第百二十三話 神器
海風に揺られ、二人は新たな目的地へと向かいます。
これまでの孤独を埋めるように紡がれる言葉。そして、目的地で待っていたのは、運命の糸を手繰り寄せるような再会でした。
少しずつ重なり始めた彼らの物語が、今、確かな形を持って動き出そうとしています。
静かな感動と、謎が深まる一幕をどうぞお楽しみください。
「ほらよ! 外で振ってみろ!」
ハンマは改良した大剣を手渡す。
「ちょっとまて! あっち向いて振れよ!」
ブン!!
「え! 軽い! 片手剣みたいだ!」
「溜めてから振ってみろ!」
グググ、ブォン!
ズパン!
ズドーン……!
近くの木が倒れた。
「風圧で斬撃が! リーチが伸びたみたいだ!」
「お前の“力”ステータスやスキルに応じて、その範囲は変化する! これで少しは戦闘の幅が広がるだろう!?
その剣、名付けて『聖剣カリバーン改』だ! ぶわっはっは!」
「あ、ありがとうございます!」
剣のステータスを見ると、攻撃力と耐久力が跳ね上がっていた。
「あ、あの! いくらですか?! お代は?」
「ん? いや、いらん! サービスって言っただろ? 特に、お前の戦闘スタイルも花から聞いてたからな、耐久力は特段に盛ってやったわい!
俺の弟子とこれからも仲良くしてやってくれ! ぶわっはっはっは!」
「ありがとうございます! ハンマさん! この剣と一緒に、僕も成長します!」
「おう! そいつは神器だ! お前のステータスに連動するように細工もしてある! 精進しな!
グリップや柄も取り回しやすいようにしてあるから、また戦闘の時に振り回してみるといい!」
こうして、武器については新たな課題と目標を得たランス。
戦闘のバリエーションも増え、更なる成長を目指すのだった。
◆
船の上。
「り、り、リサさんは、どこまで進めたんですか?」
「ん? ゲームのことですか? そうですねえ、カレッジのあたりですね! ちょっと色々あって、そこでスキルを習得してたんです!」
「あ、あの、俺に対してもタメ口で大丈夫なので。あ、仕事中だから無理か……」
「じゃあ、スバルさんもタメ口でお願いね! この前もタメ口でいいって言ったのに、真面目なんだね!」
(眩しい! こんなことがあるのかー? いや、まだリナ本人と決まったわけではない!)
「あの、お姉さんのところって言ってたけど、ビギナ大陸にいるの?」
「ああ、スタッフなんだ。教会らしい」
「あー! やっぱり! もしかしてマリーさん?!」
「え?! たしか、ゲームではその名前だった気がする。知ってるのか??」
「色々教えてもらったから! あ、仕事じゃなくて、ゲームね! 弟さんがいるって言ってたから、もしかしたらと思って!」
「あ、姉は他に、俺のこと何か言ってた?」
「んー、ちょっとだけ……もしかして、スバルさんってー……」
(げ! もしかして、俺がヨシハルってバレてるのか?! こ、心の準備ができてないー!)
そうこうしていると、船が到着する。
「あ! 到着だよー!」
「こんなところまで案内してくれて、どうもありがとう」
「まだ時間あるけど、その辺りも少し案内しましょうか?」
「え? いいのか?」
「うん! じゃあ行こう〜」
リサはターミナル内と、街の説明をする。
「ちなみに、あそこの宿屋はわたしたちのパーティが借りてます〜。クランとかギルド向けだから、とても値段が高いので、一般の方は反対方向のあちらでどうぞ!」
「なるほどな。まあ、俺は姉のところでセーブして、そこを起点にするよ」
「あ! なら、教会にも行きます?」
「え、いいんですか? 助かります」
二人は教会へ向かう。
「ねえスバルさん、その、前に言ってたあるアイドルに救われたって、それってどんなアイドルだったの?」
「え?! あ、その…とにかく、ありきたりなことじゃなくて、俺自身に向き合ってくれてるような返答をしてくれるというか……その中で、引きこもりのままじゃだめだって思ったんだ。
家からはまだ出れてないけど、この世界は人と関わるから。
だから勧めてくれたのかなって。
あ! ごめんつい色々話してしまったー! 忘れてくれ」
教会に到着すると、マリーが出てくる。
「ヨシハ……あ!? リサさん?」
「今日は、ガイドでこちらに来ました!」
「ありがとうございます。以前話したうちの弟です」
「姉さん、俺の本名で呼ばないでくれよ? ここではスバルなんだ」
「ごめんなさい! けど、あなたが来てびっくりしちゃって……」
マリーは静かに泣き出す。
「お、おい! 姉さん?!」
「スバルさん! きっと、そのアイドルの子はスバルさんの思った通りだと思うよ?
引きこもっていたことには、誰にでも理由がある。だから、少しずつでいい。そう思ったから、まずはゲームの世界でリハビリしたらいいんじゃないかなって、きっとそう思ったと思うよ!」
リサは照れながら伝えた。
(こ、これは、もう本人なんじゃないか?! 俺は、夢を見ているのか?!)
「もし良かったら、私たちの仲間とも一緒にゲームやろうよ! ひとり変わり者もいるけど、きっと楽しいと思うから!」
「お……俺が……一緒にいてもいいのか?」
「当たり前だよー! スバルさんのこと、みんなに紹介したいなー!
あの格闘技、みんな興味津々だと思うよー!」
マリーはまだ泣いている。リサの正体を知っている分、感情が入る。
「ありがとうリサさん……弟を誘ってくれて……」
そしてリサは、タクの件をマリーにも報告する。
まだ完全には油断はできないが、一旦一区切りできたと。
「そんな不審なやつがいたのか……まてよ、その時期に不審なやつ、いたかも知れない……」
「え?!」
「なんか、森で俺の戦闘を覗いてたやつがいたんだ」
まさかの一致か? はたまた人違いか。
「そ、それってどんな人?! スバルさん、教えてー!」
第百二十三話 完
第百二十三話をお読みいただき、ありがとうございます!
いよいよ物語が大きく動きましたね。リサとマリー、そしてスバル……隠されていた繋がりが少しずつ明らかになり、タクの件についても新たな手がかりが! ランスの「聖剣カリバーン改」の活躍とあわせて、今後の展開から目が離せません!
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