第百一話 嫉妬?
アユが現実の仕事で圧倒的な存在感を見せる一方で、ゲーム内では花とリサが二人きりで語り合います。ずっと胸に溜まっていたモヤモヤをリサが正直に打ち明けたことで、二人の関係に新しい変化が訪れます。
「アユ、指名です。」
「あらら、ご指名ですわ。」
「じゃあ、延長するから後で戻ってくることはできる?」
「あらまあ、嬉しい。良いのですか?」
「ガッハッハ!いいのいいの!いつもの子は、今日はいないみたいだから!」
「スタッフに伝えておきますね。」
アユは次の席に着く。
「やっと会えたよ。今日は良いのあけるから、一緒に飲もう!」
「あら嬉しい。そんな無理をしなくても、わたしは逃げませんよ?」
「いいのいいの!じゃ、これで!」
「やっぱり、アユが出勤の時は凄いな。キャッチが声かけまくってるんだろうな。待ち構えてる客もいるだろうから」
◆
「謝る?何を?」
「ごめん……今日、ずっと不貞腐れてた。」
「ん?なんだ、そんなことか?」
「え?だって、みんなでいるのに…アユさんにも、悪いことしたなあって…」
「はっはっはっ、そんなの、あいつは気にしてねえって!大丈夫だ。」
「アユさんのこと、よくわかってるんだね、花さんは……」
花の勘が冴える。
(こいつ、もしかして妬いてんのか?いやいや、俺だぞ?
まあ、恋愛的にじゃなかったとしても、今までずっと一緒にやってきて、知らない間に他のプレイヤーと仲良くなったのがまずかったんだろうな。俺も悪かったな。)
「もしかして、妬いてるのか?」
「な、な、な、何いってるのー!?ま、まさかー!」
(どんな類の感情かは知らんが、アユが絡んでることは図星らしいな。)
「すまなかった。」
「へ?!」
「みんなに何も言わずに、他のプレイヤーと馴れ合っていた。」
「あ、いや、その、花さんも、アユさんも悪くないよ!えーっと……」
(そ、そうだよ!ここはゲームだし、花さんがどんな人とゲームをしようと、花さんの勝手だもん!あー!なんで、謝らせるようなことを!わたしがいけないのに!
けど、もう開き直ろう!正直に!)
「ふう……うん!やっぱりちょっとヤキモキしてた!
だって!あんなに妖艶なんだもん〜!変なこと想像しちゃうよ!けど、それは花さんの自由だから、妬くのはお門違い!
なんだか、わたしたちより親密だなあって思って、ヤキモチ妬いちゃった。」
「すまなかった、アユは、あんな感じなんだよ。割と誰にでもな。勘違いさせて悪かった。
だが、これだけは言わせてくれ、リサやランスは俺の仲間だ。仲間を大切に思う気持ちだけは揺るがん。」
リサは安堵の笑みを浮かべた。
「なんだか、わたしって子供だなぁ。いつも花さんに迷惑かけてる。」
「ぷ。リサ、もしかして、自分を一人前の大人って思ってるのか?
そんなに思い詰めなくていい。今は思うままに生きればいいんだ。あれこれ考えて、後で後悔せんようにな。」
「……うん!」
(ふう。とりあえず落ち着いて良かった。嫉妬?………まさかな。)
「沖縄……もうすぐじゃないか?」
「うん、来週からだよ。」
(ん??来週??なんかひっかかるような。)
「そうか、お土産期待してるぞ。」
「もう〜、ゲーム内には持ってこれないよぉ」
「ちがう、土産話だ。あんまり先生たちを困らせるんじゃないぞ?」
「花さんがそれ、言う〜?というか、親みたいなこと言わないでよぉ!」
(ま、年齢的には親みたいなもんだけどな。)
「修学旅行が終わったら、本格的に受験だな。」
「うん!けど、夏にオープンキャンパスに行く予定なんだー!」
「そうか、まあ、気持ちを上げるには、効果的だな。」
「夏以降は、アルバイトもほどほどにしなきゃ。
あんまし、ALOにも、来れないかもしれないなあ。
あ、でも!今日みたいにならないからね!」
「わかった、リサが受験に集中している間、ランスと女の子をたくさん勧誘しておくよ。楽しみにしといてくれ。」
「んもう〜!絶対ワザと言ってるでしょう〜!別にいいけどさ!」
「ぷ、冗談冗談!ランスはともかく、俺にはそんな器量ねえから、安心しろって!」
(どうだか!あんな美女といつのまにか仲良くなってるじゃん!)
「信用してねえな?ぷ、大丈夫だ、俺もそこまで暇じゃない。ぼちぼちやるから、たまに顔出しに来たらいい。」
「あのさ、花さん……」
「ん?なんだ?」
「た、たまにさ、メッセージ送るから、その、返信してね?」
「ああ、もちろんだ。今まで通り、ちゃんと返信はするから、安心しろ。」
「い、今まで通り?!じゃなくて、えーっと、ちょっと大袈裟なくらいが、いいかなあ〜、なんちゃって……ダメ?」
(………あ、俺の返信、素っ気ねえってことか?
なるほど、今時の子には、キツく感じるのか、それはいかんことをしたな。)
「わかった、やってみる。もし文面がキツイと感じたら、遠慮なく言ってくれ。」
(え?あ!責めてるわけじゃないんだけど、ま、いっか!結果オーライだ!)
「ありがとう!うん!めっちゃやる気出てきたかも!」
こうして、タクの件はひと段落した。
まだ油断は出来ないが、ゲーム内ではひとときの平和が訪れる………ことはなく。
これから、花たちの知らないところでは、続々とゲームを進めていく者が増えているのだった。
第百一話 完
第百一話をお読みいただき、ありがとうございます!タクの一件を経て、リサが自分の「ヤキモチ」を正直に認めるシーン、最高にキュートでしたね。花が「親のような目線」で接している一方で、リサの想いは少しずつ別の方向へ向かっている……そんな温度差が今後の展開を期待させます。
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物語は一つの節目を超え、新たなキャラクターたちの足音も聞こえ始めました。もし「リサの勇気に乾杯!」「花の天然な返しが面白い」と思ってくださった方は、ぜひ下部の**評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)**やブックマークをお願いします!皆様の応援が、執筆の何よりのエネルギーです。
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