、僕の足元はサイバネティックス・ケイリスの余波で地面が砕け散り、凄まじい稲妻が四散する

はぁ!

双剣杖で地面を殴り付け上空に跳躍

サイバネティックス・ケイリスをトゥリスカ・エンポリアーの胸部の顔に叩きつける

吹き飛べえええ!

魔王の全身を青い稲妻が討つ、

ボスッ!バチィ!バチィ!バチィ!バチィ!バチバチバチィ!

間抜けな音と共に顔のあちこちが吹き飛び、火花を上げる。禁断の兵器は大量の電気を受けてショートしていく。

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

ティスが叫んだ

なぜ貴様はそれほどの力を持てる!

しっぽが横から僕を打ち付ける。

わっ!

ぐるぐると回転しながら吹き飛ばされ壁面にめりこむほど叩きつけられた

なんとか壁にへばりついたまま意識を取り戻す

ファイフィンフオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

目の前で禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーが咆哮した。

ティスが叫んだ

俺はトゥリスカ・エンポリアー!禁断の兵器なんだぞ!

背面のくじゃくに似た羽がいまにも猛威を振るおうとしていた

ウンブラ・イェラオは負けた。

できる限り剣で刻むつもりだったがこの傷ではそうも言っていられない。頃合いか。

ティス、その身に刻め!

双剣杖を振るい深く深呼吸する。

はあああああああああああああああああああああああああ!

精神を集中させると背後に黒い5色のオーラがただよう。

魔力臓器の魔力だ。

恐ろしき外道の魔王よ。逸話を汚す、粗末な偽物に裁きを下し、己が威光を示せ!

外道魔法・トゥリスカ・エンポリアー!

異空間からその怪物が姿を現す。

魔王トゥリスカ・エンポリアー、その魔王は全身骨でできている。

胸骨はなまめかしくヌメヌメと光を反射した骨

背面に二本、骨でできた巨大なサーベル状の牙が伸び

山を巻き込んでしまいそうな長い金属製の骨しっぽはトゲにまみれ

街の広場をまるごと握りつぶしてしまいそうな骨の手は分厚くゴツゴツとした10本の骨がカマのように鋭さを増す

破綻した造形の顔はすべて目玉が骨カメレオンのように舌だけが生身で鼻は骨が突起してカラスのくちばしのようになっていた

まさに骨の怪物

ティスは言った

本物の・・・伝説の・・・魔王だとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉーー!

終わりだ。ティス!

な、な、な、なめるなああああああああああああああああああああああああ!ズィエクディキティス・アフセンディアァァァーー!

禁断の兵器トゥリスカ・エンポリアーが背面のくじゃくに似た羽を広げると36枚の強大なバリアを張り巡らせた波となって周囲をまるごと吹き飛ばしていく。

僕は叫ぶ

新たなサイフォスとして貴様を断罪する!

やれ!魔王トゥリスカ・エンポリアー!

メタヴリティ・アフセンディア!

魔王トゥリスカ・エンポリアーの背面のくじゃくに似た羽が144枚に開くと禁断の兵器の4倍の出力はある強大なバリアが周囲を消滅させていく。

それはティスもろともズィエクディキティス・アフセンディアを呑み滅ぼして行った。

ドガシャアアアアアアアアアアアアアン!

騒音を立て黒焦げ朽ち果てたトゥリスカ・エンポリアーが目の前に倒れた。

コクピットから半身がねじきれたティスが投げ出されワイヤーから垂れ下がっている。

機械と生物の融合した体は出血しなかった。

そのときだった。

こ、これは・・・。

突如、朽ち果てた古城が時を戻したかのように修復されていく。

トゥリスカ・エンポリアーこそ、そのままだが、時間の逆行とまでは言わずとも割れたガラスがはえかわり新品同様に変わっていった。

ろうそくの火が点るといまも人が暮らしていそうなそんな雰囲気を思わせる。

魔法だ。

何者かから干渉を受けている。それも強大な存在からだ。

そうだ!オッペリアは!

