22.ルリッチ戦①
ルリッチが先制攻撃を仕掛けてくる。攻撃を連発してしてきたので、数歩下がってからガードポーズをで対処する。
彼女は間髪入れずに攻撃を続ける。体力の温存なんかは考えていない。全力だ。
ガードしながらタイミングを計り、攻撃に移る。ルリッチのキャラクターの上体を狙うように、拳を打つ。
攻撃はヒットして、ルリッチにダメージが入るが、狙ってたとばかりにラッシュをかけられる。
ルリッチさんの戦闘スタイルがわかってきた。とにかく手数の多いラッシュでダメージを稼いでくる。コマンド技の大ダメージより、体力のある限り動き回るようだ。体力に自信があるなら、良い手だ。
ぼくはラッシュが止まったときの大きな隙を見据えて、コマンド技を入力する。固有のポージングをしてから、膝を高くあげて蹴りを決めようとする。
しかし、先に攻撃をヒットさせたのはルリッチだった。ぼくのコマンド技よりも、彼女が放ったモーション攻撃のほうが早く、ぼくのキャラクターの上部にヒット。ダメージが入り、ライフが削られた。
タイミングによるが、基本、コマンド技よりモーション攻撃のほうが先にヒットする。
コマンド技はポージングする分、時間がかかるけど、モーション攻撃はただパンチやキックをすればいいだけ。単純なスピード勝負だとモーション攻撃に軍配があがる。
上級者になればポージングの速度と精度が上がり、モーション攻撃とほぼ変わらないスピードを出せるが、ぼくには無理だ。
その後も試合運びはルリッチのペースだった。モーション攻撃のラッシュを数発ヒット、態勢を立て直すために下がろうとした瞬間にコマンド技をくらった。今度はパワー重視で大ダメージが入ってしまう。
ぼくは考える前にひとまずガードポーズをとった。ほぼ同時に彼女の拳が向かっていたがガードが有効となりダメージは入らなかった。
冷静になれ。カヤさんにもらったアドバイスを実践で活かせ。
ガードポーズをした状態でルリッチさんのスタイルを観察する。彼女のスタイルは攻撃的でラッシュとスピード重視のコマンド技を多用する、ガードはほとんどせず、一歩後ろに下がって回避する程度だった。
ルリッチは手数の多さで相手を圧倒するタイプのプレイヤーだ。現行のエクスアーツにもいる。こっちに隙ができてしまうと一気にライフを削られるが、攻撃パターンは少ない。対策を練れば勝てない相手じゃなかった。
ぼくはガードポーズを解いてモーション攻撃の蹴りで下部を狙った。一発入る。
ラッシュがかかるタイミングでガード。すかさず前へステップし、コマンド技で横っ腹に一撃叩き込む。
ルリッチが「うぎ!?」と声をあげた。彼女は反撃とばかりにポージングしてアッパー系の技を出してきた。ぼくは一歩下がって回避してポージングを決めてから下部へダメージを与える。
観察していてわかった。ルリッチは下部への意識が薄い。攻めの姿勢のせいで守りがおそろかになり、集中できていない部分がある。
さらにラッシュ多用のプレイヤーは自分が攻められているときに弱い。ガードと回避のタイミングを相手に合わせながら、素早くダメージを与えていけば、相手はジリ貧になる。
いける。ぼくからラッシュをかけてモーション攻撃をヒットさせる。ルリッチのライフポイントは100を切っていた。
畳みかけようと足を踏み出した瞬間、腹に蹴りをもらった。キャラクターの体勢が崩れた。
ルリッチはぼくのふところに入り、身体を縮こませる。よく見ると固有のポージングだった。
ガードは間に合わない。下がれば回避できるが、ぼくのふところに入った彼女は超至近距離にいる。数歩下がらねば回避できない。
しかし、急接近してきたルリッチに意表をつかれて、足がもつれた。
ぼくのアゴに一発、コマンド技が入った。ルリッチの肩から腕にかけて天高く、気持ちのいいくらい上へ伸びたアッパー系のコマンド技だった。
ぼくのキャラクターは勢いよく飛んで、地面へ仰向けに倒れた。ライフポイント0。
「がはははっ! よっしゃー!」
ルリッチは全身で勝利を喜ぶ。
1ラウンド目はルリッチが取った。
20秒間のインターバルが入る。
「がははっ! どうだ! あたしはやれるんだ!」
「……まだ1ラウンド目ですから」
「負け惜しみだな!」
残り5秒。
「あたしの勝ちだ!」




