第百九十四話 脱出
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前話では、新エリアの高級クラブへと潜入したランスとコリスが、悪質な騙し契約で囚われていた親友・ラピーと奇跡の再会を果たしました。悪徳スタッフたちのさらなる卑劣な企みを阻止するため、ランスはついに大剣を抜きます!
ランスは一瞬で全てのスタッフをキルするギリギリのところで虫の息にした。
コリスが捕縛して、部屋の隅にスタッフをまとめて転がす。
「ぐ、なんて強さだ。」
「ラピー!大丈夫!?」
コリスはラピーの手のロープを解く。
スタッフの一人を解放して、解約のサインを済ませ、また捕縛する。
「裏でこんなことしてたなんてね。後で運営に報告しておこう。」
!?
「そ、それだけは!!」
(ひ、ヒロシさんになにされるかわからん!)
その時、入り口で気配を感じる。
ランスとコリスは振り向いた。
「ほう……こいつらを、君一人でやったのか?」
「き、君は……!?ま、マサムネ。」
「マサムネ?」
「そうだよコリス。前回のコロッセオ大会の覇者だ。」
「え!?この小さな少年が!?」
「コリス、人は見た目じゃない。この人はプレイヤーだよ。」
「あ!異世界人ですか!なら納得です!」
「ほう、私を知っているのか。そのお面でどなたかはわからないが、実力者なのは間違い間違い。なぜなら、君からは隙を感じない。
そして……君は隙だらけだが、只者ではなさそうだな。なにか……背後にとてつもない存在を感じる。」
(テイムのことまでわかるのか?背後って……きっと花のことだ)
「さしずめ、こいつらがこの獣人のお嬢さんに対して、よからぬことを企てていたんだろう?」
「ええそうです。契約通りに100万差し出したが、更に契約更新をさせようとしていた。
だから阻止した。」
「やはりか……オーナーの経営方針、わたしは好きではないが、私も契約をしている以上、侵入者を見過ごせない。」
!?
ランスは大剣を構え直す。
「ほう、さらに隙が無くなった。
ふふ、すまない。脅しのつもりで言ったわけではない。
どうだね?PvP申請をして、数太刀だけ付き合ってくれないか?君に興味がある。」
(次の対戦相手……よし、少しだけなら……)
「わかった。相手になります。」
二人はPvPを承諾した。
「大丈夫、よからぬことをしていたのはこちら側だ。無事に返すことは約束しよう。」
(この口調、対応、とても子供とは思えない。
きっと中身は僕よりずっと大人だ。)
「随分と余裕ですね。」
「それは失礼。でも、今まで戦った中では、なかなかの緊張感だ。」
(マサムネ……どれほどの実力か、この目で確かめよう。よし!いくぞ!)
ドン!
ランスから仕掛けた。
ガキン!!
マサムネは矛で迎え撃つ。
「や、やっちまってください、マサムネさん!」
ギロ。
「むしけらは、そこでおとなしく黙っていろ。」
ビク!
「ひ!す、すみません!」
ガキン!!
二人の剣が弾かれる。
グルグル……シュパパ!!
矛を素早く振り回して、連突きを繰り出す。
ガガン!!
「ほう、クリティカルガード。」
(ダメだ!弾き返せない!やはりこの人……)
「なら、これはどうかな?」
グル、ブォン!
ガキン!!
(く!クリティカルガードで精一杯……)
グル、シュパ!
ランスがガードで踏ん張った瞬間に、切り替えて突きを繰り出す。
(え!やばい!)
ガキン!!
「うわ!」
ランスは後方に飛ばされ、壁に激突した。
ズザザザザー、ドガン!!
「ぐは!や、やっぱりそうだ。貫通だ。」
「気がついたようだね。その通り、私は貫通スキルを持っている。クリティカル攻撃の時は、ただのガードでは相殺できない。」
ムク
ランスは剣を支えにして立ち上がる。
「こ、コリス。僕が引きつけるから、ラピーを連れてここから脱出するんだ。」
「わ、わかりました!ランス兄様もご無事で!」
ランスはまたマサムネに斬りかかる。
ガキン!!
その隙に二人は脱出した。
グルグル、シュパパパパパ!!
ガガガ!ガガガ!ガキン!
(は、早い!花の剣技とは角度が違いすぎて捌きにくい!)
ガガガ、ガキン!
「うわ!」
ズザザザザ!!
