決勝戦②
「「『覇飛不兵砲』!!」」
二人の声が重なり、同じ技が放たれる。
倍々筋で強化された拳の一撃は、天をも貫く無敵の剣。矛盾ならぬ最強の剣と最強の剣がぶつかり合う。
しかし。
しかし、なのだ。
技の練度の違いは一目瞭然。
麗羅の『覇飛不兵砲』が砕かれ、大幅に威力を減じたとはいえ激しい一撃が麗羅を吹き飛ばした。
この結果は必定。当然である。
だが。
「一撃ごとに成長している、か。さすがね」
弩筋は気が付いていた。
一撃ごとに、麗羅の技が鋭くなっている事に。
自分の攻撃を模倣されていくことに。
徐々にではあるが、つたない麗羅の模倣が、その完成度を増していくのを弩筋は感じていた。
試合が終わるころにはほぼ完全にコピーされているだろうとも。
だが、このままであれば、勝つのは自分だと弩筋は確信する。
模倣はしょせん模倣でしかない。
自分と同じレベルにまでしか届かず、その先が無い。
ならば、それまでにより多くのダメージを与えている弩筋の方が有利であることに間違いはなく、技を模倣されようが体まで模倣されることは無いので、実際に同レベルに追いつかれる可能性は皆無なのだ。
そう。
このままであれば。
弩筋は油断をしないし、麗羅を過小評価しない。
ゆえに麗羅の行動に疑問を覚え、一つの可能性を疑っている。
このまま戦えば弩筋が勝つと決まっているなら、麗羅はどこかでそれをひっくり返そうとするはずである。
今、弩筋に張り合っているのがその為の布石であるなら、何をしようとしているのかを考え、正解にたどり着かねばならない。
その前に勝負を決めるというのも一つの選択肢であるが、それをやろうとして負けたのが、1試合前の樹絵琉である。
このまま堅実に戦うべきか、それとも勝負に出て、大きく仕掛けるか。難しい判断となってしまう。
結局、弩筋はそのまま戦う事を選んだ。それが王道、正攻法だからだ。
そしてこの時点で、弩筋は麗羅の術中にはまってしまった。
麗羅は賭けに勝ったのである。




