第百話 久しぶりの時間
大きなイベントを終えた花は、自信をなくしかけていたリサを連れ出します。空を舞うようなハチャメチャな移動の先に待っていたのは、二人だけの静かな景色と、ずっと言えずにいた大切な話でした。
「お、今日はニコニコしてどうしたんだい?」
「ちょっと良いことがあったの。ねえ支配人、しばらくここのシフト、増やしても良いでしょうか?」
「もちろん!
君のような人は大歓迎さ。
カラオケもあるし、ステージもあるし、好きにして良いからね!」
(今からたくさん稼いで、しばらくゲームに集中しなくっちゃ!ふふ、動機がゲームだなんて、花のせいだわ。)
「おおお!これは驚いた!君は新顔か?」
「はじめまして、アユです。いえ、ちょくちょく居たのですが、この時間帯ははじめてで、どうぞよろしくお願いします。」
「今日はついてるな!こんど、うちの部下たちも連れてくるから、よろしく頼むよ!」
「ええ、それは楽しみですわ。」
◆
「え?選ぶ?何を?」
「おんぶ、抱っこ、肩車だ。さあ、選べ」
「わ、わたしは子供か!」
「じゃあ、走ってついてくるか?」
「む、無理無理!花さんには追いつけないよ!
じゃ、じゃあ、肩車で!」
「………一番やべえの選んだな。そこはギャグ枠だったんだがな。ぷぷ、やっぱり、リサは面白いなあ!じゃあ、それ、足開け!」
「ちょ!?足開けって、それ問題発言だよ?!って、うわあ!!」
「っし!これで飛んだことねえけど、ちょっと飛ぶから覚悟しろよー?」
「え?飛ぶって?」
ドン‼︎
花はそこからハイジャンプで飛び上がる。
森の上を飛び、降りるとすぐにまた飛び上がる。
リサは、ジェットコースターでバンザイしている状態になる。
「ぎゃ、ぎゃーーー!怖いーー!落ちるーー!」
「バカ!ジタバタすんじゃねえ‼︎本当に落ちるぞ!」
ドン‼︎バシューーン‼︎
ガシ‼︎
リサは恐怖のあまり、花の頭にしがみつく。
その際、花の顔を覆い尽くす形になる。
「お、おい!前が見えん‼︎手を離せ‼︎」
「無理ー!だって怖いんだもんー!」
(いかん!このままだと二人とも地面に叩きつけられる!俺はゲームオーバーだ!)
花はリサの手をほどき、空中でそのまま上方へ投げ飛ばす。
ブン!!
「へ?!ちょっとーー!あーーーーー!助けてーーーー‼︎‼︎」
リサは絵に描いたように空中に放り出されてジタバタしている。
「よし、一旦着地して、空中でキャッチだ!」
(それにしても、なんて姿だ!面白すぎるぜ!)
ドン‼︎
ガシ!
花はお姫様抱っこのように、キャッチの構えでリサの方に飛ぶ。
しかし。
ガシ!
「わ!バカ!動きにくい!」
リサは正面から抱きつき、腕と足をしっかりホールドした。
「ぐ、ぐるじい!リサ!ギブ!ギブだ!せめてウデの力を抜けー!」
ズドーーン!
何とか着地したが、リサはまだしがみついている。
「ぜえ、ぜえ、危なかった。おい、もう大丈夫だぞ?」
リサは力が抜け、ずるりと地面にへたり込む。
「こ、怖かった……あんな高いところに放るなんて……うえーーん!」
「お、おいおい、泣くなよ!す、すまんかった、だって、前が見えねーんだから、しゃーねえじゃねえか。」
「おんぶ……」
「え?いや、もう移動は終わ…」
「おんぶして!脚がすくんで歩けない。」
「わーった、これで勘弁しろよ?」
しばらくおんぶして歩くと、丘の展望台にたどり着いた。
リサは、おんぶしてもらい、上機嫌だ。
「さ、ついたぞ………おい」
ブン!ブン!
花が振り落とそうとするが、しっかり手と足でホールドして外れない。
「…………」
そのまま屋上へ向かう。
スタッ
「わお!ここも眺めがいいね!」
リサは屋上でクルクル回ってはしゃいでいる。
(やっと機嫌が直ったか、やれやれ)
「あそこに見えるのが、この前見た大陸だ。」
「なんか、久しぶりだね!」
「そうだな、教会のとき以来か。」
「もう、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。あの時は、ありがとうな。」
「わたし、謝らなくっちゃ……」
「え?謝る?それっていったい……?」
第百話 完
第百話をお読みいただき、ありがとうございます!ついに大きな節目となる百話に到達いたしました。ここまで花たちの物語を見守り、支えてくださった読者の皆様に心より感謝申し上げます。
アユの大人びた魅力に圧倒され、少し自信をなくしかけていたリサ。ですが、花とのハチャメチャな「空中散歩」や「おんぶ」を通して、彼女にしか作れない特別な時間を取り戻したようです。ラストシーン、静かな展望台でリサが口にした「謝らなくっちゃ」という言葉。その真意とは一体……?
【第百話記念!皆様へのお願い】
記念すべき百話目を迎え、物語はさらに深みを増していきます。もし「この二人の空気感が好き!」「百話おめでとう!」と思ってくださった方は、ぜひ下部の評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)やブックマーク、そしてお祝いの感想コメントをいただけると、執筆の大きな励みになります!皆様の一言が、次のエピソードへの力強い一歩となります。
【コンテスト&他作品告知】
現在コンテストに参加中です。百話というこの機会に、ぜひ応援のレビューなどもお寄せいただけますと幸いです。
また、もう一つの才能が覚醒する物語
『Ultimate Wars 〜 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機で人類の切り札になる 〜』
(Nコード:N6980LM)
こちらも熱い展開が続いております。ぜひ本作とあわせてお楽しみください!




