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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII
第四章 現実の絆〜激闘コロッセオ――境界線の夏、守るべき者のために 編

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第百十四話 グレーだとしても

夜風が、二人を包み込みます。

都会の喧騒から離れた屋上の庭園で、言葉にできなかった迷いが、少しずつ形を変えていく。

白か黒か、正しいか間違いか。

そんな問いさえ忘れてしまうほど、ただ触れ合う手のひらが伝えてくる、静かな「安心」についての対話です。

(え!? アユ? いやいや、それは……)

花の気持ちが追いつかないことをよそに、アユは花の手を掴む。

ガシッ!

アユはニカっと笑う。さっきと同じ、子供みたいな笑顔だ。

「ふふ〜ん、もたもたしてるから、掴んじゃったわ」

「お、おい」

「いいじゃない、これくらい……すごく落ち着く……うん……全然違う……ただ、手を繋いでるだけなのに……」

花も、不思議と落ち着いていた。そして、お互いに気がついていた。

「花……『安心できる』ってこういうことなんじゃない? それは、わたしもなんとなく今わかった。

あなたとゲームの中で冒険してるとき、なんとなくだけど、不思議と安心感があった。

花……すぐに白黒つけなくていいんじゃない?

今、全てに白黒つけてたら、何十年後の未来の白が、黒になっちゃうでしょう?

だって、あなたが求めている『安心』って、どれも今は黒だもの……だから、今全て黒一色にするんじゃなくて……白の可能性を切るんじゃなくて……グレーだとしても、白になる可能性があるなら、上手に生きてみてもいいんじゃないかしら?」

花は少し沈黙して答えた。

(こんな俺が……そんなこと求めていいのか?

こんな俺が、数十年後の未来に、誰かと幸せになるなんて、望んでいいのか?

そんな気持ちで、生きてもいいのか?)

花は葛藤していた。不遇の人生。

繰り返してきた絶望。

そして今も詰んだ人生。

何かをやりきり、そして、捨ててこそ得られる自由。

その選択肢以外……『誰かと幸せになってもいい』

アユは、花にそんな選択肢もあると示してきた。

「なんだか、心の中を全て覗かれた気分だよ。

俺がモヤモヤしてること、こんなに言葉でわかりやすく言えるなんて……」

「わたしも、たまには役に立つでしょう?」

「とんでもない……感謝しかないよ。ありがとう」

「わたしの方こそ。花には感謝してるわ」

「俺に?」

「さっきも言ったけど、わたしには家族がいない……けど、花はこうしてわたしと少しでも時間を過ごしてくれる……わたしにとって、信頼できる人とこうして触れ合うのって、婚約破棄以来なかったの……だけど、今日一歩を踏み出せた。

本当に感謝してるわ」

「俺たちは、似たもの同士なのかもな。境遇や求めるものは違うけど」

「ええ……似てるわ。だから……これからも、仲良くしてね、は、な、さん」

二人の共通点、それは『安心感』だった。

生きていく上で、関わる人との信頼、そして安心感は、欠かせないもの。それは、恋愛も、家族も、友達、仕事、あらゆることにおいて重要だと……

二人はこの時、強く実感したのだった。


第百十四話 完

第百十四話をお読みいただき、ありがとうございます!

アユの言葉に、花の心がゆっくりと動く様子が描かれました。「白黒つけなくていい」「グレーのままでもいい」という考え方は、今の花にとって、未来を照らす小さな灯火になったのではないでしょうか。二人の間に流れる空気が、これまでよりもぐっと深まったように感じます。

【読者の皆様へお願い】

花の抱えるトラウマや劣等感に、アユが寄り添う姿は本当に素敵でしたね。もし「二人の距離感に胸キュンした」「アユの信頼の深さに感動した」と思ってくださった方は、ぜひ下部の**評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)**やブックマークをお願いします!皆様の応援が、執筆の何よりの活力です。

【コンテスト&他作品告知】

現在コンテストに参加中です。皆様からいただく一票が、物語を前へ進める力になっています。

また、圧倒的な力の差を頭脳と勇気で覆す物語

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こちらも運命が交錯する熱い展開が続いております。本作とあわせて、ぜひこの機会にチェックしてみてください!

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