第二百三十一話 いくか。
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幼い少年を助けるため、怪しげなお面をかぶって屋敷へ突入した花とロット!
ロットの素早い攻撃とお尋ね者を壁にめり込ませる花さんの圧巻の強さによって事件は解決し、モニター越しに見ていたジェイソンをドン引きさせて退散させました。
無事に少年とお尋ね者を回収した二人は宿屋へ移動。そこで花が一度宿屋都市へ戻って取り出してきた「衝撃のブツ」とは……!?
怒涛の展開が続く第二百三十一話、ぜひお楽しみください!
「は、花!いったい、どうやって持ってきたの!?ま、まさか盗み……」
「んなわけあるか!買ったんだよ!」
「へ?これ、購入も出来るの!?」
「いや、はじめは無料貸し出しだから、半永久的にご使用くださいって言われたんだけどな。
多分俺は、改造したくなるし、分解したくなるから、買い取らせてくれって頼んだんだ。
Aランク冒険者だから、タダでいいって言われたけど、それは運営側も損じゃねえか?って提案して、格安で売ってもらえたんだよ。
しかも、今後も購入する場合は同じ値段で買い取っていいってさ。」
「な、なんという交渉……普通ならタダでもらえると、喜んでもらうはずなのに、先のことまで考えてたんだね。」
「だってよお。これ一台タダで手に入って、二台目もってなったら、さすがに図々しくねえか?このゲームって、プレイヤーが職人やってたり、働いてたりするんだろ?
なら、なおのことよくねえと思ってな。」
(こ、この人は、お人よしというか、真面目というか……コスパ重視の私たち世代からじゃ考えられない発想だ……なんというか、昔カタギというか……花って、もしかして、わたしよりずっと歳上なのかなあ……)
「う……うう……ん……あ?こ、ここはどこだ?……って、う!なんだこれ!縛られてんぞ!……う、うわ!お前ら!」
お尋ね者は目を覚ました。
すかさず二人はお面をつける。花は取り出したものも即座に収納した。
「目覚めたようだな。」
「ひい!お、お前、かすかだが覚えてるぞ、本気出した俺を一撃で吹き飛ばしたろ?」
「大正解だ。」
「お、俺をどうするんだ、マフィアを潰すのか?」
「そんなことに全く興味はない。お前も返すつもりだ。」
「はぁ?じゃあ……何か要求するものがあるってことだな?情報か?金か?」
「まあ、情報だな。」
「ま、マフィアのことはいっさい言わねえぞ!」
「いや、マフィアのことはどうでもいい、好きにやってりゃいいさ。手を出して来たら捻り潰すだけだからな。」
ビク!
「じ、じゃあ……」
「俺が知りたいのは、このエリア5についてだ。
なんでこんなに治安が悪い。」
「………合ってるかはわからねえが、このエリア5には、強い奴が居ねえのさ。異世界人もだが、中央でやっていけねえ奴が、ここである程度幅を利かすことができてしまう。
だから、どんどんレベルが下がるのさ。」
「まあ、予想通りだな。で?他には?」
「ほ、他には……物流も、売れるものもねえ。」
「でも、お店は出てるぞ?」
「そ、それは、中央に出稼ぎに行ってる連中から、売れ残りや、出荷できなかったものを横流ししてもらってるからだ。後は……」
「後は?」
「だ、ダンジョン都市から往復できる奴らに、ダンジョンのアイテムを譲ってもらっている。」
「ビンゴ!」
「へ?ビンゴ?」
「そして、そのアイテムは、お前たちが牛耳っている、そうだな?」
ギク!
「そ、それは知らねえ!知らねえぞ!」
「いや、いいんだよ、予想通りだから、俺は別にお前たちの秩序を成敗したいわけじゃない。俺たちは、ダンジョン都市に行きたいんだ!
連れていけとは言わん、自力で行く、だからよお、ダンジョン都市までの行き方だけ教えてくれねえか?」
「へ?……そ、そんなことでいいのか?」
「ああ!それでいい!それさえわかればもうお前に用はない。捕まらねえなら、これからもお尋ね者を続けるといいさ。」
「ダンジョン都市までの行き方だろ?……それ。受け取りな。」
ポン!
お尋ね者は、自分のステータス画面から、地図を取り出した。NPCもプレイヤーと同様に、自分たちのステータスを開くことができる。それについては生まれた時からできるため、なんの違和感もないらしい。
「え?これ、くれるのか?」
「ああ、やるよ。正直、俺がぶちのめされた時点で、上は俺をお払い箱にするさ。戻っても居場所はねえよ。」
「じゃあお前、これからどうするんだ?」
「………さあ、どうするかねえ。いっそのこと、捕まるのもいいかもな。捕まれば、マフィアとも完全に縁が切れる。」
「お前、家族は?」
「…………血の繋がった家族は居ねえ。孤児だからな。このエリア5には孤児院がある。そこで育ったのさ。」
「まさかお前、お尋ね者になったのって……孤児院に金を流すため、とか言うなよ?」
「な、なんでわかったんだ!?」
花は呆れた顔になり、上を向いて片手で顔を隠した。
(なんってわかりやすい設定なんだ!ありがちなエピソードじゃないか!)
