第二百七話 マサムネの技
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前話(第206話)では、本気を解放した絶対王者・マサムネの神速の突きに対し、ボロボロになりながらも喰らいつくランスロットの死闘が描かれました。自身のスタイルを捨て、花とあらかじめ想定していた「大剣の面を盾にして突っ込む」という捨て身の戦術で見事に王者の脇腹へ強烈な一撃を叩き込んだランス。しかし、王者の壁はどこまでも高く、マサムネはこれまでにない低い構えから未知なる大技を繰り出そうと牙を研ぎ――。
ググググ………
ドン!!!!!!!
ギュイーーン!!
マサムネははるか上空に飛んだ。
一瞬で視界から消えて、上空にも姿が見えない。
(こ、これは、まさか、よくゲームとかで見る、あの技か!?)
「ぐ!やっぱり竜騎士だったか……そうだよな、やはり運営もこの技をチョイスしていたのか……」
キラ!!……シュン!!!!
上空から矛がとてつもない早さで降ってきた。
「わ!!危ない!!」
ランスは間一髪で回避してバックステップした。
ズドーーン!!!!
矛は地面に突き刺さるが、地面は陥没して岩盤が周囲に弾け飛んだ。
ドガ!ドガガガ!!
「うわあ!!」
衝撃波と岩盤に巻き込まれて、ランスは吹き飛んだ。
ズザザザザ。
ストン。
マサムネは静かに降りてきた。
「この技は、場所に制限がある。観客には見えないシールドが施されていて、ダメージは無い。だからこそ、放ったのだ。
最も、いちプレイヤーに放つほどの技では無い。大型モンスターを狩る時に身につけた技だ。」
「な、なぜ、そんな技を僕に?」
「それに値する実力だということだ。」
ランスは立ち上がり、静かに構えた。
(くそ、でも最後まで諦めるものか。もう次に何かもらえば負ける。なら……腹を括るぞ……花の動きを思い出せ……僕にもできるはずだ……自分を、信じろ!!)
ランスは目を閉じて集中した。
シュイン!
ランスの身体と周囲が一瞬光る。
「む!?これは"集中"だな……!?戦闘中に稀に発揮できるという設定。やはり、大したものだ。集中は全てのステータスが一時的に上昇する。ここからは心してかからねば、こちらがやられかねん。」
特等席のスバルたちは驚いていた。
「ランス殿が集中を発動した!!」
「ん?集中?」
スバルは皆に簡単に説明した。
「あいつ、やるじゃねえか。こりゃわからんぞ。」
「ランスーー!!頑張れーーー!!」
リサもユナも、そして、ミントやコリスも皆大声で応援していた。
(いけランス、お前の崖っぷちの力を見せてやれ!)
ドン!!
ランスは前方に飛んだ。
「む!早い!」
マサムネはカウンターで矛を振り上げる。もちろん、重心移動に無駄のない動き。
スカ!
ランスは身体を捻って回し、避けながら剣を振り抜く。
クル!ブォン!!
ガキン!!
マサムネはかろうじて受け止める。
ランスはクリティカルガード判定は無視して、攻撃のみに集中していた。
バン!!
両者が後方へバックステップ。
そして、またランスが一瞬で距離を詰めた。
シュパパ!!
マサムネは流麗な攻撃を繰り出す。
スカ!
ガキン!!ガギギン!!
ランスは避けながら、マサムネの攻撃を矛の棒の部分を弾いて掻い潜る。貫通判定は無し。
ブォン!!
ランスは縦に振り抜く。
スカ!!
マサムネは後方にのけぞるしかなくバックステップ。間合いに入られているため、長い矛ではカウンターを打てない。
ズガン!!
ランスの攻撃は空を切り地面にめり込んだ。
すかさず距離を詰める。
と、同時にマサムネはカウンターで華麗な突きを繰り出した。
ランスの顔面に直撃。
「あー!ランスーー!!」
グルン!!
ランスはまた身体を回転させてその突きを避ける。
(な!?これは今までで一番の突き、ひょっとこお面のプレイヤーに放った突きと同等だぞ!?)
勢いよく避けたため、ランスはマサムネを通り過ぎる。
そこで、ランスは最短で後ろ蹴りを放つ。
ドガン!!
「うぐ!これは、あの時の彼と同じ攻撃!」
花の威力はないにしろ、前方に少し飛ばされて手をついた。
ランスは振り向いてすかさずマサムネに向かっていく。
「うおおお!!」
ブン!シュパパパパパ!!
大剣から流れるような攻撃。
まさに、花が狩りの時に見せている動きだった。
「花殿!!あの剣捌きは!」
「あの動き!花だ!」
「花さんと同じだ!」
(やるじゃねえか!)
ドガン!ガギン!ガギギン!!
