第二百二十三話 フリープレイヤー
いつも『Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜』を応援いただき、本当にありがとうございます!
謎めいたターミナル受付嬢からの情報共有、そしてダイスリー王国への途中で耳にした「1億ギルの妖精族捕獲クエスト」という不穏な話。そこへ突如響き渡った謎の物音に緊迫感が走って――!?
音の正体は、大群で押し寄せたゴブリンキング!
危機に瀕していたソロプレイヤーの少女「ロット」を前に、花は一体どう動くのか!?
そして、強さと実力こそがすべてとされるダイスリー王国への道中で明かされる、花の常識外れなステータスとは――!?
注目の第二百二十三話、ぜひお楽しみください!
「誰だ!誰かそこにいるのか!?」
(げ!俺、音立ててねえぞ!?)
ギギャー!!
ゴブリンキングの群れが現れた。
「う、うわあーー!!ゴブリンのでかいやつ!?」
「は、初めて見るぞ!しかも、こんな数どうするんだー!」
「こっちも大人数なんだ!いくぞ!」
ゴブリンキングの攻撃に手も足も出ない一味。
バシューーン!
「うわあー!!」
一人、また一人とプレイヤーは消えていく。
花は木の影から高い位置へ飛んで移動した。
(やっぱり、ゴブリンキングって強えんだな。お?あとは数人のおっさんと、あの女の子一人だ。)
ギギャー!!
スカ!
ゴブリンキングの攻撃は空を切る。
ザシュ!ズバババ!!
ギギャー!
またゴブリンキングの攻撃が空振る。
ズバババ!!ズバン!!
バシューーン!
驚くほど素早い剣技。ゴブリンキングを一体撃破する。
(なんか、あの攻撃見たことあるような……ああ、コロッセオの時のやつらとおんなじような攻撃だなあ。しかし、あの子だけはなかなかやるなあ。)
「うわあーー!!」
バシューーン!!
また一人、そしてもう一人もやられた。
ザシュ!!
バシューーン!!
そうしているうちに、もう一匹のゴブリンキングも撃破して、女の子一人になった。
複数のゴブリンキングに囲まれる。
「く、ここまでか……」
(あかん、ありゃさすがに無理だろ。行くか。)
ザシュ!ズバババ!!
バシューーン!バシュ、バシュ、バシューーン!!
「え!?」
花はゴブリンキングを一掃して着地する。
ジャキ……
女の子は花に向かって構えた。
「あ、その……驚かせてすまない……ただの通りすがりだから気にしないで……では。」
花はその場を立ち去ろうとする。
「待って!!」
花は振り向き、女の子を見た。
しばらく沈黙する。
「た、助けていただき、ありがとうございます。」
「いや、いいよ、本当にたまたまこの辺りに居ただけだから。人が来たから隠れたんだ。」
またしばらく沈黙が続く。
「あの……お名前を聞いてもいいでしょうか?」
「ん?……俺は花。君は?」
「わたしはロットといいます。フリーのソロプレイヤーです。」
「ロットか、よろしく。ソロプレイヤーか、大変だな。敬語は大丈夫だから。」
「え?は、はい、わかりました。あの……花、もしよければ、この森を抜けるのを手伝って欲しいんだけど……お願いできるかな?一人じゃさすがに無理がある……」
「いいよ。どこへ抜けるんだ?」
「えっと……ダイスリー方面です。花は、違うところから来たの?」
「俺は、ダイワン方面から来たんだ。」
「そうなんだ……もしかして、日本人?」
「おう、そうだけど……君は日本語上手だけど、違うの?」
「わたしも日本人。このゲームはオート変換があるから、誰がどこの国の人かわからないの。でも、この大陸へのルートで、ある程度絞れるから、もしかしたらと思って……」
「あ……オート変換って言ってたなあ。すまない、ゲームのルールとか疎くて。とりあえず、ダイスリー方面へ案内してくれないか?ちょうどそっちへ行こうと思ってたんだ。」
花はロットへついていく。
進みながらいくつか質問した。
「なあロット、ダイスリー王国は、日本人以外のプレイヤーも多いのか?ってか、ロットは日本人って言ってたから、もちろんプレイヤーだよな?」
「うん、わたしもプレイヤー。そうだね、ダイスリーは海外圏が多いかな。世界中のプレイヤーが集まってるイメージ。みんなガツガツしてるから、ゲーム好きにはいいかも。」
「ガツガツねえ……俺はゆるりと楽しみたい派だから、合わねえかもなあ……」
「え?あんなに強いのに?」
「強くねえよ……たまたまだ。」
「?」
しばらくすると、またゴブリンキングの群れに遭遇する。
「この森は、ゴブリンキングのたまり場なのか?」
「出現率は確かに高い。これじゃあ、並のプレイヤーは近づけない。」
「ふーん……よっ!」
ザシュシュシュシュ!!
