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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII
第一章 フルダイブ型VRとの出会い――人生詰んだ男の再始動(リスタート) 編

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第九話ステータス

ステータス確認。

ただそれだけのはずだった。


しかし、この世界にとってステータスはとても重要。

第九話、どうぞお楽しみください。

「私の一番つらかった戦いは、最初の妻とのものだ」

かつて世界を熱狂させた英雄ボクサーの名言……だっただろうか。

世界最強と謳われた男にして、そう言わしめるのが「妻」という存在なのだ。

「……じゃあ、俺が耐えられるわけないじゃないか」

そんな風に、早々に諦めてしまったあの日を思い出す。

世界チャンピオンですら音を上げる戦場に、丸腰の一般人が放り込まれたのだ。敗北は必然だったのかもしれない。



『はじまりの都』。

前作も中世ヨーロッパ風の街並みだったが、今回は規模の桁が違った。

とてつもなく広いロビー。視界の限り、ショップや飲食店がずらりと並んでいる。

細かいオプション設定などは後回しにして、花は早速、近くの受付嬢に声をかけた。どうすればこの世界で「戦い」を始められるのかを知るためだ。

「こんばんはー! 新規ユーザーさんですね! 私は受付窓口のリサと言います。バトルですね〜、了解しましたっ!」

(……なんだか、随分と軽い感じだな。最近のNPCはこんなものなのか?)

「一つご確認なんですが、前作品のプレイ経験はありますか?」

花は引き継ぎ設定を済ませたこと、そして、まだゲーム内容には全く手を付けていないことを説明した。

「ではではー、ステータスを開いてみますね!」

言われるがままに操作すると、どうやら引き継ぎの最終選択が残っていたらしい。

今作の『ALO』では、前作のステータスから好きな項目を一つだけ継承できる。獲得したスキルや所持金、アイテムは自動で引き継がれるが、ステータス値だけは一点豪華主義の「ささやかなプレゼント」というわけだ。

「プレゼント、か。ありがたく貰っておくよ。……まあ、俺の引き継ぎ先はこれ一択だがな」

花は迷わず『攻撃力』を選択した。

前作での5年間。ステータス振りを考えることすら面倒だった俺は、手に入れたポイントのすべてを『攻撃力』に注ぎ込んできたのだ。

「とりあえず、引き継ぎ後の数値を見せてくださいねー……って、え、ええええええっ!?」

「ん? どうしたんだ。早く説明を……」

「あ、あ、あの! もしよければ、あちらの個室で落ち着いてお話ししませんか!?」

(落ち着くべきなのは君の方だと思うんだが。……まあ、いいか)

花は了承し、フロア内にあるカフェのプライベートスペースへ案内された。

「防音モード、オン! これでよしっ!」

「……周りに聞こえないようにしたのか? どのみち運営にはログが残るんじゃないのか?」

「いえ、本作はプライバシー保護の観点から、会話についてはログに残らないシステムになっているんです」

どうやら、ゲーム内の会話ログが現実の浮気調査などに悪用される懸念や、個人の尊厳を守るための配慮らしい。

「あの……このお名前、なんと呼べば……」

「ん? ああ、確かに読みづらいよな。周りからは『花』って呼ばれてるから、好きに呼んでくれればいい」

(か、可愛いあだ名……!)

「わ、わかりました。では花さん……あなたのステータス、はっきり言います。異常値です!」

「え、なんで?」

「攻撃力『9000』って……これはヤバいですよ! 前作のトップギルドの平均攻撃力だって『1500』くらいだったんですから!」

(いや、そんなこと言われても知らんしな。トップギルドなんて雲の上の存在だったし、俺はただ狩りさえ効率よくできれば強さなんて興味なかったんだが……)

「何か、いけないことでもあるのか?」

「いえ、そうではないのですが……花さん、もしかすると、このゲームのキープレイヤーになれるかもしれませんよ!」

身を乗り出して迫ってくるリサ。かなりの美人なので悪い気分はしないが、所詮はNPCだ。

(しかし、驚くほど自然な反応だな。本当に人間と話しているみたいだ)

「いや、俺……そういう派手なことには興味ないんで。教えてくれてありがとう」

「えええ、なんでですか!? このゲーム、楽しくないんですか?」

リサが心底残念そうに、少ししょんぼりとした顔をする。

「ああ、いや、違うんだ! その……俺はこのフルダイブ型のゲームに出会えたことに、凄く感謝してる。ただ、俺はこの世界を……その、現実の憂さ晴らしの場所にしていたんだ。……ヤバいよな、ハハハ」

自嘲気味に笑う俺の言葉に、少しの沈黙が流れた。

NPC相手に何を言っているんだ。俺は。

「いえ……ヤバくないです。人には、いろんな事情がありますから。……私にも、それはわかります」

リサは少し悲しげな瞳で、静かに答えた。そのあまりにも情緒豊かな反応に、花は舌を巻く。

「す、げえな。今のNPCはこんなに感情豊かなのか」

「ん? ――私、NPCじゃないですよ? アルバイトで働いてるんです、受付嬢として」

「え?」

リサは、いたずらっぽくニッコリと微笑んだ。

「ええええええええ!!?」


第九話 完

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

ついに判明した花の「異常すぎる」ステータス。

攻撃力9000――。5年間、コツコツと初期の森でモンスターを蹴散らし続けた結果が、運営の想定すら突き抜けるバグ級の数値を叩き出しました。

そして、まさかの受付嬢が「中の人」だったという新事実。

人間のスタッフ相手に「憂さ晴らしでやってる」と告白してしまった花の気まずさと、リサのどこか含みのある反応。

これからの二人の関係(?)も気になるところです。

「おっさんの逆転劇が加速してきた!」と感じていただけましたら、ぜひブックマークや評価ポイントでの応援をお願いいたします。

皆様のコメントが、執筆の大きな支えになっております!

あわせて、別作品**『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる ー』**も絶賛公開中です。

こちらもあわせてよろしくお願いいたします!

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