「なんという攻撃の雨。早すぎてカウンターどころじゃあない!捌かなければこちらがダメージを負う!だが、私も負けるわけにはいかん!」
スカ!!
ランスを通り過ぎて、横回転で振り向きざまに矛を振り抜いた。
(仕留めた!!)
ランスは後ろを見ないまま、大剣を脇腹付近に構えてガードした。
ガギン!!
クリティカルガードし、マサムネの矛は弾かれる。
「おお!!ランス殿!!すごい!!」
「いけ!次が最後の攻撃だぞ!」
そこからランスも回転してマサムネに斬りかかる。
「うおおお!!」
マサムネも、弾かれざまに、身体を回転させて距離をつめる。
ブォン!!!
二人の回転斬りが交錯する。
ガギギン!!!!
カ!!
一瞬火花と閃光が会場に放たれた。
次の瞬間、二人は剣を振り抜き衝突した一瞬ですれ違い、背中を向けたまま動かない。
「見事だった。ランスロットよ。」
マサムネの頭の兜がポリゴン状の塵となる。
「ま、マサムネの頭が塵に!花殿!ランス殿が勝っ……」
バシューーン!!
次の瞬間、ランスロットの胴体が真っ二つに裂け、そこからポリゴン状の塵が吹き出し始めた。
「あ!!ランスの身体が!」
バシューーン!!
『勝者!!マサムネ選手ーー!!!!』
ワーーーーーーーー!!!!
「ああ……ランス兄様、負けちゃった!」
コリスは涙ぐんでいる。
花は優しくコリスの頭を撫でた。
「ああ、負けたな。だが、あいつはよくやった。あんな化け物相手に、一歩も引いてなかったぞ。そうだろみんな?」
皆、笑顔で頷いた。
「その通り!ランス殿は全力を尽くした!」
「みんな!控え室に行おう!!ランスを褒めてあげなきゃ!」
リサは特等席を飛び出して、ランスのところへ向かった。
スバルやミント、コリスも後を追う。
「え?それはちょっと空気読まないといけねえんじゃ……」
「花!何やってるの!?行くよ!?」
ユナからかつてない大声で呼ばれる。
「は、はい!行きます!!」
花はランスの心境を真っ先に汲んだが、皆がそれを突破していっていることに追いついていなかった。
(だ、大丈夫かよ!今声かけたらさすがにあいつでも……)
皆が移動する最中、防衛セレモニーが始まっていた。
マサムネは初防衛のトロフィーを手にして、マイクパフォーマンスを済ませ、足早に会場を出ていた。
マサムネは静かに覇者専用控え室へ歩いていた。
(ランスロット……楽しみなプレイヤーだ。おそらくまだ若いだろう……あのような子らが、これからこの国を支えていくんだ。
そして……その背後にいる彼……彼の存在があまりに大きい。
育成する力、チームを束ねる人柄……あのひょっとこお面と同一人物ならば……いや、もう同一人物だろう。
己の実力に過信せず、謙虚に……人を引っ張る……ふふ……まるで、あなたのようじゃないですか……マサユキさん……)
マサムネはふと昔を思い出しながら、去っていった。
第二百七話 完
第二百七話を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
「統一戦」ここに決着!! 激闘の末に幕を閉じたランスとマサムネの戦い、そしてその余韻の中に散りばめられたあまりにも深い伏線に、全身の鳥肌が止まらない最高の神回でしたね!
絶体絶命の窮地から「集中」を発動させ、花の動きそのものの流麗な大剣捌きと後ろ蹴りで絶対王者を限界まで追い詰めたランスの勇姿には、本当に涙が出そうになりました。最後にすれ違った瞬間、マサムネの兜を叩き割ったあの執念は、間違いなくこれまでの特訓の成果そのものです!
敗北したランスを真っ先に笑顔で讃えにいこうとするリサたちの温かさ、そして空気を感じて戸惑う花を引っ張るユナの力強さなど、花が感じた「家族の形」がここに見事に描かれています。そして何より、マサムネの口から漏れた「マサユキさん」という名前――。花が戦いの前に思い出した祖父の教えと重なり、二人の現実での繋がりを予感させるラストの演出には痺れました!
「ランスの怒涛のラッシュと後ろ蹴りに大興奮した!」「マサムネの言う『マサユキさん』って一体誰!?続きが気になりすぎる!」など、今回の結末への熱い感想や、激闘を終えたランスへの労いの言葉をぜひメッセージで届けていただけますと嬉しいです!
皆様からいただく応援の**【コメント】、作品を見逃さないための【ブックマーク登録】、および【ポイント評価】や【コンテスト】**への応援が、激戦を終えたランスを迎え入れる仲間たちの絆、そしてマサムネの言葉によって動き出す花の過去と現実での因縁をさらに熱く盛り上げる最大の力になります。ぜひ、hanaXIII への変わらぬ力強い応援をよろしくお願いいたします!
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