その様子をロットも半笑いで見ていた。
(ま、ありがちなエピソードだよね。笑いたくなる気持ちもわかるよ!)
「じゃあ、お前、一旦捕まれ。んで、俺に雇われてくれねえか?」
「はあ?捕まって、雇われる?」
「う……こ、ここは?」
少年が目を覚ました。
「あ!お尋ね者!へ?つ、捕まってる!?あ!僕もだ!」
「お、目が覚めたみたいだね。なんとなく状況はわかる?」
「ひ!お、お面!?」
「ロット、もうお面は外そう。こいつもマフィアには戻らねえって言ってるし。」
「お前らそんな顔してたのか。こっちの姉ちゃんは若えな、かなりの別嬪さんだ。お前は……普通だな、パッとしねえ、冴えねえ顔だな。」
「何か言ったか?」
ビク!
「ま、待て!もっと強面な面してんのかなと思っただけだ!!い、威圧を切ってくれ!」
(ぜってぇ嘘だ!わかってんよ!冴えねえ顔ってことはな!!)
「まあまあ花!この人、悪い人じゃなさそうだから、許してあげてよー!」
「ロット、褒められて浮かれてる場合か、こいつはマフィアだったんだぞ?」
「あ、はい、浮かれてました。その通りでーす。」
(すぐ見破られてるー!)
「お姉ちゃんたち、僕を助けてくれたの?」
「そうだよ。あそこのお兄さんと一緒にね。」
「お、お兄ちゃん?あ、ありがとう。」
「…………お、おう。」
(疑問系かよ。こいつ、なかなか鋭いな。お兄ちゃんって歳じゃねえからなあ俺は。てか、うちの子と同じくらいじゃねえか。妙に親近感が湧くな。)
花は、目を覚ました少年にも事情を話し、今話していたところまで説明した。
「お、おじさん、ごめんなさい。僕、あいつらにおじさんを捕まえてこいって言われて……」
「いいんだ、最近の異世界人は悪さする奴らが多いからな。俺の方こそ、痛い思いさせて悪かった。負けるわけにはいかなかったんだ。お前、なかなか強いからな、手加減できなかった。あと、おれはおじさんじゃない。歳は23だ。」
「あ、ご、ごめんなさい、お兄さん。」
花は呆れ顔になる。
(この子から見たらてめえもおじさんだっつーの。ま、おれが言える口じゃねえけど。)
「あの、さっきぼんやりと聞こえたんだけど、ダンジョン都市に行きたいの?僕、ダンジョン都市なら案内できるよ?」
「ダニィ!?本当か!?」
「う、うん。僕は、ダンジョン都市から来たんだ。だから、帰れるなら、案内できるよ。」
「よし、じゃあ、案内を頼む。良かったよ、地図だけじゃまだ不安だったからな。」
ロットは少年を解放した。
「さあ、行くとするか。」
花、ロット、少年は立ち上がる。
「ちょーっと待ったーーー!!!」
第二百三十一話 完
第二百三十一話を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
花さんが宿屋都市から持ち出してきたブツの正体は、なんと購入した「車両・乗り物」関係のアイテム!
タダでもらえる権限がありながら「運営も損をするし、二台目をねだるのも図々しい」と格安で買い取る花さんの筋の通った誠実さに、ロットも「昔カタギなのかな……?」と感心しきりでしたね。
目覚めたお尋ね者も、孤児院にお金を流すためにマフィアの手下をやっていたという王道すぎる設定が発覚! 「冴えねえ顔」と言われて地味にショックを受ける花さんや、「お兄ちゃん?」と疑問形で呼ばれる場面など、コミカルで温かいやり取りが満載でした。
さらに目を覚ました少年がなんと「ダンジョン都市からの出身者」であることが判明し、最強のガイドを獲得!
いざ出発!という最高のタイミングで響き渡った「ちょーっと待ったーーー!!!」という大声の主とは一体……!?
「花さんの真面目で誠実な大人の考え方がカッコいい!」「お尋ね者の設定がベタすぎて笑ったw」「『冴えねえ顔』にショックを受ける花さんが可愛い」「少年がダンジョン都市出身とは心強い!」「ラストの待ったをかけたのは誰!?」など、たくさんの熱い感想をお待ちしております!
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出発直前に現れた声の主とは一体誰なのか!? そして二人は無事に砂漠を渡り切ることができるのか――!?
気になる第二百三十二話も、どうぞお楽しみに!