彼女の姿を探すがどこにもいなかった。

これは・・・魔力の気配が漏れ出している!

隣の部屋から?

誘われているのか?

い、い、い、い、い、いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

オッぺリアの悲鳴が聞こえてきた。

オッぺリア!

勢いよく扉を開くとよくは見えないが薄い暗い光の下でオッペリアの顔だけが明るく照らされていた。

ぼんやりと見えるが手足をしばられ吊るされているようだ

オッペリア!

すぐに駆け寄り助けようとして

嫌あああああああああああああ!ゼロス!来ないでえええええええええええ!

えっ!突然拒絶され戸惑ってしまう

そのとき気がつく。オッペリアの他にもう1人薄い部屋の窓辺に女が立っていた。

真っ白い衣服に身を包みヒラヒラした布を頭からかぶった女だ。

女が頭の布を取り払うとそこにいたのは

プリズマ?・・・プリズマ、なぜ君がここに・・・。それに・・・まさか、君がすべての黒幕だったのか!

彼女は僕の訴えに興味を示さず窓の外に向けて言った。

ハノ・カルティ、私の私、私たちはいつまでも一緒よ。

声が響くのが聞こえた

あぁ、プリズマ、我もお前と過ごした日々悪くなかったぞ・・・・・・。

プリズマは振り返るとようやく僕の声に答えた。

1万年ぶりですね。我が師よ。

何?1万?

僕の疑問に興味を示さずプリズマは話を続けた。

いま、ハノ・カルティが消えました。

人は死ねば神によって天に召されます。

では神は死んだらどうなるのでしょうか。

マスターゼロス、いくつもの世界を渡り歩いたあなたにならわかりますか?

プリズマ・・・君は・・・。

クリフォギタグマを討ち滅ぼした今、私は彼女の願いを叶えるためにハノ・カルティの死を受け入れました。この身を神魔に捧げることでさらなる頂きへと昇華させ、多くの灰の信徒と無垢な子どもたちを・・・ひいてはアリシアを・・・よみがえらせるために。

でも、それもかつての願いにすぎない。いえ、それどころか彼女は私が約束を守らないと知ってなお私に託した。真理の探求を私に放り投げた。

私も彼女も、人と神である前に行く千の年月を経た今となってはどうでもよいことなのです。

マスターゼロス、この指輪を私の指にはめてはもらえませんか?

指輪?

そう言って1mの青い宝石がついた指輪を投げて寄こされる。

わ!危うく落としそうになったが何とかキャッチした。

何を考えているんだ?

プリズマの顔を見るが内心がまるで読むことができない。

茶番だ。・・・だが下手に動けばオッぺリアが危険か・・・。

僕はプリズマの前まで移動すると片膝を折り、プリズマの左手を引き寄せると、巨大な指輪をプリズマの指にはめた

プリズマは目の前に指輪をかかげてなめまわすように眺めた。

ああ、これがエントラールストーン!なんとお綺麗なんでしょう。

え、エントラールストーン?

いま気が付く。

指輪から尋常ではない魔力があふれ出していた。

プリズマ・・・オッペリアを返しくれないか?

ああ、この子ですか?傀儡にしてはよく働いてくれましたね。

傀儡?

突然、オッペリアが叫ぶ、

ダメ!ゼロス!見ないで!

お、オッペリア?

あまりの取り乱しようだった

なおもオッペリアは叫ぶ

お願い!お願いだから!見ないで!

プリズマは言った

ほ~ら、マスターご覧になって!

プリズマがそう言うやいなや光が強くなり、オッペリアの体が照らし出される。

オッペリアをよく見ると服が裂け、胸部が砕け、プリズム鉱石が輝いていた。

首はチューインガムのように伸びて異形と化している

こ、これは・・・

唖然とする。

オッペリアの体が砕け、体内には肉ではなく鉱石が詰まっていた

彼女は涙を流しながら僕から目を背け、力なく言った。

見ないでぇ、こんな・・・私を・・・見ないでぇぇ・・・。

プリズマはオッペリアの前まで歩いていくとあごを指先でつかみ、僕から背けていた顔を無理矢理こちらに向けながら言った

これは私の分身、プリズムでできた私の贋作、偽物だったのです。

おわかりですか?マスターゼロス。

マスター?私とそっくりなこの子、味わってもらえましたかぁ?アハハハハハハ!アハハハハハハハハハハハハ!

