第二百十五話 ミントと二人
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召喚士の村で落ちこぼれ扱いされていた過去と向き合い、一人で立ち向かう決意を固めたユナ。そして花と二人きりで冒険に出かけたミントは、お色気ハプニングを起こしつつも、花との信頼を深めていきました。しかしラスト、ミントの姿に謎の違和感が……!?
はたしてミントの身に起きた変化とは何なのか!? そして二人で向かうダイニー大陸の新エリアで待ち受けるものとは――!?
注目の第二百十五話、ぜひお楽しみください!
「み、ミント!?お前、どうしたんだ!?」
「へ?どうなさいました、ご主人様?」
「おま……ミント、肌の色……変わってねえか?」
ミントは自分の腕を見てみる。
「あら?確かに……なんだか、最近緑色が薄くなってきたなとは思っていたのですが、この肌の色は、ご主人様たちと同じですね。」
ミントはゴブリンクイーンの為、肌は緑系。しかし、寝起きから出てくると、人間と同じ肌の色に変わっていた。
ミントは部屋に飾ってある全身鏡を見る。
「あらまあ、全身変わってます。これは進化したのでしょうか?ふふ、ご主人様とお揃いになりましたね。」
(あまりテンパってねえなあ。これは進化なのか?)
花は、ステータス画面を開き、ミントのステータスを見てみた。
「フェアリクイーン?……妖精?……ミント、妖精族だったのか?」
「へ?わたしは元々ゴブリンとして生まれましたよ?どこで、誰から生まれたかは記憶にないですが。」
「その見た目、もうゴブリンじゃなくて、エルフだな。」
「そうなんでしょうかね。ふふ、どちらでもかまいません。わたしは変わらず、ご主人様にお仕えするだけです。」
そう言って、再びミントは花の腕に絡まる。
(まあ、エルフの華奢なフォルムではないがな……グラマラスすぎる。見た目が人間寄りになったせいで、余計に絡まると恥ずかしいんだよな……)
花はあることを提案した。
「ミント、俺たちも、ダイニー大陸で憂さ晴らし……じゃなかった、狩りに行ってみるか?
この前、リサと森に行ったんだ、時間がなくてあまり探索できなかったから、どうだ?」
「はい!喜んでお供します!」
「じゃあ、ついでに、ランスとスバルにも……ん?なんだ?」
横を見ると、花の服を引っ張り、少し不服そうな顔をしているミントが見えた。
「……………午後からも、二人で行くか。」
ミントはパッと明るくなり、飛び跳ねて喜んだ。
(わかりやすー。ほんと、可愛らしいなこいつは)
◆
一方、先に旅立った三人は。
トレインターミナルでの出来事。
「え?」
「なので、無料でご乗車ください。部屋も、いつも通りご使用ください。」
「……………はい。」
三人は、いつもの部屋に通された。
「………………」
対面式のソファに三人はちょこんと座り、しばらく沈黙した。
「わたしたちって、ほんと、花に世話になってるよね。」
「そ、そうですね……ご主人様のパーティということで、使用できちゃうなんて……」
「頑張って旅してきます!的な感じで出てきたけど、ちょっと恥ずかしいわね。」
「ラピーの言う通り。わたしもそれ感じた。」
一同しばらく沈黙する。
しかし。
「ぷ!あははは!」
同時に三人は笑う。
「花に感謝して、無事に辿り着こうね!」
「そうです!わたしたちは、ご主人様の願いの通り、無事に辿り着くのが目標なんです!」
「そうです!わたしはもう騙されないように!」
「わたしは、お金を無くさないように!」
「危ない人に、絡まれないように!」
「…………………」
危なっかしい三人は、それぞれの目標を胸に、出発したのだった。
◆
数本後の便。
花たちはトレインに乗り込もうとしていた。
(ご主人様と二人、なんという至福の時でしょうか。)
終始腕に絡みつくミント。
「おい!あれ見ろ!すんげえ美人が、冴えなさそうな男にベッタリだ!」
「ほんとだ!冴えなさそうな男のやつ、羨ましいなぁ!」
「どうやったら、あんな冴えなさそうなやつにあんな美人が寄りつくんだ!?」
(悪かったな、冴えなくて!全部聞こえてんぞ!!)