バシューーン!
三体のゴブリンキングをあっさり葬り去る。
ロットはポカンとして口を開けている。
「い、一撃……あの硬くてHPの高いゴブリンキングを……」
「ん?なんか変か?」
「わ、わたしも攻撃力には自信がある。でも、花の攻撃力は異常……わたしは、前作から引き継ぎしたのに。」
「俺も引き継ぎしたんだ。だからじゃねえか?」
(だとしても、わたしをこんなに上回るなんて……よほど毎日ログインしているのか、それとも……)
「いやかもしれないが、もし大丈夫なら、ステータスを……その……」
「ん?ああ、いいよ、確認してみてくれ、俺は細かいことはよくわからん。」
ロットは花のステータス画面を恐る恐る見る。
「う、うわあ!」
ロットは腰を抜かした。
「こ、攻撃力が……9000を超えてる……そんなバカな……わたしでも、1600程度なのに。」
「1600?おお、それってあれだろ?前作のトップギルドの攻撃力の指標だろ?ロット、すげえんだな!」
ビク!
「あ、あくまで指標だと思う……そう、それは指標。」
「けど、そいつらに匹敵するなんて、すげえな。」
「いやいや、花はそれを何倍も超えてるんだけど……どうやって、このステータスを手に入れたの?」
「ん?ただひたすら攻撃力に全振りしてただけだよ。五年間くらいかなー。」
「こ、攻撃力だけに全振り!?……でも、それなら納得がいったかも。他のステータスを無視すれば、確かに6000くらいはいけそうだから……でも、それじゃあ、新しい敵に勝てないんじゃ……」
花は、ゲームをしていた理由を簡単に説明した。
「憂さ晴らしで、5年間?同じところで?……」
「笑いたきゃ笑え、でも、俺にとってはいい憂さ晴らしだったんだ。そのおかげでこうしてかろうじて元気にゲームできてるんだ。」
(かろうじて……か。この人も、色々抱えているんだ。)
「花の戦闘力なら、ダイスリー王国には向いているかもしれない。強さこそが全てだから。」
「俺は目立つつもりはない。そういうのは勘弁してくれ。ただ、どんな国か、見てみたいだけなんだ。」
「わかった。じゃあ、とりあえず、冒険者ギルドへ行って、この国の冒険者の証をもらわないとね。そうすることで、この国の民として無条件で認められるから。」
「わかった、書類にサインするだけだろ?簡単だ。」
「あ、ごめん花、よその国はどうか知らないけど、ダイスリー王国は、冒険者になるために試験があるの。」
「試験?なんかめんどくさそうだな。」
「そうなんだ。ダイスリー王国は税金を納める制度がある。冒険者は狩ってきた報酬の一部をギルドへ渡す。冒険者でないものは、別の方法で納める必要があるの。」
「もしかして、冒険者だらけってことか?」
「うん。その方が手っ取り早いから、9割は冒険者。だから、平均して戦闘力は高い国なの。そして、認められたら、国から資金援助されて、良い武具やアイテムが王様からもらえるの。シンプルだけど、ゲーマーからすると素晴らしい国よね。」
「ふーん……出世に興味はないが、アイテムとかは気になるな。んで、試験ってのはなんだ?」
そうこうしていると、森を抜けて開けた場所に出た。崖が広がり、花たちは高い場所にいた。目の前を見下ろすと、王都の景色が広がっていた。
「おお、ここがダイスリー王国。」
花は王国を見下ろしていた。
「とりあえず、安全なところには出た。またどこかでな。」
花はその場を去ろうと、崖沿いに坂を下っていく。
「あ、あの!」
花は少し坂を下りた位置から振り向き、ロットを見上げる。
「も、もし良かったら、冒険者ギルドまで、案内しましょうか?お礼に。」
「…………いいのか?」
「も、もちろん!わたしでよければ!」
花は、ロットを見上げながら答えた。
「何から何まで、色々ありがとう。」
(何から何まで……?どういうこと?助けてもらったのはわたしなのに……)
ロットは何のことかわからないが、花をよく見ると、自分の顔ではなく、ロットの足元あたりを見ているように見えた。
クル。
花は急に背中を向けて、坂を降りていく。
(ま、ま、まさか!!)