そ、そんな・・・。オッペリアがプリズマの・・・・・・。

あまりの衝撃に膝から崩れ落ちてしまう。

足に力が入らない

オッペリアはとても悲しそうな顔をしていた。

そ、そうだ・・・。

いまの彼女は一番知られたくない相手に一番知られたくないことを知られてしまった。

彼女が人ではないからなんなんだ。

僕が彼女を愛さずどうする!

僕はプリズマに言ってやった

それでも!

それでも?

それでも僕は彼女を愛している!

オッペリアは泣きながらつぶやく

ゼロス・・・。

オッペリア!一緒に帰ろう!

僕はプリズマに双剣杖を構えた。

その途端、プリズマはうれしそうな顔をして

でしたらマスター、本物である私も愛せますよね?

これはもういりませんね。

ドカーン!

次の瞬間、オッペリアの頭が爆発した。

うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

プリズマは笑い声をあげる

キャハハハハハハハハハハハ!キャハハハハハハハハハハハ!キャハハハハハハハハハハハ!

ドカーン!ドカーン!ドカーン!

体も無惨に爆発していく。

プリズムがキラキラと空中に舞いまるで最後の輝きのような光を発していた。

ああ・・・ああ・・・オッペリア・・・。

目の前に転がってきた無惨なプリズム鉱石を手の平に持つ、何も答えなど返って来なかった。

どこを見ているのです?そう言って伸びてきたプリズマの手は僕の顔をつかみ無理矢理に自らの方に向けた。

あぁ、ようやくこのときが来ました。

プリズマは頬を紅色させニヤ~っと笑った。

浮気はいけない。私だけを見なさい。

お前が私をこんな風にしたのです。

お前は私に命も財も友も家族も愛するものもそのすべてを捧げるべきです。

犬になると誓いなさい!従順な犬になると誓いなさい!


はい

いいえ←ピッ!


あぁ~!ここまで人を狂わせて自責の念すら抱かず断るだなんて!あはぁぁ~、いまはそれすらもいとおしい!

プリズマを激しく睨み付ける。

その目に宿る醜悪な憎悪、その調子ですよ。我がマスター、私だけを余さず見ていなさい!

プリズマがベロを突きだし顔をあちこちの方向に振り乱すと、顔の造形が変型し異形の仮面へと変貌、巨大化し怪物へと姿を変えていく。

それは仮面に封じられ長い間溜め込んだ呪い。

魔王の力と神であるハノ・カルティの力が融合しエントラールストーンの力によってさらなる高見へと昇華されたものだった。

さぁ、ゼロス、愛しい我が師よ。私たちはもはや戻れない。互いに憎み愛し傷つけ身も心も焦がすほどに溶け合いましょう!

殺してやるぅぅぅぅぅぅぅ!

≪神魔王プリズマが現れた≫



空間が歪み城が無限に広がっていく。有に100mはある魔王の巨体が城内を壊さずに存在している。矛盾をはらんだ異様な空間だった。

プリズマは言った。

知ってました?実は初恋だったんですよ・・・キャハハハハハハハ!

んああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

影魔法・スキアー・アンテローポイ!

影の世界の化け物たちがプリズマに襲いかかる。

プリズマの体から別の黒い何かが飛び出すとスキアー・アンテローポイと激突、激しく呪い合う。

間違いない!魔王ディリティリオの仮面の呪いを開放している!

プリズマの足下から黒い呪いが波となって溢れだす。その呪いの量は長い時間と神魔の力でどこまで膨れ上がっているか未知数だ。

呪いの波は城の外へとあふれ出し触れた植物や生き物をすべて呑み込み呪殺していく。

窓の外には燃え盛る王都ににじり寄る黒い波が見えていた。

それはプリズマを倒さなければこの世界が滅びることを意味していた。

双剣杖を振るう

外道魔法・トゥリスカ・ブラスト!

