↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語中盤で死ぬろくでなしの悪役貴族に転生したけど、死にたくないから最強になって死亡フラグを回避する  作者: モンチ02
第七章 帝国篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/105

90話 世界同盟

 



「皆様方、急遽この場に集まっていただき、誠に感謝いたす」



 リアーナ王国王城の会議室にて、世界各国の代表者が集結していた。

 リアーナ王を始め、砂の国アメンからはホルス。亜人国ハモニカからは妖精女王メイベル。アズマからは徳田徳之助と補佐の大和猛。

 他国の王が多数。計十人の代表者が揃っている。


 議題は、闇の魔術師の対応について。

 復活した【最悪】の魔術師デモルトと【純血使徒《ノーブルブラッド》】に対抗するために、世界各国で同盟を組むことである。


「再度皆様に確認したい。この場にいるという事は、世界同盟にご納得していただけているという事でよろしいですかな」


「アメン王には了解を得ている」


「闇の魔術師を放ってはおけん。ハモニカも賛成じゃ」


「アズマも同じ意志だ。父上に代わり俺が申す」


「「問題ございません」」


 各国で同盟を結ぶことについて、ホルス、メイベル、徳之助、それぞれの王が同意する。代表者たちの同意を得たリアーナ王は厳かに頷き、言葉を開いた。


「ご納得していただき、誠に感謝する」


「あの~、少しよろしいですか?」


「何ですかな」


「帝国は同盟に参加されないのですかな?」


 頼り無さそうな小国の王が手を上げて質問する。リアーナ王は難しい表情を浮かべて、


「うむ。勿論帝国にも同盟の打診をしてはいるが、突っぱねられてしまった」


「そ、そうですか……それは残念ですね」


 リアーナ王の話を聞いてため息を吐く王達。

 アルカディア帝国は軍事大国だ。この大陸でも一、二を争う軍事力を持つ帝国の力を頼れないとなれば、落ち込むのも無理はない。


 リアーナ王は何度も帝国に打診した。

 しかしかの国は、「闇の魔術師など恐るるに足らず」と全く聞く耳を持たない。どれほど闇の魔術師の脅威を伝えてもだ。

 それでも駄目なら、帝国の同盟は諦めるしかないだろう。


 消沈している王達のやる気を取り戻させ、リアーナ王は闇の魔術師について話していく。内容については、リオンから得た情報が多い。


【純血使徒】は世界各国に潜み暗躍している。活動するための拠点がある。幹部の外見と能力。デモルトを完全に殺す方法等々。有意義な情報に気を落していた王達の表情が明るくなった。


「素晴らしい情報ですな!」


「よくぞ調べあげましたな、リアーナ王! 丸裸も同然ですぞ!」


「闇の魔術師の重要人物を捕らえ、吐かせたのです」


「「おお!」」


 リアーナ王はリオンのことを敢えて伏せた。

 潜入捜査ではあったが、リオンは一時的であっても闇の魔術師の幹部。リアーナ王国が【純血使徒】と裏で繋がっていると疑われたくなかったのだ。


「流石はリアーナ王。頼りになりますな」


「“英雄の子”もおりますし」


「そういえば、英雄の子はいらっしゃらないのですか?」


「英雄の子?」


 はしゃぐ王達の言っている英雄の子が何なのかピンと来ていないリアーナ王に、メイベルが教える。


「リオンのことじゃよ」


「あの金髪の子供は強かったですな!」


「闇の魔術師を圧倒していましたからな」


「いやはや、あのような優秀な若き魔術師を抱えているリアーナ王は羨ましい限りですぞ」


 魔術大会は投影魔術によって世界中で放映されていた。

【純血使徒】に襲撃され、幹部が大和猛やホルスを破り、デモルトがダニエルを殺そうとした場面は、恐怖に絶望したものだ。


 そんな中、たった一人の子供がデモルトと幹部を圧倒して退けた。その光景は正に英雄の誕生であり、世界中に希望をもたらしたのだ。


 まさかリオンがそんな風に呼ばれているなど知らなかったリアーナ王はただただ驚くばかりである。

 英雄の話題で盛り上がっている時だった。突如会議室の扉が開かれ、一人の少女が入ってくる。


「皆様にお願いがございます」


 少女、砂の国アメンのイシスは切実に訴えた。


「どうか、我が国をお救いください」



 ◇◆◇



「リオンってさ、あんなに強かったんだな……」


「うん……僕も凄く驚いたよ」


 カイトの親友であるガイとディックが、ぼんやりした表情で話す。


 魔術大会、そして【純血使徒】の襲撃から一週間が経っている。

 一週間の間授業は休止になり学生は学生寮で待機していたが、ようやく授業が再開された。久しぶりに教室で学友と顔を合わせれば、話題は魔術大会ではなく、【純血使徒】とリオンで持ち切りである。

