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物語中盤で死ぬろくでなしの悪役貴族に転生したけど、死にたくないから最強になって死亡フラグを回避する  作者: モンチ02
第三章 帰郷篇

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46話 別れの挨拶

 



「お爺様、伯母上、お世話になりました」


「うむ」


「どっちかっていうと世話になったのは私たちの方だけどな」


 長期休暇も残り僅かとなったので、自分の家に帰ることにした。


 皇帝ゲオルグとの戦いで受けたダメージは、またレイラに付きっ切りで治してもらったらしい。らしいというは、ゲオルグを倒した後気絶してから丸一日寝たきりだったからだ。


 まぁあれだけ強力な魔術を使った後に、限界以上の力を引き出すような無理をしてこの程度で済んだのだから運は良い方だろう。勿論レイラの治癒魔術のお蔭だけどな。


(それにしても、今度はエルファルド家を襲ってくるとはね)


 ゲオルグと【風熊】のドルフを蘇らせ、帝国の死兵を操っていた闇の魔術師。奴の狙いはエルファルド家を潰すことだった。エルファルドをえらく憎んでいたから、俺個人を狙ったものではないだろう。


 結局今回の戦は帝国の仕業ではなく闇の魔術師による策略だった。一応帝国側に問い詰めたが、「帝国は一切関係ない」と突っぱねてきたからな。


 物語の本編にはないイベントだったので驚いたが、被害も少なく乗り越えることができたのは僥倖だった。


(皇帝ゲオルグ、強かったな)


 最後は最上級魔術のごり押しで勝ったが、決して侮れない相手だった。一手間違えれば負けていたのは俺の方だったかもしれない。


 この世界にはまだまだ俺の知らない猛者が沢山いる。死亡フラグを回避した後も油断せず最強を目指そう。


 闇の魔術師みたいな厄介な魔術を使う奴もいるしな。

 てか何だよ英傑の復活って。そんな卑怯な魔術、本編にも出ていなかったぞ。ゲオルグが闇の魔術師を殺しておいてくれて本当に助かったよ。


「メアリー様、短い間でしたが大変お世話になりました」


「いつでもおいで、レイラさん。またお話ししましょ」


「兄上、今度僕にも魔術を教えてください! 兄上のような立派な魔術師になりたいです!」


「ああ、待っていろ」


「いつでも帰ってきていいからね。リオン君の家でもあるんだから」


「はい、ザックさん」


 レイラはお婆さんと軽くハグしながら挨拶を交わし、ワイズの頭を撫でる俺の肩をザックさんがポンと叩いた。


 エルファルド家の全員と別れの挨拶を終えた所で馬車に乗ったセバスチャンとリコが呼びかけてくる。


「坊ちゃま、レイラ様、馬車の準備ができました」


「今行く」


「皆様、ありがとうございました」


 俺とレイラは馬車に乗り込み、皆に見送られながらエルファルド家を後にした。


「……」


「……」


(うぅ、気まずいよぉ)


 レイラの顔をまともに見られない。

 だって俺、レイラとキスしちゃったんだよ。しかもレイラは俺がキスしたことを認識しているそうだ。


(ぐあああああ!)


 てっきり闇の魔術師に操られて意識がないものだと思っていた。彼女を助ける為だとはいえ、無抵抗の女の子に断りもなくキスしてしまったんだ。申し訳なくて死にたくなってくるよ。


 リオンの身体じゃなかったらレイラに土下座できるのに、スマした顔しかできないなんて最低な男だよ。

 レイラもレイラで、キスのことに関して何も言及してこないのが恐いんだよな。


「リオン様」


「……何だ(はい!)」


「今度も命を助けていただき、ありがとうございました」


「お互い様だ、俺もお前に助けられた。いや、俺だけではないな。レイラがいたお蔭で、多くの兵士の命が救われた。エルファルド家を代表して感謝する」


 実際、レイラがいなかったら兵士が全滅していたかもしれない。物理が効かない帝国の死兵にエルファルド兵は対抗する手段がなかったからな。


 メアリーやエリザベスから散々お礼を言われただろうけど、改めて俺もレイラに感謝を伝えた。


「リオン様のお役に立てられたのなら、凄く嬉しいです」


「ふふふ……セバスチャン様、お二人とも良い雰囲気ですね。やっぱり真愛のキスを交わしたからでしょうか」


「こらリコ、熱々なお二人を茶化すのはおやめなさい」


(あの二人め~!)


