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希望のバンガード   作者: ミツカユリエ
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第7話 初陣



 これから戦うために必要な武器も何も所持していなかった。完全に手ぶらだ。


 いや、待てよ?一つ見落としてるな。掛けているサイドポーチの中に何かあるかも知れないぞ!?


 どれどれ……?


 と、少しホッとしながら僕はゆっくりと中に入っていた物を取り出した。


「う、嘘だろ!?」


 中身は百均にありそうなチープな懐中電灯だけだった。


「あああぁぁぁぁぁぁ!!!」


 おい、ふざけるなよ?こ、こんな物でどうやって敵と戦えっていうんだ!本気かよ!!!


 すると慌てた隊長が僕の方へ近づいてきた。

「お前、急に大声出すんじゃねえ!びっくりしたじゃねえか!」


「アレックス隊長!ぼ、ぼ、僕の武器がないんです!」

「そんなもん知らん!全員武器は受け取っている。お前は何をしていたんだ!」

「いや、それは……。ううう、なんでこんなことに……」


 隊長は呆れた顔をし、大きくため息をつく。他の連中は僕を軽蔑しているに違いない。

 そして、グレンといえば、〝お前は何しに来たんだ〟って顔をしてずっと僕を睨んでいた。


「アレックス隊長、レン君には私の拳銃を渡します」


 ユリエさんが提案した。


「だがユリエ、お前はどうするんだ?その拳銃一丁しか持っていないだろ?俺の武器を渡してやりたいがなんせ今は武器はこのライフルしか持ち合わせていない」


 どうやらアレックス隊長と他の隊員達は一人銃一丁しか持っていないようだ。


「私は衛生兵なので後方にいる事ができます。私の前には大勢の味方兵がいますし、敵から一番遠い位置にいます。敵が私のところまで迫ってくることはないと思います。私は怪我をした兵士の治療に専念し、戦いはみなさんに任せます。敵の攻撃が後方に及ばないよう食い止めてください。皆さんを信じています」


 衛生兵のユリエさんは、ライフルは所持していないが拳銃だけ太ももに携帯していた。その持ってる唯一の武器を僕に渡すことを彼女は隊長に申し出てくれた。


 隊長は彼女の申し出を目を見開きながら聞いていた。


「わかった。だがレン、よく聞け。ユリエに危険が迫ったときはお前は命に代えて彼女を護りぬけ。それができるか?」


「も、もちろんです!」


「隊長、私なら平気ですから。レン君、これを使って。弾は17発入ってる」


「あ、ありがとうございます!」 


「使い方は大丈夫?」


「すみません、全く……」


「わかったわ、手短に説明するね?まず両手で――」



※※



「最後に一つ忠告。敵を撃つ前に銃の安全装置を外すように。大丈夫?」

「はい!」


 僕はユリエさんから銃の使い方を教わった。100年前と比べると銃の根本的な部分はそれほど変わっていないようだ。もっとレーザーが撃てる銃とか出てくるかと思っていたがこの銃なら扱い方は問題なさそうだ。

 僕は彼女から17発入っている拳銃と弾倉を2個受け取った。


「僕はユリエさんのいる衛星班の近くにいます。ユリエさんに何かあったらすぐ駆け付けます!」


「うん……」


 彼女は厳しい顔をしている。

 まただ。隊長が作戦変更を切り出して以降ユリエさんの顔から最初に出会った時のような笑顔が消えているぞ……。さっきも〝気にしないで〟と言った時不安そうな顔をしていた。


 僕は彼女に大丈夫か聞いた。


「ユリエさん、大丈夫ですか?」


 次の瞬間、僕はハッとした。彼女が僕の手を強く握りながら言う。


「ごめんなさい、レン君……。少しこのまま手を握らせて……」


「ど、どうしたんですか?」


 なぜユリエさんは手を握ってきたのだろうと思ったがやっと分かった。彼女の手が震えていたのだ。

 僕は馬鹿だ。僕だけではない、周りのみんなやユリエさんも怖いに決まっている。ただそれを表に出していなかっただけなんだ。



「終焉の日に出撃した場所が実はこの第三地上エリアなの……。街は突然燃え上がり私とその例の女の子、そしてグレンとヒューズ以外はみんな亡くなったわ。私は怖くて何もできなかった。私達を逃がすためにグレンのお姉さんや他の仲間達もみな死んでいって……。今回もまた何か同じようなことが起きてしまうのではないかと怖くてそれを思い出すたび手の震えが止まらなくて……!」


 グレンのお姉さんやみんなの仲間が亡くなったのか、第三地上エリアにいったい何が起きたのか、火の海になったこと以外よくわからない。

 嫌、ダメだ。心配ばかりしていても仕方がない。ユリエさんは心優しい人だ。未来で蘇ったばかりの何もわからない僕に自分の身だって危険なのに自分の武器を渡してくれた。僕なんかより彼女の方がもっと辛い経験をしてきたはずなのに僕の事を気にかけてくれた。それなのに僕は自分の身の安全しか考えていなかった……。逃げるなんて考えてた僕が本当に恥ずかしい……!


 彼女を死なせたくないし彼女の仲間だって守りたい。できるならみんな助けたい。

 僕は最後まで諦めないことを誓い、彼女の手を強く握り返した。



「こんな僕なんかに危険を顧みず親切にしてくれたユリエさんには本当に感謝しています。あなたは僕が未来に蘇って初めてできた友達です」

「私なんかを友達……?」

「そうです!だから僕はユリエさんを絶対死なせたくないんです。僕は全力で戦いあなたを守ります。そしてあなたが守ろうとしている人たちも助けたいんです。だから安心してください!」


 わかっている。今は自分自身弱くて何もできない、守られている側なのだという事を。しかし、全力でユリエさん達を守って見せる!そして必ず強くなると。


「レン君、ありがとう。気持が楽になったわ」


 僕の言葉を聞き彼女の手の震えがおさまった。そして彼女は僕の手を放し、嬉しそうに笑ってくれた。


「あなたに何かあった場合、必ず助けるから。どうか死なないで!」


「大丈夫、僕は死にませんから。あ、いや、そういえば一度死んでますけど……何が何でも必ずユリエさんを守りますから!」


「ふふっ、ありがとう。頼りにしてるわ!」


 そう言ってユリエさんは後方に下がった。

 アレックス隊長はエレベーターのドア近くへ移動し、他の兵も到着準備を始める。



『ゴゴゴゴゴゴーン───ドッゴーン───』  



 ようやくエレベーターが地上に到着したと同時に隊長がみんなに命令を出す。


「総員、油断はするな。人類の未来のために!行くぞ!!」


 部隊のみんなが返事をし、僕もそれに続く。


「人類の未来のために!!!」


 僕達はエレベーターから降り正面にあるドアを開き外に出た。




 さぁ、一体何が待ち受けていると言うのだ!?ジェミニか、未確認生物か!?




次回に続く

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