 それはここ、カイトがいる貴族と平民が混じった教室も同じであった。


「レイラの婚約破棄騒動で、十人がかりの上級生を一人で倒した時も凄いと思ったけどさ、まさかデモルトや闇の魔術師を倒しちゃうなんて思わなかったよ」


「ああ……アレは俺も震えたぜ」


 これまで彼等は、リオンは貴族を笠に着て態度がデカく、平民嫌いの口だけ男というイメージがあった。それはリオンが何度もカイトに食ってかかっては返り討ちに遭って、大したことがないという印象があったからである。


 だが、レイラとの婚約破棄の騒動で上級生と決闘することになり、リオンは十人相手に圧倒していた。魔術大会の前でも、アメンのセトとバステト兄妹に対してレイラとタッグマッチをし、目立ってはいなかったが勝利している。


 そこへきて【純血使徒】の襲撃だ。

 ダニエル校長に勝ったデモルトを一瞬で倒し、幹部を次々と圧倒。上級どころか、学生で使える者は居ない最上級魔術をバンバン使っている。

 まるで、今までのリオンとは別人のようだった。


「俺は、そんなに驚いていないよ」


「何でそう思うの?」


 不思議そうに問うユイに、カイトは「なんとなくなんだけどさ……」と言って、


「リオンは何かを隠している気がしていたんだ」


 リオン・エルファルドについて、カイトは違和感を抱いていた。


 初めて決闘した時、リオンの魔術を消してトドメを刺そうとしたが、剣で受け止められた。魔術師なのに彼の剣技は自分よりも遥かに上回っていたが、最後にはリオンが競り勝った。

 しかしそれは、リオンがわざと負けたようにも感じられた。


 二回目の魔術大会予選会ではカイトの力が覚醒して逆転。

 三回目のレイラとの婚約破棄騒動での決闘は、修行して強くなったから勝った。


 そして四回目、リオンに命を狙われた時。

 妙な薬を飲んでから力が増したリオンは、醜い化物となった。

 違和感を抱いたのは、化物となったリオンを倒した後の会話だ。



『今までのこと、すまなかった。謝罪する』


『お、おう……』


『もう二度とお前に関わらないと約束する。だから、今日のことは許して欲しい』


『え? あ、ああ……それはいいんだけど』


『お前、本当にリオンなのか?』


『そうだが?』


『そ、そうだよな。うん、何言っているんだ俺』


『俺はもう行く。もう一度言うが、今までお前にしたこと、本当にすまなかった』



 たった今、本気で自分を殺そうとした人間とは思えないほど落ち着いていて、真摯に謝罪してきた。憑き物が落ちたような、まるで別人のようなリオンの態度にこっちが困惑してしまうほどだった。


 その後も突然退学したと思えば、復学したり。

 魔術大会で闇の魔術師として現れたと思ったら、実は味方だったりと、理解不能な行動を取り続けている。

 だけど、それらについて一切事情は言わない。何かと秘密を抱えているのだ、リオン・エルファルドという男は。


「隠しているって、いったい何をよ?」


「さぁ、それは俺にも分からないけど……きっとあいつは、一生懸命“何か”と戦っていたんじゃないかな」


 流石は主人公と言うべきだろうか。

 カイトはリオンの本質を見抜いていた。


 彼の言う、リオンが戦っていた“何か”とは、“運命”である。

 物語中盤、「醜い化物となってカイトに殺される」という運命に抗い乗り越える為に、死に物狂いで戦ってきた。


 その為にリオンは、今まで沢山の秘密を抱え、誰にも相談することもできず時には大切な人を騙すことに負い目を感じていた。それは今回の襲撃で露わになった真の実力もそうである。


 リオンはカイトに感謝しなければならない。

 殺そうとした相手が、全ての悪行を許してくれた上に一番の理解者になってくれたのだから。


「ふ~ん、やっぱりカイトって甘いわよね。アタシだったら文句の一つでも言ってやるのに」


「ははは……」


 眉を顰めて拳を握りしめるユイにカイトが苦笑いを浮かべていると、平民クラスに二人の人物が入ってくる。

 その二人はアメン代表のイシスと、アズマ代表の大和撫子だった。彼女達はただならぬ雰囲気を纏いカイト達に歩み寄ってきて、


「二人共、どうしたんだ?」


「カイト、貴方にお願いがあります」


 カイトに尋ねられたイシスは開口一番にそう告げると、深々と頭を下げて頼んできた。



「どうか、我が国をお救いください」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。