第四話 ドロップと換金
※この物語はフィクションです。
ゲーム世界を舞台にしていますが、
ときどき現実の「自立」や「依存」を思い出す描写が含まれます。
もし、
「自立って何だろう?」
と考えたことがある方に、
何か一つでも残れば嬉しいです。
皆さん、自立とはなんだと思いますか?
仕事で稼げるようになること?
一人暮らしの出来る家事スキルがあること?
金銭の把握が出来ること?
どれも正解です。
俺の妻は、母親と二人暮らし
結婚までそうして生きてきた。
そのせいか、家事は「誰かがやることであり。自分は気が向いた時だけ」が当たり前となっている。
自分がしたくないことを親がやってくれるのが当たり前、そのかわり、親の言うことを聞くのが当たり前。互いにそう思っている。
そう、それは依存関係、支配関係の出来上がり。
「してあげてるんだから、言うことを聞け」
「娘にとって必要とされたいから家事は私がやるわ」という、孤独感から娘を手放せないでいるる母親。
親離れ、子離れが出来ない象徴だ。
そんな人と結婚したらどうなるだろうか。
休みの日の朝、スマホが鳴る。
「今日はおかあさん休みだから、どうするか聞いてからね」
その一言で、その日の予定は消えた。
なんで別居なのに、プライベートまで合わせないといけないんだと、つくづく嫌気が差していた。
「いつもおかあさんによくしてもらってるから、言うことを聞くのが当たり前!だからおかあさんが休みの日、私たちとどうしたいのかを聞いてからじゃないと無理!」
なんなんだこれは、、、
これじゃ、人生を支配されてるのと同じじゃないか?
そんなことを、スライムらを蹴散らしながら思い出していた。
◆
このように、俺は過去にされた仕打ちを思い出すことが増えた。
そして、その分をこのゲーム内で発散させる日々。
最高だ。
「そーーーらそらそらそらーー!○ねーーーー!!!」
ぐげーーー!バタバタバタバタ、チャリン。
この世界では、モンスターを倒すと、経験値以外にも、お金が手に入る。
また、アイテムも多少ドロップするのだ。
「なんて良心的なシステムだ。うさばらし出来る上に、給料をもらえるなんてな、、、まあ、使い道なんてないけどな!」
ドロップアイテムもギルドの受付でお金に換金できる。
また自分が所持しているお金も、ギルドで貯金出来るのだ。
「このドロップアイテムはレアアイテムですが、換金しますか?」
NPCは機械的に言う。
アイテムにも全く興味は無かったため、何かまではみていなかった。
「じゃあ、レアアイテムは無し。それは貯金と一緒に保管しといてください。」
「かしこまりました。」
「ふう、今日もうさばらし出来たぜ。いつかこのゲーム作った人に、感謝を伝えてえなあ」
うさばらし目的のため、ゲーム内容についてはついでだ。
だから、やりながら少しずつ学んでいく。
しかし、俺にはそれもどうでもいい。
今は、思い返す理不尽さを、ただ払拭するためだけにこのゲームにもぐる。
それだけで良かったのだった。
しかし、この時の俺はまだ知らない。
この換金やレベル上げが俺の人生を動かすことに繋がろうとは、、、。
第四話 完
今回は少し重めの回でした。
このゲーム世界では、
倒した分だけ経験値が入り、
働いた分だけお金が手に入ります。
でも現実では、
努力しても報われないことや、
誰かの都合で人生が止まってしまうこともある。
だからこそ主人公は、
この世界に「救い」を感じています。
次回からは、
ゲームとしての仕組みや成長にも
少しずつ踏み込んでいく予定です。




