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物語中盤で死ぬろくでなしの悪役貴族に転生したけど、死にたくないから最強になって死亡フラグを回避する  作者: モンチ02
第二章 学園篇

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30話 長期休暇

 




「生徒諸君、長期休暇に入っても浮かれず、今まで学園で学んできたことをしっかりと復習して――」


 カイトはニックを倒し、無事にユイを助けられたそうだ。


 流石は主人公。物語通りだとしても、実際に解決しちゃうんだから天晴れだ。やっぱりカイトを成長させてラスボスを倒してもらう俺の作戦は間違っていなかったな。


 ニックといえば、奴の正体が闇の魔術師だと知ってカイトは驚いただろうな。


 俺も「魔術学園の無能力者」を読んでいて、カイトを殺そうとゴブリンをけしかけたのも、「魔法の杖」を手に入れようとしたのもニックだと判明した時「えっこいつが犯人だったの!?」って驚いたもん。


 まぁ殆どの読者は、カイトに「魔法の杖」や「幻の5.5階」の存在をニックが教えていることからニックが犯人だと余裕でわかっていたそうだ。


 いや、俺も途中まではそうかな~と思ったよ? でも作中でスレインがユイを連れ去っているんだからスレインが犯人だと思うじゃん!


 貴族になるという夢をカイトに潰されたニックの身元はダニエル・ゴッドヴァルト校長に引き渡された。

 事情を知っているカイト、ユイ、ガイ、ディックの四人も校長に呼び出され、勝手に禁止区域に立ち入ったことや先生に相談せず危ない真似をしたことをシコタマ怒られる。


 怒られた後、カイトだけ一人校長室に残されてこんなやり取りをしている。


「カイトも「魔法の杖」が欲しかったのかの」


「はい。それと、「魔法の杖」を折ってしまいごめんなさい」


「いいんじゃよ。実は禁止区域に保管してあった「魔法の杖」は偽物で、本物はここにあるんじゃ」


「ええっ!?」


 そう、カイトが壊した「魔法の杖」は偽物だったんだ。そうとも知らず喜んでいたニックが哀れで可哀想に思える。まぁ校長が一枚上手だったってことだ。

 因みに「魔法の杖」は後々出てくる予定だ。


「確かにこの杖はどんな魔術でも使える伝説の道具じゃ。ニック先生のようにこの杖を欲する者は五万とおる。お主もそうじゃったの」


「はい……」


「じゃがのう、こんな物より友達を助けるために私欲に勝って杖を壊したお主の心の方が、よっぽど価値があると思うのじゃ」


「先生……」


「どうじゃ、まだこの杖が欲しいか?」


「いえ、もう必要ありません。俺には大切な友達がいますから」


 魔術を使えるようになることより、友との友情が大切なんだとカイトが気付けた、という話だな。


 いや~、俺だったら普通に下さいって言っちゃうね。どんな魔術でも使えて魔術も消せたら最強じゃん。


 そんな風に良い感じで物語は締めくくられたんだけど、実はひっそりと俺もダニエルに呼び出されている。

 それも校長室じゃなく以前釣りをした湖にな。


「何故呼び出されたか分かるか、リオン」


「勝手に森に入ったからです」


「うむ。ゴーズとクラッドが慌てて校長室に来て、森に連れ去られたレイラをお主が助けに向かったと聞いた時は驚いたもんじゃ。何事もなかったのは幸いじゃったが」


 何事もないどころか、大悪魔と命を懸けたバトルをしてたんですけどね。

 そんなこと素直に言う訳にはいかないから適当に誤魔化した。連れ去られたのは勘違いで、授業で使うための薬草を採りに行った、みたいにね。レイラとも口裏を合わせている。


「何か、儂に相談したいことはあるかの」


「いえ、ありません」


「そうか……。では、相談してくれるまで待つとするかの」


 校長とのやり取りはそんな感じで終わった。もっと問い詰められるかと危惧していたが、怒られることもなかった。

 それが逆に怖いんだよな。色々と見透かされているようでさ。