神魔王プリズマの血液が沸騰し

ブオワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

プリズマの全身から真っ白い湯気が上がる

キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!

効いていない!

ジューシーに煙をあげる肉が肌が焼けただれ、すぐに再生し、再び焼けつき、再び再生する。

ダメージは蓄積されているはずだ!ならば!肉を砕く!

外道魔法・トゥリスカ・エクリクシス

ドカーン!

突如、プリズマの腕がバラバラに爆発する

キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!

プリズマが狂った笑い声をあげ

100mはある氷塊を連射して射出してくる。

3000万発の氷塊を空を飛び回避する

双剣杖を振るう

黒魔法メラース・ペータグマ!

影魔法スキアー・ペータグマ!

陰魔法ウンブラ・ペータグマ!

3つの飛行力が体に宿り異常な領域の力へと昇華させる

目の前に迫る氷塊の群れ、すべて触れただけ即死する呪いの氷塊だ。

双剣杖を振るう

外道魔法トゥリスカ・トイコス!

外道魔法ゆえにデザインのグロい最上級障壁外道魔法が目の前に張り巡らされ、2720枚の魔力シールドと氷塊がぶつかり誘爆させていく。

正確には誘呪とでも呼ぶべきか。

氷塊から解き放たれた邪悪な呪いは障壁を砕き消滅していった。

盾と翼を合わせつつ、魔力消費にも配慮し

流れるように無数の氷塊を避け続ける。

くらえ!

双剣杖を振るう

黒魔法・メラース・シュナイデン!

真っ黒い色が刃となってプリズマの腹を切り裂くと緑の血をふき散らす

キャハハハハハハハ!キャハハハハハハハ!キャハハハハハハハ!キャハハハハハハハ!

双剣杖を振るった

外道魔法・トゥリスカ・イヴォリ!

キャハハハハハハ!キャハ・・・!

暗示をかけた!操ることこそ叶わんが、その目では何も見えまい!

双剣杖を連続で振るい流れるような連続技で叩き斬っていく

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

これが!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

サイフォスの!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

世界を守る!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

剣の力だ!

はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!

キャハハハハハハ!キャハハハハハハ!キャハハハハハハ!キャハハハハハハ!キャハハハハハハ!

苦痛すら笑い声をあげるプリズマは全身から緑の血を吹き出してなお笑っていた。

ゼロスーー!

プリズマが氷の柱を召喚してくる。

無数にそそりたつ氷の塔が目の前に迫る。

ぐああああああああああああああああぁ!

くるくると弾き飛ばされ、態勢を立て直したときだった

プリズマ最大の呪いの氷塊が最大強化され巨大な真っ黒い氷塊が

激突し、もろとも漆黒の死の海に呑み込まれた。

気がつくと真っ黒い空間にいた。

呪いの中だ。

ここからでも遠目にもがき苦しむ人々の姿が見える。

同じようにプリズマの生み出す死の海に呑み込まれたのだ。

体が呪われ始めて全身の魔力が急速に吸い取られていく

このままでは消滅することだろう。

そのときだった。

これは・・・ドリームキャッチャーが光っている。

不思議なその光が体を満たすと絶大な魔力が解き放たれていく

ドリームキャッチャーを空高く掲げるとエレメントを象徴するかのような色とりどりの光が闇を照らし目の前にプリズマが現れた。

オッぺリアの言っていたことは本当だった。

ドリーム・キャッチャーは本来大魔法を込めて魔王を退けるために作られたアクセサリー。

これがドリームキャッチャーに封じられた大魔法の力なのか・・・。

勝機は見えた。決める!

双剣杖を振るい

全精神を集中させる深呼吸をする。

はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

死には死を、影の世界の死神よ!世界を呪う死の波を貴様の死を持って切り裂け!

影魔法・スキアー・ハロス!

