23.ルリッチ戦②
2ラウンド目はぼくが取った。
「はっ……?」
ルリッチは理解できない様子だった。
2ラウンド目は一方的な内容だった。先制するルリッチの攻撃を回避して、モーション攻撃からコマンド技のコンボでダメージを与える。ルリッチのラッシュを予想してガードしてから、瞬時にガードを解いて、顔面に拳を打ち込んだ。
「ぐぎっ!」
ルリッチは後ずさりした。
彼女の視界はぼくのキャラクターに顔面を殴られる映像が映っていた。ゲームとわかっていても、本能的に驚いて、戦略的ではない動きが出てしまう。
隙となってぼくに好機がくる。ポージングを行い、ふたたび顔面を狙う。
ルリッチは後退したが、ぼくは全身を前のめりに飛び出し、肩を上げて、腕を限界まで伸ばした。
ルリッチのキャラクターが後ろに倒れて、2ラウンド目は終わった。
「ハ、ハレル……!」
「次のラウンド目で1試合が終わる。まずは1勝、もらうから」
「ぐぎぎぎ!」
インターバルが終わる。自然と構えをつくる。
3ラウンド目が始まった。
流石にルリッチは先制の攻めをやめた。様子を見ながら攻撃の機会を狙っていた。
ルリッチがどう出てくるか、まだ読めない。
しかし彼女の性格はわかっていた。
ぼくは大技を出した。ダメージは大きいが、隙もできる。なおかつポージングがあからさまで、相手に手のうちがバレる。
ルリッチは構えを変えた。足を前後に開き、腰を落とした。
ぼくはキック系の大技が放たれようとする。エフェクトが出て、ルリッチの上部に向かって右脚が飛んでいく寸前だった。
そこでぼくはポージングを失敗した。
「ぐぎ!?」
一方、ルリッチはすでにぼくの大技に対応しようとしていた。彼女は前屈みになりながら足を踏んばり、飛び出していた。大技の軌道を読み、斜めに飛び出して躱そうと動いていた。しかし、大技を放つ前にポージングを失敗したせいで彼女の回避行動は無駄になった。
ポージングを失敗したことはわざとだ。ポージングを中断すれば技は発生せず、モーション攻撃扱いになる。それを利用してフェイントに使った。
詰みが読めた。前に飛び出してきたルリッチの下部を蹴り、畳み掛けるように上部を何度も殴りつける。
ぼくは必殺技ゲージを消費する。
エフェクトが発生する。拳に炎がついて、熱く燃え盛る。
必中の零距離だった。ルリッチのガードは間に合わない。
必殺技が炸裂する。拳の炎がルリッチの胴体を貫いた。暴風と共にルリッチは高架下の柱に衝突し、めり込んだ。
ゴングの音が鳴り響く。
3ラウンド目を勝利し、2本先取したぼくが1セット目の勝者となった。