ランスはなんとか踏みとどまった。
体力もかなり削られている。
貫通スキル持ちを相手にする際は、ガードが成功しても、HPは減らずとも体力が減ってくる。
体力が底を尽きると、その後はHPが削られてくる。
(このままじゃ、負ける!)
スッ
マサムネは矛をおさめた。
「なぜ、槍をおさめた?」
「ふ、これは矛だ。まあいい。今日はもう十分だ。行くがよい。
逃げられたと報告しておく。」
「え!?」
ランスはポカンとしている。
「君を倒すつもりはない。さあ行け。」
ランスはその場を去った。
「ま、マサムネさん、さすがです。こ、これを解いてくれますか?」
「ふん、むしけらどもが。」
ズバババババ!!
「ぐ!!ぐああ!な、なぜー!!」
バシュン!バシュン!バシューーン!!
転がっていたスタッフは、一掃された。
「ふん。あんなやつらは消えて結構。侵入者にやられたことにしておこう。」
(お面で正体を隠しているつもりか、ランスロットよ。しかし、わたしのクリティカル攻撃をあそこまで捌いたのはアップデート後には君が初めてだ。
ビッグマッチ、また楽しみが増えたな。
それにしても……あの獣人をテイムしているプレイヤーは、何者だ……)
◆
「ランス兄様!」
コリスとラピーはランスに駆け寄る。
回復薬を使い、全回復した。
「無事に戻ってきて良かったです!」
「いや、逃がしてくれたんだ。やっぱりただものじゃないよ。さあ、少し離れて休もう。」
娯楽都市の入り口付近まで戻り、プライベート空間のあるカフェに入る。
「ありがとうございます。なんとお礼をしたらよいか。」
「大丈夫。コリスの仲間が無事に助かって良かったよ。」
「よかった!本当によかった!」
「これで無事に帰れるな。コリスは、村に帰るのか?」
「…………」
「コリス?」
ランスはコリスを覗き込んだ。
コリスは真剣な顔をしている。
「わたし、このままご主人様たちと過ごそうと思います。」
「自由にならなくていいの?」
「はい!わたしは、ご主人様たちと過ごしてて、とても楽しいのです!」
その様子をラピーは見つめていた。
「チビは、テイムしてもらって、幸せなんだね。コリスっていう名前なの?」
「うん!正式にはリコリスだよ!みんな愛称でコリスって呼んでる!」
「人の姿になってたから、びっくりしたわ。あなたがテイムしてくれたの?」
ランスは顔を赤くする。
「い、いや、僕じゃない。いま、地下闘技場に出ている仲間だよ。」
「ち、地下闘技場!?いけない、あそこは危険よ!」
(この慌て様は……いったい……なにが危ないんだ!?)
第百九十四話 完
第百九十四話を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
今回は、前大会の覇者「マサムネ」との息を呑む極限のPvPバトル、そして悪徳スタッフを一瞬で葬るマサムネの圧倒的な強さと底知れぬ不気味さが描かれた、最高にスリリングな回でしたね!
マサムネが放つ「貫通スキル」というアプデ後の超強力な攻撃に対し、満身創痍になりながらもクリティカルガードで耐え抜き、コリスたちの脱出時間を稼いだランスの騎士道精神には本当に痺れました!マサムネが去り際に「あそこまで捌いたのは君が初めてだ」とランスの正体を見抜きつつ、花の存在に不気味な関心を寄せるシーンの格好良さは鳥肌モノです。そしてラスト、無事に救出されたラピーの口から飛び出した「地下闘技場はいけない、あそこは危険よ!」という切迫した警告。現在ひょっとこのお面で「遠慮なく暴れてやろう」と拳を握りしめている花に、一体どのような罠や危険が迫っているのか、緊迫感と期待感が最高潮に高まります!
「マサムネの貫通攻撃を耐え抜いたランスが格好良すぎる!」「ラピーが恐れる地下闘技場の秘密が気になりすぎる!」など、今回の感想や応援をぜひメッセージで届けていただけますと嬉しいです!
皆様からいただく応援の**【コメント】、作品を追いかけるための【ブックマーク登録】、そして【ポイント評価】や【コンテスト】**への応援が、ラピーの警告を受けたランスたちが花を救うために走り出し、花が闘技場の凶悪な罠をその圧倒的な力で粉砕するための最大のモチベーションになります。ぜひ、hanaXIII への力強い応援をよろしくお願いいたします!
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