四方八方から無数の邪悪な影、影魔法・スキアー・アンテローポイが集まると一つに体を重ね合わせ、

黒いローブを羽織ったおぞましい最強の影の存在へと変貌していく。

ケタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!

切り裂けえ!ハロス!

スキアー・ハロスの大鎌に緑の光が集束していく。

ガレー・フルゴル!

スキアー・ハロスが大鎌を振るえば、

死をつかさどる緑の刃が同じ死の海を真っ二つに切り裂き、大地もろともプリズマを両断した!

魔法の嵐が止み、倒れたプリズマのもとへと向かう

プリズマは僕を見ながら言った

マスター・・・あなたなら不死を殺してくれると思っていました・・・長かった・・・やっと・・・終わる・・・のね・・・。

お前が憎くてしかたがない・・・けれど・・・愛してもいた・・・。

プリズマの胸に双剣杖を突き立てる

がはっ!

お前をそこまで追い詰めた愚かな師を・・・許してくれ・・・。

プリズマは目を閉じてそれから動かなくなった。

くっ、うぅ・・・うぅぅぅぅ・・・。

心がやりきれない気持ちでいっぱいだった

手にエントラールストーンを握りしめる

戦いは終わった・・・帰ろう。

ボゴ!

突如、トゥリスカ・エンポリアーの倒れていた方から音がする。

みれば半身機械半身生身のティスの腹から子供が生まれ落ちていた。

片眼が金色の瞳をしている・・・魔が混じっているのか?

ゴオオオ!

赤子の鳴き声とは思えない鳴き声をあげる人と魔王の血を引き継ぐ化け物だ。

ティスの顔が脳裏に浮かぶ。

やつと・・・オッペリアの子供だと!穢らわしいぃぃ!

双剣杖を力の限り握りしめてしまう

・・・人じゃない!こんな物体!人であるはずがない!

僕はそれに近付きながら双剣杖を振りあげる。

安心しろよ。化け物め!いま殺してやる!

思いっきり振り下ろすと

勢いよく砕け散ったのは地面。

間一髪、トゥアレタが赤子を抱きかかえていた。

マスター!やめてください!この子がいったい何をしたというのです!

いつの間にこの場に来たのか。

トゥアレタ!黙ってそいつをこっちに寄越せ!そいつはオッペリアと魔王の血を引く化け物だ!

この子がオッペリアさんと魔王の子供?

そうだ!おぞましくも生を受けてしまった。殺さなければ!

あ、赤ちゃんに罪はありません!

もうどうでもいいんだよ!そんなこと!

機械手袋サイバネティックス・ケイリスを前にかざすと威力を抑えた緑のビームがほとばしる

トゥアレタの聖術が空中にバリアを張って一瞬で爆散した。

きゃああああああああああああああぁぁぁぁ!

数メートルぐるぐる回転しながらトゥアレタが吹き飛ぶ

トゥアレタ!

そう声をあげ、横から飛び込んできたのはピュエロスだった。

ピュエロス!

ピュエロスが聖術を扱い、それに合わせるようにトゥアレタも聖術を発動させる。

青い稲妻を差し向けると二人の聖術とぶつかり合う。

ふたりがかりでも非力な聖術だ。

壊せなくはないが勢い余って殺してしまいそうでもある。

そうして手をこまねいていると

ピュエロスが叫ぶ

トゥアレタ頑張って!

わかってるけど!これがマスターアカーテスにも比毛をとらない闇の力!

ふたりがかりで本の数瞬、抵抗を見せる。

邪魔しないでよ!

サイバネティックス・ケイリスの出力をさらに微弱に抑えピッタリ殺さない程度に調節し直し、青い稲妻をさらにほとばしらせる。すると二人の聖術は粉々に吹き飛んだ

「「きゃああああああああああああああああああ!」」

不様に投げ出された二人を無視して悠然と歩みながら距離を詰める。

化け物めえぇぇ!

再び赤子に意識を向けると

・・・待って!

トゥアレタだった

トゥアレタはピュエロスに支えられながら何とか杖を構える。

こ、この子を・・・殺そうと言うのなら私が相手になります!

