表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII
第四章 現実の絆〜激闘コロッセオ――境界線の夏、守るべき者のために 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/128

第百十六話 ガラス

過ぎ去ろうとする時間の中で、言葉にできない想いが積み重なっていきます。

沖縄での数日間は、夢のように濃密で、けれど確かに現実に根ざした温かさでした。

最後の時を惜しむように、二人は明日への道を語ります。

数年前。

「そういえば、指輪、つけないのね」

「………仕事で手を使うからね。無くしたら大変だから。それに当時より太ったし、サイズが合わなくなったよ」

(指輪……もうつけようとも思わない。

鎖で拘束されてるみたいだ。幸せでもないのに、周りに見えるように着けて、なんの意味があるんだ。

お揃いのものをつけているだけでもストレスだ)

「わお、これはなかなか綺麗ね!」

「夜になると光るタイプか……月?」

「その下の方に。人がいるわ。これ、ビギナ大陸で王都を見ている時にそっくりだわ」

「…………これ、買おうかな」

「いいわね! このモチーフ、とても綺麗で、家族や大切な人へのお土産にはピッタリよ? きっと喜ぶわ」

花は即購入した。

「なかなかいい買い物したわね! ガラス作品はオリジナリティがあって、見るのも楽しいわ」

「ああ、来られて良かったよ」

「ご主人、なかなか目の付け所が良いねえ! このグラスは飾っても楽しめるから、二人で毎日楽しんでね」

その後も二人は工房を見て回る。

今度は風鈴やサンキャッチャーが並べられていた。

「ここも好きなのよね〜、よく一人でふらっと見にきたりするわ」

「いらっしゃい! 新婚旅行かい? いいのあるから見ていってね!」

「また新婚旅行……多いのか?」

「ええ、ここは新婚旅行や観光で多いわ。男女できていたら、たいていカップルか夫婦だと思われちゃうわね!」

「ぷっ、まじか。どう見てもカップルじゃないのにな。みんな勘違いしてるよ」

(二人で来てるんだから、カップルと思われるわよ普通は〜。それ以外にどう見えるっていうのかしら?)

花は、娘にもキーホルダーを購入。

(あの子はまだ俺のことを好いてくれてるからな、きっと喜ぶだろうなあ。それが唯一の楽しみだ。けど……大人になったらあいつみたいになるんだろうか……)

アユは窓際のサンキャッチャーを見ていた。

「これ買おうかなあ、とても綺麗〜」

「良いんじゃないか?」

「どう良いのかしら〜?」

「なんか、こう……明るい気持ちになれるというか、うまく言えんが」

「あははは、感覚を言葉にするのって難しいわよね?

ごめんなさい、いつも『良いんじゃないか?』って同じ反応だから、意地悪しちゃった!」

「ワザとか! まあ、俺もあまりコメントが上手くないから、いつも『そっけない』って怒られるんだよ」

「目に浮かぶわ。その、怒るのって、リサちゃんでしょう?」

「な、なんでわかるんだ?」

「わかるわよ。わたしには……」

(だって、あの子もきっと……)

「買ってくるから、ちょっと待っててね。このお店で終わりだから、この後少し移動しない?」

「わかった。時間的にもそうなるか……」

二人は海の見える展望台で、のんびりした。

「ほんと、この数日は、夢のようだったわ。

ゲームの知り合いと会うなんて、しかも花と会うなんて、思いもよらなかった……」

「だな。こっちの魔力も、破壊力凄かったとはな」

「あら? なんの破壊力ですって?」

アユは花の前でポーズをとる。

「お、おい! 胸元を強調すな!」

花は顔が赤くなり、視線を逸らす。

「ちょっと〜、これだけ一緒にいるのに、まだそんな初々しい反応するの?

ふふふ。ほんと、花といると飽きないわ。

ねえ、こっちに異動は無いの?」

「んー、そうだなあ。希望を出せば、出来ないこともないが……」

花は真剣な顔で、その時考えた。

それをみて、アユはクスッと笑う。

「ごめんなさい、また意地悪言っちゃった。

無理なんでしょう? 所長さん、『あいつは必要な人材だ! ガッハッハー!』って言ってたから……本社に残らないといけないのよね?」

「ああ。所長はいつも褒めてくれる。本当にありがたいよ。けど、俺が会社にとって必要とされているかは、社長を含めると、正直どう思われてるかは微妙なんだ。でも、今の仕事を誰かに引き継がない限り、自由にはならない。まだ、下が育ってないから……」

