決勝戦③
「「『覇飛不兵砲』!!」」
戦いが始まってから、5度目の大技が激突した。
何度も行われた同技対決であるが、今度は技の威力が同じだったのか、完全な相殺が行われた。
「嘘……。いくらなんでも、早すぎでしょう?」
弩筋の口から、驚きの声が漏れた。
それも当然だろう。試合終了までは追いつかれるはずが無いと思っていた技の完成度。
それをたった数度の攻防で成し遂げられたのだから、驚かない方がおかしい。弩筋自身、親を見本にここまで時間をかけて技を磨き続けてきたのだ。たった数度で追いつかれるなど、ありえないと声を大にして言いたくなるというものだ。
ただ、そんな偉業を成し遂げた麗羅の表情は暗い。
「……『覇飛不兵砲・改』。ここまで弄ってオリジナルと同じなんて。付け焼刃とは言え、地力の差が大きいわね」
麗羅がやったのは模倣ではなく、発展や応用と言われるものだ。
オリジナルの『覇飛不兵砲』をコピーするにも限界があり、どうやっても勝ち目を見出すことができない。
だから、他の技を足した。
使える技をいくつも組み上げ、技の威力を底上げしたのだ。
これが弩筋にもできない麗羅のカスタマイズだ。
オリジナルのコピーを超えたパロディ、チャンポンによるカスタマイズ。
元の技は弩筋の、倍筋家のものだが、ここまで変化すると弩筋ではたどり着けない技となる。
改善と改良を積み重ねてきた技ではなく、異質化された技。
言葉にすると簡単な事だが、技の総合的な難易度としては麗羅の技の方が酷い。
本来であればここからバランス調整や先鋭化を行い、真に実用に足る技へと作り替えるのだが、今はコスパの悪い、消耗の大きすぎる技だ。
実際、麗羅の消費は弩筋と比べ、倍以上だろう。多用できる技ではなかった。
これ以上の長期戦は不利などと言う物ではない。
よって無理やり組み上げた技を武器に、麗羅は最後の勝負に出る。
「貴女がどんな技を使おうとも、みんなまとめてやっつけてやる! これが私の渾身の一撃! 『覇飛不兵砲』!!」
「私のスピードを、甘く見るなっ! 早さが私の得意技!」
本来はどっしり構えて使う大技『覇飛不兵砲』。
それを小技の様に、駆け出しながら使う麗羅。
当然威力は減衰し、弩筋の技に消し飛ばされるが。弩筋の『覇飛不兵砲』は軌道がずれ、麗羅は直撃コースから外れる。
「強ければいいってもんじゃないのよ!!」
軽い技は使った後の隙が小さい。
繋ぎとして使う分にはちょうどいい。
逆に大技は使った後の反動・隙が大きくなる。
使うタイミング、場の流れを上手く組み立てないといけないのだ。
「『覇飛不兵砲・改』!」
正式な名前のまだ無い、麗羅の大技。
弩筋の懐に飛び込んだ麗羅は最後の、全力の一撃を見舞う。
弩筋は大技の後とはいえ、身をよじって麗羅の『覇飛不兵砲・改』の直撃を避けようとした。胴体直撃だけは、何とか回避した。
だが、右腕を砕かれそれでも吹き飛ばされ、場外へ。
また、最後の一撃にすべてを賭けた麗羅も倒れる。
双方そのまま立ち上がる事が出来ず、判定により麗羅の勝利が宣言された。