ガバ!!
ロットはスカートを両手で隠し、顔は赤面した。
(ま、まさか見えていたの!?恥ずかしいー!!)
「花?ちなみに、な、何から何までとは?」
「……………ふ、気にするな。とにかくありがとう。さあ、案内してくれ。」
(完全にそうじゃーーん!?うう……油断してた……まさか見える位置だったなんて……けど、呼び止めたのはわたしの方か……怒れないうえに、恥ずかしさだけ残る!)
花はクールに坂を歩いていく。
(こ、この人全然動揺してない。わたしのパンツ見たのに平然と……いや、花のせいじゃない、見たとは限らないし、わたしのミス、そう、わたしのケアレスミスよ!)
(やっべーー!!見えたのバレたかもしれん!!つい、色々ありがとうとか言っちまったー!!リサじゃねえんだから、気をつけねえとー!!)
お互い反省しながら坂を下るのだった。
第二百二十三話 完
第二百二十三話を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
ゴブリンキングを一瞬で葬り去る圧巻の戦闘、ソロプレイヤーの少女「ロット」との出会い、攻撃力9000超えのステータス開示、ダイスリー王国の実力主義と税金制度、そして……ラストの「坂道で見えちゃった事件」での爆笑の心理戦! 爽快感とコミカルさが完璧に詰まった大満足のエピソードでしたね!
前作からのトップギルド級(攻撃力1600)の実力を持つロットですら、花のステータス「9000オーバー」を見た瞬間には腰を抜かしてしまう始末(笑)。「5年間同じ場所で攻撃力全振り」という狂気(?)の鍛錬に引かれつつも、花の陰のある優しさを察するロットの描写がとても良かったです。
そして、強さと実力こそが正義の「ダイスリー王国」。冒険者試験や税金制度、王からのアイテム援助など、一見すれば魅力的なゲーム環境ですが、どこか裏がありそうな気配もプンプン漂っています。
そして何よりラスト! 下から見上げる位置関係でうっかり「何から何までありがとう」と言ってしまった花さん!
心の中では「やっべーー!見えたのバレたかもしれん!」とパニックになりながらも、表面上はクールを装う姿と、赤面しながら「私のケアレスミスよ!」と納得させようとするロットの対比が最高に笑えました!
「ステータス9000はもはや災害レベルw」「ロットちゃん、トッププレイヤーレベルなのに花さんが異常すぎる」「ダイスリー王国の実力主義、絶対裏があるやつだ」「ラストの心の叫びのギャップで爆笑したw」「クールぶってる花さん可愛すぎる」など、たくさんの熱い感想をお待ちしております!
皆様からの温かい**【コメント】、作品を見逃さないための【ブックマーク登録】、および【ポイント評価】や【コンテスト】**への応援が、hanaXIII の執筆活動を支える何よりの原動力になります。今後とも力強い応援をどうぞよろしくお願いいたします!
ーーー
【別作品のお知らせ】
もう一つの作品『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機に人類の切り札として無双するー』も大好評更新中です!
『Another Life』のコミカルさと重厚な世界観とは一味違う、落ちこぼれ主人公が圧倒的な魂の力で宇宙規模の脅威を薙ぎ払う王道爽快SFバトルファンタジー! 熱狂のバトルロイヤルをぜひチェックしてみてください!
ーーー
ロットの案内で向かうダイスリー王国の冒険者ギルド。そこで花を待つ「試験」とは一体――!?
気になる第二百二十四話も、どうぞお楽しみに!