「けど、今回は幹部として来たんでしょう? あなたも中心人物の一人に見えたわよ?」

「ふ。なんでかいつも俺がそこに入ってるんだ。けど、俺だけそのポストの役職はついてないんだよな。仕事はその位のものがふってくるけどな」

「それは、もう幹部も同然じゃない〜。

そっかぁ、花はしばらく地元なのね〜。つまんないなぁ。近くにいれば、いつもこうして会えるのに、残念だわ」

「だな。俺も、もしこっちにいたら、多分アユとばかり会うだろうなあ。

こんなに素で話せる人は、今は近くにいないんだ。

この数日、それを実感したよ」

「あら、なんて嬉しいことを言ってくれるのかしら、ふふ。わたしに『魅了』を使ったわね?」

アユが笑いながら意地悪そうに言う。

だが、花は困り顔になって笑った。

「ぷっ。そうかもな……もし、今独身だったら、ダメもとでもアタックしてたよ!

多分、俺は色々勘違いしてんだろうなあ。カッカッカ!」

(んもう! 今そうなったらダメなのはわかってるけど、少し勘違いしてるくらいで、ちょうどいいのにー!

恋愛まではいかなくても、それでも、なかなか心の距離が遠いんだから花はー!)

「ん? 何か言ったか?」

「え?! いえ、なにもー。

ねえ花?

もういろんなこと、あれこれ考えずに、少しくらい勘違いしてる方が、幸せなんじゃない?」

「………たしかに……そうなのかもな………」

ガシッ!

アユが花の手を強く掴んだ。

「!? お?? どした?」

「何が起こっても、わたしはあなたを嫌いになったりしないからね。それだけは、信じてね?」

アユは、掴んだ手を離し、花の胸に、トンと拳を当てる。

花は、安堵の笑みを浮かべて答えた。

「ああ、ありがとう。信じるよ」

さりげなく、軽くアユの頭にポンと触れた。

それから、いつもの掛け合いをしたり、二人はお互いに笑い合って、車に戻った。

「あ、バッグ持ってて! わたし、飲み物買ってくるね」

アユは近くの自販機で飲み物を買う。

その間に、花はアユのバッグを車に乗せて、エンジンをかけて待っていた。

「お待たせ〜、売り切れてたから少し向こうまで行ってたわ。はい、どうぞ」

「サンキュー! じゃあ、送ってくな」

アユは、帰りながら、もし次に花が沖縄に来た時に行ってみたい場所などを話した。

花も、興味津々で話を聞いた。

沖縄は、花にとっても修学旅行で思い出もあり、好きな場所だったのだ。

「ふふふ。けど、飛行機が苦手だったとはねぇ。ゲームでは、あんなに飛んでるのに!」

「だ、か、ら、ゲームは死なないだろ? 実物は怖えんだよ」

「あははは。そのギャップが、ツボなのよねー!」

「ぐっ! おちょくりおってぇー!」

終始、笑いの絶えない二人。

だが、現実の時間はあっという間に過ぎていった。

アユの自宅の駐車スペースへ到着する。

「また向こうでな、沖縄は暑いから、身体に気をつけろよ?」

「ぷっ。バテバテの人が誰に言ってるのかしら〜? 花こそ、色々無理しないでね……ちゃんとわたしが味方だ、か、ら、ね?」

「おう、心強いよ。じゃあ……」

「あ! 花! ちょっと前見て! あそこ!」

「ん? なんだ?」

花は頬に一瞬、何かが当たるのを感じた。

!?

「な?!」

「ふふ、また引っかかったわね。じゃあ、気をつけてね」

そう言って、アユは車を降り、手を振った。

花は、静かに車を走らせ、皆の待つホテルへ戻っていった。

車内で一人、この数日のことを走馬灯のように思い返すのだった。


第百十六話 完

第百十六話をお読みいただき、ありがとうございます!

ついに沖縄編、結びの時となりました。

最後の「いたずら」には、誰もがドキッとしたのではないでしょうか。

二人の心が、確かな「味方」として繋がった瞬間を感じていただけたなら幸いです。

【読者の皆様へお願い】

物語を書き進める中で、皆様からの応援が大きな支えとなっております。

「二人の関係のこれからが気になる」「アユの最後の行動にキュンとした」という方は、ぜひ下部の**評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)**やブックマークをお願いいたします!皆様の応援が、執筆の何よりの活力です。

【コンテスト&他作品告知】

現在コンテストに参加中です。皆様からいただく一票が、物語を前へ進める大きな力になります。

また、圧倒的な力の差を頭脳と勇気で覆す物語

『Ultimate Wars 〜 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる 〜』

(Nコード:N6980LM)

こちらも運命が交錯する熱い展開が続いております。本作とあわせて、ぜひこの機会にチェックしてみてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