↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

7

 ブン投げたルーフスを追って地面を蹴り移動する俺。

 どこまで吹っ飛ぶんだろうか。走っていると最初は関ヶ原的な原っぱだったのが、次第に草木生い茂る森林へと変化していった。

 生い茂る木々は空を覆い尽くすかのように葉がついていて、樹木の長さは30メートル以上はあるんじゃないだろうか。胸高も俺が両手を広げたくらいありそうだ。

 地を蹴り、時には樹を蹴り、枝にぶら下がりながら移動し駆ける。

 森を抜け出た所で拓けた地に出たので先行していたルーフスに接近し蹴り落とす。


 盛大な音を立てながら土煙を上げ落下したルーフスの直ぐ近くにふわっと着地した俺は土煙が晴れるのを待ってルーフスへと近付く。

 俺に殴られた所為もあってか微動だにしないルーフス。


「おい、大丈夫か?」


「・・・・・・フンッ」


 返事が無い。ただのシカトのようだ。


「おい、コラ」


「イタッ!何をする!」


 俺に足蹴りされてようやくそれらしい反応を見せるルーフス。

 とりあえず周辺に人や魔物の気配は無い。安心して話が出来そうだ。

 そういえばあの魔王の少女に俺の存在に対して釘をさすのを忘れていたが、まあ大丈夫だろう。

 そもそも変身前の俺は死んだ事になっている・・・だろうしな。


「さて、聞きたい事が山ほどあるんだ。付き合ってもらうぜ?」


 威圧感たっぷりにルーフスに近寄ると不意に頭の中でカウントダウンが聞こえてきた。


 10!


 なんだっけ?


 9!


 何処から聞こえるんだ!


 8!


 あ!分かった!


 7!


 どうやら魔神化している最中に左上に表示されていたカウント666がいつの間にか7にまで減っていた。

 とかいっているうちにカウントが0になってしまった。


《魔界RUSHシュウリョオオオオオオオオオオオオオオオウウウ!!》


 髑髏さんでも無く、俺の声でもない何者かの声が響き渡り俺の身体が光に包まれる。

 身体に滾っていた圧倒的な力が消えうせ、格好も最初の”マオくん”に戻っているようだ。


「なん、だ?魔神は何処へ消えたというのだ?貴様が魔神だとでも言うのか?」


「だから勘違いだって言ってるでしょうが・・・」


 俺は再び大きくなった頭を掻きながらルーフスにこれまでの事を説明した。

 ヒーローショウの途中で気を失ったら異世界にいてスキルのお陰で変身出来たことなんかを詳しくな。


「俄には信じられんが目の前で別人になるところを見せられては信じるしかあるまいな・・・」


 ルーフスの話では俺の変身後の姿はこの世界に数千年前に存在した初代魔王の姿そのものだという。

 しかもその魔王はこの世界の神々を全て滅ぼし魔神と言われるほど強大な力を手に入れ、突如姿を消したらしい。


 言われるとマオくんの設定に似ていると言われれば似ているかもしれない。

 でも俺はそんな魔王ではないし、そんな力を持っているわけではない。

 確かにスキルによって変身した俺は強いかもしれないが、大昔の魔神と比べるなんて馬鹿げてる。

 

 それにもし魔神が俺の住む世界に転移していたとしてだ。

 騒ぎにならないハズがない。

 だって魔神だよ?

 マジ○ガーだよ?

 

 いや、まぁ、中には人間界でマッ○でバイトしてる魔王も世の中にはいるようだが、それはフィクションの話だ。

 フィクション・・・だよね?


