第七話 チュートリアル
人生は、そう簡単にやり直せない。
だが、もしやり直せる場所があるとしたら――
それは、諦めなかった者だけに用意される。
五年間の積み重ねを抱えて、
もう一つの人生へ踏み出す。
諦めたらそこで試合終了。
俺の大好きな漫画のセリフだ。
全くもってその通りだと思う。
俺はこの5年間、ひたすら耐えた。
そして、ひたすら狩りまくった。
データは大型アップデートで引き継いだ。
諦めなかったからこその、プレゼントだ。
◆
「よし、アカウント入力完了っと」
『 XIII HANA 様ですね。
長らくサービスをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
引き継ぎの方が完了いたしました。
詳細に関しては、登録後に到着する
"はじまりの都"の受付嬢へお声かけください。
では、ここからはアバター設定に入ります。
引き継ぎデータを元に、各設定を自由に調整お願いいたします。』
目の前には俺の姿があった。
前作では見た目など一切気にすることなく、すっ飛ばしていたため、そのまんま俺だった。
普通の人なら、理想の自分や架空の姿を選び、身分を隠すだろう。
憧れの姿になる人も多いはずだ。
だが、俺はそんなのどうでも良かった。
今更かっこつける歳じゃない。誰かと出逢い幸せをつかむなんてことも無い。
「なら、もうほとんどこのままでいいんじゃね?
あ、髪型だけかえてやるか。仕事してたら染めたりできねえからなあ。
よし!これでオッケー!体格とかはもういいや、面倒だ」
実はこのアバターにも、細かい設定があるらしく、視界の隅を見ると「説明」と光っていたが、面倒だったので読まずに進めた。
このゲームは、現時点では最速プレイに近く、まだ様々な裏設定やオプションなど、世に出回っていない時期だった。
そんなお楽しみも、このゲームの良いところ。
俺はそんなことも知らず、ただ、早くうさばらしがしたいと思うことと同時に、クオリティの高さから、本当に異世界へ来た感覚と、自分が生まれ変わるような、なんとも不思議なワクワクする感覚まで出てき始めていたのだった。
「さあ!ALO、どんな世界か楽しみだな!」
『では、はじまりの都へ、出発します。ALOを存分にお楽しみください』
再び、目の前に美しい景色が流れ始めた。
「うおー、すげえなあ!そして、この感覚、空飛んでる感覚だ。めっちゃリアルだなー、アニメ見てよく飛びたいって思ってたなあ、こんな感じかー、、、」
1人で興奮して独り言を言っていた。
それほど、見るものは迫力があり、惹き込まれるものがあった。
「お、いよいよ明日到着だな!」
はじまりの都に到着。
これから、更に、物語は進んでいく。
第七話 完
チュートリアル編、ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回から、いよいよ「はじまりの都」での本格的な冒険が始まります。




