24.対戦後
それから残りの試合を進めていく。結果、20試合中、ぼくが12勝、ルリッチが8勝となった。
「う、うう! ぐがー!」
「うわ!?」
全試合終わるとルリッチがうなりはじめた。
「ぐぎぎぎ! ま、まげだ……。ほとんどまげだこどないのに……!」
身体を振るわせて怒りを露わにする。本当にわかりやすい人だ。
正直、2ラウンド目を取られたとき、ぼくの頭のなかは慰めでいっぱいだった。
テスターとしての初戦だ。経験値の差がある。負けても仕方ない。自分で自分を慰めの言葉がいくらでも出てくる。
負けることがこわくて、臆病になって、いつの間にか、負ける将来に向けて保険をかけていた。
無意識にそうなったときぼくは悔しかった。情けなかった。
そのとき、カヤさんのことを思い出した。鋭く、正確に戦う姿。ぼくの理想とするイメージだった。
まだ負けるわけにはいなかった。カヤさんみたいに強くなるために。
ルリッチがぼくを指さす。
「今回は負けだ……でもな! アニキはもっと強いからな!」
「ア、アニキ?」
「そうだ! あたしはスカウト枠だからちょ~っとだけ弱いけど、アニキはランカーで強いんだからな! ハルなんて瞬殺のボコボコだからな!」
ルリッチは猛ダッシュでドアを開いて、どこかへ行ってしまった。と、思ったらすぐに戻ってきた。
「受け取れ!」
ペットボトルの水だった。
「奢り! 味わって飲め!」
「ありがとう……」
賭けのことはすっかり忘れていた。
「覚えておけよ!」
体育館の出入り口でルリッチはそう言って、自転車を漕いでいき、途中で止まって振り向いた。
「今度は勝つ!」
「う、うん!」
ルリッチは自転車を漕いで行ってしまった。すると、すれちがうようにしてカヤさんがやってきた。
「カヤさん!」
「天川さんもテストが終わったみたいですね。お疲れ様でした」
「はい! えっと、色々あったんです。1試合目とか、9試合目で気づいたこととか……。あの、このあと時間ありますか?」
そう言うとカヤさんはすこし考えていた。
「わ、私、お腹が空きました……」
「……っ! はい! 近くのお店調べます!」
ぼくはスマートフォンを開いて飲食店を調べた。




