第九話ステータス
ステータス確認。
ただそれだけのはずだった。
しかし、この世界にとってステータスはとても重要。
第九話、どうぞお楽しみください。
私の一番つらかった戦いは、最初の妻とのものだ。
かの英雄ボクサーの名言、、、だったかな?
じゃあ、俺が耐えられるわけないじゃん。
そう思って諦めたことを思い出した。
◆
はじまりの都
前回も中世ヨーロッパ風だったが、今回は規模が違った。
とてつもなく広いロビーに、あたり一面にショップやら、飲食店などが並んでいる。
そのあたりのオプションなどはとりあえず置いといて、早速受付嬢に声をかけて、どうすればバトルができるのか聞いた。
「こんばんはー!新規ユーザーさんですねー!
私は受付嬢のリサと言います!
バトルですね〜、了解しました!」
(なんか、すんげえ軽い感じ、、ほんとにNPC?)
「一つご確認なんですが、前作品のプレイ経験はありますか?」
俺は引き継ぎをしたこと、そして、まだ何も手をつけていないことを説明する。
「ではー、ステータスをこうして開きます!」
俺は言われるがままにした。
どうやら、引き継ぎを完全に済ませていなかったらしい。
引き継ぎは、前作のステータスから好きなものを一つだけ引き継げるというもの、あとは、獲得スキルとお金やアイテムは自動で引き継がれるらしく。
ALO運営からのささやかなプレゼントらしい。
「プレゼントか、ありがとうALO。ま、俺の引き継ぎステータスはもうこれだけだ。」
俺は攻撃力を選択した。
なぜなら、ステータス振りが面倒すぎて、全て攻撃力にしていたのだ。
「とりあえず引き継ぎをみせてくださいー、、、え、ええええ!」
「ん?どうしたんだ?早く説明を、、、」
「あ、あ、あの、もしよければ、あちらで落ち着いて話せませんか?」
(落ち着くのはあなたです。ま、いいか)
俺は了承し、フロア内のカフェのプライベートスペースへ。
「防音モードオン!これでよし!」
「?、、周りに聞こえないようにしたのか?どのみち運営にはログが残るんじゃないのか?」
「いえ、本作は、プライバシーの観点から、会話についてはログで拾えないシステムとしています。」
どうやら、ログが残ると浮気調査でくるユーザーの懸念や、その他個人の尊厳のために運営がそうしたらしい。
「あの、この名前、、なんと呼べば」
「ん?ああ、確かに読みづらいよな、俺の周りは花って呼んでるからなあ、まあ、好きに呼べば良いよ」
(か、可愛いあだ名)
「わ、わかりました。では花さん、、、あなたのステータス、はっきり言うと、異常値です!」
「え、なんで?」
「攻撃力9000って、、、これはやばいですよ。前作のトップギルドの平均攻撃力は1500です!」
(いや、知らんがな。トップギルドの奴らなんてそうそう会わんし、正直狩りが効率よく出来れば強さに興味ないんだよなー)
「何か、行けないことでもあるのか?」
「いえ、そうではないのですが、花さん、もしかすると、このゲームのキープレーヤーになれるかもしれませんよ!」
リサは鼻息荒く迫ってくる。かなり美人なので悪い気分はしない。しかし、所詮NPCだ。
(しかし、すごい自然だなこのNPC、本物の人と話してるみたいだな)
「いや、俺、、そういうの興味ないんで、教えて頂きありがとうございます。」
「えええ、なんでですか?このゲーム楽しくないんでしょうか?」
少ししょんぼりしている。
「ああ、いや、違うんだ!その、俺はこのフルダイブ型のゲームに出会えて凄く感謝してるんだ!ただ、俺はこのゲームでその、、うさばらししてたんだ、、、やばいよな、ハハハ、、、」
少しの沈黙があった、、、NPCはこんな時どう返すのか。俺はNPCに何言ってんだ。
「いえ、、、やばくないです。
人には、いろんな事情がありますから、、私にも、それはわかります。」
少し悲しそうな雰囲気だ。今回のゲームは凄すぎる。
「す、すげぇな今回のNPCは、感情豊かだ」
「ん?わたし、NPCじゃないですよ?
アルバイトで働いてます、受付嬢として」
「え?」
リサはニッコリ笑う。
「ええええええ!!?」
第九話 完
読んでいただきありがとうございます。
今回はステータス回……のつもりが、
気づけば「人と話すこと」の話になっていました。
本音は、相手が人だと分かると話せない。
でも、NPCだと思うと話せてしまう。
そんな矛盾も、この世界ならではかなと思います。
次回は、またお付き合いいただけると嬉しいです。




