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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII
第四章 現実の絆〜激闘コロッセオ――境界線の夏、守るべき者のために 編

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第百二十四話 急接近

言葉の裏にある想いと、すれ違う心。それぞれの場所で、登場人物たちの距離が少しずつ近づいていきます。偶然の出会いから生まれる繋がりと、届いた一通のメッセージ。日常のささやかな変化が、彼らの物語を大きく動かす瞬間をお届けします。

「そ、その格好は、TKさんだ。Taku……タクだ!!」

「やはり……観察されていて気持ち悪かったから覚えてる。

そうか、あいつがタクだったのか。いや、確証はないが」

「だとしたら。わたし、ゲームのこと色々教えたりした……けど、そんな話は一度も……」

「しかし、リサさんも、プライベートの名前は存じないが、その本名が“タク”というストーカーから何もされないでよかった。そんな急接近していたら、大変だ」

「そうだよ……確証は無いけど、もしそうならと思うと、ゾッとする。気をつけなきゃ」

「あなたは、リサさんのストーカーにはなっちゃダメだからね?」

「な、ならねえよ! これから仲良くしようと思ってるのに、変なこと言わないでくれ!

でも、引きこもりでオタクって普通、キモイよなあ。それは自覚してる……」

「あなたの場合、仕事のせいじゃない! 私は今も許せない! あなたの親友まであんな目に合わせて……」

「わたしも、キモイだなんて思わないよ?

ていうか、スバルさん、花さんと気が合うかも! なんか、根本が似てる気がする〜」

「花? 女の子の友達?」

「いえ、リサさんの仲間のプレイヤー、男性よ。とってもお似合いなの」

(ダニィーーー!? 花! この名を覚えたぞ!)

「ちょっとあんた! 何でそんなに怒ってるのよ、冗談なのに! もしかして妬いてるの?! わかりやすー」

「や、妬いてなどないーー!!」

「あははは! スバルさん面白い!! 妬いてるなんて言われたら恥ずかしいよぉ!」

(ぐおお! 眩しい! だが、そいつはどんなやつだー! こんな照れた顔して、ファンとして許せんー!)

スバルの中では、もうリサはリナとして認識することとなった。

「その、花というやつ……人に、お会いしたいものだな」

「あんた、いきなり殴り掛かったらダメよ?」

「そ、そんなことは……無いと思うが」

「リサさん! また是非! ゲームで会いましょう! さらば!」

スバルは教会でログアウトした。

「あの子、絶対気づいてる。いいんですか?」

「やっぱりそうですか……でも、大丈夫です。むしろ、わたしのファンだったなんて、こんな偶然ないから……スバルさん、ヨシハルさんですよね?」

「あなたは、ファンの名前を覚えているの?」

「メッセージをくれましたから。アイドルを辞めたとき、たいていのファンは惜しむような内容が多かった。それも本当にありがたいんだけど、ヨシハルさんは違った。

前を向かせてくれたことへの感謝の言葉ってのと、わたしが辛そうに見えていたこと、『これで自分のやりたいことできますね』って……。

自分の気持ちよりも、こちらの気持ちを汲んだ内容だったから、印象に残ってたの。

だから、ヨシハルさんなら、仲良くできそうだなって……」

「ありがとうございます。姉のわたしから言うのも変ですが、あの子は、決してストーカーをやるような真似はしません。むしろ、単純でストレートなくらいなので、そこが心配です。

おそらく、今は『打倒花!』とかいって、強くなる作戦を立ててると思います」

「それはそれで面白いですね。

わたしと花さんはそんなんじゃないのにー……全くと言っていいほど相手にされてませんからねえ〜。他にお似合いの人がいるし」

「え! そうなんですか??」

「その人、めちゃくちゃ色気があってさぁ、花さんと凄く親しくしてたんです。

その時、なんかこう、モヤモヤっとして……」

「リサさん、それはもう……」

「いや、そうなの。わたしもはじめはそうかなって思ったんだけど、ここはゲームで、現実じゃないから、少しピンとこなくて。

だから、焦らないことにしました!

あと、気持ちに素直になって、イラついた時は怒る! 照れる時は照れる! 妬くときは妬く!

隠さずにもう出しちゃえーって…….そうすれば、いずれ本当の自分の気持ちがわかるんじゃないかなーって、思うんです!」

マリーは考えながら答えた。

「たしかに……素性がわからない人への気持ち、複雑よね。けど、花さんはあなたのこと、決して嫌いではないと思います。それだけは言えますね」

「だといいんだけど。鬱陶しがられてないか、いつも後になって反省してます」

「大丈夫です。花さんは、リサさんがどんな表現をしても、一旦受け止めてくれますよ、きっと」

「そ、そうかなあ」

「甘えたらいいのです。まだ、それができる年頃なんですから!」

マリー、そしてスバルとの関係が、少し近くなったのだった。

「ふう、今日のアルバイトは面白かったー!

これで、あとは期末試験を乗り切るだけだ!……ん? メッセージだ。……あー! 花さんからだーー! ……どれどれ〜、まあ、どうせ『お土産はないのか』とか、そんな感じだろうけど……」

『その後、修学旅行は無事に過ごせたか?

また、楽しい思い出話、聞かせてくれ。

期末試験、無理せず頑張れよ。

待ってるからな』

……………………

「うっきゃーーーー!? な、な、な、何ー?!

こ、これは事件よ!

花が、わたしを気遣うメッセージを……!

『待ってるからな』……だってぇー!?

うきききーー!!!!」

「ちょっと! うるさいよリナ! 猿みたいな声あげてぇ!!

夜中なんだから静かにしなさい! 近所迷惑だよ?!」

リサは、ベッドでジャンプし、猿のように喜んだのだった。

ドッタン! ドッタン!

「うきゃーー! 明日から頑張るぞーー!」

「や、か、ま、しいーー!!!!!!」


第百二十四話 完



第百二十四話をお読みいただき、ありがとうございます!

リサへの想い、そしてスバルの勘違い(?)と決意、それぞれのキャラの日常が色濃く出た回でした。最後のリサの喜びよう、思わず顔がほころんでしまいますね。

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