第百二話 沖縄前夜
いよいよ沖縄出張を翌週に控え、花は現実での準備に追われます。ゲーム内ではダイニー大陸への旅立ちを計画するアユと、お互いの未来や「出会い」について、冗談を交えながらも少し踏み込んだ会話を楽しみます。
「これが、飛行機の予約番号です。」
花はアプリで自分の席を確認する。
(よし、通路側だ。いつでも遠慮なくトイレに行けるぞ。)
「来週、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
(とりあえず、面接シートをまとめとくか。)
◆
王宮屋上にて。
「……ということがあったんだ。まったく、アユは勘違いさせるのが得意なのか?」
「あははは!面白いくらいピュアなんだもの!
可愛いったらもう、花も、いじりたくなるでしょ?」
「まあそうなんだが、考えてることがよくわからんときもあるからな、発言には気をつけてる。」
(ぷ、本当に鈍いわね。もっと自信持てたら、もっともっといい出会いがあったかもしれないのに。)
「わたしも、そろそろかなあ。」
「ダイニー大陸か?」
「ええ。そろそろ向かおうと思うの。ギルも十分に溜まった。後は、現実の方でお金をもう少し稼ぐだけかな。
しばらく仕事のこと忘れて、自由に過ごしたいわ。」
「それも、いいんじゃないか?色々拠点があるんだろ?
遊び回ればいい。そんなことは、若い今しかできんぞ?」
「なに年寄りみたいなこといってるの?わたしとそこまで変わらないくせに〜」
「………ハハハ……まあ、リサたちよりは、近いわな。」
(なにをはぐらかしてるのかしら、どう見てもわたしと同じ20代後半か、よくいっても30代前半でしょう。髪色以外はこの見た目なんだし。)
「あ、そういえば、花も仕事で沖縄行くんだっけ?」
「ん?まあ、ちょこっとな。ほとんど自由はねえけど。」
「ふーん……リサたちと会ったりしてね〜」
「それは無いだろう。仕事で行くんだ。旅行客と同じ場所にはほぼ行かないからな。」
「それは、わからないわよ?運命の出会いがあるかも〜」
「運命か……まあ、そっちにはいつも期待してるんだけどな。そんな夢みたいな話は、なかなか起きねえよ。」
「花がどう思うかじゃない?」
「え?俺が?」
「そう。花が、出会う人のこと、一人一人、もしかしたら〜って、視野に入れてみると、世界が変わるかもよ?」
「それ、気持ち悪くないか?」
「ぷ。別に、すぐアタックするわけじゃないんだから〜!可能性を信じて行動してみたらって、こ、と!」
「ふ。ありがとうなアユ。そうだな。でも、俺ももういい歳なんだ。」
「歳なんて、関係ないと思うわ。いつまで経っても、女を口説く人はいるし。歳の差結婚だって、そこら中にありふれてるわ。
だから、前を向いてみたらどう?」
「そうだな……アユにはいつも励まされてばかりだな。」
「どう?わたしもなかなか魅力的でしょう?
花のお嫁候補に、エントリーしちゃおうかしら〜」
「ぷ、そんなもったいないことを。それこそアユの可能性、めっちゃ狭くしてるじゃねえか、
カッカッカッ」
「それよそれ!謙遜しすぎ!そこは"じゃあ、候補にしとくわ〜"でいいのよ〜。それくらいのスタンスでいたら、そこから発展するかもしれないんだから。」
「ぷ、発展ってほんとか?ならアユは候補にしねえとな、カッカッカ!
じゃあ、俺も候補に入れといてくれるか?」
「え?!そ、それって、え、ええ、わかったわ、候補に入れとくわ〜、ほほほほ〜」
(びっくりしたー、まさかこっちにも振ってくるなんて。ちょっとドキっとしちゃったじゃない!)
「ダイニー大陸か。ビギナ大陸でも凄えと思うのに、いったいどんなだろうな。」
「わたしも、今情報を集めてるところよ。
そこが固まれば、出発する予定。もちろん、情報は共有するからね。」
「サンキューな。まあ、酒場の噂によれば、向こうでは、クランやギルドを結成するのが当たり前になってくるらしいな。
ま、俺には興味ねえから、ぼちぼちやる予定だが。」
「そうねえ。わたしも、どちらかというと、花と似てる。だから、もし肌に合わなかったら、こっちでいいかもって思ってるの。」
「それもありじゃねえか?無理にどこかに属すのは、窮屈だしな。それじゃ現実と変わらねえよ。」
「近くにいる間は、また一緒に狩りに行きましょうね!」
「ああ、メッセージ送ってくれ!」
「たまには、花からメッセージくれてもいいのよ?」
「わ、わかった。そうするよ!」
「ぷ、絶対しないわね、んもう!こうなったらしつこいくらいメッセージ送ってやるからね!」
「おお怖!覚悟しときます!」
いつもの掛け合いで大笑いする二人。
ビギナ大陸でのわずかなひととき、そして、現実では、ついに花も沖縄へ飛び立つのだった。
第百二話 完
第百二話をお読みいただき、ありがとうございます!アユからの「お嫁候補」発言への花の返し、まさに「大人の余裕」を感じさせる名シーンでしたね。アユも思わずドキッとしてしまうなど、二人の関係から目が離せません。そして物語は、ついに現実の沖縄編へ。
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現実とゲーム、二つの世界で物語が交差し始めようとしています。もし「アユの照れた顔が目に浮かぶ!」「沖縄でリサと会っちゃうの?」とワクワクしてくださった方は、ぜひ下部の**評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)**やブックマークをお願いします!皆様の反応が、執筆の大きな支えです。
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