 姿を消したってだけで異世界に渡ったって話でもないしこの話はここまでにしておこう。


 んでルーフスは昔は神様に使える神獣だったみたいだ。

 本人も含め神様を殺されたルーフスは剣へと転生し力を蓄えながら魔神の再来を待っていた所、俺が現れて再びボコボコにされたとのこと。

 それで転生したルーフスの今の名前が破邪の剣ムーンレイスってことみたいだ。

 人間が勝手に付けた名前では無かったらしい。


 で、ルーフスは聖剣として転生した為、勇者として覚醒した人物に代々引き渡され、魔王を討つ旅に同行したのだ。

 姿見せぬ魔神を求めて。


 当然ながら俺のスキルや今の状態なんかについては新たな情報を得ることは出来なかった。

 と、いうことでルーフスから聞きたいことは聞けたし用済みだ。

 別に俺はルーフスを殺す気も無いし何処へなりとも行けばいい。

 そうルーフスに言ったのだが。


「剣からの転生返りの代償は命なのだ。我の命の灯火もあと僅か。誤解とはいえ、襲いかかって済まないことをした。我の意識が消え失せようとも聖剣であることは変わらん。使ってくれ。」


「お前・・・」


 ザーザーと砂嵐のような音が混じりながら話すルーフスからは先ほどまでの元気が感じられなかった。

 それから程なくしてルーフスの目から光が失われ、光に包まれた彼の体は元の剣へと戻っていた。

 武装を持たなかった俺はルーフスをもらい受けることをした。


 そういえばルーフスとの会話中、一切髑髏さんが喋っていない事に今更気付いたわけだが・・・。


「髑髏・・・さん?」


「・・・・・・・」


 返事がない。ただの____いや、これは・・・・。


「目の光が消えてる・・・髑髏さんも死んじまったのか?」


 叩いても話しかけてもうんともすんとも言わなくなってしまった髑髏さん。

 

 ご冥福をお祈りしております。


 なんて冗談を言っている場合ではない。

 どうするんだよ!一番俺のスキルなんかに詳しそうな髑髏さんが沈黙しちゃったよ!

 俺ただの高校生だよ?こんな世界に一人で放置されても、なろう小説の主人公の皆さまみたいに生きていける自信ないよ?

 

 ジャンル冒険だけど冒険出来る自信ないよ?


 ・・・何か変な事を口走った気がするが取り敢えず落ち着こう。

 

 そう、深呼吸が大切だ。


 取り敢えず今の状況を整理しよう。


 異世界(仮)に・・・いや、異世界で確定でしょう。もう・・・。

 に転生・・・ではないな。召喚?でもないよな。転位が正しいのかな。

 そう、俺は異世界に転位させられたんだ。ゆるキャラ怪人の格好のままで。

 

 んで統括者《ルーラー》っていう訳のわからないスキルで魔神に変身出来ると。

 変身には条件が色々とありそうだが、それはこれから検証する必要がありそうだな。

 

 装備はゆるキャラのマオくんの基本装備に加え、先程息を引き取った聖剣ムーンレイスと謎の髑髏さんがある。

 

 今現在いる場所は、最初にいた平原から北に向かって行った先にある樹海を越えた先にある拓けた平地で、具体的な地理や地名は分からないまま・・・と。


 ほとんど何も分かってないってことだよな。

 我ながら情けない。


 まあ、追々何とかなるでしょう。いざとなったら魔神化すればいいのだし。


 自分の意思で自由に成れれば・・・だけど。


 さて、移動する前にこれだけはやっておかないとね。


「よいしょっと」


 俺は自分の頭に被せているゆるキャラヘッドに手を掛け一気に引っこ抜こうと力を込める。


 が、しかし・・・、


「いてててててて!!」


 顔を持ち、力を入れて上に抜こうとしたら痛みが走った。


 つまりこれはどういう事かといいますと・・・、


「ゆるキャラヘッドが俺の顔と同化している?もしくは俺の元の頭が消滅したってこと・・・か?」


 確かにいつも見にくかった視界がはっきり見えていたり、妙に感覚がいいと思ってはいたけれど、まさかゆるキャラヘッドが俺の本当の頭になっているのか?


 俺の本当の頭はどこにいったよ!?


 てか、よくよく考えれば身体もそうじゃないか!


 俺の身体はこんな青っぽくないし、筋肉質じゃない。どちらかといえばぽっちゃり系だ。

 薄手のスキンを着ているはずなので皮を摘まめばすぐに取れるはずだ。

 そう思ったのだが、


「いたっ!」


 身体も頭と同様に一体化しているらしい。


 と、いうよりもこれはアレだな。認めざるを得ないでしょう。


 そう、俺は。


 ゆるキャラの中の人では無く、ゆるキャラそのものになってしまったという事を。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。