第二百十八話 フェアリーランド
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水系上位の巨蛇をパンチの反動台にしてワープ結界へ飛び込んだ花とミント。辿り着いた先には、巨大な大樹を中心とした美しく幻想的な都市が広がっていました!
今回二人が足を踏み入れるのは、妖精族とエルフ族が暮らす隠れ里「フェアリーランド」。
一見エロジジイにしか見えなかった老妖精トルの驚くべき正体や、妖精王オベロンとの出会い、そして山頂の国に隠された切実な悩みとは――!?
注目の第二百十八話、ぜひお楽しみください!
「さあ、ついてくるがいい」
老妖精は二人の前を飛んでいく。
しばらく歩くと、巨大な門があり、門番が立っていた。
エルフの姿をした青年。
「老師様、おかえりなさいませ。この方々は?」
「ふむ。今日もご苦労。こやつらは、人間と、妖精族の子じゃ。」
「こ、この方から、禍々しい圧を感じます。」
「あ、すまねえ。」
花は威圧をオフに切り替えた。
(これ、いちいちオフにするの面倒だなあ。自分のメンタルで勝手にオンになるし……)
「お前には圧が強かったみたいじゃな、ほっほっほ。」
「老師様たちが本気になった時と同じくらいの圧でしょうか?」
「ほ?だとしたら、とてつもないわい、ほっほっほ!」
(このジジイは尊敬されてんのか?そんなにすげえじいさんなのか?)
門をくぐり、都市が広がる。
エルフ族や、妖精族たち、様々な大きさの人が行き交う。羽があるもの、耳が尖っているもの。肌の色も皆違う。
どうやら、ミントは皆の注目の的のようだ。
「外から来たからでしょうか?わたしたち注目されてますね。」
「おまえさんが珍しいんじゃろう。」
「わたしですか?」
「妖精族、エルフ族は、そこまで体付きが大きくない。どちらかというと小柄だったり、華奢じゃ。ワシも通常時はこのサイズ。じゃから、そなたのように、背丈もあり、しっかりとしたスタイル。しかし、妖精族の見た目もしておるのが珍しいんじゃろう。」
「これからどこに行くんだ?」
「妖精王へ挨拶をする。失礼の無いようにな、特におまえは!」
「あ?大丈夫だ、礼儀はわきまえてる。」
大樹沿いに階段を登っていく。
どうやら、大樹の中に宮殿があり、一体化しているみたいだ。
巨大な扉の前に到着した。
ギィ……
扉が開くと、奥の高い場所に椅子へ腰掛けている人がいた。おそらく、妖精王とその王妃だろう。
「老師様、そちらの二人は?」
「この二人は、花、そして、ミントじゃ。山頂まで自力でやってきたものたちじゃ」
「花です。お会いできて光栄です。妖精王様。」
花は片膝をついてお辞儀をした。
(こんなもんでいいだろうか……)
ミントもそれにならい膝をついてお辞儀をする。
「ふむ、花にしては上出来じゃな」
(こんのクソジジイ!)
「おもてをあげてください!外界のものたち!わたしたちはそんな高貴なものではないのですから!」
?
花は老妖精をチラッと見た。すると、老妖精はニヤニヤと笑っている。
「最初が肝心じゃからのぉ!妖精王とその王妃なのじゃからな!」
「トル様……なんと意地悪な……わたしたちは皆平等な世界を目指しているのです。上下関係は作りたくありませんわ。」
(いったいどういうことだ?このジジイの方が威厳がありそうな雰囲気だぞ?)
「まあよい。そなたらの前に連れてきたのは、理由がある。この二人は、ワシから見ても、かなりの腕だ。力になると思ってな。」
「そ、それは本当ですか老師様!?」
「ああそうじゃ、あの蛇の子を拳骨で吹き飛ばしたからのお。」
妖精王は目を見開いて腰を抜かす。
「な!?あの大蛇を!?凄まじい戦闘力だ……」
「あなた……この方々に、ひとつ依頼してみてはどうかしら……」
「…………そうだな……花といったね?君たちに頼みたいことがあるんだが、聞いてくれるかい?」
「頼み?内容によりますが……」
「小僧!偉そうな口をきくんじゃない!」
(うっせぇなあ、このジジイは)
「トル様!もうよしてください!頼み事をするのは私たちなのですから!」
「そなたがいうなら仕方がないのお。」
「老師様の無礼をお許しください。実は、この国から行方不明者が二人ほど出たんです。もしよければ、下界で調査していただきたいのです。」
妖精王は冷や汗をかきながら息を飲んでいた。
「ん?いいよ?頼みってそんなことか?」
「え!?いいのですか?」
「ああ、人探しだろ?わかった。」
「こ、こんなあっさりと……えっと、ほ、報酬は……」
「ん?そんなんいらねえよ。なあミント?」
「ええ、もちろんです。困っているのでしたら、わたしたちが協力いたします、妖精王様。」
ガバ
妖精王と王妃は片膝をついて頭を下げた。
「お、おい!おぬしらなにを!」
「どうか、お願いします!あの子たちを……見つけてください!」
「あらら、頭を上げてください妖精王様、王妃様。」
「そうです。俺たちはただの冒険者です。気を使わないでください。」
(ふむ……こやつらは、いいやつらじゃのぉ。なのに、なぜさっき、花は妖精の粉を避けたんじゃ?)
