第三話 ステータス
現実世界での「常識」「良識」と、
異世界で数値化される「ステータス」が対比されます。
目に見えないものほど、
人は簡単に人を傷つける――
そんなテーマを、軽いノリで書いています。
妻の親戚たちの集まり。
俺は大嫌いだった。
ジャイアンな叔父、その相手はいつも俺。
妻も叔父の妹である義理母も、俺を置いて他の親戚のところへ行って楽しそうにしている。
皆さん
人それぞれ、他人への配慮ってありますよね?
それは常識?良識?
俺の良識は、妻とは違っていた。
パートナーにとってはアウェイ。慣れないところへ連れていくのであれば、そもそも親戚で一番やっかいな奴の相手など、させたりしない。
ましてや、中間役は妻や義理母がすべきだと思うが、、、。
それについても妻に話した。俺にはキツイと。
せめて間を取り持ってくれと。
すると
「じゃあ、自分でキツイですって言ったら?わたしは間を取り持つのは面倒だから嫌です。」
だと?
皆さんは、良識ってなんだと思いますか?
そんなことをふとゴブリンをしばきながら思い出していた。
♦︎
ピコン!タタタタ、タッタ、ターン!
軽快音が鳴り響く。チュートリアルによると聞こえているのは俺にだけとのこと。
「ん?なんだ今の音は??、、、お?そうか、レベルが上がったのか、、、確か、ポイントが入って、ステータスを自分で振り分けれるんだったなあ。、、、そんなの、これしかないだろ」
俺は、当然のように、あるステータスのみを上げ続ける。
「んー。他にも色々あるなあ、ま、普通はバランス良く上げなきゃ、倒せないモンスターとかも出てくるんだろうな。ま、俺には関係ねえけどな!」
そう言って、そんなのかんけーねえと歌いながらダンスをするのだった(笑)
「この世界はほんとに最高だ。文句を言ってくる奴もいない。いびきをかいて不眠にしてくる馬鹿もいない。最高だわほんと!」
ピコン!タタタタ、タッタ、ターン!
「お!またまたレベル上がったぜ!ステ振りは当然、、よし!これでもっともっと効率よくしばけるぜーー!!」
30代半ばのいい歳こいたおっさんの発言とは思えない。
だが、そんなのは関係ない
ストレスなんてみんなあるんだ!
このゲームでは、歳も、職業も、金持ちも関係ない!
ほんとうに、生まれ変わった気分だった。
第三話 完
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「良識」って、なんでしょうね。
常識? 気遣い? 思いやり?
それとも、声の大きい人の正解でしょうか。
現実では数値化されないものほど、
評価されず、守られず、
それでも「当たり前」として求められることがありますよね。
次話も、よろしければお付き合いください。




