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私は、プレゼントを持ち出しました。

 見かねた客人が声を上げる。


「いえあの、ご期待に添えるような物であるかどうか……それにパーティはまだまだありますしお屋敷に帰られてから開けられては」


 セチーリアにかけられる声は子どもに対するものに似ている、といつも感じる。し、それに何か思うわけではないセチーリアにも何か欠陥があるのかもしれないと、ぼんやりと思う。


「いえ、もう一刻も待てませんの。失礼しますわ」


 おざなりにカーテシーをしてその場をすり抜ける。その時彼らにひっついた小さな『声』達を逃さないよう手を招くのを忘れずに、広げたスカートの裏で手を動かす。


 桃色のレースがふわりと舞った。


 勢い勇んでホールから飛び出したはいいものの屋敷の構造など知らないので、とりあえず廊下の窓から見えた庭園に向かう。


 屋敷の外は既に暗く人の姿もなかった。ただ整えられた薔薇の花が紅く咲いているのだけが見えた。

 セチーリアはその地べたに座って震えを抑えながら小包のリボンに手をかける。

 シュルシュルと音を立てて金色のリボンが引き抜かれる。


 果たして。

 ぽいん、と可愛い音を立てて小さな箱の中から道化師の人形が飛び出してくる。下半身にはバネがついている。さらにその下には、歯車。


 今のところは、想定内。

 問題はここからだ。


 セチーリアは対処の方法を知らない。となると、やはり人や建物のない場所に投げ込むのが無難なのだろうか。辺りを見回すと、迷宮のように入り組んだ薔薇の木の奥に開けた場所があるのが目についた。

 問題はセチーリアの投球技術であそこまで届くかどうかだ。


 そう考えている間にもタイムリミットは迫ってくる。箱の中から歯車の回るカチカチという音がしている。


 セチーリアは意を決して、頭上斜め上を見据える。


 ——思いっきり、振りかぶって!


 手を、離した。


 小箱が放物線を描きながら薔薇の迷宮の奥に吸い込まれていく。ストライクだ。

 ちょうど木の影に隠れて見えなくなるかという時、ぼん、と小さな音を立てて小箱が燃えた。とはいえそれは、近くにいたらケガをするかも、というくらいで、きっとホールの誰も気が付かない小爆発だった。


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