◆
場所を移して、最上階の大広間で話す。
大きなテーブルを囲み、テーブル中央にはスクリーンが映し出された。
(このあたりの仕組みは、やっぱりゲームの世界だな。自然豊かな設定の中に、ゲーム要素が普通に浸透してる。)
妖精王は、行方不明の二人の顔を映し出す。
一人は男の妖精ゼフィール、もう一人は、女の妖精ルナフィリス。
話によると、初めはルナフィリスが行方不明になった。
その後で調査に向かったゼフィールが未だに戻らないというものだった。
「もしかして、この二人は二人の子供か?」
「その通りです。」
「そら心配だよな、子供が行方不明になるなんて……」
花は思い詰めた真剣な顔になる。
(ご主人様……こんな顔初めてみました。)
「わかった、この二人は見つけ次第ここに連れて帰る。全力で探すよ。」
「なんと、ありがとう!」
妖精王は、花の手を両手で握りしめた。
花はニカっと笑う。
「ああ、任せてくれ、妖精王様。」
なんとなく、子をもつものとして、花とオベロンは精神的に近かった。
「皆に君たちを紹介したい。この後、宴を開こうと思う。どうだろうか?」
花とミントは顔を見合わせる。
「是非!」
◆
フェアリーランドの中央広場で、宴が開かれた。
音楽の得意なものは演奏を、踊りが得意なものはヒラヒラと舞っていた。
「すげえ、まるでおとぎ話だ。なんて幻想的なんだ。」
花と妖精王は、二人で高台へ移動した。
「花、協力してくれてありがとう。子供達はもうずいぶん前から帰ってない……無事だといいが……我々はこの通り、表立ってあまり外には出られないんだ……」
「もしかして、妖精族って、他の種族から狙われてたりするのか?」
妖精王は目を見開いた。
「な、なぜそれを?」
「いや、何となくだ。あまり見たことねえから、出てこねえのは理由があるんじゃねえかなと思ったんだ。」
「そうなんだ……妖精族は魔法が得意……テイムしたがる召喚士、そして、軍事利用しようとするもの、他には奴隷……長寿のための実験……これまでいろんな妖精族が犠牲になった。」
(このゲームの歴史はそういう設定なんだな。ありがちだけど、本人たちにとっては深刻な悩みだな。)
花は、自分にも家族がいることを伝えた。
「何と、花は異世界人だったのか。通りで強いわけだ。」
「家族がいることはみんなには内緒なんだ。こっちでは、本当の自分でいたいから……」
「わかった……同じ、子をもつもの同士の約束だ。誰にも言わないよ。俺のことはオベロンと呼んでくれて構わない。」
「お?なんか口調が変わったか?」
「花だけには言うが、正直、王様というのは窮屈なものだ。皆の手本にならなきゃいかん。」
「そうだな。上に立つもの、そうだよな。それもわかるよ。俺も向こうではそうだな……一つ部隊を任されてる隊長みたいなもんなんだ。」
「つくづく気が合うなぁ。花、会ったその日に言うのも何だが……俺と、友達になってくれないか?」
花は驚いてオベロンを見る。
「………いいのか?まだ何も信用を得てないぞ?」
「話してみてわかる……俺たちには気配やオーラを感じ取る力がある。」
「わかった、じゃあ、友達になろう、オベロン!」
二人はこの日、対等な関係になった。
一方で、王妃とミントも仲良くなっていた。
どうも、ミントが珍しいらしい。
それについては老妖精も話していた。
花とオベロンが戻り、みんなの会話に混ざる。
老妖精の名は、トルというらしい。
はるか昔から、妖精族とともにこの一帯を守ってきたとのこと。
(へえ、このジジイ。そんな偉いやつだったのか)
「何じゃその顔は!わかりやすいやつめ!」
「ぷ。ただのエロジジイじゃなかったんだな。」
「な、なにをー!」
ゴロゴロ……
上空に雷雲が集まってくる。
「トル様!お静まりください!」
「フォッフォッフォー!こやつにはワシの強さを見せてやらねばなあ!」
「な、なんだ!あの雲は!?な、なんかやべーことになってきたぞ!」
第二百十八話 完
第二百十八話を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
大樹の中に広がる幻想都市「フェアリーランド」、自称エロジジイこと伝説の守護者「トル様」の凄まじい威厳(と威圧!)、そして子供を心配する妖精王オベロンと花の間で芽生えた男の友情! 笑いと感動が綺麗に交差する最高のエピソードでしたね!
門番や王様たちからも神のように崇められている老妖精トル。しかし花にかかれば相変わらず「ただのエロジジイ」扱い(笑)。「ぷ。ただのエロジジイじゃなかったんだな」と煽られた瞬間に本気の雷雲を集め出すトル爺さんの負けず嫌いっぷりに大爆笑でした!
一方で、行方不明になった二人がオベロンの子供だと知り、報酬も受け取らず即答で引き受ける花とミントの優しさが心に沁みます。
現実世界で部隊の隊長であり、親でもある花と、王様として振る舞う窮屈さを抱えるオベロン。「異世界人」「子を持つ父親」という秘密を共有し、立場を超えて「友達」になった二人のシーンは胸が熱くなりましたね!
他種族による乱獲や実験、奴隷化という妖精族のダークな歴史も浮き彫りになり、下界へと消えた王子・王女の捜索クエストが本格始動!
「トル爺さん本気出すと雷雲呼ぶのヤバすぎw」「花さんとオベロンの父親同士の友情が最高!」「ミントちゃんが王妃様と仲良くなってて可愛い」「下界の行方不明事件、敵国の兵士が絡んでそう……」「トル爺さんと花さんのバトル見たい!」など、今回の感想や考察をぜひメッセージでお寄せください!
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トル爺さんの雷雲パフォーマンスはどうなるのか!? そして下界へ消えた妖精の王子と王女を捜す冒険の行方は――!?
気になる次話も、どうぞお楽しみに!




