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物語中盤で死ぬろくでなしの悪役貴族に転生したけど、死にたくないから最強になって死亡フラグを回避する  作者: モンチ02
第四章 改編篇

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53話 リオンのモテ期到来

 




「さっすがリオン様! 超カッコよかったです! 一生ついていきます!」


「リオン様に勝てる訳ないんですよ!」


「当然だ」


 いや~スカっとした~!

 クロムとその他大勢をけちょんけちょんにしてやったぜ。大事になったのは予想外だけど、あれだけやればレイラにちょっかいをかける奴も出てこないだろう。


 聞いた話によると、大勢の前で恥をかいたクロムは自室に引きこもっているらしい。ふっふっふ、いい気味だぜ。


「見事な戦いだったよ、リオン。君があれほど強かったなんて知らなかった」


「ふん、奴等が弱かっただけだ」


「相変わらずだね。褒めているんだから素直に受け止めればいいのに」


 やれやれとため息を吐くクライン。

 確かに俺は強いけど、あいつらが上級生の癖に弱過ぎたんだよ。


 中級、上級魔術は使えるけどそれだけ。戦闘に応用できなきゃ意味がない。単に魔術をぶっ放すだけじゃダメなんだ。


「筋肉が躍動していたな。俺には分かるぞ。リオン、相当鍛えているな。今度一緒に筋トレしよう」


「いや、遠慮する」


「そうか、残念だ」


 上腕二頭筋を見せつけながら誘ってくるバッカスに、一歩後退りながら断る。悪いなバッカス、俺はムキムキじゃなくて細マッチョぐらいが丁度良いんだ。


「リオン様、少しよろしいでしょうか?」


「何だ」


 急に女子生徒に声をかけられたと思ったら、その子は身体をモジモジさせながら尋ねてくる。


「あの、リオン様はレイラ様との婚約を破棄されるんですよね?」


「そのつもりだ」


「でしたら、その、私はどうでしょうか?」


「何?(はい?)」


 それはどういう意味?

 唐突な問いに思考が停止していると、教室にいる他の女子生徒がわらわらと俺に集まってくる。


「こら、抜け駆けはズルいわよ!」


「リオン様! 私と婚約していただけませんか!」


「いえ、私と!」


「「私と!」」


(ちょ、何がどうなってんの!?)


 多くの女子生徒に詰め寄られ、婚約を申し込まれてたじろいでしまう。

 何で急にこんな事になっているんだ、まるで意味がわからんぞ。とにかく今はここから避難しよう。


「すまない、用事を思い出した」


「あっ、リオン様~!」


「「待ってくださいリオン様! 俺達も行きます!」」


 女子たちの囲いを振り切り、逃げるように教室を出る。

 しかし、廊下を歩いていると次から次へと見知らぬ女子生徒から声をかけられ、婚約を申し込まれてしまう。


「リオン君、今好きな人いない? よかったら私と」


「ねぇ、今話できる?」


「リオン、私と婚約することを認めてあげてもよろしくってよ」


「すまない、今急いでいる」


「「きゃ~! クールで素敵~!」」


 正当に可愛い人、ギャルっぽい人、高慢お嬢様な人。その他大勢の上級生。


 矢継ぎ早に声をかけてくる女子生徒を躱し続けてくたびれた俺は、中庭のベンチにどしっと腰を下ろした。

 あ~疲れた~。


「リオン様、モテモテですね!」


「この状況は何だ。何がどうなっている」


「えっ、まだ気付いておられないんですか?」


 どうやらクラッドは見当がついているようだ。事情を聞くと、彼は得意気に話してくれる。


「今、リオン様の評価が爆上がりしているんですよ」


「何だと?(そうなの!?)」


「ほら、リオン様って元々ろくで……悪い噂がありましたよね? それに加えて平民のカイトに決闘や予選会で負けて周囲の評価が良くなかったんですよ」


「そうだな」


 それは俺も気付いていた。

 予選会でカイトに負けてから皆に馬鹿にされているってな。一年生はそうでもなかったが、クロムのような上級生からは露骨に見下されていた。


「そこで昨日の決闘ですよ。あの舐めた上級生たちをリオン様がぶっ飛ばしたお蔭で、リオン様の評価が変わったんです」


「リオン様はレイラ様と婚約破棄されてフリーになったじゃないですか。大貴族かつお顔立ちの良いリオン様は今、女子の中で注目の的になっているんです」


(なるほど、そういう事だったのか)