 御者台にいるリコとセバスチャンが茶々を入れてくる。つ~かセバスチャン、止めてる風に見えるけどお前も笑ってるじゃないか! さてはお前がリコを唆したな!


「……っ」


(ほら、レイラも恥ずかしくてわかりやすいくらい顔赤くしちゃってるじゃん)


 誠に遺憾ながら、俺がレイラにキスしたことはエルファルド家全員に知れ渡ってしまっている。


 闇の魔術師に操られたレイラがどうやって魔術を解除したのか説明を求められ、俺は誤魔化したのだが彼女は素直にゲロってしまった。

 しかもただのキスではなく、ゲオルグが話していた通り「真に愛する者からの口付け」だとね。


 そしたらも~家中の皆から温かい目で見られたよ。マジでキツかった。


(けどこれ、冗談じゃなくて結構マズい展開だよな)


 俺がレイラを愛していることを本人に知られたのは非常によろしくない。


 何故ならこの後、俺はレイラに婚約破棄を申し出なければならないからだ。愛していることがバレたのにどんな理由で婚約破棄すればいいんだよ……。


(いっそもう破棄するのはやめるか?)


 いや、それはダメだ。レイラにはカイトの仲間になってラスボスを倒すという重要な役目がある。


(はぁ~どうすっかな~)



 ◇◆◇



「申し訳ございません、作戦は失敗しました」


「何だと? 皇帝ゲオルグが敗れたのか。【氷血の魔女】の仕業か」


「そのようです……」


「ふん、皇帝も大したことはないな。歴史が脚色されていたか」


「度重なる失敗、大変申し訳ございません。どんな処罰でも受ける所存です」


「よい、気にするな」


「寛大な御心に感謝いたします。して、次はどういたしましょうか」


「そうだな……極東の島国に、将を射んとする者はまず馬を射よという言葉があるようだ」


「どういった意味で?」


「もう一度、息子に声をかけよう。リオン・エルファルドを闇の魔術師に引き入れるぞ」



 ◇◆◇



「では行って参ります、父上」


「うむ」


「はぁ、また暫くお兄様とお会いできないのですわね」


 長期休暇の終わりも迫ってきたので、魔術学園に戻ることにした。

 残念そうに俯く可愛い妹のサラを抱きしめ、馬車に乗り込もうとしたのだが、


「待て、リオン」


「何でしょう、父上」


 父のジオに呼ばれたと思ったら、突然抱きしめられる。

 ジオはそんなキャラではないので突然の出来事に面食らっていると、彼は俺の肩を掴んで真っ直ぐ目を見ながら告げてくる。


「お前はエルファルド家の誇りだ。しっかりやるんだぞ」


「父上……」


 あれか、カイトに二度も負けたりと結構やらかしたから頑張れと発破をかけているのか。


「はい。エルファルドの名に恥じぬよう精進いたします」


「うむ」


「では、行って参ります」


 これから物語は中盤に入り、リオン・エルファルドにとって怒涛の展開が始まる。


 レイラとの婚約を破棄し、闇の魔術師に唆され、醜い化け物になってカイトに殺される。物語通り進めば、もう二度とジオやサラに会うこともできない。



(帰ってこよう。皆のもとに)



 死亡フラグを必ず回避し、無事に家族のもとへ帰るんだ。


 絶対に生き抜いてやるんだという覚悟を抱き、俺は再び魔術学園の地に足を踏み入れたのだった。


ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます!


いかがでしたでしょうか?

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


これで第三章は終わりです!

第四章は改編篇となっております。


果たしてリオンは死亡フラグを回避できるのか!?

といった内容となっております。

明日から始まりますので、よろしければお読み下さい!!


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