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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII
第三章 王都クエスト依頼〜新たな出会い――守護者とゴブリンキングの激闘 編

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第八十四話 わずかな時間

楽しい時間はあっという間に過ぎ、別れの時。

王城関係者専用の豪華な宿舎を前に、アユが漏らした「安定」という言葉の裏にある影。

そして明かされる、花の規格外すぎるステータス。

ゲームを閉じ、現実へと戻った二人がそれぞれに想うこととは……。

「ここが、王城関係者の宿舎よ。」

敷地内に、巨大な洋館がそびえ立つ。

「でけえな。兵士の連中も、ここに部屋があるのか?」

「兵士はまた別よ。ここは、NPCをはじめ、王城の関係者や、その一族が使用する場所。」

「なら、アユはもう安定したゲームライフを送れてるのか。」


「安定……か。」

「ん?……どうした?」

「いえ、なんでもないわ。今日は助けてくれてありがとう。」

「助けたのか?その気になれば、追い払えたんじゃないのか?その、ムカ着火で。」

「ぷ。まあ、そうなんだけど、ミスしたらPKしちゃうじゃない?加減が難しいのよね!」

「なるほどな。確かにそれは難しい。納得だ。」

「そういえば、あなたも前作プレイヤーだったわね?花も、ステータス高いの?」

「いや、高いかはわからんが、5年間、ずっと攻撃力しか上げなかったからな、それを引き継ぎしたんだ。……こんな感じだ。」

花は、攻撃力の画面を見せる。

「んえ??へ?え?き、9000以上??な、何これ!……だから、あの威力だったんだ。」

「だから、加減が難しいのは、共感できる。」

「ぷ!共感にも、次元が違うけどね!あははは。」

無事に送り届けて、解散する。

去り際に、アユが花を呼び止める。

「あの、もし、また時間があるなら……」

「ん?おう、また遊びにくるよ!」

「そうね、良かったらデートしま……」

「王都の隣に森がある、そこで一緒に狩りしような!じゃ」

花は去っていった。

「……………狩りって、どんなデートよ!……ぷ。

やっぱり面白い人。」



花はヘッドギアを外す。

(アユか……なんか、どっかで会ったっけ?

なんか、見たことがあるような……。どこだ?

あんな美人、周りにいたら絶対印象に残る……芸能人?……そうだ。もう何年も前に見たような……ま、いっか。

それにしても、俺と同じ、憂さ晴らししてたとはな。

何か訳ありかもな。

無理に聞くのはやめよう。思い出させて傷つけるだけだ。)



「お帰りなさいませ、アユ様。」

「ただいま。」

アユは、洋館内の自室に戻り、セーブポイントからログアウトした。


「ふう……あ〜、今日は楽しかったなぁ……花か……なかなか現実詰んでたなぁ。わたしは未来が詰んだ。けど、花は、現在進行形で詰みっぱなしか……あれじゃ、生き地獄ね。

私が欲しかった家族。でも、得られたとしても、あんな扱いをされたら……それって、わたしの望む未来なの?

いや、そうじゃないわ。

たとえ五体満足でも、あれじゃ、生きてるのもつらい。

やり直しもできない。全てを捨てない限り………。

全てを捨てる……何て残酷な選択なの……。」


アユは広いリビングを見渡す。

「お洒落な家に住んで、何不自由ない暮らし……ある程度のものは、何でも手に入る……。けど……足りない……。

そう。

シンプルに、生きてて面白くない。

けど……今日は、本当に楽しかった……。

よし!

色々考えるのも、疲れたわ。

明日のシフトは……うん。週末まで無いわ。

明日、誘ってみましょうか!」


第八十四話 完

第八十四話、最後までお読みいただきありがとうございました!

花の攻撃力、とんでもないことになっていましたね(笑)。

そしてアユのリアルでの視点も少しずつ見えてきました。恵まれているはずの彼女がなぜ「詰んだ」と感じているのか……。

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