 確かにリオンのスペックは超優れている。

 イケメンの容姿に加え、大貴族という家柄。過去の噂とカイトに負けたことで悪目立ちしていたが、それさえなかったら超優良物件だ。


 そんな奴がフリーになったら周りが放っておかないだろう。だから急にモテ出したんだ。


 納得していると、クラッドとゴーズがしみじみとした声音で話し出す。


「俺達、今凄く嬉しいんですよ。やっとリオン様の凄さが周りに認められましたから」


「いつか絶対見返してくれるって信じてました」


「クラッド、ゴーズ……」


 二人の言葉を聞いて、俺は今頃になって気付いた。

 俺はカイトに二度負けて、周りに見下されていた。俺が見下されるということは、俺の取り巻きである二人も見下されてしまう。


 それがどれだけ悔しかったことか。


 馬鹿にされて辛かっただろう。立つ瀬がなかっただろう。


 俺は物語に沿うように動き、自分のことばかりで二人がどれだけ肩身の狭い思いを抱えているか考えていなかった。


 それでもゴーズとクラッドは俺を見限ったり離れたりせず、信じてついて来てくれた。なんて仁義のある友達なんだろうか。

 俺はベンチから立ち上がると、二人に深く頭を下げた。


「すまなかった、俺のせいでお前達に苦労をかけた」


「リオン様……」


「感謝する(こんな俺に今までついて来てくれて本当にありがとう)」


「そんな、俺達はリオン様の側近なんですから当たり前ですよ!」


「これからも俺についてきて欲しい。二人の力が必要だ」


「「リオン様~~~~!」」


 二人が泣きじゃくりながら抱き着いてくる。

 今まで俺を支えてくれてありがとな。いつか絶対二人に恩を返すから、待っていてくれ。


「その~、リオン様」


「何だ?」


「よろしければ、俺達に女の子を紹介してくれませんか? 彼女が欲しくて……」


「可愛い子がいいです!」


 こいつら、おこぼれをもらおうとしてやがる! ちゃっかりしてんな! さっきまでの感動を返せよ!


「はぁ……好かれたいならまず自分を磨くことだ」


「そんな~! 固いこと言わないでくださいよ~」


「モテモテなんだから一人二人いいじゃないですか~!」


「鍛錬ならいくらでも付き合ってやる」


 今度は逆の意味で泣きついてくる二人にため息を吐く。

 それにしてもまさか俺にモテ期が来るなんて思いもしなかった。前世でもそんな経験一度もなかったからな。

 むふふ、モテるのって気分良いんだな。



「リオン様」


「~~~!?」



 背後から声をかけられ、振り返ったらレイラがいた。

 口角は上がっているが全然笑っているようには見えない。何故なら纏う雰囲気が凄まじいからだ。


 ゴゴゴゴ! と背中から擬音が出ている錯覚すら見えるくらいに。

 余りの恐ろしさにゴーズとクラッドなんか「ひぇぇぇ」と俺の陰に隠れてしまった。


「ど、どうした」


「リオン様は上級生に、『形式上私とリオン様はまだ婚約関係にある。私に言い寄ることはリオン様を侮辱することと同じ』だとおっしゃったようですね」


「あ、ああ(怒ってる! レイラが怒ってる!)」


「では、私からも言わせていただきます。私とリオン様は形式上“まだ”婚約関係にあります。ですので、女子生徒からの婚約申し込みは全て断っていただけませんか。私にも立場がありますので」


「う、うむ。そのつもりだ(こえ~~!)」


 俺がモテ出して嫉妬しているのかなと少し期待したけど、全然そんな感じじゃない。


 これはあれだ。まだ婚約中なのに他の女の子と婚約してしまったら、レイラはどこぞの女に婚約者を奪われた哀れな女と周囲から見られてしまう。

 そんな侮辱な評価はされたくないと怒り、警告してきたんだ。


「そうですか。くれぐれもお願いいたしますね」


「承知した(はい!)」


「リオン、あとレイラもいたのか。丁度よかった」


「カイトさん?」


 レイラからの頼みをビビりながら承諾していると、なんとカイトまでやって来た。カイトは俺に身体を向け、


「リオン、お前に話がある」


「何だ」


 短く聞くと、カイトは真剣な顔で俺に告げた。



「俺と決闘しろ、リオン」



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