そんなことはお構いなしにミントはベタベタしてくる。
(ふふん……ご主人様の良さは、あの方々にはわかりませんわ。あんなふうに言われても、相手にしない、そもそもの格が違いますわ。)
ミントは終始ご機嫌だった。
(恥ずかしいが、まあ、ミントが機嫌いいなら良かったよ。
進化か……森を抜ける時の戦闘ではこれといっていつも通りだったが、何か変わったのだろうか。
それにしても、ほんとに人間と同じになったな……)
ミントが花の視線に気がつく。
「ん?ご主人様?」
花は照れて視線を逸らす。
(いかん……可愛い。)
花はモテた経験がない為、少し恥ずかしがっていた。
(いくつになっても慣れんものは慣れんなあ……こんなこと、現実ではあり得ねえからなあ……)
ソファに並んで座る二人。まだミントはくっついている。
(こいつは……飽きねえのか?)
「ミント、これから行く森は、少しだけ敵が強い。気を抜くなよ?」
「はい!もちろんです。森は、どの地域にあるのですか?」
花は、マップを拡大してミントにも見せる。
どうやら、マップ画面は共有できるらしい。
花はマジカルカレッジと王都との間の森をざっくり説明した。
「なるほど、この未開の地が、別の国だったということでしょうか?」
「その通りだ。」
「しかも、森もほぼ一本道しかマップがないことを見ると、こっちにも、そして、こっちもまだ未開ということでしょうか?」
「その通りだ、飲み込みが早いな。」
「ご主人様たちの異世界の技術は、なんとなく理解しています。世界には、不思議なことがたくさんあるのですね。ですが、わたしは難しいことは考えません。
ご主人様につていくだけです!」
(ミント……達観してる……世界の理をどうこうじゃなくて、自分がどう生きるか……か。
勉強になるよ。)
「ありがとうミント……俺は、ミントと出会えてよかったよ。」
ミントの顔は真っ赤になる。
「なんという嬉しい言葉!わたしも、ご主人様と出会えて本当によかったです!」
花は、ミントがゲームの設定された人工知能だろうと、なかろうと、ミントはミントなんだと思うことにした。
もしかすると、プレイヤーが成長できるように設定されてるプログラムなんじゃないか。そう思うこともあるが、だからといって、それがどうしたと思うようになった。
(いいんだ……だって、どっちだろうと、俺にとっていいことしかないんだから。
ありがとうミント……)
トレインを乗り継ぎ、森の前に到着した。
ミントの顔も真剣になる。
「ご主人様はわたしがお守りします。と言いたいところですが、ご主人様の実力の前では、足を引っ張らぬように、が正解でしょうか。」
「ありがとうなミント。ミントは俺が守るからな。安心してついてこい。」
(なんと頼もしいのでしょう。本来なら、テイムされたわたしたちがお守りするのが普通なのに、盾にするどころか、お守りしてくださるなんて……。わたしは、なんと運の良いモンスターなのでしょうか。)
ドン!
二人は森へ駆け出した。
花はある程度全力で走るが、ミントはついてくる。
(やっぱり、ミントのステータスは数字通り上がってる。それに、前より動きが軽いような……)
(なんだか、前よりも身体がかるい……これが進化の効果なのでしょうか?)
二人は連携もピッタリで、次々と経験値を稼いでいく。もちろん、ドロップもしながら進んでいく。
テイムしてあるため、リンク率も高く、プレイヤーの思考をある程度受信しているため、ミントとの連携はピカイチだった。
(すげえ、俺の考えてる通り、いや、それ以上に立ち回る。これがテイムの力なのか?
これくらいパートナーとも呼吸が合えば、どんなにいい人生なんだろうか……いかん、やめろ。今、雑念をこの世界に持ち込むな。変わらんものは変わらん!)
(ご主人様?なんだか、頭の中が苦しそう。わたしがフォローしなければ!)
ミントは花の葛藤を違和感として受信しているため、何か悩んでいることは察した。
二人はあっという間に予定よりも早く国境ラインの崖に到着する。
「あれが、隣の国なんですね?とても大きい国のようです。」
「この前は夜だったが、昼間見るとすげえな。街並みが見えないくらい広がってる。」
花はステータス画面からマップを広げて、この前たどり着いた場所を説明した。
「なるほど、ここに川があるのですね?
