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この世は陶器の器にて  作者: 天ヶ滝 天鬼
第一章
11/13

夜があけて

「おはよう、ソラ」

ミヤの挨拶で目を覚ます。 窓の外を見るとまだ朝日の出てない早い時間、ミヤはいつも通りに目を覚ましていた。

「おはようミヤ。 早くない?」

「仕方ないじゃない、習慣なんだから。 それにナナちゃんとカヤさん、ヒナちゃんの三人分増えてるんだからね。 お休みだけど朝を準備しくちゃいけないからね。」

ナナちゃんとカヤさんは客間に布団を敷いて寝ている。ヒナギちゃんはアヤのベットで一緒に寝ている


「あーそうだミヤ、朝何にする? パン?ご飯?」

「ご飯が残ってるから納豆とお味噌汁かな?」

「九人分だとギリギリだね。 この際だし、あとで追加の食材買いに行こうよ。 ヒナギちゃんとナナちゃんの分も追加しなくちゃだしね」

「んー、缶詰や乾麺中心かな、ナナちゃんは来月だからその時だしね。」

「OK、メモしとく。」

朝の献立、増える人数分の買い足しの確認をしながら服を着て、静かに階段を降りる

台所の炊飯器をつけ、昆布で味噌汁の出汁をとる。

「昨日の揺れってどう報道されてるんだろうか?」

「確かに、私達はヒナギちゃんから原因は聞いてだけど… ソラ、テレビつけてくれない?」

「わかった」


テレビをつけて番組を回して、いつものニュース番組にする。 


【−−、ニューヨークの花倉です。 昨日起きたゆれでこちらは混乱しております。 耐震の甘いビルのヒビわれや、ガラスが割れあたりは大変なことになっております】

ヘルメットを被った現地のアナウンサーがガラスや何かしらの破片が転がる惨状を伝えている

【通行人も多かったため、降ってきたガラスの破片などで負傷したかたが大量に病気に運びこまれました。 複数名の死者も確認されております。】

【花倉さんすみません、次にいきます】

【続報が入り次第追加でお伝えします。】

【はいでは、フランスパリの朝川さんお願いします。】

【こちらも、−−−−、−】


その後も各国の惨状が伝えられている、L字のテロップでも多くの負傷者や死者、各地の現状が伝えられている。


【−−あ、はい。 はい。今気象庁から今回の揺れについての会見が再度行われているようです】


画面が切り替わり気象庁の会見に移り変わる。

【−−昨日発生した。同時多発の揺れに関して報告させて戴きます。】

【まず、今回の揺れの震源についてですが速報では地中30kmとなっておりましたが、発生源は地中ではなく地上よる上の空中30kmがの発生源であるの確実だと考えられます。】

【この様な異常な揺れは、観測史上はじめてであります。 この揺れに対して以後気象庁では空震と呼称していくと共に、今後も原因の調査を多方面と協力し解明を進めてまいります。以上で会見を終了になります】


1日経っても原因は分からずと言うのが、気象庁の発表だった。 ヒナギちゃんの情報がなければ只々不可思議な現象でしかない。


「やっぱりまだ、世間は混乱してるんだね。」

「仕方ないって、封印が破れたのが原因って知っていても信じられないことだし。」

「ほんと……どうなっちゃうんだろう。」

"なる様になると "とは言えない…

「大丈夫、一緒に頑張れる。 まだ始まったばかりなんだから、備えればいいんだよ。」

「そうだね、--失わないためにもがんばらなくちゃね!」


朝ご飯の準備を片し、入学前の学校の課題を進めてしまう。 

つけっぱなしのテレビはニュースを垂れ流し、二人だけの束の間を過ごす。


トトトと階段を降りる音が聞こえてきた。 アヤ達が匂いに釣られて起きたのだろう。 

「お、おはようなのじゃ」

「おはようヒナギちゃん」

「おはよう」

「き、昨日は途中で眠ってしまってすまなかったのじゃ。」

「気にしてないよ」

「そうか…、ミヤとソラは早起きなのじゃな。」

「もう習慣みたいなものだからね。」

「あれ?ヒナギちゃんは私達の記憶を見ているんじゃなかったっけ?」

「全ては見ておらぬ、見れていたのはここ最近の記憶と付く時に見た時の記憶だけじゃ。 付く前の記憶では早起きでは… すまぬ、詮索のしすぎじゃな。」

「まあ、想像の通りですよ。」

「ソラと私が、アヤ達の親代わりですから。 あの時は辛かったですけど、みんなに支えられて助けられて今がありますから。」

「あのまま過ごしてしまっていたら、アヤ達は笑わない、私達はただ無意味に生きる人生だったんです。 それに」

「「生きているだけで、儲けもん。 産まれてきたなら幸せにならなくちゃ。」」

「って言われてきたんです。 ちゃんとしなきゃあの世に逝った時に怒られちゃいますよ。」

「"なんで、お前ら結婚しなかった!"  "なんで私達の後を追ってしまったの!"  "死ぬ気になればなんでもできるんだ、それからでも遅くなかったっでしょ!" っ泣かれて怒られそうだねな?」