その目には鋭く研ぎ澄まされた剣のような意思の強さを感じさせた。

強者を前に我が身を掛けて弱きを助ける勇敢な・・・まるでサイフォスの理念を・・・オッペリアの意思を・・・。

そう思ったら毒気が抜けてしまった。

やり場のない怒りだけが心に残る。

うぅ・・・うあああああああああああああああああああああああ!

激情のままに叫び、がれきを破壊する。

新たに人の気配がして顔をあげると、

マスターアカーテスが立っていた。

・・・・・・マスター。

マスターアカーテスは言った

ゼロス・・・。

その声や表情から悲痛な弟子を哀れむ心が伝わってきて僕も抑えていた気持ちを言葉にしていく。

マスター、僕はついに弟子を・・・プリズマをこの手にかけてしまいました・・・許せなかった。

オッペリアを殺されて頭に血が上って・・・でも本当は殺したくなんてなかったのに!どうしようもなく怒りが沸き上がってきて・・・。

マスターは言った

それはつらかったですね。

そう言われて気がつく。

つらかったですね・・・・・・?

どうして・・・どうしてもっと早く助けてくれなかったんだ!

そんなどす黒い感情がわきあがる

ち、違う・・・そんなこと思ってない!思ってないはずなのに思ってしまっている。正確にはそう感じている。そう感じていればそれは思っているということで、でも本心は違う!違うのに・・・。

信じられない感覚だ。自分の中にそんなさもしい思いがあっただなんて!でも・・・。

違う!そうじゃない!・・・異世界の魔王が・・・世界を・・・マスターは・・・みんなを守るため・・・それを止めようとして・・・。

周りなんて無視して弟子を!自分を助けてほしかった!

違う。自分の尊敬したマスターはそんな人ではない・・・。

でも結果的にそうであってもほしかった。それも真実だ。

頭ではわかっていたのに気持ちが止まらなかった。

マスターアカーテスは言った

ゼロス、ごめんなさい。あなたとあなたの弟子が争っていたのに私は他のことにばかりかまけて、気がつけなかった。止められなかった!

言ってはいけない。そう思っても自分の気持ちを言葉にせずにはいられなかった。

マスターなら助けてくれると・・・思ってた・・・。けど、違った・・・。

違う!違うのゼロス・・・私は!

・・・守って・・・くれなかったじゃないですか!

言ってしまった・・・。

マスターに言ってしまった・・・。

もっとも言ってはいけないことを言ってしまったのだ。

マスターの顔が悲しみと無力感に歪むのが見えた。

すべて手遅れ、遅すぎたのだ。

ふと気がつく。

弟子である僕を守ってくれなかった?

それは僕も同じじゃないのか?

奇妙な感覚になる。

まるで自分が再会した弟子たちにしたことを追体験しているような・・・。

そうか・・・これが・・・あの子たちの・・・絶望・・・。

心の中が真っ暗になっていく気がした。

・・・もう、いいですよ・・・マスター・・・。

ま、待って・・・待って!ゼロス!

アカーテスは頼りなく手を伸ばすが

ゼロスはそれを無視して、いや認知すらせず、ただ呆然とまっすぐ歩いていく。

何もない場所に向かって。

トゥアレタ、その子を

そう言ってピュエロスはトゥアレタから赤ん坊を受けとると言った。

マスターアカーテス、私は彼と共に行きます。

トゥアレタが言った

ダメ!ピュエロス!行ってはいけない!あれはもう人じゃない!破滅に突き進むだけの、ただの脱け殻よ!

さようならトゥアレタ、あなたのことを姉妹のように思ってた。

そう言い残しピュエロスはゼロスの後をついて行ってしまった。

ピュエロス・・・。と、つぶやきトゥアレタは涙を流す

マスターアカーテスはそんなトゥアレタの肩をいつくしむようにそっ、とつかむと赤子をあやすように優しく頭を撫でて祈った。

主、パリョ・テオスよ。どうか三人の旅路に祝福を・・・。


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