なら、逆にこの川沿いを王都へ向かって引き返すと、どこにいくのでしょうか?」
その場所は広く、まだシークレットになっていた。
「確かに……王都との距離は結構あるな。このエリアも森か山間部っぽいから、探索してみよう。」
川沿いまで到着した。
「わお、とてつもなく幅の広い川ですね。しかも、かなりの高さ。」
「ここから落ちたらアウトだろうな。どのみち俺は泳げん。」
「もし川に落ちたら、わたしがご主人様を助けますね。」
「………そこだけはマジで頼む。」
「ふふ。承知しました。」
(まあ、いざとなれば、飛んで渡るしかないな。多分ハイジャンプで行けるだろう。)
二人は川沿いを歩く。
「やっぱり、登ってるよな?あれ見てみろ、やっぱり山になってる。」
「本当……ということは、この川を辿れば頂上まで行けるのでしょうか。」
「あ!ご主人様!川が!」
ミントの指差す方を見ると、川が二股に分かれていた。
「そういえば、トレインで森前のターミナルに到着する前に、橋を渡ったなあ……もしかして、あっちの川がその方面か……ふむふむ、なんとなく理解してきたぞ。」
花は更新されたマップを展開する。
「やっぱりそうだ。あっちの川が、王都の横を抜ける川なんだ。この山と川があれば、さっき見た国からはなかなか来れないな。」
「ご主人様、ということは、わたしたちはあそこまで飛ばなければ、山の頂上にはいけないのでは……」
花たちはちょうど二股の外側にいた。その為どのみち川を渡らなければ、上には行けなかった。
「…………たしかにな、だが、向こう側の地理が気になるな……よし、この場でハイジャンプしてのぞいてみよう。」
花は姿勢を低くして、飛び上がろうとする。
「ご主人様、わたしも見たいです!」
ミントがすかさず叫んだ。
「よし、わかった。」
花は両手を広げて、構える。そう、子供を呼ぶ時と同じように。
ミントは顔を赤くしながら喜んで駆け寄った。
ヒョイ。
花はミントをお姫様抱っこする。
「じゃあ行くぞ……それ!」
ドン!!!
花はハイジャンプして飛び上がる。
「んー……もう少し上から見てえなぁ、そらぁ!!」
ドン!!
最高到達点から、二段ジャンプをして、更に上に飛び上がる。
「ご、ご主人様!すごい高さです!」
普段動じないミントも、さすがに花にしがみついていた。
(う!ユナほど暴れたりはしないが、ミントもしがみつくと、視界が塞がる!仕方ねえけど……)
花は顔を少しずらして景色を見た。
「な、なんだこれは!?」
「これは!!と、とてつもないです!!」
二人の目には、驚愕の光景が広がっていた。
第二百十五話 完
第二百十五話を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
ミントの驚くべき人型進化(フェアリークイーン!)、照れる花と一目目を気にせずベタベタ甘えるミントの胸キュンな道中、先に出発した3人の可愛らしいやり取り、そしてラストの二段ハイジャンプで目撃した「超巨大な光景」……! 見どころが詰まったあっという間のひとときでしたね!
ミントの肌が人間と同じになり、ステータスが「ゴブリンクイーン」から「フェアリークイーン」へ!
周りから「すんげえ美人が冴えなさそうな男にベッタリだ!」と羨ましがられつつも、終始ご機嫌で花に寄り添うミントがとにかく健気でセクシーでした。
一方、一足先に出発したユナ・コリス・ラピーの3人も、花のパーティVIP特権(トレインの無料VIP部屋)に恐縮しつつ、「騙されない」「お金を無くさない」「危ない人に絡まれない」と危なっかしい誓いを立てる姿にクスッとさせられました。
そしてラスト、広大な川で遮られた山頂の奥を確かめるため、ミントをお姫様抱っこしたまま二段ハイジャンプを放った花!
上空から視線を伸ばした二人の目に飛び込んできた、言葉を失うほどの「驚愕の光景」とは一体……!?
「ミントちゃん進化して人間肌になるの最高!」「冴えない男呼ばわりにキレる花さん笑うw」「お姫様抱っこジャンプは反則級にかっこいい!」「3人組の道中も無事でいてほしい!」「上空から見えた光景ってなに!?気になる!」など、今回の感想や考察をぜひメッセージでお寄せください!
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二人が目撃した驚愕の光景とは何なのか!? 未開の地に眠る巨大な秘密とは……!?
気になる次話も、どうぞお楽しみに!