「そうね。 あと"ごめんなさい、貴方達の成人を祝えなくてごめんなさい。"っていいそうね。」

子供心ながら、楽しそうで優しくて尊敬できた両親だった。 

「そうなのか、そうだったのじゃな。」

「だから私達は結婚して幸せになるまで絶対に死にません!」

「アヤ達の結婚式を見るまでは死ねません!」

前向きに、幸せに、楽しく、生きていく事を笑顔で断言する。 それを聞いたヒナギちゃんは、苦笑いをしていた


「そろそろアヤ達も起きてくるでしょ。 準備しましょソラ」

「ああ」

短い返事を返し、納豆を取り出して置く。

少しすれば、起きた気配が二階からしだす。 味噌や豆腐を追加して味噌汁を完成させる。

「おはようソラちゃん、ミヤちゃん。 ヒナギさん」

「「おはようございます」」

カヤさんの挨拶にミヤと共におはようと言ったヒナギちゃんは

「おはようなのじゃ。 カヤ殿、さんづけではなく、ちゃんでいいのじゃ。 子孫にさんづけや様づけはよそよそしくて嫌なのじゃ、それにソラとミヤなんてヒナギちゃんと最初から言っておったのじゃ気にせぬ。」

「はぁ、ヒナギちゃん。でいいの?」

頷き、席に着いた。

その後みんなで朝食を済ませてしまい、学校の課題の続きをみんなで終わらせてしまう。





-side 香夜-


私は、早朝のリビングで立っていた。

リビングの中から聞こえてきた会話に足がすくんだ。


5年前、夜空と美夜達の両親達は福島の自動車事故に巻き込まれて亡くなっている。

すぐに病院に見舞い行った。

その時の二人は見ていられない程傷だらけで。

痛々しく。 言葉をかけても無反応だった。

起きた事を受け入れられず、生きることを諦めてしまっていた。


度々見舞いには行ったが見ていられず。福島の実家にいる母達に見舞いなどを頼んでしまった。

親友と姉、その二人の子供達を見ることができなかった。

実家の母達も仕方がないと言ってはくれていたが、ひどいことをしたと今でも思っている。


一年に数回会いに行ってはいたが二人の顔を見ることができなかった。

事故から2年がたった時母から連絡があった。

「元気かい香夜?」

「まあまあだよお母さん、今日はどうしたの?」

「貴女はいつも性急ね。 まあいいわ。 あの子達がね、そっちの学校に戻ると決めたのよ。」

「えっ、どうしてなの。 こっちにきたら辛くなっちゃうんじゃない。---」

「…貴女やっぱりあの子達の顔見れていなかったのね。 大丈夫よもうあの子達はね。 貴女だけでもこっちに迎えに来なさい、そうすればわかるわよ。」



後日福島に、あの子たちを迎えに行った時は驚いた。

あの頃の傷跡は変わらずに笑顔の子供達がいたからだ。

事故のあとはじめて正面から顔を見ることができたのはそれがはじめてだった


母は

「あの子達は、周りやみんなに支えられて立ち直れたのよ。」と言った。


私が困惑していると、夜空君が「あの時は見舞いに来ていただきいありがとうございました。」と言ったのだ。

耐えられなかった。 

「なんで、なんでなんで私が感謝され−−」

「香夜さんが負い目を感じているからです。」

言葉が詰まった。 続きを言えなかった。

「あの時は色々な人が見舞いに来てくれて、言葉をかけてくれました。 だから立ち直れたんです。 だから感謝を言えなくて後悔はしたくないので会った時に言うようにしているんです。」


この子達は優しい、あんなことが目の前で起きたのに、優しいままだった。

負い目を、引き目を感じていたのは私だけだった。


荷物は既に手配済みで、先に家に行き片付けをするらしい。

が荷物は3日後らしいので今日はまだ実家に泊まるらしい。明日の朝、新幹線に乗り東京に行く。

私も一泊していく。 その時に今までの事を聞いた。

リハビリのこと、アヤちゃんのこと、退院後のこと色々と聞いた。私はほったらかしにしていた事を謝った。 

「これからお世話になるかもですから大丈夫です」と返された。

母も、「気にしているならあっちで世話してあげな」と言っていた。


あれから3年たって随分砕けたけれど、負い目は消えない。 奈々子も来月からお世話になる。 あの子達には頭が上がらない、謝罪と感謝の二つの意味で上がらない。

ごめんなさい、そしてこんな 私を許してくれてありがとう


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