第百十一話 脱出
きらびやかな沖縄の夜。修学旅行の解放感に浸るリサたちのすぐ傍で、執念の影が静かに距離を詰めていました。
一方、夜の街を捜索する花は、合流したアユと共に一軒のカフェへと辿り着きます。偶然が重なり、一つの空間に集まってしまったそれぞれの想い。
現実というステージで、予期せぬ「脱出劇」の幕が上がります。
「わあー! 夜の街、すごい人だねー!」
「ハザマさん! 早く戻ろう! ヤバいよ!」
「そうよ! 流石にうろつくのはまずいわ! お土産は空港でも買えるじゃない!」
「すみませんー! これいくらですかー?!」
「ダメだ! 聞いてない! あ、でも、なんだか面白い物売ってるぞ!」
三人は様々なお店でお土産を買いまくっていた。
そして、おしゃれなカフェで談笑していた。
「あー、絶対怒られるよー、どうするの?」
「なんとかなるって〜。よし、写真写真……送信っと!」
「さっきから誰に送ってるの? おばあさん?」
「もしかして、タク様?!」
「違うよ、友達……かな?」
「なんで疑問系なの? あ! もしかして、ゲーム仲間の?!」
「あの、とんでもない攻撃力って言ってた人?!」
「な、内緒だよ!」
リサは顔を赤くする。
◆
「いた、いたぞリサ。昼はよくもやってくれたな! 今度こそ、せめて連絡先だけでも聞き出しとかねえと! 二度と会えなくなっちまう!」
(よくもって……勝手に鼻血出したの、あなたじゃないか。仕事以外はアホなんだよな、この人は)
「タクさん、そろそろやめましょう。同い年とはいえ、女子高生をつけ回すと、良くないです。こればかりは流石に見過ごせません」
「ちょ、ちょっとだけ待ってくれよぉ! 頼むよー! この通りだー!」
(こんなタクはじめて見る。必死すぎる。やはり、見た目は一級でも、中身は三流。まだまだ子供ということですね。
私の目から見て……同じ男性から見ても、あなたに勝ち筋はない。
なぜなら、彼女は見た目でなびく人ではないからだ。
あなたの武器は、まだ見た目だけ。中身がなってないと、そのボスは倒せませんよ?)
「血走った顔で、高圧的な声かけだけはやめてくださいね。事務所の顔も潰します」
「わーったよ!」
◆
『もう寝たかしら?』
『いや、まだだ。どうした?』
『そう、随分起きてるのね』
『アユもな。仕事か?』
『さすがに終わったわ。今は一人でオシャレなカフェにいるの』
『いいなあカフェ。俺はやっと着いたぜ』
『着いた? もしかして、わたしのお、う、ち?』
『そんな無謀なことはしない。街だ。リサが夜遊びしてるらしい。さっき車を停めて、見回ってる』
『わお! 修学旅行といえば、抜け出して夜遊びがスリルよね〜』
『感心してる場合じゃない! 広すぎて見当もつかん!』
『ちなみに花はどこにいるの?』
花は、現在地を添付した。
『素晴らしいわ。わたしはここであーす。捜索のお手伝いしましょうか?』
『ま、まじか! 一度合流しよう。慣れない土地でかなわん!』
花もカフェに入る。
アユが手を振っていた。
マスクをして顔がわからないようにしている。
ガバッ
アユはすぐに花にハグした。
「おい! 人前!」
「誰も気にしてない〜」
割と広めの店内。人も多く、賑わっている。
花はひとまずおすすめの飲み物を注文した。
「ちょっとその写真見せてくれる? ……ああ、多分この近くだわ! ……しかも、もしかしたら、この店内にいるかもしれない! ほら、この写真見て? ここの飲み物と、この背景、どこかにいるかもしれないわ」
「な、なにぃ?! アユ、探偵みたいだな」
「よーく見なきゃ! 浮気も見破れないぞ?」
「ふ。してくれてるなら、逆に好都合なんだけどな」
「え? 嫌じゃないの?」
「好きならそりゃ嫌さ」
「……そっか。奥さん、気づいてるのかな。花の気持ち」
「絶対に気づかんだろうな。自分は良くできた嫁だと思い込んでる上に、俺に対して興味もない。俺がどんなこと考えてるかなんて、ハナから興味がないからな」
「もう二度と、気持ちが戻ることはないの?」
「ない。もう、とっくに諦めてる。人は変わらない。むしろ、向こうが墓穴踏んで、俺は有利に進めたいくらいだ」
花は送られてくる写真をまじまじと見つめる。
すると、リサの近くの席に、見覚えのある男がいた。
「アユ! これ見てくれ! タクだ!」
「本当だ! ここまでつけてきたのね」
「みんないっぱい買ったねー! そろそろ戻ろっか!」
?!
花の少し後ろから聞き覚えのある声がした。
チラッと見ると、リサはそこにいた。
「わお、アバターのまんまね〜。なんて可愛いのかしら〜」
(す、すぐそこじゃねえかー! よし、センコーのフリしてホテルに帰そう……ん? なんだあの男は?)
「花! 早く行かないと!」
第百十一話 完
第百十一話をお読みいただき、ありがとうございます!偶然にも同じカフェに集結してしまった花、アユ、リサ、そして執念のタク。リサたちのすぐ近くで、不穏な影が動こうとしています。花の「先生のフリ」作戦は、果たしてこの混乱の中で通用するのでしょうか?
そして、アユが指摘した花の冷え切った夫婦関係……。ゲームの外でも、それぞれの運命が複雑に絡み合っていくのを感じます。
【読者の皆様へお願い】
間一髪の状況で、花はどう動くのか!リサを無事にホテルへ帰せるのか……。もし「花とアユのコンビネーションが最高!」「タクの必死さが逆に怖い……」と思ってくださった方は、ぜひ下部の**評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)**やブックマークをお願いします!皆様の応援が、脱出劇の結末を左右します。
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