「それでは生徒諸君、新学期で君たちの元気な顔を見られるのを楽しみにしておる」



 前期の学園生活も終わり、これから一か月の長期休暇に入る。

 学園に残る生徒もいれば、帰省する生徒もいる。カイトを含めた平民の生徒は学園に残って、俺のような貴族の生徒は帰省することになっている。


「リオン様、家に戻ったら沢山遊びましょうね!」


「学園では全然お菓子を食べられなかったのでまた市場に行きましょう!」


「そうだな」


「魔術学園の無能力者」の本編が始まり、今まで色んなことがあった。


 カイトに決闘を挑んで無様に負けたり。

 カイトに予選会で負けて恥をかいたり。

 物語にも登場していない大悪魔にレイラを拉致られバトったり。


 本~~~当に疲れた。

 長期休暇はゆっくり休もう。ゴーズとクラッドと遊んだり、妹のサラや専属メイドのリコを誘って出かけたりしよう。


「リオン……」


「……ふん」


 廊下でばったりカイトと会ったが、俺は無視した。

 今は疲れていて絡む気もない。長期休暇の間はカイトとのイベントもないしな。


 けどカイトはイベントだらけだ。

 魔術大会の代表者であるカイトは強化合宿を行うため無人島に行く。


 それにユイやガイとディックも同行するんだけど、合宿でひと悶着あったり、ラッキースケベなこともあったり、闇の魔術師に襲われたりと大忙しだ。

 リオンがそのイベントに絡まなくて本当に助かったよ。お蔭でゆっくりできる。


「リオンはん、長期休暇のどこかでマーマン商会に顔を出してや。安くするで」


「考えておく」


「え~そんないけずなこと言わんと来て~な~! わてに会えなくて寂しくないんか~!」


「全然」


 無遠慮に抱き付いてくるナナを引っぺがす。

 そういや彼女には色々と助けられたな。ナナが協力者になってくれなかったらカイトの情報も手に入らなかった。

 とてもありがたいんだけど、気安くベタベタしてくるのは困る。一応平民嫌いの設定でいるんだからな。


「リオン様」


「レイラか」


 大悪魔の一件からレイラとは一度も話していない。膝枕されて気恥ずかしかったし、“今後婚約破棄する”彼女とこれ以上仲を深めるべきじゃないと思ったからだ。


「帰省するのか」


「はい。リオン様もですよね?」


「そのつもりだ」


「では、またお会いしましょう」


 そう言って、レイラは微笑みながら去っていく。

 意味深な感じで言ってたけど、それって学園で会うって意味でいいよな?


「お待ちしておりました、リオンお坊ちゃま」


「久しぶりだな、セバスチャン」


 俺を迎えに来てくれたセバスチャン。

 クラインやバッカス、貴族クラスの生徒と別れの挨拶を済ました俺は馬車に乗り込み、我が家へと出発する。


「魔術学園は楽しかったですか?」


「それなりに、な」


「それは良かったですね」


 確かに色々と大変だったけど、楽しくなかった訳じゃない。ファンタジー世界での学園生活は良い経験を沢山できたし、色んな出会いもあった。それだけでもリオンに転生して良かったと思える。


「リオン様、到着しました」


(あ~、懐かしの我が家だ)


 長期休暇の間は目一杯休暇を満喫するぞ!

 とウキウキ気分な俺だったが、父のジオから告げられる一言により絶望に突き落とされてしまう。



「リオン。長期休暇の間、お前には辺境に行ってもらう」


「なっ……」







 なんだってぇーーーーーーーーーーーーーーー!?




ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます!


いかがでしたでしょうか?

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


これで第二章は終わりです!

第三章、帰郷篇は明日から始まりますので、よろしければお読み下さい!!


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