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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII
第一章 フルダイブ型VRとの出会い――人生詰んだ男の再始動(リスタート) 編

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第八話 空港

人生は、選択の連続だ。


だが、間違えた選択をしたと気づいても、

現実では簡単に引き返せない。


もし、もう一度選び直せる場所があるとしたら――

俺は、迷わずそこへ行くだろう。

「とにもかくにも結婚せよ。もし君が良い妻を得るならば、君は非常に幸福になるだろう。もし君が悪い妻を持つならば哲学者となるだろう。そしてそれは誰にとっても良いことなのだ」

古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの言葉だ。彼の妻はかなり気性が激しかったというが、今の俺には、その言葉に込められた皮肉と真実が痛いほど共感できる。

俺は、じいちゃんの教えの通りに生きてきた。

だから、良い友人に恵まれたと思っている。職場で周りに残っているメンバーも、信頼できる奴らばかりだ。女性との付き合いだって、常に相手を尊重する観点で向き合ってきた。そのはずだった。

しかし、妻だけは、そのどの法則にも当てはまらなかった。

「じいちゃん、話が違うじゃないか」

そう天を仰いだことも、一度や二度ではない。

妻には「自分がどうしたいか」という強固な軸があり、それがブレることは決してない。相手がどれほど嫌がっていようが関係ないのだ。そのくせ、自分が嫌なこと――例えば、関係を維持するための努力や、互いに支え合うこと――は何が何でも拒絶する。

「うちの親戚がいつもよくしてくれてるんだから、しんどくても顔を出して、尽くすべきでしょ」

これを支配と言わずして、なんと呼ぶのだろう。

……よく頑張ったよな、昔の俺。

ソクラテス的に解釈するなら、俺は「人がどうすれば嫌な気持ちになるか」を、身をもって深く考えられるようになった。最強の反面教師を得たおかげで、俺はこれからも「人には嫌なことをしない」と心に決めて生きていける。

そう、これも一つの貴い経験だったのだ。

そう思うことにしよう。

そんな思考の渦に沈んでいると、視界が柔らかな光に包まれた。



「ん?……空港か?」

光が収まった先、花が立っていたのは巨大な空港の中だった。

近未来的なテイストで統一された空間。電光掲示板は巨大なホログラムビジョンとなって、鮮やかな情報を映し出している。

あまりのスケールに、花は言葉を失い、ただ立ち尽くしていた。

ここは、行き先を自分で選べる場所らしい。

現実の人生では、それができなかった。いや、選んだつもりで、とんでもないミスを犯してしまったんだ。

「お客様、新規プレイヤーの方でしょうか?」

振り返ると、そこにはCA風の美女NPCが立っていた。

花は新規プレイヤーであることを伝え、この場所の役割を尋ねた。

「ここは『ALO airport』です。世界各国のユーザーが利用されるため、新規ユーザー様はこちらでゲートを選択していただきます。ゲートを通過すると『はじまりの都』へ転送され、そこから冒険がスタートします。ユーザー数が膨大なため、都は複数に分散されておりますが、クエストの難易度が上がるにつれて共通マップで世界のプレイヤーと合流することも可能です」

花はそのまま、彼女の説明に耳を傾けた。

「まずは大まかなカテゴリーを選び、その後に詳細なゲートを選んで飛び込んでください。ゲートの数は無数にございますが、都の風景はどこも同じです。一度場所を決めれば次回からは自動的にそこへ繋がりますが、その都度選択し直すことも可能ですよ」

「なるほど……。まずは大きなゲートから選べばいいんだな」

「はい。お客様は日本人ですので、日本語圏寄りの50番ゲートがおすすめです。日本語圏ゲートは開発主軸の国として今後人気が集中し、世界中から凄腕のプレイヤーが集まる可能性がありますから」

「ふーん……まあ、どこでもいい。とりあえずそこで。考えるのも面倒だしな」

「かしこまりました。では、その先の小さなゲートは、数字によって――」

「うん、もういいよ。説明ありがとう」

これ以上説明を聞くのは億劫だった。

花は足早に大きなゲートを潜り、適当に目の前の小さなゲートへと飛び込んだ。

相変わらずの、説明省略。

実はこの「小さなゲート」の選択にこそ、重要な意味が隠されていたのだが。

ログインするたびにゲートを変えることができるという仕様も含め、俺がその真実を知るのは、もう少し後のことだった。



第八話 完

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

ついに『ALO』への第一歩を踏み出した花。

CAの忠告を「面倒だ」と聞き流し、適当にゲートを潜ってしまいましたが……。

この「説明書を読まない」スタイルが、新世界でどのような「誤算」を生むのでしょうか。

5年間の沈黙を破り、ついに花が『はじまりの都』に降り立ちます。

「おっさんの適当さが奇跡を起こすのか?」と気になった方は、ぜひブックマークやポイント評価で応援をお願いします!

また、コンテスト参加中につき、皆様のコメントや感想が大きな力になります。

別作品**『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる ー』**ともども、引き続きよろしくお願いいたします!

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